第十八話 目標
いつの間にか渦のような回転も終わり、気持ち悪さだけが残った。
もうどうでも良い。
もうこのまま死んでしまうのだろう。
(母、父、兄がどうなっているのかも分からない、、、)
なんで、どうして、どうして、、、いや、もう本当にどうでも良い。
全てが終わったんだ。
「おーい、あんた大丈夫?」
突然、脳内に流れるセリカの声。
(もしかしてさっきのは夢だったのか!?)
僕はとっさに目を開けた。
ずっと暗闇の中にいた感じがするので、差し込む光がとても眩しい。
「うっ、、、ここは何処だ?」
視界がゆっくりと戻ってくる。そこに映った景色は、透き通った青い海と澄んだ空。
どこからか鳥のさえずりも聞こえてくる。
まるで南国のビーチにいるような、穏やかで美しい光景だった。
(さっきまでの地獄のような光景は何だったんだ、、、)
「あ、目覚ました。あんた大丈夫!?」
背後から聞こえる、聞き慣れた声。
僕は振り返って叫んだ。
「セリカ!!」
「な、何言ってんのよあんた」
「怪我してないですか!?上半身に何も異常はありませんか!?」
「だから何言ってるのよ!!初対面でいきなり怪我の心配されるほど、私の身体は傷ついているように見えるわけ!?」
(え?初対面?)
どういうことだ。僕は目をこすり、もう一度セリカの顔をよく見た。
そこにいたのは声だけではなく、髪型や体型までそっくりな女の子だった。
しかし、よく見ると髪の色が金髪に緑色のラインが入っていたり、耳には見慣れない装飾があったりと、僕が知っているセリカとは異なる部分があった。
(それでも、、、セリカじゃないなんて認めたくない)
「じゃ、じゃあ僕の名前は!」
「知らないわよ!」
「学校は!?それにニナについては!」
「はぁ、あんたしつこいわね」
セリカに似た女の子は呆れながらも、ちゃんと答えてくれた。
「あんたのことも学校も、そのニナ?ってのも分からないわ!」
その言葉を聞いて、僕はある結論に達した。
(ここは死後の世界なんだ)
だからこんなにも穏やかで美しい世界で、セリカと瓜二つな女の子もいるわけだ。
僕は死んだのか、、、
「すみません。僕が勘違いしておりました」
「ようやく分かったみたいね!」
突然、激しい吐き気が襲い、口から血を吐いた。
そうだ、さっきまで地獄絵図のような場所にいて、身体もボロボロになっていたんだ。
「死後の世界でも前世の傷は取れないみたいですね、、、」
吐血が止まらない。
それと同時に汗も大量にあふれ出る。意識がどんどん遠のいていく。
「何言ってんのあんた?ここは死後の世界でもなんでもなく――」
セリカに似た女の子の言葉を最後まで聞く前に、僕は意識を失ってしまった。
目を覚ますと知らない天井だった。
ここは何処だろう。
ゆっくりと起き上がる。
僕はベッドの上で寝ており、身体には包帯が巻かれ、丁寧に治療されていた。
すると扉のノックが響き、そこからあのセリカに似た女の子が入ってきた。
「あ、起きてる」
とにかく状況を確認しておこう。
「あ、あのここは死後の世界の病室か何かでしょうか?」
するとセリカに似ている女の子は、手に持っていたお盆で思いっきり僕の頭を叩いてきた。
バコォォン
「痛ったぁぁぁ」
おいおい、こっちは一応病人なんだぞ。
死後の世界だからって滅茶苦茶なんじゃないか。
「ここは死後の世界じゃなくて、生きてる私の家!」
(ん?生きてる?)
もしかして僕は生きているのか!?
「えっと、、、僕って、、、」
「あんたが浜辺で倒れているところに、たまたま居合わせただけよ」
「僕がどうやって浜辺に来たかっていうのは、、、」
「そんなの知らないわよ」
ということは僕はあの時、杖に触れて気づいたらここにいた。
つまり死んでいない。
(じゃああの後、セリカはどうなったんだ!家族は?村は?)
早く戻らないと。
僕はベッドから立ち上がろうとしたが、全身に激痛が走り立ち上がれなかった。
「うっ、、、」
「動けるわけないでしょ。あんた背中の骨折れてるし、臓器もボロボロってじっじが言ってたわよ」
(なら、尚更僕を叩いたのは間違ってる気がするが、、、)
「それでも戻らなければいけない場所があるんですよ!」
「あんたがどこに戻るかなんて知らないけれど、ここは南の国の離島よ。そんな身体で海を渡れるとは思えないわ」
(え?南の国の離島?)
ちょっと待ってくれ。
あの時、この杖が起点でワープをしたとしたら、なぜこんな場所に!?
「すみません。僕は東の国に戻りたいのですが、、、」
「あ、あんた東の国から来たの!?」
僕が東の国から来たと聞くと、彼女はとても驚いていた。
「ちょっと待ちなさい。一旦状況を整理させてちょうだい」
彼女は腕を組み、眉間に手を当て少し考えていた。
「一度あんたの状況を説明しなさい!それをじっじに相談してあげる」
(先ほどからじっじって誰のことなんだろうか?)
「その前に自己紹介よ!互いに名前も知らないなんてありえないからね!」
(そういえばまだ自己紹介も何もしていなかったな)
「私の名前はセリナよ!セリナ・ベルギア!十一歳よ!」
(セリナ、、、名前まで類似している)
これは本当に偶然なのか?
「僕の名前はシエロ・アルランドです。十歳です。まずは僕の治療をしていただき、ありがとうございます」
「シエロって名前、どこかで聞いたことがあるような、、、」
「本当ですか!?」
「いや!嘘!全く聞いたことないわ!」
(どっちなんだ、、、)
それにしても改めて見ると、本当にセリカとそっくりだ。
いまだに信じられない。
「あの、もう一度だけ聞かせてください。本当にセリカ・マーガレットという女性については知らないでしょうか?」
「全く知らないってわけではないわ。東の国の王候補家とかでしょ?でもそのセリカって子は見たこともないし、知らないわ」
「そうですか、、、」
(やっぱり似ているだけの、別人なのか)
「それより早くあんたの状況を教えなさい!」
僕はセリナからもらった白湯を一口飲み、僕がここに至るまでの経緯を話した。
今回は話を盛ったりせず、ありのままを話した。
「その真剣に話す感じ、嘘ではないみたいね」
「信じてもらえて良かったです」
「私と似てる同級生がいたなんて、びっくりだわ。でも気になることが多すぎるわ」
当然そうだ。
僕だって今の状況を理解できてはいない。
話を聞いたセリナなんて、もっと意味が分からないだろう。
「まず、隕石の件だけど。確かに東の国に隕石が大量に衝突して、国全体が崩壊寸前になったってのは知っているわ。実際にこの島からだと綺麗な流れ星にしか見えなかったけれど」
(やっぱり崩壊寸前まで滅びてしまったのか)
そして次のセリナの発言で、僕の想像もつかないことが明かされた。
「まず隕石事件は一週間前に起きたこと。今は色んな手助けで復旧中ってじっじが言ってたわ」
(い、一週間前!?)
つい先ほどの出来事ではないのか!?
「ちょっと待ってください!一週間前ってどういうことですか!?」
「どうって、、、そのまんまよ!一週間前に起きた出来事だって」
「え、じゃあ僕は、、、」
(一週間もあの浜辺で意識を失っていたってことなのか!?)
それとも謎の空間からここまで来るのに、そのくらい時間がかかったとか。
ますます理解ができなくなった。
「とりあえず私が今分かることはこのくらいと、あんたがお腹すいてることね」
「べ、別にそんなことは、、、」
しかし身体は嘘をつかなかった。
グゥ~
「あっ、、、」
「とりあえずご飯用意するから待ってなさい」
「あ、ありがとうございます」
その後はセリナが持ってきたご飯を食べながら、今の状況を再整理した。
この島の掲示板や手紙の日付を確認したところ、確かに時間は一週間進んでいた。
(僕の生存報告を、きっと待っているだろう)
家に手紙を書いた。
この離島から東の国まで届くのに時間がかかるし、今の東の国の状況では届くかも怪しいらしい。
でも僕は、この手紙が届くと信じたかった。
「じゃあシエロ!じっじに相談しに行くわよ!」
「ところで、その『じっじ』というのは誰なのでしょうか?」
「じっじはこの小さな離島の島長よ!」
(村でいう村長的な人か。てっきりセリナのおじいちゃんだと思っていた)
「ということはセリナは、ここで一人で暮らしているのですか?」
「そうよ!物心ついた時から、ママもパパも島から出ていったきりなの」
決めつけは良くないが、親が子供を見捨てるなんて恐ろしいことだ。
僕と歳も変わらない子が、一人で生活しているなんて凄すぎる。
「すみません。余計なことを聞いてしまいました」
「全然大丈夫よ!別に私もママとパパに情を抱いているわけでもないから」
「そうなんですか」
(まぁ色々あるのだろうな)
この件はこれで終わっておこう。
それから僕は島長が住んでいる場所まで、セリナに案内されて向かった。
「ここよ!ここがじっじの家よ!」
着いた場所は、少し大きな平屋の茅葺き屋根のような家だった。
セリナが玄関の扉をノックすると、想像通りの年配の方の声が聞こえた。
「はいよ」
「じっじ!セリナよ!」
すると扉が開き、そこから出てきたのは長い白いひげに、緑を基調とした民族的な衣装を着たおじいさんだった。
「おう、セリナ。どうしたんじゃ?」
「じっじ!あの砂浜で見つけた少年が目を覚ましたの!」
おじいさんは僕を見て驚いた。
「な、なんと!これは驚いた。わしがお主を見た時は身体も冷え、意識は戻らんと思っておったぞ」
「じっじ、話があるの!中に入ってもいい?」
「おうおう、中に入っておくれ!」
そうして僕はセリナの言うじっじさんの家にお邪魔した。
三人でテーブルを囲み、セリナから僕の事情を全て話してもらった。
「なるほど。お主、シエロと言ったか?」
「はい」
「わしの名前はシルバ・ウィーグリーじゃ。セリナからはいつもじっじと呼ばれておる」
「シルバさんとセリナさんは、どういったご関係なのでしょうか」
シルバさんはセリナの方を一度見て話した。
「セリナは小さい時から両親がいなくなっての、それでわしが育てておるんじゃ。そしたらいつの間にかじっじと呼ばれるようになっただけじゃ」
(セリナにとってシルバさんは、おじいちゃんみたいなものなんだろう)
「じっじは凄いのよ!昔、悪い魔女からこの世界を救ったのよ」
普段なら「魔女ですか!」などと言って興味を持つが、今はそんな気分ではない。
僕の表情で察したのか、シルバさんは本題に入ろうと切り替えてくれた。
「セリナ、今はわしの話より彼の話をしよう。わしの話はその後で構わん」
「はーい」
セリナは少しきょとんとしていたが、コップに入ったジュースを飲みながら話を聞いていた。
「まずはどれから話そうかの」
僕がまず知りたいのは、あの隕石についてだ。
「すみません。あの隕石はただの自然現象なのでしょうか?」
シルバさんは少し考えた。
「今のところはそれで片付けるしかないの。あんな広大な範囲であれを魔術で出せる奴がいたら別じゃが」
「シルバさんは、あれを魔術として出せる者がいると思いますか?」
シルバさんは再び考えた。
「絶対いない、なんてことは言えん。だが、『六皇神・ろくおうしん』や『原初の七柱』と呼ばれる者でも難しいだろうな」
(じゃあやっぱりただの自然現象で、たまたま東の国アズライトに落ちてしまったということなのか)
それだとしたら酷すぎるじゃないか。
「正直気の毒じゃが、お主の家族や友達があの場にいて生きているとは思えん」
「そんなこと、まだ分からないじゃないですか!!」
「まぁまぁ落ち着くんじゃ」
(こっちは家族や友達が心配なんだ)
落ち着いていられるか。 だが、今ここで何かしても現状が変わるわけではない。 握った拳を解いて、冷静になった。
「まずは隕石についてはわしも良く分かっておらん。次はお主のその杖についてじゃ」
僕は杖を目の前のテーブルの上に置いた。
「手に持ってもよいか?」
「はい」
シルバさんは僕の杖を手に取り、よく観察する。 杖の先端から重さまで、隅々まで良く調べる。
「何か分かりましたでしょうか?」
「んー、やはり何も異変は感じんのー。この杖は何処で手に入れたんじゃ?」
「この杖は、僕の先生に誕生日プレゼントでいただきました」
シルバさんは僕の杖を置き、改めて僕に話を聞いた。
「この杖が手元に届いた時の話をもう一度聞かせておくれ」
「はい、家に置いていたはずの杖が、突然宙に現れてそれで握った瞬間に変な空間に吸い込まれてここに、、、」
「本当にそれだけか?」
「はい、、、僕が体験したのはこれだけです、、、」
実際、謎の人影が居たけど関係はないだろう。
「実際わしが見ただけじゃが、この杖に特に異変は見当たらん。じゃが、この杖にその様な能力、または『自我』のようなものが宿っているのであれば別じゃ」
杖に能力に自我だって! まさかこの杖そんな能力があるっていうのか!?
「それはどういう事でしょうか?実際に杖自身に能力や自我があったりするのでしょうか?」
「大昔に四歳の女の子が魔術の暴走で多くの人が死んでしまった事件は知っているの?」
「はい、勿論知っております」
「その女の子は魔術師によって抑えられたのじゃが、、、」
そういえばその女の子がどうして人を殺めて、その後どうなったかは知らないな。
シルバさんが顔を険しくし、声を潜めるように話した。
「実はな、その少女は魔術師たちによって抑え込まれた後、とある施設で厳重に保護されておった。だが、元々身体が弱かったのか、四十の半ばでこの世を去ったんじゃ」
「それで、どうかなったのでしょうか?」
「異変が起きたのは、葬儀の前夜じゃ」
シルバさんは一呼吸置き、続けた。
「寝ずの番をしておった者が、桶の前に佇む『全身黒ずくめの何者か』を目撃した。そやつは、少女の遺体から『何か』を取り出しているように見えたそうじゃ」
(桶から魔道具を取り出すってもしかして、、、)
「すぐに人を呼んだが、その瞬間にその黒ずくめは煙のように消え失せた。その後、急いで桶の中を確認したんじゃが――すでに少女の遺体は跡形もなく消えておったんじゃよ」
「もしかして、その子は何者かに魔道具にされたと、か?」
「否定はできん。じゃが、誰かが遺体を魔道具に作り変えた、というよりは、、、死してなおその身に宿る莫大な『縁』が消滅せず、肉体ごと『魔道具へと昇華した』と考えるのが自然かもしれんの」
人が魔道具に自ら? 生物が魔道具や何かに変化するなんて事があるのだろうか。
その事について驚きは欠かせなかったが、僕はもう一つの疑問を抱いていた。
「すみません、シルバさんってもしかしてその女の子が魔道具になったその事件に居たと言う事でしょうか!?」
すると、先ほどまで黙っていたセリナが立ち上がって話に入ってきた。
「やっと気づいたの!!じっじはその悪い魔女を抑えた一人なのよ!」
まさか、このシルバさんがその時の当事者。
つまり今聞いた話は真実。
「もう昔のことじゃがの。そして、女の子が魔道具に変化してからその魔道具が今何処に誰が持っているかも分かっておらんのじゃよ」
「僕の杖がそれに該当する可能性があるという訳ですか」
「もしかするとあの時の魔道具かとも思ったが、今の所は違うようじゃ」
この数時間で色んな出来事がありすぎて、僕は少し疲れていた。
とにかくこのシルバさんは昔の四歳の女の子の事件の当事者で、その影響で縁や魔道具などに追っている内に詳しくなったらしい。
「わしは今話してて思ったのじゃが、ここでわしやセリナと出会い、色んな話をするなんて出来すぎていると思うんじゃ」
「どう言うことでしょうか?」
「つまりじゃ、どういう理由かは分からんがお主がここに飛んできて、今こうやって話を聞いていること自体が、仕組まれた運命じゃったのかもしれん」
「実は、、、」
僕は少しだけ躊躇したが、リリア先生から聞いた話を伝えた。
「この杖を僕にくれた先生が、『この杖は僕を守ってくれる』と言っていました。それに『困った時、力になってくれる』とも」
「ほう、、、」
シルバさんは真剣な顔で僕の杖を見つめた。
「やはりこの杖、ただの魔道具ではないのかもしれんな」
「先生もこの杖に呼ばれている。そんな感覚がすると、、、」
「そうか。じゃが、お主の先生もこの杖の『何か』を感じ取っておったのじゃろうな」
シルバさんが杖を手に取り、改めて観察する。
「あの時お主を、この島まで運んだのもこの杖の意思かもしれん。お主を守るために、な」
あの時僕が杖に触れて、ここまで来る事を仕込まれていたとでも言うのか。
ますます理解が出来なくなってきた。
「わしの自論じゃがの」
「僕にはまだ理解が追いついていませんが、とにかく今はまだこれといった確実性は無いとい事ですね」
「その通りじゃ」
でもシルバさんの言う事も分かる気がする。
あの隕石の事件が仮に起きると誰がが分かっていたとして、この杖を僕の手元まで送り届けそしてこの場所にワープ。
まずはこの杖をいただいたリリア先生に、何か知っているかを聞かないといけない。
その前に、東の国に戻り家族、セリカの安否も確認しなければいけない。
「すみません。僕は東の国に戻り、家族や友達の安否を確認しなければ行けません。どうにかここから東の国まで行くとこは出来ますでしょうか?」
そう聞くとシルバさんは立ち上がりあり、部屋の物入れを開き何かを取り出し、こちらに戻ってきた。
「これを使えば戻る事は可能じゃ」
シルバさんの手には一枚の券の様な物持っていた。
「これは舟券でしょうか?」
「そうじゃ、この島から本島に行ける舟券じゃ」
シルバさんはその舟券二枚を僕の前に置いた。
「この舟券あげよう。じゃが行けるのはこの島から本島の南の国までじゃ。さらに今の東の国は危険区域とされている為、南の国から馬車は出ておらん」
つまり、南の国から東の国までは自分の足でないと行けないと言う事。
僕は覚悟を決めその舟券を受け取った。
「何故舟券が二枚も必要なのでしょうか?」
「今の東の国や、それまでの道のりは馬車が通らなくなった事で、魔物も多くなっておる。相当危険じゃ。だからあんたをサポートする者が必要じゃ」
するとセリナがもう一度立ち上がった。
「私が一緒に行ってあげるわ!」
「セリナさん!?」
「安心するんじゃ。この子はこう見えて魔術のセンスは飛び抜けておる」
「よろしいのでしょうか?これは僕の都合なのにセリナさんを巻き込んでしまって」
シルバさんにとってセリナは自分の子の様な存在だと思うのに良いのだろうか。
セリナは早速出かける準備をしに行ったのか、この場から消えていた。
「セリナも自分の両親を本当は探そうとしておるんじゃ。じゃがセリナ一人を島から出すわけには行かんかったんじゃ」
「それで僕とですか、、、」
「その通りじゃ。さっきも言ったがこれは運命なのかもしれん。この機会を逃せばあの子は一生両親に会えないかもしれないのじゃ」
運命か。
随分と頼られたものだ。
だか僕自身も一人で行くのは少し心細い、今回はその運命と言うものに従ってみよう。
「それにあの両親はもしかしたら東の国に居るかもしれないんじゃ」
東の国にセリナの両親!?
「東の国にセリナの両親が居るのですか?」
「そうじゃ、東の国の次の王を決めるとこの島に情報が入った翌日から突然、子を置いて消えたんじゃよ」
なるほど、、、それで東の国に居るかもしれないと言うことか。
「分かりました。僕の家族や友達の安否を確認次第、僕もセリナさんの家族を探す旅をお手伝いさせていただきます」
すると先ほどまで何処かに行っていたセリナが大きな荷物を持って戻ってきた。
「いつでも行けるわ!!」
セリナは既に東の国へ向かう準備を済ましていた。
「セリナ、出発は明日じゃ。今日は一日、この子をゆっくり休ませてやってくれ」
話を聞かずに自分の思いだけで先に動いてしまうあたりも、セリカに似ているな。
「はーい、、、」
「セリナさん明日からよろしくお願いします」
「任せなさい!私が東の国までシエロを守ってあげるわ!」
僕達はこうして東の国に向かい、家族や友達の安否確認。そしてセリナの両親を探すと言う目標を掲げて、身体を休めた。




