表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

〜序章〜ホルスの申し子〜

始めまして。

私、【作文家】藤井雪彦{べこ丸}と申します。

書籍となったヘブンリィ物語から早いもので八年の歳月が流れました。

この文章はあくまで【小説】ではなく【作文】なので誠に有り難くも御愛読なされた御方々が【漫画】っぽく楽しめて頂けたら【本望】で御座います。

皆さま応援宜しく御願い申し上げます。

〜序章〜

【アストラナバン・ガナン】はチカラが欲しかった。

聖地ゴンドワナでの一〇〇年にも及ぶガナン国とレーデル国との哀しみと苦しみに満ちた戦争を終わらせる為のチカラが…。

アストラナバンが一〇歳の頃、【フワァファ・ソファ】という女の子の遊び仲間が居た。

よく一緒にメグモリの樹の森に遊びに出かけていた。

彼はフワァファに恋心を抱いていた。

しかし、フワァファが【セトの民】だという理由でアストラナバンの父親でガナン国王【サドッホ・ガナン】に【害虫駆除】という汚名のもと銃殺された。

激しい怒りが込み上げ、彼は父親を馬乗りになって滅多矢鱈に殴りつけた。

彼は罰として2年間、独房に閉じ込められた。

彼が独房で過ごす2年間の中で王妃であった母親の【マリア・ガナン】はサドッホの度重なる浮気や不倫で王宮を飛び出し、行方知れずとなり、中立国であるアスワン国の国王【ファミーユ ・イスト】の尽力により、ガナン国とレーデル国との間に彼とレーデル国の姫君【メシア・レーデル】の和平婚約が定められ、幾度目かの停戦状態となっているが、彼は応じないまま3年と半年の月日が流れた。

年齢は15。

この物語は彼の愛と勇気と成長の物語である。

ある夜、ガナンの巫女たちが天に祈りを捧げていると突如として天より舞い降りた天空の神ホルスの化身の証、【飛翔石】の装着された武具、手にする者に達人の剣術を授ける【聖剣エリシオン】と、空中を自在に歩行できる【聖靴ハンドクトリン】を彼は己が手中に収める。

夜、役目を終えた太陽が月と交代する。

今宵は妖しい輝きを放つ満月である。

「ジジイっ!!今日も生きてるかぁーっ!!僕と【クラウド】は元気に今を生きてるぞーっ!!」

彼はガナン国王宮近くのクリシュナ神殿の現在の荒みきった心の拠り所となっている老戦士【クリシュナ・アッパード】のもとに自身の大好物のクリームパンを食べさせて貰う為、自身の家族同然の蜘蛛クラウドを右手に絡ませ神殿の門を潜り抜け侵入して行く。

クリシュナは、かつて暗殺者稼業を生業とする者で知らぬ者は居ないとされる、かの【ハロウィン卿】の左腕を激闘の末、斬り落とし、自身も両脚を斬り落とされたがハロウィン卿の得意とする蘇生術で完治させられた。

その後も数多の闘いを潜り抜けてきた歴戦の猛者である。

現在、83歳と高齢ではあるが神殿のミニパン工房で大好きなオリーブパイプを吸いながら日々、パンを焼きながら余生を楽しんでいる。

「おぅおぅ、アバン。ちょうどお前の大好物のクリームパンが焼き上がったところだ。珈琲も淹れるからからさぁ召し上がれ」

アバンはお腹が空いていたので焼きたてのクリームパンに齧りつき珈琲をガブ飲みする。

珈琲は熱湯である。

アバンは、たまらずクリームパンの食べカス&珈琲を吹き出しクリシュナの顔面にぶち撒けた。

御互いが叫んだ。

「熱ちぃ〜!!熱ちぃ〜!!」

そして御互い破顔して大爆笑。

「いいなぁ。アバン。お前の笑った顔を見るのは何年振りかな。人間というもの1日に1回くらいは笑顔がないとな」

アバンは急に立ち上がり甲高い声で宣言する。

「ジジイっ!!遠くなり始めてきた耳の穴耳糞かっぽじってよぉく聞けぇっ!!僕の大いなる野望っ!!それは一〇〇年戦争の終結っ!!そして日々、サバイディと呼ばれ虐げられているセトの民の人権確保と自由と解放っ!!ゆくゆくはこの聖地ゴンドワナの恒久平和という名の統一だっ!!」

クリシュナはオリーブパイプを吸いながら眉をひそめる。

「メシア姫と結婚するのか?」

「いや…しない…このまま忘却の彼方にフワァファを置き去りにすることなんて出来ない…僕はクラウドとジジイが死んだら…自分が死ぬのを待ってる」

クリシュナはオリーブパイプを吸いつつ珈琲を啜りながら「月に祈りを…星に願いを…まぁ、お前もまだまだ若い…若いうちから人生そぅ投げやりになっちゃいかん。どんなに強がってもまだ一〇と5…もしかしたら何かの縁が待っているやもしれぬ。わしはずっと祈っているよ。いつかお前が心の底から幸せになる明るい未来を。そして導く飛翔石の輝きを…ところでお前の愚父サドッホがメシア姫のこととは全く関係なく進めているガナン国の名家、シュナイザー家の御令嬢【ナイザー・シュナイザー】との婚約は?そぅそぅ確か両家の親交を深める夕食会は今夜じゃなかったか?」と言う。

「フンっ!!誰だか知らんねっ!!あの救いようのないクズめっ!!人の気も知らないで、また勝手にそんなこと…あのクズに比べてクラウドは立派なんだぞっ!!偉いんだぞっ!!僕の部屋に入った虫を巣を貼って取って食べてくれるんだぞっ!!全くあのクズに少しはクラウドの足の垢を膳じて飲ませてあげたいよっ!!」

そう言ってアバンは気を落ち着かせる為かボロズボンのポケットから愛タバコのキャメルシガー・ライトを取り出しジッポで火をつけ一服する。

クリシュナ神殿の玄関ドアが開きサドッホが複数の兵士たちを連れてやって来た。

「この馬鹿息子めっ!!やはりここに居たかっ!!しかもそんな格好でっ!!仕方ないっ!!このまま連れて行くっ!!」

兵士たちがアバンを総出で掴み強引に部屋からシュナイザー館へと連れ出す。

「うがぁぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁぁぁあぁぁぁっ!!離せぇぇぇぇぇっ!!離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

アバンは神殿の外に出ると、ハンドクトリン

で兵士共々、夜空へ駆け上がる。

次々と兵士たちを振り落とすアバン。

サドッホが一声する。

「馬鹿息子がっ!!クリシュナがどうなってもいいのかっ!!」

アバンはサドッホを睨みつけたまま地上へと舞い降りる。

アバンはエリシオンを背中の鞘から抜き剣をサドッホに向ける。

サドッホは拳銃を片手に持ち叫ぶ。

「お前はっ!!実の父親に刃の切っ先を向けるのかっ!!育ててやっている恩を忘れてっ!!」

「黙れっ!!貴様に僕の父親の資格なんて皆無だっ!!ヘドロのような権力に物を言わせジジイまで人質にする気かっ!!それにその拳銃はフワァファを殺した拳銃だろうがっ!!このまま下衆な貴様の斬り甲斐のある醜く肥え太った布袋腹を掻っ捌いたくなるっ!!だがっ!!ナイザーとか訳分からん女を放っとくとこの先、何しでかすか解らない。ジジイの為に一応、夕食会とやらに行ってやるっ!!」

双方とも、武器を収めた。

シュナイザー館の夕食会ではメインの七面鳥のローストターキーをはじめ豪華な料理が並んでいたが皆がアバンを約1時間待ち、冷めきってた。

アバンがふてくされながら嫌々席に座ると、ナイザーの父親の【バーナード・シュナイザー】が話しかけてくる。

「始めまして。アストラナバン・ガナンさま。私、ナイザーの父親バーナード・シュナイザーで御座います。この度の我が愛娘との婚約の件、誠に有り難う御座います。私は娘が生まれたときに1人の男として固く誓ったのです。【必ずお前を超一流のレディに育て上げてみせるぞ】と…ですが…実は…まだ娘が4歳の頃、私の妻が、反ガナン派の勢力の間者に食事に毒を盛られ毒殺されまして…うぅ…それでも…私は男手ひとつでここまで…うぅ…

バーナードは話途中で今までの苦労が込み上げてきたのか涙を流し始め、アバンは少々、不憫に感じ、ポケットからハンカチを取り出しバーナードの涙を拭ってあげる。

「有り難う御座います…有り難う御座います…うぅ…本当に御心があたたかな優しい御方だ…我が愛娘も幸せにしてくださるに違いないと私は半ば確信致しました。さぁさぁ御集まりの紳士淑女の皆々様、大変長らく御待たせ致しました。私めが手塩にかけて育て上げた愛娘、ナイザー・シュナイザーのいよいよの登場で御座いますっ!!」

 バーナードが、そう言い指を鳴らすと「御失礼させて頂きます」と館内に淡い声が響いた。

紫色のドレスを纏った美少女が両手でドレスの裾を持ちながら入場して来た。

真っ白い雪肌の大胆に露出した胸元には真紅のルビーのネックレス。

耳には三日月のピアス。

しかし、彼女の足元にはボロ布を纏ったセトの民が地を這い彼女はセトの民に乗っている。

怒るアバン。

「おいっ!!お前っ!!今すぐその人から降りろっ!!」

ナイザーは、「ぇ…ぁ、は、はい」と言ってセトの民から降りた。

アバンはセトの民にテーブルに飾られてあったローストターキーを掴んで走り寄る。

そしてローストターキーをセトの民に差し出す。

「大丈夫ですか?お腹空いてるだろ。食べなよ」

無も知らぬセトの民は瞳から大粒の涙を流しながら食べ始める。

「お前という奴は…本当にガナン王家の、この恥晒しがっ!!」

サドッホが拳銃を取り出しセトの民に銃口を向ける。

バーナードがサドッホを制止する。

「サドッホさま、御辞めになって頂きたい。アストラナバン・ガナン…期待した途端に失望させてくれる。我が愛娘よっ!!さぁ早くこっちに来なさいっ!!便所の蝿よりうす汚いサバイディに我が館の馳走をっ…まさか…食わせるなどとは…このサバイディの処罰は私めが」

ナイザーがヒールの音を鳴らしバーナードのもとへと駆け寄り、バーナードが拳銃を取り出しセトの民に銃口を向け、パァン!!と銃声が館内に響き弾丸が射出された。

アバンがエリシオンでキィンと弾丸を斬り落とした。

途端に館内に悲鳴と絶叫の渦が巻き起こる。

セトの民は混乱のどさくさに紛れて逃げ出した。

「早く避難をっ!!うす汚いのは貴様らの方だっ!!…ぁれ…クラウド…クラウドは…どこだっ!!どこ行ったっ!!僕の家族クラウドっ!!」

ナイザーのドレスの裾を這いずるクラウド。

ナイザーの悲鳴。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁあぁっ!!汚らしい蜘蛛っ!!何よっ!!アバンさまが、この私を差し置いて蜘蛛やサバイディなんかを溺愛するからぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁあぁぁっ!!」

ナイザーはクラウドを振り落とし冷徹にヒールで踏み潰す。

クラウドのか弱い命は厳冬に立つ針葉樹の落ち葉のように儚く散った。

絶叫するアバン。

「……っぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁっ!!」

アバンのエリシオンとハンドクトリンに装着された飛翔石が突然、光り輝き、アバンは絶叫したあと、何かブツブツ呟きエリシオンが鞘から抜け出し、宙に浮き、アバンの心臓の前で浮いたまま停止する。

「…オマエハ…ホルスヲ…オコラ…セタ…」

刀身がスゥッとアバンの心臓に吸い込まれてゆく。

アバンの金髪が青紫に染まり身体がみるみる青紫の猛る火竜へと変貌する。

満月が欠けた。

彼はガナンの民の間で古から語り継がれるホルス神話の伝説の火竜の2種の内の1種、日食竜、【日食を統べる空の支配者{ブルーパープル・スカイマスター}】となった。

雄々しい咆哮を放ち翼をはためかせ飛翔して館の天井を突き破り夜空を舞う。

火竜は四肢を丸め発光させて【六連{むつも}の閃光{イシス・プレアデス}】を放つ。

閃光は天に3つ、地に3つ、シュナイザー館やクリシュナ神殿、海などに向けて放たれる。

クリシュナは満面の笑みで閃光に対峙する。

「アバン…お前の【痛み】の全てをわしは真正面から受け止めよう。アバン…いつか…幸せに…な…

クリシュナの身体は閃光に包み込まれてゆく。

大事なものの喪失に悟ったかのように火竜は少年の姿へと戻り、飛翔石が微量に輝き、彼の身体を支えながらゆっくりと落下してゆく。

その時だった。

空が紫雲へと染まり欠けていた月が再び満ち、空から白い彗星と緑の彗星、橙の彗星と桃の彗星、そして紫の彗星がガナンの地に、けたたましい衝撃音とともにアバンが落下した街の付近に降臨した。

刻に西暦二〇〇九年、ゴンドワナ歴一〇三年7月であった。


皆さま、こんな私のつたない作文を御愛読して頂き誠に有り難う御座います。

心より深く感謝申し上げます。

〜序章〜ホルスの申し子〜いかがだったでしょうか。

この作文を誠に有り難くも御愛読なさり素直に御思いになった感想やレビューなど宜しければ御願い致します。

勿論、批判や中傷なども参考にさせて頂きます。

どんなことでも構いません。

愛読なされた誠に有り難い読者の御方々の感想やレビュー、批判や中傷など私の何よりの励みになります。

これからも応援のほど何卒宜しく御願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ