第二話 再出立
ここはかつて勇者と魔法使いの故郷だった場所。
魔物たちの襲撃に遭い現在は焼け落ちた家々が残るのみの廃村となっている。
勇者は三日三晩泣き叫び続けた。
(なんで、なんで僕だけが生き残ってしまったんだっ…!)
(あの時、僕が間に合っていたら彼女は死なずに済んだのに…)
(そもそも最初に僕が攻撃を受けてなければ僧侶が殺されて陣形が崩れることもなかった…)
(ボクなんかが聖剣に選ばれたがために皆を巻き込んでしまった…)
(ボクの所為でっ…!ボクの所為でっ…!!)
勇者は自分のことを責め続け、自身の右手が真っ赤になるまで地面を殴っていた。
死んだ者は生き返らない。
(せめて彼女らの遺体だけでも供養してやらなくちゃ…)
(生き延びてしまったんだ、魔王討伐を成し遂げなければ彼女らに示しがつかない)
(オレ一人だけでも必ず…)
罪悪感が勇者の心を蝕んでいく。
そして勇者の心は復讐の感情で溢れかえる。
勇者は立ち上がり歩き始めた。
(もっと力を手に入れ、もう一度あの場所へ…)
彼の目からは生気が失われ、真っ赤に染まった右手で折れた聖剣を握る隻腕となったその姿はとても勇者とはほど遠いものだった。
(魔王は俺の手で確実に殺してやるっ…!)
全てを失った勇者は、再び魔王城を目指す旅に出た。




