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【完結】砂塵の彼方にある栄光  作者: 敷知遠江守


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エピローグ

 深雪が大泣きしながら大喜びで俺に抱き着いている。

 父も母も、深雪の両親も感極まっている。結城先生が今井さんと喜びを分かち合っている。まるで全員勝ったかのような喜びようである。

 俺たちの隣では鈴鹿オーナーたちクプアの陣営が大喜びしている。

 遠い異国の地で日本人の一団が感動で大騒ぎしているのを、世界の報道がカメラのレンズを通して映し出したのだった。


◇◇◇


 翌日のスポーツ新聞は、日本馬ワンツーの写真がデカデカと掲載されていた。記事の内容も地方所属の馬が世界の二着になったと大騒ぎであった。勝ったクプアよりも大きな扱いの新聞もあるほどであった。


『かつて交流元年と言われた年に中央のクラシックに果敢に挑戦したライデンリーダー、その曾孫が遠い異国の地であわやの二着と大健闘』


 デカデカとそう書かれていた。



 ドバイから帰国したビヴロストは契約書に従い名古屋競馬場に売却された。ドバイワールドカップの二着馬が売却というニュースは、世界の競馬関係者に大きな衝撃を与える事になった。

 購入資金を回収しようとビヴロストは帰国後、かしわ記念、帝王賞に出走。どちらも二着に終わった。ところが帝王賞後に屈腱炎を発症し、わずか中央転厩二戦で引退する事になったのだった。


 名古屋競馬場が約束してくれた通り、ビヴロストは北海道早来にある巨大牧場で繋養される事になった。初年度の種付け相手はエピファネイアであった。



 ビヴロストのおかげでかなりの賞金をいただく事ができたのだが、その多くは今井稔牧場に使ってもらう事にした。ビヴロストの母、プリズムの飼育費や厩舎の改築に使ってもらっている。今井さんは生産者賞で十分潤ったからと言って受取りを拒んだのだが、娘のビヴロストが母親に孝行をするんだと思って欲しいと言って受け取ってもらった。


 今井さんの話によるとドバイから帰ったら感謝の置手紙を残して神楽はいなくなっていたらしい。あっちの小牧場、こっちの小牧場とせわしなく渡り歩いていると風の便りで聞いたそうだ。



 ビヴロストを売却した俺はすっかり馬主熱が冷めていた。深雪はそうではないらしく、また馬を買って走らせようとせがんできてはいる。だが、良い思い出のまま留めておこうと言っているのだ。


 そんなある日の事だった。ずっと音信普通だった神楽からメールが入った。


”久しぶり! 元気してた? ねえねえ、まだ馬主資格って持ってる? 一頭買って欲しい馬がいるんだよね。友作の好きそうな馬だよ? アローキャリーって馬の孫なんだけどね、深雪ちゃんと検討してもらえないかな?”



「砂塵の彼方にある栄光」―完―

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次回作も引き続きお読みいただけましたら嬉しく思います。

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