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運命の人

ある夜、宅配のお兄さんが荷物を持って来た。

ピンポ~ン、ドアのチャイムが鳴った。

ミカコが出ると、玄関マットの上で寝ていたメサイアが目を覚ました。

ミカコとお兄さんのやり取りを見て起き上がり、お兄さんの足元へ行きスリッと頭を擦り付けると、「おぉ~可愛いですねぇ」と頭を撫でた。お決まりのドヤ顔をする。

これがメサイアとお兄さんとの初めての出会い。

メサイアは猫なのに人間が大好きなのだ。しかも、好みではない訪問客には、下から上へ舐め回す様に睨んでいる。3往復くらいしただろうか、猫に気付く人は「なんだこの猫!?」と思うだろう。

「なんでオレ様が前にお座りしてるのに、可愛いって言わないんだよ!」と言っているようだ。

それからは、宅配のお兄さんは来る度に、メサイアが犬の様に走って玄関に来るのが、堪らなく可愛いくて、毎回撫でて満足して帰っていく。

メサイアはミカコが呼べば来ると思っているようで、会いたくなると「長ぐつをはいたネコ」の主人公が見せるウルウルした上目使いの顔でお願いしてくる。

呼んだら来る仲ではないし、買い物しないとダメだし、しかもこの宅配業者でないとお兄さん来ないよ。と言ったところで分かる訳もなく、しぶしぶスマホを触る。

そういう行為がメサイアを甘やかして来たのか、会えない日が長くなると、ストレスなのか病気に罹ってしまった。

初めはテレビを観ている夜に目の前にやって来て、股を開き舐めながら唸る。最初気付かなかったが、ウロウロして目の前で舐めてはウーッと怒っている。何度か繰り返した時に、目が行き「どしたの?」とやっと気付く。

トイレに行っても唸ってる。それでオシッコが出てないと分かり、夜間病院ヘすぐさま連れて行った。そこで尿結石の病気だって判った。処置をしてもらった時は、スッキリして気持ち良かったのか、半笑いの顔になる。

「頑張ったね、可愛いね!」と言われた途端、ドヤ顔。そして頭を撫でられる。撫で方が気に入らなかったのか、次の瞬間スンとミカコの方へ歩いて来る。

「猫の社交辞令ですか〜?」

窓口で「夜間診察料と処置料で3万円です。」

「高っ!」でもメサイアが笑顔になるならどうって事ない!

暫くは2〜3ヶ月に1回から月1回、半月に1回と病院に行くスパンが短くなった。

かかりつけ医の院長が手術を勧めてきた。

院長の説明だと、尿道に石が詰まってしまうので尿道を切る手術をするという。

これで詰まる事なくオシッコができる。

しかし尿道を切って広くするので、オシッコ漏れがあるデメリット。これは仕方ないが詰まるより良いので受ける事にした。

手術と入院で20万程掛かる見込み。

ミカコは最初、ペットショップで「血統種は病気しやすいのでペット保険加入を推奨してます。」と言われたので、その時加入した保険のお陰で、あまり痛手を食わずに済んだ。やっぱり宅配のお兄さんに会えないストレスは大きいなぁとミカコは考え込んだ。


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