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5  お ま え の せ い だ よ

すいません。今回またゲームサイドって前回言ったのに。ほんと、すいません。


 現実サイド


「ふわぁぁ」

 あくびをしながら大きく伸びをする。

二度寝したいのをぐっとこらえて洗面所に向かう。ジャー、バシャバシャ

「あーさっぱりした」

「ぐうぅーー」

おなか減った。さすがに二食続けて抜くのはまずいか。しょうがない、作るか。

いや、めんどくさいし昨日の残り物でいいや。あっためるか。

冷蔵庫、なに入ってたっけ。あ、これでいいや。

 チーン

「あったまったかなっと」

うん、あったまったみたいだね。んじゃ、食べよう。

「いただきます」

熱っ、まあ美味しいからいいや。

配信、どうしようかなぁ。ダンジョンか街に行くか。一応みんなに聞かないとだめだよな。ダンジョンがいい。

 ピピピピピ ピピピピピ

「学校行かなきゃ」

「ごちそうさまでした」

着替えよ

「やっぱ似合わないな」

灰色の髪だと日本人に見えないから、しょうがないけどさ。セーラー服じゃないだけましなのかな。私も制服の似合う外見に生まれたかったな。まあ、ないものねだりしてもしょうがないけどね。でもやっぱ羨ましい。

「はあ、さっさと行こ」

「行ってきまーす」

いやになるほどいい天気だ。暑いんだよな。

 ブォォォォォン

「バス来たかな?」

うん、聖印学園行きだね。icカードをかざして1番奥の席に座る。

 [発進します。]

[次は 東高校 次は 東高校  お降りの方はお近くの降車ボタンをお押しください]

[定期券の購入、icカードのチャージはバスの停止後に乗務員にお申し出ください]

icカードはこないだチャージしたから大丈夫か。にしても、東高校で誰も降りないのは珍しいな。

[次は終点 聖印学園 次は終点 聖印学園]

私は荷物をまとめてカードを持ってたいきする。

 キキーッ

バスが止まって乗客たちが立ち上がる。

(いつもどうり少し待ってから降りよう)

1人、2人、3人、4人、5人降りていく。そろそろ降りるか。私は立ち上がった。

「ご乗車ありがとうございました」

「・・・どうも」

びびった。まったく、いきなり話しかけないでほしいんだが。

「はあ」

にしても、聖印学園って全体的に大きいんだよな。毎回見上げてるし。やばい、首痛い。

「ねえ、アイツ来てるんだけどww」

「なんで来てんのよ」

「おはよう、今日も醜いね」

声をかけてきたのは茶髪の派手な美人。つり目で見るからにきつそうな性格。

「っ」

「何しかとしてんの?」

「耳も悪いんじゃない?」

「おい、返事しろよ」

耳を引っ張られるのは痛いんだけどな。

「ぉはょぅ」

「え?聞こえないんだけどww」

「おはよう」

「おはようございます。だろ?」

「・・・おはようございます」

ひじりさん、こんな奴ほっといてはやく行きましょうよ」

「そうですよ」

「美しい聖さんにこんな醜い奴が構ってもらうだなんて分不相応にもほどがあります」

「聖さんが傍にいたらこいつの醜さが際立ってさらに醜く見えますよ」

「確かに」

そう言うと聖が私の耳元で囁いた。

「そんな外見で生まれてきたなんて、かわいそう」

「・・・」

反応してはだめ、彼女が余計に調子に乗るから。黙ってうつむいていればすぐにどこかに行くから。それを待てばいい。

「何をしている」

は?なんで、会わないようにしていたのに。

「霊、聖、校門で何をしているんだ?」

聖は元々いじめをするような性格ではない。ではなぜ、私を目の敵にしているのか。それは、今話しかけてきたこいつのせいだ。

うっすら青みがかった黒髪、外人だと言っているようなオレンジ色の瞳。それに加えて、人当たりのよさそうな物腰。おまけに大企業の御曹司。

 ここまででわかるだろうが聖の許嫁である。

修也しゅうや、おはよう✨」

「西園寺先輩、おはようございます」

「おはよう、2人とも。霊、名前で呼んでほしいと言っているだろう?」

めんどくせぇぇ。私よりも許嫁と仲良くしとけよ。

「西園寺さんは先輩ですから」

「だが」

「お二人の邪魔にならないように、ここで失礼します」

「霊、なにか困っていることはないか?」

お ま え の せ い で いじめられてんだよ!!

「いえ、大丈夫です。失礼します」

さっきから聖に睨まれてるんだよ。

「あ」

馬鹿(西園寺)がなんか言ってるけど、無視だ無視。思いっきり怒鳴ってやりたいのを我慢している私は偉いと思う。我ながら、よく我慢した。最初はもっと優しくしていたが、このやり取りを毎日するのはかなり疲れる。結局、適当なところで理由をつけて逃げてる。

正直聖がいなければ誰もいじめてこない。ただ遠巻きにして、話しかけてこないだけ。聖と馬鹿がいなければ、かなり快適な生活だっただろう。あの2人、許すまじ。


 ピーンポーンパーンポーン


よし、さっさと帰ろう。あいつらに会う前に。

 5分後

「ふう」

何とか会わずにバス停まで来れた。早くバス、来ないかな。

 10分後

ブォォォォン

「来た!」

バスに乗って、1番奥の席に座る。

[発車します。ご注意ください]

やっぱ、学校辞めようかな。毎日いじめられるとか聞いてない。昼休みに水ぶっかけるとか、ベタな方法だ。しかもその後「水浴び出来てよかったわね」とかぬかしやがったのでお望みどうり「大変涼しいかったです。ありがとうございます」って言ってやった。聖のあの顔ったら見ものだった。思い出すだけで笑いがこみあげてくる。かなりすっきりした。

[次は 高野  次は 高野 お降りの方はお近くの降車ボタンをお押しください]

次か、ポチっと。

[次、止まります]

バスが止まって、プシューという音と同時にドアが開く。

「学校、お疲れさん」

「うん、おじさんも仕事頑張ってね」

帰りのバスを運転してるおじさんはわりと好きだ。なんとなく話しやすいからね。


 5分後


「ただいま」

勿論返事はない。

「着替えよ」

玄関からリビングを通り、寝室に向かって着替えを済ます。リビングに戻り課題をかたずける。

1時間後

「やっと終わった」

「そろそろ配信しなきゃ」

立ち上がって寝室に向かう。ゴーグルを持ってベッドに倒れこむ。そして、ゴーグルをはめる。頭にシステムの音声が響く。

〈ストーラーナにログインしますか?〉

〈Yes No 〉

「Yes」

〈了解。ログインを開始します〉

〈それでは、ストーラーナの世界をお楽しみください〉

その声の直後、視界が暗転した。そして、その声をきっかけに、意識が沈んでいった。


閲覧ありがとうございました。次回、今度こそゲームサイドです。

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