4 おやすみなさい
現実サイド、お楽しみいただければ幸いです。
現実サイド
視界が暗転して体が重くなる。ゆっくりと頭に触れる。手に冷たくて硬い感触がある。そして、それをゆっくり持ち上げる。頭が軽くなった。かぶっていたゴーグルを机の上に置いて、ベッドで大の字になる。
「配信疲れたな」
私の声だけが部屋に響く。
「ほんとに驚いたよ、まさかあなたから交代しにくるとはね」
「ふふ、今日はありがとね」
私そう言って右目に触れて優しくなでた。
⦅霊が喜んだみたいだし、やってよかったかな⦆
しかし、その声は誰にも届かない。そして、あの人は寂しげに笑った。
「明日の配信も17:00からか」
お風呂入ってさっさと寝ようかな
「行くかぁ~」
私はそう呟くと、風呂場に向かった。
風呂場
「ふわぁ~~」
「気~持~ち~い~」
自分の声が響く。( ^ω^)・・・1人寂しい。体洗お。
鏡に自分が映る。私は鏡に向かって
「・・・大嫌い」
私は吐き捨てるように言った。
私は自分が嫌いだ。無力だから嫌い。何もできないから嫌い。無力だと誰も守れない。私はもう、誰も失いたくない。だから誰も信じない。失うことはつらいから。失うことは怖いから。失うことは苦しいから。1人は寂しいけど、でも今は平気。視聴者君たちがいるから。さすがにゲームでも1人はつらい。まあ、私には《僕》がいるから、平気だけどね。
私が自分を嫌いな理由はそれだけじゃない。理由はこの体だ。灰のような色の腰まで伸びた髪。
色落ちしているような白い瞳。何よりもひどいのは傷跡だ。背中に大きな火傷の痕、腕にはたくさんの痣、足には手術で縫われた傷があるから。これが私のコンプレックスだ。
「明日の配信、なにしよっかな~」
ストーラーナは私の癒し。自分の外見が嫌いな私にとってはアバターの作成機能はすごくうれしかった。なので、私のアバターは私の好みで作られている。
「久しぶりに街に行くか?」
あれ、なんかクラクラする。
「やばい、のぼせたかも」
フラフラする、のぼせたなこれ。
体拭いて、服着て、水を用意して椅子に座る。そして1口飲んだ。
「ふう、冷たくておいしい」
うん、だいぶ意識がはっきりしてきた。
明日の配信で街に行くかは明日の配信でみんなに聞いてから決めようかな。正直、あんまり行きたくないんだよなぁ。行くならその時はその時かな。
「ふあぁぁ」
眠いし、もう寝ようかな。ご飯どうしよ。うん、もう寝ちゃお。
「じゃ、おやすみなさい」
おやすみなさい、また明日。
閲覧ありがとうございました。
次回、またゲームでの配信回の予定です。
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