97話 首輪と子供
ウルフの首輪が行方不明になった。
カミノ城の会議室で本格的に捜索会議。
さすがに泥棒だとしても首輪を盗んだりはしない気はする。
「まずは前日の行動を朝から教えてくれ」
08:00 起床 この時には首輪を付けた。
12:00 人間のメイドと食事をしたがその時には首にしていた。
「ウルフ様に変わったデザインの首飾りですね、と聞きましたので……」
メイドの証言からしてそれまではあったのが確定。
12:30~18:00 街へ。
「教会の様子を軽くみながら走ってきた、多少のいざこざはどこも抱えているな」
「例えば?」
「病気や欠損のあるものに――」
「いじめが起きてるとか!?」
「そうではなく魔物側が人間と呼ぶから……」
「え? 人間とよぶ?」
「魔物は変身だから腕や足が欠けないし皮膚病にもならんから物珍しさに民が集まる」
それはそれで嫌ではあるが魔物国家の弊害はどうしても出る。
イジメっていうよか見世物だな、気分は良くなさそう。
でも、物珍しさなんて慣れれば勝手に風化する。
子供の頃は売れていたアイドルは大人になり、見かけなくなった。
「で、夜には首輪を装着していたのか?」
「夕食は1人だったがここで食べたぞ」
「ここで落としたのなら誰かが見つけてないとおかしいな」
18:00~20:00 城内。
「レイニーの部屋になら入った」
「何で?」
「この城はまともな大工が建てた訳ではないし壁も壊れただろ?」
「壊したの俺だな」
前にレイニーの部屋でスキルを使って壁を壊してしまった。
ホンイツのおかげで壁は塞がった。
でも、雨は入らないもののすきま風は入るし壁はデコボコ。
「補強された場所は『強風で崩れそう』だと大工に言われたのでな」
レイニーの部屋にきてみたのだが特におかしな点はない。
『いや、なんで焼肉用のセットがあるんですか?』
「それ俺の、部屋でやるBBQセット」
新しい人間メイドにお前は何を言ってるんだ? という顔をされたが本当に部屋でBBQするセットである。一回やったが煙が部屋に充満してしまい後悔した。
『やる前に気づくでしょ……(へぇ、そうなんですね)』
人間のメイドだがまだ若いので王様に対してもちょっと態度が悪くなっちゃうのは許そう。
「ここにないってことは――」
「ん? 匂うな……レイニーが帰ってきたみたいだ……いや、違うな?」
「チガウ?」
何か匂いが変である、らしく皆でその場所へいくとローブを被った子供。
「う、うわ!?」
「おい何者だ!?」
「ごめんなさい!!」
怒られた時に反射で顔を覆い隠す仕草。
迷い込んだ盗賊系の子供か?
金目当てなら今のところ余裕で解決できるので話を聞くか。
「ぼうや名前は?」
「言えません、あ、あのこれ―――」
坊やが首輪を差し出してきた。
「俺の首輪ッ!!」
「お城の外で拾いました、だから届けようと思って」
「まじ!?」
「そういえば確かに昨夜は風強かったな……」
「あっあの!!」
「ん?」
「レイニーさんは、どこに?」
「ティラノと一緒だが……」
「そ、う―――ですか」
「水に問題がおきたのか?」
「渡したい物があって」
不思議なことに手紙を握りしめている。
ウルフいわく手紙から怪しい匂いはしない。レイニーなら開ける場所さえ気を付ければ何があっても平気だろう。
ただ、子供はローブでかたくなに顔を見せてくれない。
「届けてくれてありがとうな、でも国王の前でくらい顔はちゃんと見せような?」
「え」
「どんな顔でもいいからさ、質問もしない、約束する」
ハクアと同じ顔をしていたら最悪だが。
「ッ【スキルカード:ッ―――」
何かスキルカードを使おうとしたのでウルフが取り押さえた。
スキルカードには【テレポーター】の文字。
そして勢いで顔も見えた、すくなくともハクアではない。
「あっぶねぇな!?」
「どこに飛ぶ気だった!?言え!!」
「……」
あれ、この口をMの字にする表情レイニーにそっくり。めちゃめちゃ似てる。
「レイニーって兄弟いる?」
「いや聞いたことねぇな」
「顔みてみ?」
「似てるな」
「……」
突然あたりに霧が出てきて霧が晴れたら見失った。
でも確かに手紙はそこに落ちていたので拾ってみる。
ウルフの鼻でもどこに行ったか分からない、消えたと。
手紙には変な模様と宛先がレイニーであることが書かれていた。
「紙の質がクッソいいな……しかも開かない」
「模様からしてフレンドスキルの一種だ、本人にしか開けられない」
「開けてもらって中身確かめるか」




