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95話 自覚と災害

 

 無人島を乗り切って国に帰ってこれた。

 褒美の一晩で落とせるような簡単な女に惚れていたら良かったのだが。

 結論は〈敗北〉である。


「カドマツ様!」

「え?」

「先ほどから食事が進んでいませんがお疲れなのですか?」

「いや失恋しただけ」

「あー」


 不思議なぐらいあっさりとした返しだ。普通なら驚くだろこういう話は。


「思ってた反応じゃないな?」

「いえ、ティラノは昔からモテるのでそこまで変には思いませんよ」

「そうなの!?」

「彼女は相手の心をしっかり考えてくれます。間違っていることややめた方がいいことを怖がらずに言ってくれるので……玉砕していった男は山の如しですから」

「でも、まだ完全にはフられてないから!!」

「どういうことですか?」


 夢のような夜を過ごした最後に彼女は確かに言った。

 惚れさせるぐらい立派になってからまた挑戦しなさい、と。

 それだけの価値があると示さない男に興味ないの。


「今の俺には価値がないっていうならまだチャンスあるじゃん」

「確かに今までのフりかたとはかなり違いますね」

「だろ!?」

「……こういうことは今まで面倒だから嫌いだったのですが」

「まぁ、分かる」

「応援したくなりますね」

「何したらいいと思う?」

「まずは食事をとって下さい」


 新しく雇った〈人間〉が作る食事は魔物とは味付けが違っていた。

 魔物の料理はコピーしたかと思うぐらい同じ味だった。

 こういう細かい違いはあれど、人間が働くのは国にとって大きな前進になことにかわりない。


「ビルなんて難しいプロジェクトも完了した一息つけるタイミングで良かった」

「あんなに巨大な城でもない建物が崩れない何て不思議ですね……」


 少しの間、沈黙。


「ずっと思ってたんだけどレイニーはハクアにまた挑むってことでいい?」

「……まずは四天王の残り二人ですね」


 ウルフが食堂に入ってきた。何やら慌てている。


「カドマツに面会を求めている奴がきてるぞ!」

「おや?」

「俺とはちょっとした知り合いでな、異世界転生者だし相談内容が緊急だから会ってやってくれないか?」

「じゃあここに通していいぞ」


 ウルフが会ってほしい相手ならまずは話してみるべきだろう。変人かもしれんがフラワールなどという祝いの席で抗議活動したような者よりは多分マシだ。


 ~数分後~


「こんにちはー入るわよぉ」


 見知ったギャルが入ってきた。


「キャットさん!?」

「え、驚くような知り合いだったのか?」

「ジーンズ王国で少しお世話になりましたね」


 キャットの話によるとグレイスノウと隣にあるボルトシメ王国で大規模な雪崩が発生した。

 この大雪崩のせいで大勢が死亡してしまったらしい。

 食料を運ぶ貨物列車のようなものが駄目になってしまい各国に支援要請をしているとのこと。


「異世界転生者はさぁ……ボルトシメ王国にお世話になった人も多いのよねぇ」

「レイニーも?」

「魔王退治の拠点に何度も協力して頂きましたね」

「あと空からきて騒がせたのは申し訳なく思ってるわ」

「空を飛ぶスキルで?」

「気球できたわ(※キャットは【スキル:炎】の持ち主)」


 空から荷物を運ぶのはいいかもしれない。

 とにかく現状を詳しく把握した方が良さそう。

 でも一番は――――


「まずは食料を運ぼう」


 騙されていてもいいから手遅れを避けたい。

 何かがあっても構わないので一旦は全速力で事体に応じることに決めた。

 ジーンズのヨモギ・ティー姫や各国の王にも動くと連絡。

 一番いやなパターンはボルトシメ王国の王に断られることだ。


 どうにかしてボルトシメの国王に通信を入れた。


『早くきて僕らを助けろ!』


 ちょっとカチンとくる物言いだが、お望み通りさっさと行って助けてしまおう。


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