92話 サバイバル 前編
まずは水の確保、いや――火だな。
南国系の無人島なせいで枯れた枝などが落ちていない。
とはいえ木や草はそこら辺にわさわさと生えている。
斧やノコギリで切りたいところだが今はとりあえずダメージさえあればなんとか。
いい感じの石と長い棒はある。
「【スキル:どこでもなわとび】」
100円ぐらいで売ってそうな〈なわとび〉だが石と棒をくくりつけて斧に。
小枝程度なら折れる斧が出来上がった。何本か折って集めて日干し。
松ぼっくりが落ちている所を見つけたので集めておく。
「水を入れる入れ物―――うーん」
現実世界であればペットボトルゴミの一つぐらい落ちているのだが。
ポチ以外にそんなものは出せなさそうだ。別の何かで代用する必要性がある。
用途が違うが―――あ、汚いけど水ある。
「【スキル:縄文土器】」
汚い水で泥を作り、スキルで土器の形に整えてクソ重い鍋を作った。
他にも、ろ過装置をつくったりしたのだが、栄養が足りず動けない。
喉が渇き、かき氷を出して少し舐めておいた。
甘いということは少なくともエネルギーはある―――筈。
カロリー0の人工甘味料が味の原料でなければ、だが。
「ヘロヘロ……」
何時でも食べられるしと俺の食事を後回しにしなければよかった。
ない物ねだりしても仕方ない、魚釣り……いや、魚がとれれば何でもいいか?
食べられる食材であれば今は何でもほしい。
【スキルカード:フレンド レイニー】
ついにレイニーから連絡がきた。
「ツチノコとれましたよ、どこに行ってるのですか?」
「無人島へ修行にきてる」
「レイニーを呼んで助けて貰ったらアウトだからよろしく」
「ティラノさんが修行つけてくれる絶好のチャンスだからな」
「ツチノコせっかく採ってきたので、ツチノコだけそちらに送りますね」
ツチノコが頭上から落っこちてきた。
なにかを飲みこんだ蛇にしか見えない。
これは食べたらダメなのかとティラノに質問。
「セーフよ、でも、どうやって食べるのかしら?」
ツチノコの調理方法は多分インターネットにも掲載されてないだろう。
ドラゴンみたいな味がするのかもしれない。
そういえばドラゴンは鱗が硬いから剥いで食べる。
石と石をぶつけて砕いたりしてどうにか刃物を入手。
「これならいける!」
頭を落として細かくして内臓を処理。
喰えるであろう身をとって乾かしていた材料を焚き火にする。
海水で煮たものを枝で刺して食べてみた。
ドラゴンの尾よりも硬い肉質だが食べられはする。
「ふー……」
もう既に日が沈みかけている。
気温が急低下して寒い、火がなければ凍えていた。
ティラノさんは何かをかじっている。
「なんですそれ?」
「そこの木よ」
「木!?」
「硬いからあんたには噛み砕けないわよ」
わざわざ木を食べなくても帰ればいいのに、本当にずっと見張っててくれるんだな。




