86話 動き出す悪役
カミノでレイニーや国王の代理として様々なことをやった。
まずは建物のためにニカナから大工を寄越してもらった。
レイニーに頼んでテレポーターでまずは1人。
「初めまして、俺はカドマツです」
『俺はニカナで〈かめかめな大工〉の棟梁をしているもんだ』
「まずは周辺に建ち並ぶ家をご覧ください」
口をあんぐり開けてる棟梁。プロからみればよくこの家々で暮らせたなという代物で暑すぎたり寒すぎたり隙間風も酷いだろうと。
魔物が人間のそれっぽい家を真似たものだから仕方ない。
『で、どの家を立て直してほしいんだ?』
「ビルに作り替えて下さい」
『ビル? なんだそれは』
「こういう建物です」
俺の説明に渋い顔をする棟梁。仮に作るとなれば莫大な金と力に材料がいると。
だが、材料置き場でそれはクリアした。
鉄どころかもっと頑丈な功績であるオリハルコンがごろごろと。
『どうしたんだ!?』
「オリハルコンを作れる魔物に働いてもらいました」
レイニーもウルフも人を頼る方法を全く思いついていなかった。
そのため放置されていた問題などを俺が解決しているのだ。
表面上だけではなく実態もかなり平和な国ができてきた。
「俺は何で国作りしてんだ?」
「国王がずっと居眠りしているからでしょうね」
「お前も今までプロの力を舐めてたからだろ……でも気分は悪くねーな」
英雄とまではいわないが裏で活躍するちょっとしたヒーローのようだ。
〈フレンドスキル〉のウィンドウが開いた。でも真っ暗で、何も見えない。
「故障でもしてんのか?」
「――――ハローハロー僕様だよ」
この声、誰だっけ? いや聞き覚えはあるんだ。襲ってきたクズ――顔は思い浮かぶけど名前が出てこない芸能人っているじゃん。俺こいつに殺されそうになったけど名前が思い出せないなんてことあるんだな。
「ハクア!?」
「そう、そいつだ!!」
ハクア・ハートの話では〈人質を誘拐した、なので返してほしかったらカドマツ1人で指定の場所にこい〉とのこと。
地図が表示され、それは海底にあるダンジョンであるとウルフの助言。
そして部屋にサカネさんが飛び込んできた。
「サンタが誘拐されてしもた!!」
「……人を入れ過ぎましたね」
ハクアではなく人が誘拐してハクアに引き渡したらしい。
頭のよくない魔物も多く、教会の者だと偽りサンタくんをさらったらしい。
魔物に預けていたところ『教会で行事があるので孤児たちと一緒にやらないか?』と魔物がその言葉に対して警戒するのは難しく騙されてしまったらしい。
「こんな……俺は、行くしかないな」
「殺されに行く気ですか!?」
「行かなきゃサンタくんがあぶねぇだろ!?」
俺が戦ったなら99.9%負ける。
最高の効率を考えたらぶっちゃけ俺が死ぬのが一番早い。
アホではあるが死体にこういうことするタイプのアホではない。
でも、それをすれば、世界が終わる可能性がある。
「カドマツ様が死んだら許しませんからね?」
「あいつが知らねぇスキルでなんとか裏かけないかな」
【スキル:炭酸が抜けなくなる】【スキル:日焼け止め】【スキル:靴ピカピカ】
どう考えても戦闘用のスキルではない。
「たった1人ぐらい見捨てる、のが国としては正解でしょうね」
「はぁ!?」
「レイニーそれほんまに言うてんのか!?」
「国としてはです、でも知ったことではないですね」
「えっ」
それはそれで王子としてはどうなのだろう。
「1人でこい、という曖昧な条件を出した向こうの隙を突きましょう」




