84話 マグマの四天王
俺は気が付いたら火山の噴火口、あたり一面ほぼマグマの場所にいた。
この世界基準では比較的暖かい気候のカミノに比べて強烈に暑い。
で、レイニーがいるということは――
「なんで俺はまた四天王が待ちかまえるダンジョンにきてるの?」
しかもパジャマ。寝ようとして歯磨きすませて布団に入ったはずなのに。
「それが、あなたの大切な人?」
ピエロ型の魔物、現実のピエロと違って最低なヤツばっかなのなんでだろうな。
大人になってからサーカスでピエロやってる人のインタビュー見たけど真面目で努力家。
だって玉のり1つでさえ習得するのに何年もかかったりするのだ。
それよりレイニーがボロボロなのは何で?
「お前でも苦戦するレベルだったの!?」
「ここって火の粉を避けるの無理ありまして」
よく見れば火傷とかではなく服がボロボロなだけ。
っていうか何?あのピエロ。いや四天王だろうとは俺にも想像がつく。
「レイニーでも倒せなかったの?」
「彼の弱点『一番大切なものを持ちながらでなければ攻撃が通じない』と本人がようやく話してくれました」
「それで俺を呼びよせたのか」
俺が1番大切? そう言われると照れるし悪い気はしない。
っていうかマジで嬉しい、こんな状況でも口元がにやける。
「お化けは呼べないので」
「……お前の1番は今でもノアだもんな!!」
ちょっと嫉妬したが、さすがに死に別れた恋人には勝てん。
それより俺の抱えかた――いやこれは持ちかたがイノシシでも狩猟してきた時のそれ。
手足を吊り下げる方式、姫抱きとは言わんせめて俵抱きしろ。
「動けん」
「スキルで私のまわりだけこれでも冷やしているのです、下手に動くと焼け死にますよ」
「いけレイニー!!強烈な水技だ!!」
「【スキルカード:バリア】」
カドマツの周りをバリアが囲んだが、レイニーが抱えた部分から先がはみ出している。
「手とか足の先が守られていないことに不安を感じるバリア」
「バリアでは動きが制限されるので普段は使いません、空気も通しませんし」
「へぇ―――あっつぅ!!」
ピエロが攻撃してきた、燃える玉を投げてきたのだ。
バリアに守られてない足や手の先が熱い。
「ちょっと手足を大火傷させます、他に方法なさそうなので」
「まじで?」
「あまり時間をかけると別動隊が入りますので、被害者をカドマツ様1人ですませられます」
レイニーがその他大勢>俺を選んだのはちょっと意外だ。
とはいえ火傷で済むし異世界転生者としての多少の頑丈さぐらいは俺も持つ。
正直、俺だけ完全に助かり死者が出たりするよりかは断然今の状態がいい。
ピエロが長い舌をだしてこっちへベロンベロンとうごかしている。
「やーいやーいよわっちぃの連れてきてやんの」
むかつく!! 確かに俺は弱いよ? でもああいう言い方されるとカチンとくる。
「アレをやっつけてくれ!!」
「……【スキル:水 水底の地獄】」
この技は俺には何がなんだか分からなかった。
分かったのは水蒸気爆発と自分の手足の先が火傷したこととレイニーは無傷。
でもレイニーと俺の服が消し飛んでる。
「痛い!!」
「【スキルカード:治療 オーバーヒール】」
あっというまに火傷がおおかた治っていく、でも異様に疲れがでた。
マラソンというよりはテスト終わった時の疲れかたに似ている。
まだピリピリはするものの、これだけ治れば十分だ。
「……治った?」
「【スキルカード:テレポーター】」
火山の外に出てきた。待機しているどこかの軍。
女騎士? がこっちを見て驚いている。
暑いから薄着なのは分からんでもないがテント建ちそうなへそ出しの鎧。
もうちょっと大事なところ守れよ、嫌いじゃないけども!!
キライじゃないけども!!!!(2回目)
「なんで二人とも全裸なんだ!? そして誰だ!?」
「カドマツ様ですよ」
「ああ噂の異世界転生者……趣味は裸体を見せつけることだと噂の!?」
確かに俺この世界で何回か裸にはなったが誤解である。
「違うんです」
「女好きで国に女たちをはべらせたというのは?」
「大半は女の子じゃないです(魔物なので)」
「そ、そうか」
「四天王は倒しましたので帰りますか――【スキルカード:テレポーター カミノ城】」




