80話 レッドサン 後編
長い石の階段をぼり夜空を見る、霧はは晴れて星は出ていない。
ドーン! 赤くて大きな花火があがった。
この世界でも見られるのかーと次を楽しみにしていると声がした。
「カドマツ様!」
「……えっ?」
俺の横で花火を見ているレイニー、そして階段を登ってきたレイニー。
「……カドマツ様、探しましたよ」
「何で2人いるの!?」
「あなたの友だちは私だけです!!」
隣で煙草をふかしていたレイニーがこっちを見る。
その姿は半透明。
やっぱり偽物じゃんと思ったのだが。
「本物のレイニーは私ですよ」
「透けてるのに!?」
「あなたは最初から私の記憶を持った【影】と話していただけですから」
「はい? 影?」
「私の【影分身】がお世話になっております」
「ああ!! なるほどね!? 影分身だったのか!!」
レイニーが分身である、告げられてみれば何かと腑におちた。
薄々感づいたことなのだがレイニーは外でローブを被る。
眩しいのが嫌いなのかなと――文字通り影なのなら弱点が【光】でもおかしくない。
「もしかして光が弱点だったりする?」
「……はい」
お城のなかは日当たりが悪くレイニーが引きこもりだったことも腑におちた。
人に会いたくないって分身なのがバレると都合が悪いのか。
本物のレイニーはだんだんと透けている。
「私が本物のレイニー……そして幽霊です」
もう本当に薄い、待って確かに色々と変だった。けどもし本物だというなら消えかけているし聞かなきゃならないことを逃したらあとで後悔する。何か――お化け?
「性欲ある?」
全く同じ顔でドン引きされた。
「他に、聞くことがあるのでは……?」
「難しい話は分からん。でも男ならお化けの状態なら風呂とか覗けるんじゃないかって人生で1度ぐらいはさぁ!!」
俺は速攻で異世界転生したけどもしお化けの期間があれば女湯に入っておきたかった。
「あなたは本当にいつも―――でも、カドマツ様らしくて、いいですね」
「どーなん!?消える前にそれだけ教えて!?」
消えかけながら元々一途なので分かりませんと言われた、なるほど。
「あれ、じゃあさっきの子――もしかして、ノアさん?」
「そうですね」
だから『ごめんなさい』って言ってたのか。
「カドマツ様だけが、私の友だちです―――」
「本当にそうですかね?」
二人のとても大事な会話を聞いているが生理現象には勝てない。
先ほどから気温がとても低い。
「ぶわっくしょん!!」
「カドマツ様はいつも雰囲気を壊していきますね」
「あ、続きどうぞ」
寒いんだもん仕方ないじゃん? こんなに冷えるなら先に言えよなー。
上着とか準備してからきたのに。
「そうですか」
「俺はお前のことをレイニーと呼び続けていいわけ?」
「……」
「いいですよ」
「そっか、いいのか」
「あなたのレイニーはこっちですけど!?」
口をMにしているレイニーがいる。
「【スキル:油性ペン】ちょっと失礼」
幽霊の額にゆうれいの〈ゆ〉と書いた。ってか書けた。お化けに油性ペンで字がかけること発見したで賞がほしい。そんで生きている方は生身ってことだよな?
「おいこら!!」
目が覚めたら油性ペンを握って墓地で寝ていた。
そして最初に会ったお坊さんにとても怒られている。
頭を剃り、袈裟を着ているから多分そう。
「えーと?」
「墓石に落書きするやつがあるか!!」
「え?」
立派な墓石には〈ゆ〉と書かれている。
俺の手には油性ペン。
しかも右手にペン左手にはペンのフタ。
何一ついいのがれできない証拠。
「これはあれです、お化けだって見分けつくように――」
「幽霊に文字を書こうとしたなんてことあるわけないだろ!!」
隣には友だちな方のレイニー。
「レイニー!!」
「……はい」
「俺、お化けに文字書いただけで墓石にはなんも書いてなくね!?」
「いえ急に墓石と話し始めましたけど」
「そう見えてたの!?」
「私にも書かれていたようですが何を書いたのです?」
〈肉〉
「にく――がぼがぼ」
口の中に唐突に入る水に溺れた。
「モンド様、私の友だちがすみません」
「自己紹介しよう」
「ぼべぼべばいぼびべッ‼(それより解除してッ‼)」
口の中の水がなくなったので改めて自己紹介。
「……カドマツです」
「俺はモンド、【スキル:ネクロコレクション】まぁうさんくさい霊媒師の本物だと思ってくれ」
「じゃあお化けの額に書いたって話も信じてくれよぉ!!」
「こっちの肉ならまだ分かる、〈ゆ〉のせいで目の前に広がる池を温泉と勘違いするやつ出たらどーすんだ!?」
「そんなアホにあわせなきゃいけないのか……」
「異世界転生者はほとんどが老人だから理解力が落ちてるヤツも多いんだよ」
「確かに」
「カドマツ様、私は少し話がありますので屋台でも見ていてください」
「おー?」
――――
カドマツ様を1人になんか本来はしたくない。
けれど、聞かせたくなかった。
私が#分身__・__#であるが故の結末。
「……分かってるんだろ」
「それは、何のことですか?」
「お前が死んでも幽霊にはなれない、天国にも行けずに消えちまう」
幽霊として天国の隣に位置するレッドサンに行けるのは『コア』がある者たちだけ。
カドマツ様に心臓付近を触られた時、ああバレたと思った。
コアがないことを聞かれるのが怖かった。
『ごめんおっぱい揉んだ』
本当に鈍いというかなんというか。
コアだって普通は言わなくても違和感を持つ、身体に異物ができたのだ。
異世界転生は心臓付近に何かあると最初から大騒ぎする者も少なくない。
「コアについて今まで知らないってのも珍しい」
「彼、じぶんの身体にコアがあることに気づく前に大騒ぎだったので」
「騒ぎ?」
「お城のパーティーでカドマツ様が全裸になったので」
「変態じゃねーか」




