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79話 レッドサン 中編

 

 長い石の道は両側屋台がずらり。

 いい匂いがしてどの店にもつられそうになる。

 ふと、慣れた香りに足をとめた。


『たこやき400マルよー』


 1つ買った。しばらく食べていなかった状態で見つけちゃったのだ。買うだろ。


「こういう時は500にしたほうが店は楽だよなー、おつり出ないし」

「……」


 レイニーがいつにもまして様子がおかしい。

 さっきお前誰? って疑ったのはさすがに怒っただろうか。

 もしや腹が減っているのか。


「どれか欲しい?」

「では、こちらを」


 レイニーが指さしたのはキセルの煙草。


「煙草!? レイニー吸うっけ?」

「今は特別です、カドマツさんはまだ吸えません」

「カドマツ〈さん〉!?」


 煙管の煙草を吹かすレイニーだが、やっぱりおかしい。

 俺は仲良くなってからもずっとカドマツ様と呼ばれていた、間違いない。

 魔物? 幻覚? に、しては怪我の位置が逆ってのも変。


「タコ焼き冷めますよ」

「はふはふ、あふい」


 狐の面を被った赤い着物の女性が近づいてきた。

 ちょっと怖いけどお祭りでは多分それなりに見る光景。

 レイニーに駆け寄ってきた。


「この人だあれ?」

「片割れの友だちです」

「かたわれ? あ、俺はカドマツです。レイニーの友だち」

「……ありがとう」


 お礼を言われるようなことはしていないと思う。

 たこ焼きを奢ってほしいのか?

 確かそういうお礼を先に言ってねだるシーンはドラマで見たことある。


「タコ焼き喰いたいの?」

「……そうだよ」

「おじさーんタコ焼きもう1つ」


 渡してあげたがお面をつけたままでは食べられないよな。

 狐のお面が急に動いてタコ焼きをもぐもぐ。

 そういう魔物だった、もしくは異世界転生者なのだろうか?


「ごめんね、私のせいで」

「タコ焼き1個ぐらい別にいいって!」

「よんじゃって、ごめんなさい」


 急に走り出し人混みにまぎれて消えた。

 名前さえも聞いていないのだが?

 謝る前にせめて名前を教えてほしかった。


「あの子って何者だったんだ?」

「私の大切な人です、それよりほら、ジュースありますよ」

「なんで缶!? ポチなら出せるかもだけど……!!」


 コーラとかサイダーとか見たことあるメーカーの缶。

 どうしてこの世界にあるのかは疑問だがこれも再現したのだろうか。

 炭酸水はあったがコーラは久しぶりなので一本買った。


「ぷはぁ!!……レイニー酒は苦手でもコーラなら飲めるんじゃねーの?」

「まだ吸ってますから」

「煙管ってそんなに長い間、煙もつっけ?」


 俺は喫煙者ではない、でもそれにしたって随分と長く吸っている。


「そういう種類です」

「なるほど!」


 かざぐるま屋さんの前でじっと品物を見るだけの子供がいた。

 回っているのが面白いのだろうか?

 っていうか小さい、親とはぐれたかも……!?


「……」

「ぼうや迷子なのか!?」

「えっ、えーと、かざぐるま買ってくれたら教えてあげる」


 仕方なく赤いのを1つ買ってやり男の子に持たせた。


「おにぃちゃんのお友達、ありがと」

「へ?」

「ここは『チンコ―』……えーと」


 男子すぐチンコの話する。でも嫌いじゃない。


「忘れちゃったのかぁ、それはいいけど保護者の人は?」

「待っていればお兄ちゃんがここにくるから大丈夫」

「なんだそっか」

「かざぐるま有難う、お兄ちゃんにあげてもいい?」

「もちろん」


 ウルフやメイドさんに土産に買えそうなものを探す。

 土産と言えば個包装で食べやすいクッキーや小さなケーキが定番だった気がする。

 お祭りには売ってな――


「滅茶苦茶ちょうど良さそうなのある!」


 〈レッドサンばなな〉〈レッドサンの恋人〉〈レッドサンきなこ餅〉

 これはセーフかアウトか微妙なラインナップ。

 異世界だからいいのか?


『日本土産屋でーす』

「メイドにはこれでもいいけどウルフって甘い物苦手じゃん?」

「そうですね」

「土産って甘い物がやたら多いよなぁ、んー、レイニーはどれがいいと思う?」


 深く考えているワケではないのだが困った顔のレイニー。

 土産という概念がよく分かっていないのではなかろうか?

 どちらかといえば王子の立場から手土産はあるかも。


「えーと、出かけたら土産かう、ヨロコバレル、ウレシイ」

「もうじき花火が上がります、土産よりも先に階段の上に登りましょう」

「確かにちょっと暗くなってきたかも」


 なんだ花火の時間を気にしていたのか、確かに祭りの花火は見たいもんな。


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