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72話 深夜の大騒ぎ

 

「5億ならこれぐらいですかね……」


 ウルフに頼んでスキルカードで帰って来たが本当に宝物庫にいた。大金を言えば引き下がると思っていた様子のワンズ。

 眩しいほどの財宝たちに囲まれている。


「あれは断り文句でッ――やめてって!!」


 ワンズを押し倒しているが、俺にはどうすることもできなかった。

 耳をこっちに傾けてくれないし何より力技でレイニーをとめられないのだ。


「レイニーやめろって!! 嫌がってるだろうが!!」

「くそっ俺の力すら振り払うのかよ!!」

「嫌ッッッ―――!!!!!!!!」


 レイニーがワンズの服に手をかけた瞬間、突如現れた糸に絡めとられた。

 何度か見たホンイツのスキルだ。

 ウルフに無理いって連れてきてもらったのは大正解だったな。


「【スキル:ドール 操り人形(マリオネット)

「……クソ親父?」

「悪いけど娘をつれて少し避難しててくれる? これ、とめられない」


 糸がついてもレイニーは鈍るだけで動けてはいた。そこでワンズの手をとって【スキルカード:テレポーター】で危ないと言われていた長距離を試す。

 狙い通り海の上ならなにもないだろうというところまでは良かったがこのままでは落ちる!!


「いよっと」


 パジャマ姿のガゴリグさんに抱えられ船の中へ。


「若い女の子つれてどうした? 駆け落ちか?」

「かいつまんで話すとノアの娘さんをレイニーが襲いそうになったので逃がしました」

「ノアに娘!? ノアのことになると本当になんでもしちまうところは昔から変わってねぇな……」

「あのぅ、この人は?」

「ガゴリグっていう信用はできる人」

「こんな夜更けに海の上にテレポーター使うなんざ自殺行為だぜ?」


 俺では座標が大きくズレる。海ならば高い山とかに激突する危険性は低いと思ったのだ。


「彼女を一時的に保護してあげてください」

「お前は?」

「国がパニックになってるかもしれないので、スキルで帰ります」

「なにか便利なスキルがあったのか?」

「ボートが出せるようなので、それで――」

「……きてんな」

「はい?」


 船の上に飛び乗ってきたレイニー。どうやらスキルカードではなくジェットスキーのように足から水を出して猛スピードできてしまったらしい。


「急にいなくなるから、心配しました」

「ひっ!?」


 ガゴリグさんがレイニーの頭に拳骨を叩き込んだ。

 レイニーが船にめり込むほどの威力。


「船に乗せた初日にそういうことするなって言っただろうが!」

「……そうでした」


 ウルフが慌ててスキルカードで船の上空に現れた。


「親父!! こっちにレイニー……めり込んでる!?」

「よぉ正月にも実家に帰らないバカ犬」

「悪かったな!!」

「ウルフは嬢ちゃん連れて城に戻れ、あいつらの正体からして守ってくれるだろ」


 カミノに戻れば大騒ぎ。ノアの娘が唐突に現れたわけで取り囲む魔物(人)たち。


「こいつらに僕ちん人間を食べる化け物だって説明してくれる!?」

「いやぁ……そう言われても」


『姫も人を食べるの?』

『あれ美味しいよね、でも食べるなっていってなかった?』

『言ってたね』

『ご主人久しぶりー』


 ノアと完全に間違えてるのまでいる。


「な、なんなんだよ……」

「あんた肥料を買いに行ったはずなのに、どうして……姫の子孫をつれて帰ってきてるんだい?」

「ヤマダさん」

「お嬢ちゃんあたしはあんたの産みの親に世話してもらったもんだ、うちに泊まりな」

「でも、僕ちん人間たべ――るのに」

「あたしゃー人間じゃないし、あたしも人なら飲みこんだことあるよ? 野菜の方が美味いけどねぇ」

「えぇ……???」


 城に戻ったらホンイツが死―――んでいない。

 気持ち悪いぐらい体中が肉片だったが少しずつ復活していった。

 これで死なないほうが国民よりよっぽど化け物じみている。


「大丈夫か?」

「……」

「【スキルカード:治療】」


 より原型に戻ったところで口を開いた。


「レイニーは?」

「師匠に説教されてるところだな」


 ラミィさんも国に連れてきて、ワンズさんの元へ。

 今晩だけはヤマダさんのお世話になってくれとお願いして深夜の大騒ぎはようやく閉幕してくれた。



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