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68話 重なる偶然

 

 ガシャーン!!

 俺は今ヤマダさんが育てている野菜の収穫を手伝っている。

 なんでこんなことに。


 ――さかのぼること数時間前。

 レイニーは俺の進言もありジーンズからやってきた人々のために広場を建設させた。

 平らなだけの広い土地だが子供たちが遊ぶには良さそうだ。

 と、いってもこの世界で子供がどんな遊びをするのか俺はよく知らないが。


「おじちゃん」

「イチタくん?困ってることは遠慮なく言ってくれ」

「野球やってみたいんだけど……」

「まー大丈夫だろ、でも魔物だと威力あって危ないから俺とやってみるか」


 その結果、俺がホームランしたボールがヤマダさん家の窓を割り。

 怒らせた結果、畑の収穫を手伝えと籠とハサミを渡されたのだ。

 ヤマダさんを怒らせたアナタが悪いとレイニーには言われたが完全にその通りである。


「おじちゃん忙しかったりしない……?」

「平気だよ、それよりイチタくんは遊びにいっていいよ?」

「おれ、もっとおじちゃんといたいし」

「可愛いこと言ってくれるじゃねーか」

「手伝うよ」


 収穫を終えるとヤマダさんにお茶とお茶菓子をもらった。

 何で老婆の恰好をしているのかはともかくクッキーは美味い。

 そういえば何て種類のモンスターだったのかと聞いた。


「あたしゃヤマタノダイジャよ」

「蛇?」

「それが終わったら、ニカナまでお使いに行ってくれないかい?」

「遠い!!」

「王子に頼めばスキルですぐだろう?」

「確かに【スキル:テレポーター】で一瞬ですけど、何がいるんですか?」

「ニカナに売ってる砕き貝……肥料なんだけどね、土に混ぜるといいって近所に引っ越した人間が助言してくれたのさ。あと他にもよさそうな肥料があったら頼むよ」

「……重そう」

「あの力自慢なウルフも一緒につれてけばいいさ」

「それ国をまとめる〈人〉がまたいなくなりますけど」

「グラドにでも頼めばいいさ、人間が何かすれば瞬殺よ」

「文字通り殺しそう」


 魔物には食料が必要ない。

 だが、国に増えた人間が食料不足になるのは困る。

 ニカナの国王であるホンイツにフレンドのスキルカードで連絡してみた。


「貝殻の肥料について何か知らねぇ?」

「……あーあれか、その辺で売ってるから港で買えば?」

「輸出品ってことなのか」

「こっちくるの? 最近は港で人さらいが多発してるよ、レイニーがいるから大丈夫だとは思うけどね」

「俺の心配してくれるぐらいに仲よくなったなぁ」


 ニヤニヤしていたら通信を切られた。

 したことは最低だとは思うがレイニーがそこそこ和解してるのに俺が水を差してこじれでもしたら最悪である。

 レイニーに相談していたらウルフが通った。


「どうかしたのか?」

「ニカナにおつかい頼まれて」

「ニカナぐらいなら俺でも【スキルカード:テレポーター】で行けなくもない」

「何か問題でも?」

「俺は特定の人物に向けて飛ぶほうが得意でな」

「シャックはまだ帰ってないかもしれないしもし人物に向けて飛ぶならホンイツか?」

「おつかいの品をソイツの城から奪うのか」


 そういえばウルフってガゴリグさんのところにいた元・海賊か。

 お城=略奪みたいなイメージがあっても変ではない。

 ただ今回は城にあったとしてほしくねぇ。


「海賊ってウンコ盗むんですか?」

「おつかいの品がウンコみたいに話すすめんな」

「肥料って大半はウンコだぞ」

「おつかいって肥料だったのか」

「トイレごと盗むんですか?」

「盗まねぇよ!!」


 拝借するにせよもらうにせよ、ニカナの城から便所持ち出したら駄目だろ。

 困惑とか通り越して攻撃してきても文句言えないぞ。

【スキル:テレポーター】はレイニーに頼んで運搬だけ手伝ってもらうことに。


「【スキル:テレポーター ニカナ港」


 3人で前にもきた活気のある港へ。

 多少は周囲がざわついたがウルフを見て察しがついている人が大半。

 犬の顔を見れば確かに異世界転生者かなって俺でも分かりそうだもん。


「えーと、まずは―――」


 外国に向けて輸出する肥料なのだとしたら適当な所で品物を買って質問しようかとしていた。だけどウルフが酷く焦った様子。到着した瞬間に鼻をひくつかせ、大声を出した。


「待て、あそこだッ!!」

「どうしました?」

「血の香りが強い、怪我人がいるぞ……!」


 団子屋と八百屋の間にある狭い小道に入った。

 足を怪我しているご婦人がいた。【スキルカード:治療】で足を回復させる。

 傷は塞がり応急処置ぐらいにはなっただろう。


「――ありがとうございます」


 こんなところで女性が1人なんて危ないだろと思っていたのだが。

 レイニーを見るとかなり驚いた声。

 王子がこんなところにいたら知ってる人は確かに驚くだろう。


「レイニー……くん」


 くん?


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