6話 魔王に立ち向かうには
【スキル:割り箸 割り箸を作ることができる】
うーん、魔王に割り箸で挑むぐらいならそこら辺の木を切って丸太にしたほうがよさそう。焚き火には便利かもしれないが割り箸はすぐに燃え尽きるので焚き火にすら向かない。
【スキル:かけた茶碗 かけそうな茶碗が分かる】
魔王との戦いに赴く時に持っていく食器選びに役立つかもしれない。でも勇者のパーティーにいていいスキルではない。追放モノどころか最初から要らないって気付け案件。
【スキル:かき氷 かき氷が出せる】
氷雪系か。憧れのスキルだ。敵を凍らせたり、氷で移動したり武器を作ったりと有用なスキルになりやすく何であっても役に立つ。
「何しているのです?」
「かき氷が出せるスキルを試したんだけど」
地面に雪山ができただけだった。シロップもかかっていない。舐めたらちょっと甘い。床にやるべきではなかったし溶けてきたので雑巾を貸してもらって拭いた。あとでアリとか群がっていたら嫌だな。
【スキル:石投げ 投げた石の軌道が曲がる】
「石って魔王に効く?」
「身長が200メートルありますので石の種類や威力によります」
魔王が思ったより大きい上に、俺のスキルは投げる力ではない。
つまり、魔王に効くぐらい大きな石を自力で投げられる必要がある。
身体を鍛えて野球選手のように150キロぐらいの豪速球が投げられるならば役には―――200メートルもあったらどのみち効かないな。
「マッチョにしてくれるスキルが使える人いないの?」
「本人がパワー系ならともかく他者に大きな力を与えられる人は滅多にいません」
「いるにはいるのか」
誰かに筋肉がムキムキになるスキルをかけてもらえれば俺も少しは役に立てそうなので聞いてみるが、魔王討伐で使えるほどのバフなると現実的ではないらしい。
ボクシングや空手などの選手が200メートルもある化け物に立ち向かって勝てると思うかと聞かれ、まぁムキムキなだけでは無理だよなと思った。
「その程度しかパワーアップできないの?」
「元が格闘家の方なら馬の蹴りぐらいのパンチは撃てますよ」
「それなら武器使ったほうが早いな」
魔王討伐で武器を使う人も一定数いるらしい。
スキルを上乗せした弓使いはけっこうな人数がいるとのこと。
電撃を乗せたり、炎を矢じりにまとわせて火傷も同時に狙ったり、なかなか高威力の攻撃ができるらしい。
「レイニーは武器なにか使うのか?」
「水のスキルで剣を作って戦うことはありましたね」
「切れるそれ?」
「【スキル:水 ウォーターソード】」
レイニーは召喚した水の剣で机の上に飾ってあった花瓶が切った。……のだが、もっと他に高級感のないものを切ってほしかったし、掃除するのが大変だった。