54話 闇を使う転生者(中編)
次の瞬間、明らかにマキナの様子が変わった。
「ケヒヒヒヒヒッ!!」
マキナの【スキル:闇】はマキナが怒りを感じたら暴発してしまうというが、俺にそこまで一緒に捜索してほしかったのだろうか。
俺は会ったばかりの役立たずでしかない。
だがお荷物になりたくもない。
いつ戦闘になったとしても皆が即座に動けるように彼を見る。
「こういう笑い方する奴だっていたい小物だよな」
「さすがに失礼だと思いますよ」
「ゲームだと一番したっぱの悪魔がする笑い」
「私、そのゲームってほとんど分からないのですよ」
「結論としては、小物臭いと思われるのが嫌ならイメチェンしたらいいと思う」
事実を言っただけなのに、飛来する黒い斬撃。マキナが闇のスキルで闇の刃をカドマツ目掛けて飛ばした。
当たる前にレイニーが腕を引っ張ってくれたので着込んだ布とかいろんなものも剥がれずに済んだ。
こうなったマキナを元に戻すには、ビックリさせればいいらしい。
「どんな驚きでもいいのか?」
「爆音程度では効果が望めないですね」
スキルでは何をしても驚かれないと言われた。
確かに意味不明なことを突然されてもびっくりするどころか警戒するだけだろう。
だとすれば、何か言葉で驚かせるしかない。
「【スキル:闇 過去葬儀】」
放たれた煙は、レイニーがカドマツの腕をひいて回避させるよりほんのわずかに早かった。
痛みもないうえに、不調と感じるようなこともない。
俺の身体から漫画みたいにふわふわと吹き出しに似た何かが出てきた。
「過去を写し出すスキルだけど、何を見ても黙っててあげるわ」
ティラノに続いて皆口々に他言しないと誓う。
このスキルで秘密をバラされ、再起不能になった者が何人もいるらしいのだ。
俺から出てきた白い煙はだんだんとピンク色に変わっていく。
「お前がどんな悪夢を見るのか、ここで晒すがいい!!」
そしてピンク色をした吹き出しスクリーンには、ホンイツが裸でヤリ捨てられているシーンが映し出される。
……嫌な予感は、ピンクに染まり出した段階からあった。
周りの視線がとてもツラい。
「お前にそっち系の趣味があったとは……でも、だ、大丈夫だ」
ウルフに慰められるが何も大丈夫な雰囲気ではない。
明らかに俺がヤったと思われている。
ティラノは怒ったような、あるいは引いたような顔をしていた。
「なんでアンタが『受け』じゃないのよ、解釈違いで地雷だわ」
思っていたのと怒りの理由が違う。
頼りない男が上になるのが許せない性癖の人なのかもしれない。
そもそも誤解なのだが、彼女に自分がどう見えているのか気になってきた。
「僕は事情を知っているけど面白いから黙ってようかな~」
「レイニー誤解されまくってるから説明してくれ」
このままではニカナ国王を恥辱した男が明らかに俺だと誤解されたままになる。
「私あの国でのことは記憶がかなりが曖昧でして」
「アレやったのお前だろーが!!」
「私が?」
本当に覚えていない様子で返事をされた。
いつの間にかマキナも元に戻っているようで、それはよかったのだが明るい表情とは言い難い。
驚いてくれたのは何よりだが、道端に落ちたガムを見たかのようだった。
「なぁレイニー、闇のスキルってこんなに恐ろしいんだな」
「はい」
「こうなるなら先に言え!!」
「そんなことも聞かずに俺に会ったのか!?」
過去を暴けるとか微塵も説明されていない。




