52話 調査
レイニー、ウルフ、シャック、ティラノ。昔懐かしいパーティーメンバーでダンジョン調査の準備を整え、オマケにカドマツも加えていざ出発。
ジーンズの王宮へティラノの【スキル:テレポーター】で移動してきた。
到着したのは観光でやってきた時にも案内してもらった大広間。
「れ、レイニー様!?」
「他のメンバーもいるよ~」
「皆さま、ジーンズにはどういったご用件で!?」
驚くティー王女に、探しているダンジョンがあることを伝えた。
岩肌がゴツゴツしている中に建てられた石の建造物。
しかし砂漠の国であるジーンズの周辺には灰色の岩はないらしい。
「確かにそうね」
ティラノの張り切り方にもともとこういう人だったのかとレイニーに耳打ちすると、彼女はこういう正義感の強い女性なんですよと苦笑された。
異世界転生した使命を必ず果たすと育てられた島で誓った人なんだとか。
特に子供がからむとティラノは子供を助けるために作戦をたてたりパーティーの皆を引っ張ってくれたのだが、危険でも飛び込む無鉄砲なところが昔からあったらしい。
ニカナに関しては出発前ホンイツに聞いて違うことが分かっているので探索する必要はないと話し合ってある。俺たちはジーンズを後にして別の国へ。俺は初めて訪れた国だ。
「火山の国〈アツアツナベ〉よ」
何故、国名をそれにしたかはともかく、周りには溶岩のような暑い岩肌が切り立った、まさに鍋のような地形の国らしい。
ティラノの【スキル:テレポーター】はギルドの中に直接飛んだらしく、アツアツナベのギルドメンバーが突然の侵入者にざわついた。
今回はレイニー王子の訪問よりも大勢の異世界転生者がきたので何か大変なことがあったのかと怖がっているらしい。
ヤボ用だよとシャックが肩をすくめる。そしてティラノがギルドのカウンターへ向かったので皆もそちらに集まる。
受付のお嬢さんにこの国の近くで灰色の岩を見たか聞いてが首は横に振られた。
俺たちの話を聞いていたギルドの人たちも、この辺じゃ見たことないなと首をかしげている。
『灰色の岩ならグレイスノウ方面じゃないか?』
『確かにあそこらへんならそういう地形もあっておかしくないな』
『けどグレイスノウなんて年中雪だし、異世界転生者すら滅多に近寄らないような僻地だぞ』
滅多に近寄らないということは、隠し場所として最適であるということだろう。
レイニーの話ではグレイスノウに人が近寄らないのには雪深さの他にも理由があるらしい。
【スキル:闇】を使う男がいて、スキルが暴走して人を傷つけてしまわないようにと引きこもったのがそのグレイスノウという雪山なのだという。
「設定で聞くならカッコいいけど実在されると気の毒だわ」
「ご本人は優しいかたなので、何か知らないか聞きに行ってみましょうか」
闇の力で暴れるという男なのに皆で行っても平気なのか疑問。
強さでいえばそこまででもないらしく、せいぜいホンイツと肩を並べる程度だと。
レイニーたちから見ればそこまで強くない、でも転生者ほど頑丈ではないこの世界の住民から見たら100人がかりで討伐に向かうほどの驚異的存在。
「討伐されそうだったことがあるのか」
「今でもグレイスノウ付近のギルドには討伐対象として手配書が貼られているわよ」
危ない相手である事は分かったので何か防衛手段を持ちたい。
【スキルカード:炎】……は相手に効かなかった時は足止めにすらならないから駄目か。
何らかのトラブルでいきなり戦闘になる恐れもある。
エンガオウにグレンディアベア……目を閉じ、これまで戦ってきた魔物や転生者について考えていたら、目を開けた瞬間に雪山の空高くに移動させられていた。
「ぎゃーッ!!!」
パラシュートにできそうなものが何かなかったか思考を巡らせても、俺のスキルはたいてい役に立たない。結論、他力のほうが助かる。
「【スキル:テレポーター エクスチェンジ】」
無事に地面に足がついたと思ったが、今度は頭上から大木が降ってきた。
レイニーの【スキル:水】が上空の木を弾き飛ばしてくれたので、下敷きにならずに済んだようだ。助かった。
しかしここは、雪で寒いどころではなく氷のスキルでも発動してるのかってぐらい寒い。
グレイスノウ、氷点下何度くらいなんだろうか。
「さささささささむむむむいいいいいいい」
「え?」
「僕ら大して感じないから忘れてたね」
最強のパーティーの体感温度怖い。
俺は魔物に見間違えられそうなぐらいあらゆるものをあるだけ着込んで、【スキル:闇】を使う転生者が住むという場所を目指して出発した。




