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43話 真実

 

「アンタは新人の!」

「ティラノさんでしたよね」

「どうしてこんなとこにいるのよ!」


 魔王討伐の見学にと半分正直に答えたら呆れられた。

 彼女の周りにいた魔王討伐隊のメンバーたちは、サポートが増えるのは良いことだからと相変わらず怒りっぽいティラノさんをなだめている。

 中には初めて見る顔もある。初対面の異世界転生者にそっちのフードの人は誰なのかと聞かれ、俺はレイニーを振り返った。

 シャックさんが正体は明かせないけど、この新人転生者を守ってくれるヤツから信用していいと他の魔王討伐部隊のメンバー伝えた。



「アタシはシャックを信じるわ」

「珍しいね、ティラノ姉さんがこんな怪しい人を信じるなんて」

「死なない奴だから大丈夫。いいから作戦会議を始めるわよ!」


 ジーンズ全土で国民がパニックに陥っている状態なので、魔王が動き出す前にまずはそっちを落ち着かせないと死人が増える。

 安全を確保するには魔王の進路を逸れた場所へ移動させるのが一番だろうが、そうなると最寄りの国はカミノ王国だ。

 しかし、あの国に移動させるわけには―――と魔王討伐隊の参加者は顔を曇らせた。


「ウルフさんなら別に受け入れてくれるんじゃねぇの?」


 俺が首をかしげると、初めて出会う女性に困ったように言われた。


「確かに彼は優しい人だけど、あそこに市民を避難させるのは厳しいよ」

「何で?」

「カミノへの入国は誰も許可してくれないの」

「ウルフさんが?」

「どうしてさっきからウルフなの?」

「だって今のカミノの王子はウルフさんだし」


 何故そうなったのかと皆が矢継ぎ早に質問するので何一つ聞き取れない。

 埒が明かないとティラノさんがスキルカードでウルフさんと通信した。

 まず現在のカミノで王の務めをしているのは自分であり、今回の魔王討伐に参加はできそうにないと頭を下げるウルフさん。


「戦力の話してるんじゃないわ!」

「では何の話を?」

「カミノに、ジーンズ国民を避難させろって話よ!」

「……カドマツはそこにいるか?」


 何故か急に俺へ話がふられた。

 不思議そうにしている他の異世界転生者や、魔王討伐の協力者たち。

 ティラノさんのスキルカードごしに懐かしいカミノの城下町とウルフさんの姿が見えたので手を振った。


「ウルフさん久しぶり」

「帰ってこい」

「魔王討伐の見学したいんだけど……」

「ティラノ頼む」


 気が付いたらカミノに帰ってきていた。

 テレポーターのスキルカードがあるならば貰いたい……と呑気に独り言を呟いていたら頬をつねられた。

 周りを見渡せとウルフさん。

 城下町のど真ん中に転送された割には人の声が聞こえないとは思っていた。

 言われるまま見渡してみれば、人々はまるで時間が停止したかのような状態でピッタリ止まっていた。


「あれ?」


 俺たち旅行に出発する前に赤ん坊を抱いていた女性がいる。

 腕の中の子供の大きさが、俺の記憶の中と全く変わっていない。

 カミノを出国してジーンズで過ごし、海の上で過ごし、ニカナで過ごしていた時間は決して長くはなかったが、それでも子供は日々大きくなるものだ。

 いつまでも赤ん坊なわけがない。



「レイニーはお前に真実を語ったか?」

「もし国に帰ることがあればその時に話しますって酔っ払いながら、だったかな」

「……言いましたね」


 いつの間にかレイニーが隣にいた。

 レイニーは周りを見渡して赤ん坊に手をかざしてスキルカードを使った。

【スキルカード:真実】。赤ん坊は俺の目の前で魔物へと姿を変えた。


「えっ!?」

「この国には秘密がありました。私とウルフさん以外が全員魔物だという秘密が」

「メイドさんも兵士さんも全員!?」


 魔物だったとしても一緒にごはんを食べてトランプをして。友達とまではいかないがいろいろと世話になった人(?)たちだ。

 実は魔物だったと言われたのはまだいい。何ならどうでもいい……だが魔物だとわかったら、この人たちは討伐対象とみなされてしまう。


「この国に他国の人間を入れたら、そいつらは魔物であるこいつらを殺すぞ」

「何で?」

「魔物は討伐対象だからだ」

「正体が魔物かもしれなくても、人間かもしれない相手をそう簡単に人は殺さないだろ」


 俺の言葉にレイニーとウルフは顔を見合わせた。



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