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41話 グレンディアベア討伐作戦

 

「朝起きたら首がクソ痛い」


 誰かに顔を蹴り飛ばされたような気がするのだが、昨晩は皆が酔っていたし俺もよく覚えていない。

 ニカナ国王・ホンイツの寝室で酒盛りしただけあって柔らかい枕があって遠慮なく借りたところまでは思い出せる。

 さすがに医者に行ったほうがいいかと動かせない首でレイニーに相談した。


「【スキルカード:治療 ヒール】」


 レイニーのおかげで首の痛みが引いたので、シャックさんも交えて3人でギルドに行こうという話になった。

 というかホンイツに推薦状は書いてやるからさっさと行けと城を追い出された。

 レイニーがの正体がギルドでバレると騒ぎになるかもしれない。

 念のためフードを被らせた。

 昨日レイニーに薬くれたギルドマスターにもお礼を言わないといけない。


「こんにちは」


 ギルドマスターがシャックさんに気が付き大きく声をあげた。


『おお!シャックさん、ちょうどいいところに! グレンディアベア討伐作戦のことなんですが、討伐対象があまりに強いので、昨日の方を探しているのです』

「ん?」

『水系のスキルを使っていた謎の人物ですよ』

「ああ、それならこのローブの人がそうだよ。あと討伐部隊のリーダーは僕ね」

『それを決めるのはこちらで……』

「国王直々の推薦状を取り付けて来た。もちろん本物だよ」

『えっ』

「コネがあってね」


 渡された推薦状を見るマスターは困り顔だ。


『本当に本物です……しかし今回のグレンディアベア討伐作戦はかなり大掛かりなものです。まとめられます?』


 ギルドの中にいたいかにも屈強そうな戦士たちがコチラを見る。


「いいのいいの、僕と彼だけで全部片付くから」


 カチン、ときた討伐作戦の参加者たちが口々に文句をたれだした。(分かる)


『聞き捨てならねぇな』

『いくら異世界転生者とはいえたったの二人で片付くような相手じゃねぇぞ』

『そっちのヒョロイのは何だ?』


 俺に話がふられた。


「俺は2人の友だちってだけです」

『国王様はなんでこんな奴を?』

『おいおい消されるぞお前』

「俺はホンイツさんのことも友だちだと思ってるけど」


 ギルドにいた人々は皆一様に何を言っているのだろうかコイツという顔をした。

 シャックはシャックで、リーダーは自分がやる、他の奴は勝手にしろどうせ2人で充分だから、と譲らない。

 グレンディアベア討伐は危険な仕事だが、そのぶん金払いがいい。降りたくはないが、信用できないリーダーに付いていって無駄死にされられたらたまらないとメンバーも頑なだ。


「もともとのリーダーは君?」

『ああ』

「僕は金目当てだから、もし文句があるなら指揮は君がとったらいい」

『それならば異論は無い、より強い者が金を多く貰いたいのは当然だからな』


 こうしてグレンディアベア討伐に乗り出発した。

 道中でおにぎり屋を見つけて食べたことぐらいしか変わったことはない。おにぎりは美味しかった。

 このまま西に進めば巨大な崖があるが、今回は登らないと聞いてほっとした。


「良かった、俺は高い所が苦手でさ――」


 言い終わる前に、部隊の3人が吹っ飛んだ。

 真っ赤なクマが洞窟から出てきて殴り飛ばしたのだ。あの爪で殴られたら無事では済まないだろう。俺は慌てて吹っ飛んでいったメンバーに駆け寄った。


『バカ、おまえがこっちくんな!!』

「【スキルカード:治療 ヒール】」

『後ろッ』


 振り向けば巨大な水の檻の中に赤い熊が封じられていた。

 後ろを見るのをやめて、俺は怪我人の処置に専念する。治療のスキルカードを使って全員すぐ手当てしたので3人とも生きてはいるようだ。


「【スキル:ヒキヨセ グラビティホール】」


 シャックさんの声が聞こえたので、もう大丈夫だと思った。

 魔物はレイニーとシャックに任せ、俺は持ってきていた緊急用の包帯を怪我人に巻いていく。

 他の参加メンバーたちも決着がついたことに気付いて、救護に手を貸してくれた。


「ギルドに運ぶの手伝ってくれ」

『これぐらい任せろ』


 こうしてギルドに戻ってきた俺たちはグレンディアベア討伐の報酬をたっぷり受け取り、ギルドが提供している昼ごはんも食べた。もう夕方なので片付けられてしまっているかもと不安だったが、温かい食事にありつけた。おにぎりしか食べていなかったので本当にありがたい。

 怪我人たちはギルドのサポートが引き受けてくれたし、一件落着。ジーンズもニカナもハンターズギルドのシステムは基本的に一緒みたいだ。


「本当にカドマツ様は危険に飛び込みますね」

「レイニーが倒してくれるから大丈夫だろ?」

「だからって危険な場所にいられたら、いくら私でも守り切れませんから」


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