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37話 過去に出会う

 

『こちらのギルドでは身分証の提示をお願いします』


「なんか懐かしい匂いがする~あと甘い匂いもする~」


 そう言って近づいてきたのは、ウルフさんの猫バージョンのような女性が。レイニーに鼻をひくひくさせる。

 見た目に違わず嗅覚が鋭いのだろう。

 あっさりとフードを取るレイニー。


「お久しぶりです」

「何だレイニーさんだったのかぁ」

「紹介します、この気まぐれで呑気な方はコロネさん」


 テーブルの上で寝始めた。さすがは気まぐれで呑気な方。

 誰も気にしていない様子なのでいつもの光景なのかもしれない。

 確かにウルフさんよりはるかにケモケモしいから、わ~猫ちゃん寝ている~ぐらいに感じる。可愛い。



「10年ぐらい前にカミノから逃亡していました」

「逃げ出すほどの扱いしてたの?」

「食事にも気を付け、娯楽だって与えて、我が国から出ないように手は尽くしていたはずです」

「俺も扱いの良さが怖いぐらいで驚いたな」


 談笑していたら声をかける小柄な男が。


「レイニー!?」

「シャックさん!?」

「君が出てくるなんていったい何があったのさ?」

「旅行です」

「君がそういう冗談を言うのはない――さては隣にいる人と何かあったね?」


 シャックは確か魔王討伐部隊を去った男……だったはず。

 とはいえ悪い人ではなさそう、俺も異世界転生者でニカナには旅行しにきて、レイニーは俺の護衛をしてくれていると説明した。


「異世界転生者なら自分で戦えるでしょ」

「俺は無理です」

「スキル見せて?」

「【スキル:トラウマ】」


 今までの人形よりも()()がいいが、顔が相変わらず絶妙に気持ち悪い。

 スキルカードのドールを使えば懐いてくれるかなぁとカードを出した。

 それを見たシャックさんは明らかに敵対というか身構えられた。


「何故そのスキルカードを君が持っているの?」

「もらった」

「そんな嘘が通じる相手だとでも?」

「スキルカードがあるから何!? 怖いんだけど助けてレイニー」

「あんな男のスキルカードなんか見せたら誰だって身構えますよ」


 そういうお前は薬漬けにしたけどな。

 緊迫した雰囲気になってしまい、ここでは人が多いので外で話そうと提案。

 近くの森までやってきた。ここなら周りに人がいないから落ち着いて話ができる。


「先ほどは私の()()()が失礼しましたね」

「君は何者? 何故レイニーの姿をしているの?」

「……あなたの古い友だちのレイニーですよ」

「早めに正体を言ってくれると有難いんだけど」


 偽物だと思われているらしい。

 俺が口をはさんでも信じてもらえなさそうだし、暇だからその辺散策してよ――。


「【スキル:ひきよせ 間合いの円】」


 ――と思ったのに、見えない力で掴まれてこの場を離れられない。

 まるで重力が地面ではなくシャックから発生しているような感覚だった。

 重力系のスキルか。羨ましい。



「なにそれカッコいい!!」


 これは俺のこころからの叫びである。


「え? カッコいい?」

「#友だち__・__#と久しぶりに本気で遊べるなんて嬉しいですね」


 パンッ!

 両手のひら同士を打ち合わせるレイニー

 レイニーがあれをやって発動した技が小さかったためしが無い。

 とんでもない大技が繰り出されることは明らかだった。


「嘘だろ、これ」

「【スキル:水 巨大渦(きょだいうず)】」


 殺す気かと言いたくなるほどのデカい水の渦で心配になる。

 近づいて生きているか一応確認した。


「おーい大丈夫かー?」

「……」


 返事がない。


「なあレイニー、この渦って触ったら解除できる?」

「こんなに楽しいのにもうお終いですか」


 レイニーはぷうっと頬をふくらませた。まだ解除したくないらしい。

 子供がえり、年寄が最終的に子供のようになる現象のことをそう呼ぶって聞いたことがある。

 レイニーも数百歳だし、まともに年を取っていたらおじいちゃんなので何もおかしくないかもしれない。

 でもさすがにシャックさんが死にかけている。こういうのは良くないと説き伏せると巨大渦を解除してくれた。


「ぷはっ!?」

「怪我ありませんかー?」

「……君はいったい何者なのかな」


 シャックはレイニーのスキルを見て今度は俺が何なのかと疑惑的な眼差しを向けた。


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