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3話 役に立たないスキルたち

 

 城の中に転生者歓迎用の部屋があるということで、案内されてみればそこには大きな机とソファーにベッドもある何とも豪華な客室で―――。



「お風呂はこちらで、トイレもこちらにございます」

「どうして俺はここまで甲斐甲斐しく世話を焼かれているのでしょうか?」

「女神様との約束がありますから」


 約束というのは転生者をもてなす代わりに国の土や水が豊かになるというこの世界の理なのだと説明された。

 かつて約束を破ってしまった愚かな王がいて、川は枯れ作物は実らず、国が一度滅び新たに今の異世界転生者を歓迎するカミノ王国が作られたことで豊かさが戻ったのだという。


「王様すげぇ」

「有難うございます」


 盛大におもてなしされている理由は分かったのだが、今はとにかく着替えが欲しいと伝えてパジャマをもらい、本日はもう就寝することにした。

 眠るまで傍にいても? と聞かれ構わないと答えてしまった俺が本当に疲れていてベッドに入って3秒で寝れる自信があったからであり、気が付けば当然レイニーのイケメンな顔が目の前にあった。


「お早うございます」

「ちょっと確認しますね―――【スキルブック】」


 指先から出てきた本―――【スキルブック】をレイニー王子に見せる。

 だがどうやら王子には読めないらしく、それどころか全てのページが白紙だと言われてしまった。この膨大な数のスキルを俺1人で調べていく必要があるということだ。絶望するするしかない。

 昨晩は疲れていたのでスルーしたがスキルが暴発したのが攻撃系でなくて良かった。


「どのようなスキルが使えるのかお聞きしても?」

「一瞬で裸になれる昨晩のスキル」

「毒液などを吐きかけられても弾き飛ばせたりします?」

「怖い」


 この世界にはモンスターがいて毒液を吐いてくるらしい。確かに一瞬で脱げるけどもそれならバリア系のスキルのほうがいいと思う。誰かを解毒するサポートスキルとしてもかなり役に立ったと思う。俺はペラペラとスキルブックのページをめくり少しでも役に立つスキルがないか探してみた。


【スキル:虫への眼光 半径30メートル以内にいるホンジャドウシヨウカイモムシを見つけられる】


「ホンジャドウシヨウカイモムシって虫なら探せますよ」

「畑に出る害虫ですね」


 異世界転生して魔王を倒せってことかと思ったが、害虫を見つけたり、毒が効きにくいだけではもはやパーティーのお荷物である。

『芋虫が探せるお前の代わりなんかいくらでもいるんだよ!』とパーティーを追放されても文句は言えない。むしろ最初から他の奴を入れろと言いたくなるほどだ。


【スキル:静寂のキノコ ドクジャンコレキノコの毒をうけない】


「ドクジャンコレキノコってご存じでしょうか?」

「食べたら死にますが毒のマークがついていますので食べる人はまずいませんね」


 毒が盛られていてもスキルで生き残ることはできそうだけど、一生で一度使うかどうかのスキルだしできれば毒を盛られるような人生は送りたくない。

 とても食料が不足している時にドクジャンコレキノコを食べられるかもしれないがピンポイントが過ぎる。

 結局、俺のスキルブックの中身は役に立たないスキルばかりみたいだ……。


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