25話 ドラレコとレイニーと
兵士たちも手伝い、病院へと次々に搬送される怪我人たち。
「あとのことは医者に任せて、私たちはもう寝ましょうか」
「腹減った~」
その時だった、ドラレコがレイニーの肩を掴む。
二人は知り合いの様子で、何やら揉めそうな空気だったのだが。
お腹が空いているのでせめて食事しながら話してくれないかと頼む。
日が登ったばかりだが特別に本来は開いていないレストランを開けてもらえることになった。
「カミノは消し去ってきたのか?」
「いいえ、ウルフさんが王を務めてくれていますよ」
「あの犬っころを国に置いてくるほどの何かがあったのか?」
「私は本当にここにいる彼のボディーガードですよ」
「自分の元から逃げ出しそうになった転生者を丸め込んでついてきたんだな」
何故か俺が逃亡したという設定になっている。
とはいえ口をはさむ余裕もなく、大仕事を終え空腹の腹。
その状態で出された料理はあまりにも美味しかった。
次から次へと食べることに夢中な俺は会話どころではない。
「どのように解釈していただいても構いませんが、私は怪我人を運んできた恩人ですよ」
「……お前がカミノを出たとなれば騒ぎになるからな。他の奴には黙っていてやる」
「どうも」
「んで、本当は何の用事があってお前は転生者を連れてジーンズに?」
「ごくん(飲みこんだ)、あのー」
自分は逃亡ではなく本当にレイニーと一緒に旅行にきただけだと伝えたが、ドラレコは信じていない顔をした。
それはもう本当に納得できてない様子で、カミノから逃げるのを手伝ってやってもいいとまで言う。
違うと俺が何度言っても平行線。
「レイニー、もう寝ようぜ」
「……ギルドのお部屋、有難く使わせていただきますね」
ギルドに戻って爆睡した翌日の昼。エンガオウ討伐の疲れも少しは癒えたころ。
ノックされたので扉を開けたら、ドレス姿の女性がいた。
「どなた……?」
「わたくしはジーンズ王女のヨモギ・ティーと申します」
王女様と言われたが王子様だったレイニーが滞在している以上は、王族が訪ねてくるようなこともあるだろう。
外交的に何か問題があるとか考えられる可能性はいろいろあったが、まずは自己紹介。
自分はカドマツで、友達と2人で旅をしている者ですと。
「あいつに用事でしょうか?」
「ええ。レイニー様はどちらに?」
「おい起きろ、王女様って奴がお前を訪ねてきてるから」
蹴って起こした。
レイニーには怒られたが、王女様がわざわざお越しになっているのに優しく起こしている暇などない。
ティー王女様はにこやかに。
「この度は民を救っていただきありがとうございました。レイニー王子」
「サウナ姫……?」
「サウナはわたくしの母の名ですよ」
「ヨモギさん!? 大きくなられましたね」
「あなたがたが我が国にいらした目的を教えてください」
「ただの観光ですよ」
「茶化さないでいただきたいのですが」
「長い間引きこもりだった私が友だちにさそわれて2人で旅行にきたってそんなにおかしいです?」
王女は少し考えた後に観光なら案内人がいても大丈夫ですよねとにっこり。
ジーンズ王国は治安が悪いと聞いていたので、王女自ら旅人の案内をするとは驚いたが渡りに船だ。
丁度案内人を誰か頼もうと思っていたところだったのだ。
「服屋とか詳しいですか?」
「え」
「観光と言えば服屋とか……もしかしてここって服とかあんまり売ってない国です?」
「あの、そうではなく……」
「それは王女に尋ねるところではないと思いますよ」
それもそうだ。




