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24話 討伐2

 

 ジーンズ王国の国境地帯。

 地面がサラサラした砂なので歩きにくい。

 俺の役目は空のバケツや物資をソリで運ぶ力になること。

 車輪がついていないことを不思議に思っているとレイニーに砂漠で車輪は砂がからむので荷車などもなく荷物はソリで運ぶと教えてもらった。


 いよいよ作戦が開始される、日も落ちて辺りはかなり暗い。

 聞くところによるとエンガオウは全身に炎をまとっているから。夜のほうが動きを捉えやすいらしい。

 他にも砂嵐の発生率とかも考慮して、討伐作戦を成功させるため万全を期すそうだ。 


「ねぇねぇアタシはキャット! で、こっち冴えない男がバルーンよ」

「ごめん、こいつ口は悪く聞こえるけど頼りにはなるからさ」


 後方支援・物資補給部隊は全部で6名。リーダーキャットさん(女性)、バルーンさん(男性)、アネモネさん(女性)、パンジーさん(女性)と俺とレイニー。

 キャットさんは炎スキルが得意らしく、相性の問題で後方支援に来たのだと話してくれた。

 口は悪く聞こえるというより、ギャルが思ったことをそのまま口に出しているだけで、変に気を遣われたりするより扱いは10倍気楽だと思った。


「ほら! さっさと冷たいやつをバケツに入れてちょうだい!」

「【スキル:かき氷】」


 待機の現場にかき氷が作られていく。

 好奇心で舐めたキャットが本当に少し甘いと驚いていた。

 これが甘くなければもっと他の使い方もできたのだろうにとバルーンたちも交えて談笑。


「初の現場で緊張してないなんて根性あるぅ」


 リーダーの女性に褒められたらちょっと気分よくなる。

 えへへどうもとかき氷を作り続けたのだが何やら様子がおかしい。

 今まで遠くに見えていた炎が一気に近づいてきたのだ。


 キャットが叫ぶ。


「あんたら逃げて!!」


 わずか数秒でトラックほどの巨大な魔物、エンガオウは俺たち後方支援部隊の待機現場にまで到達してきた。ものすごい熱気だ。逃げ遅れたパンジーとアネモネのがはじき飛ばされ、軽く5メートルは吹き飛んだのが見えた。

 視界の開けた砂漠では火だるまになった2人燃えているさまが良く見える。

 バルーンがスキルカード〈土〉を使い、少しでも火を消そうと動く。



「アンタらだけでも逃げ――」


 俺もすぐに火だるまになった2人に駆け寄って、バケツに用意しておいた冷水をかけて火を消しはじめた。

 どうにか鎮火すると、パンジーさんは大火傷を負ってはいたがまだ息がある。〈スキルカード:治療〉をかけようとするが、敵がこっちを向いた。


 炎の魔物・エンガオウは完全に俺を狙っている。


 このままでは死ぬと直感、パンジーさんを背負って少しでも距離を取ったが、相手は討伐ランクSのエンガオウだ。完全に追いつかれた。


「【スキル:水 ラグナ】」


 津波が猛スピードで魔物を吹っ飛ばした。

 その一撃で敵は片付いたので、レイニーも火だるまになってしまった仲間の治療のためにスキルを使う。

 多少は効果があった様子だったが、パンジーさんもアネモネさんも苦しそうにうめき続けて、劇的な回復は見られない。


「その2人をお願いします」

「レイニーはどうするんだ!?」

「前線部隊が全滅しているかもしれないので様子を見てきます」


 俺、バルーン、キャットの3人で怪我人を背負い、ジーンズの城門まで走った。

 パンジーさんと門番が知り合いだったらしく、急いで医者のところへ連れて行けとすぐに中へ運び入れられる。

 なれない砂漠に疲れた俺の足では間に合わないかもしれないのでジーンズの兵士たちに手伝ってもらい、どうにか一命をとりとめさせた。


「これは――!?」


 ドラレコさんは今回のエンガオウ討伐作戦に参加しなかった。

 簡単に言えば魔物討伐は熊が出たと警察に通報があり、猟師が銃を持って駆除に出た。

 ドラレコはジーンズ王国の警備兵で、警察と同じ役目をする兵士だ。そんな彼が国に残ったのは当然である。


『ド、ドラレコ様!!』

「どうした!?」

『怪我人が門の外に大量に運ばれてきました!!』

「お前たちすぐに外にいって怪我人を病院へ運べ!!」


 俺にも何か手伝えることがないかともんの外までたどり着くと、さっきまで砂漠だった場所が湖になっていた。

 水面に横たえられた怪我人たちは全員がびしょ濡れで、砂漠だった地面も土砂降りのゲリラ豪雨が降ったあとのドロドロ。

 夜があけて朝日が反射して水が溜まった場所が赤く反射していて綺麗だった。

 その真ん中にレイニーが立ち、怪我人の無事を確認している様子。



「れっレイニー!?」


 ドラレコさんはレイニーを知っているらしく口を大きく開けている。

 しかし状況は彼の正体がバレてしまったとか、そんなことに構っている場合じゃない。

 大火傷をした要救助者が20名も濡れた地面に横たわっているのだ。


「バレてしまったのは仕方ないとして、今の私は怪我人をここまで運んできてあげた親切な人ですよ」


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