18話 おかしな国
「てっきり国がおかしいと気付いて逃げ出そうとして――あ」
口を滑らせたみたいな雰囲気だが、俺ってもしかして生贄だったりする?
傍にいてほしいのかなぁ、寂しい気持ちなのかな、としか思ってなかった。
友達になれたと思ったのに違うのか。
まさか俺、ウルフさんのエサ!?
「食べないでくれ」
「私を何だと思っているのです?」
「友達の魔物がお腹を空かせているから食べさせようとしている人」
「なぜそうも的外れなことを!?」
「違ったの? 国がおかしいっていうから生贄にされるのかと思った」
眉間にしわをよせて考えているレイニー。
なにか説明が難しいことが起きているらしい。
万が一やっぱり食べられてしまうならウルフさんがいいが、ウルフさん納得してなくてなかなか食べてくれなさそう。
「お金を持つと人は変わってしまう。私はそれが怖いのです」
「カミノって内職で金持ちになれるほど豊かな国なの?」
「私が最も恐れている、この国から出ていくための資金の調達ができてしまいます」
でも国がおかしいって理由と今度は結び付かない。
へんな法律ではあるなーと思っていた。
友達なんだからと言ったらあんな反応をされたという事実が今一番俺の頭をぐるぐるさせる。
「友だちだと思っていたのに……そっか」
「友だちって何でしたっけ?」
「あえ?」
何。そう言われると、友だちって何なんだろう。
急に俺まで分からなくなってきたしもうクソして寝たい。
スキルブックを召喚してなにかリラックスできるものがないか探した。
「【スキル:足つぼ】やっていい?」
「……どうぞ」
「ほんじゃ押すぞ」
「え、待ってくださ――」
結論からいうと俺は骨折した。
レイニーがもう何百年もろくに動いてなかったためか、レイニーと俺のレベルに差があり過ぎたためかは分からないが。
足ツボを押したと思った瞬間に俺の親指からバキッという音がした。それはもう盛大にした。
「【スキルカード:治療】」
「便利」
痛みが引いたが折れた指が完全に治ったわけでもない。
あくまで治りやすくして痛み止めを塗った程度の効力。
即効性があるのでその点は凄い。
「強さに差があると怪我をするので迂闊に触らないでください」
「さっきのどうぞの意味は?」
「私でやろうとしていると思わなかったもので」
自分自身に足ツボするスキルだと思われたのか。
たしかに他者にバフ(補助魔法)をかけるスキルは今までなかった気がする。
そして成功していたらこりがほぐれていたはずなのだ。
「兵士さんとかメイドさんにやってみるか」
「適当な兵士さんでもかなりの強さです」
どれぐらい強いかと聞いて日本の警官200人が拳銃を持っていればギリギリ倒せるかもしてない程度らしい。
「強いなこの国」
「あっ、思い出しました」
「えっ何を?」
こんな状況で何を思い出したのだろうか。
冷蔵庫が開けっ放しだったかもしれないことだったら奇跡だ。
現実世界で俺が死んだ時に冷蔵庫の中身とか誰が片づけてくれたのだろうか。
「ともだちというのは通話ができたりする【スキル:フレンド】のことですか?」
「オンラインゲームかよ」




