14話 ハクア(中編)
「ほら僕様はハクア・ハートと名乗ったよ?」
俺を付きっきりで見張り続けていた王子が血相変えて飛び出すほど大変な奴。
誰か助けてほしい、というかウルフさんタスケテここに探し人います。
戦えと言われても〈スキルカード〉引き出しの中だ。
「俺はカドマツだ」
「君はどんなスキルが使えるのかな?」
「助けてー!!」
試しに叫ぶが誰かくる気配がない。
情けない? いや助けを求めるのは当たり前っていうか山で熊に遭遇したら猟師に助けてーって言うだろ?
自分が猟銃を持っているなら撃とうとするかもしれないけど今の俺はそんなものはない。
「油断させようと演技しているんだね!?」
なんで楽しそうなんだよ。
こちとら生命の危機しか感じない、せっかく包帯が取れたのにまたピンチ。
剣を抜かれて咄嗟にスキルを発動させた。
「【スキル:ドコドコキノコ】」
足元を狙ってキノコを生やして転ばせた隙に逃げようとした。
狙いはよく、剣を避けて走ったが部屋の扉が開かずにまたピンチ。
ハハハハと笑いながら起き上がるサイコパス野郎。
「宝物庫の場所ならさっき言ったよ!?」
「僕様は君に用事があってココへ訪れた」
「はい?」
クソスキルの物珍しさを見にきただけなら剣で切ってくる必要はない。
異世界転生者が憎い世界の住人とか、そういうキャラだろうか。
この場を生き残るためには不審者の正体なんかよりも脱出方法を考えなければ。
「僕様のスキルで鍵をかけさせてもらったよ。こうやってドアの隙間から影をだしてね」
ハクアは【スキル:影】を持ってるのか。
スキルではなく先ほどは剣で攻撃してきたから【スキル:影】は攻撃に向かないサポートや補助のスキルかもしれない。
再び向かってくる剣は俺を真っ二つに切り裂いた。
【スキル:水面鏡 水に写した自分】。クオリティが低くてメイドに一発芸として見せるのがせいぜいだったハリボテだが引っかかってくれて良かった。
もちろん分身なんて便利なスキルを俺が持っているわけではない。
※回想
「この【スキル:水面鏡】ってやつなんだけど」
ゆらゆらと水に写ったような俺の分身もどきを創り出した。
全身にやけどを負った俺は包帯ぐるぐる巻きで暇だったのでベッドの上で無害そうなスキルをいろいろと試したのだ。
レイニーは笑いをこらえながら出来映えについて一言。
「こどもの描いた落書きぐらいには似ていますよ」
「引っかかる奴いると思う?」
「これに引っかかる方がいたら顔を見てみたいです、ぶふっ」
※回想終了
「分身のスキル!?」
「お前の目ぇ節穴なの!?」
「こんなにすぐ気付いてくれるなんて君は本当に最高だよ!!」
気付いたって本当に目が悪いのか?
だとすれば勝機はなくとも逃亡ぐらいはできるかもしれない。
時間さえ稼げば逃げられる。
俺の勝利条件は今ここでこいつを倒すことじゃない。殺すことでもない。俺自身が生き延びることだ。
「【スキル:ジメジメ霧】」
部屋の中がジメジメするだけのスキルである。
ハクアは案の定、俺が何か仕掛けたと思ったのだろう。距離を取った。
まだまだあるぞ。
「【スキル:ビックリ箱】」
パァンッ!
風船が破裂したような音が響く。
猫だましだが、今のうちだと引きだしから〈スキルカード〉取り出した。
こうして俺の準備は整った、うまくいってくれ――!!




