101話 おもてなし
集まった異世界転生者及びハクア・四天王と戦う者たちはカミノに泊まる。
会議室から100人を超えてぞろぞろと出ては帰るものもいるので案内していく。
「テレポーター以外で帰るかたは魔物たちが港まで送りますので!!」
それでも嫌がるものは歩いて帰らせる。
『魔物か歩くかしかないの?』
【スキルカード:テレポーター】を使いこなせない人らの処置にブーイングがきた。
国王相手なのに俺って舐められてるなぁ。
ウルフが睨み付けた瞬間、相手が委縮した。
やっぱり魔物で元いた国へ帰るそうだ。
ウルフなんて可愛いだろ
俺ではなく、俺の隣にいたウルフへと知った顔が近づいてきた。
「よぉウルフ」
「げっドラレコ!!」
二人とも姿が犬系だから仲いいのかな。
「ペットらしくダサイ首輪にあってんなー? まさに飼い犬じゃねぇか」
プレゼントしたの俺です。
そして今、ドラレコさんはダサイと申しました。
ちょっと申し訳ないが俺には似合ってて可愛く見える。
「ふん!! お前こそ主人のために首輪の一つもできないのか?」
「なんだとてめぇ!!」
もじどおりガルルルルッとうなってる二人。
ドラレコさんも同じように威嚇するんだ。可愛い。
でも可愛いと口に出すのはドラレコさんが傷つきそうなのでやめた。
「カドマツ様、ウルフさんとドラレコさんについてはいつものことです」
「いつもなの?」
「犬としても自分を育ててくれた犬の自覚があるウルフさんと、あくまで狼っぽい人間であると主張するドラレコさんいつもそのことで喧嘩するんです」
「へー」
ティラノがため息まじりに先導してくれた。
「バカ男どもは放置して、国王には宿をまず案内してもらいましょうか」
ここはカミノのライキャクシティと呼ばれる区域。
他国の人がこられるのはここだけと限定している。
面積は千葉にある遊園地、ランド・シーを足したぐらい。
「私は氷使いの異世界転生者ツバキ、質問がある」
「なんでしょう?」
「先ほど昼食が配られた時にジュースに氷が入っていただろう?」
「はい」
「スキルで溶けない氷でも出しているのか?」
「冷蔵庫があるので」
「冷蔵庫!?」
「【スキル:冷蔵庫】」
最初はコンセントないしクソスキルだと思っていたが電源が切れても魔法石でまた動く。
便利な充電式の冷蔵庫である。
電気でも動かすことは可能だがカミノには科学技術を持つ者がいない。
ちなみにポチが出せば俺より遥かに性能がいいものが出る。
俺のは完全な劣化。でも持ってるスキルのなかでは使えるほうに入る。
「是非これを私の国にも売ってほしい」
「あまり輸出はしない予定でして」
「何故?」
「例えば洗濯機。これを売り出した結果、洗濯板が売れなくなりました」
俺の国であればハッキリ言って問題はない。
国民のほぼ全員が公務員だ。売れなかったら他の仕事をわりふればいいだけ。
だが他国で同じことをすれば仕事がなくなって死ぬ奴がでかねない。
「なら1台だけならどうだろうか?」
「1台だけ?」
「私の暮らすワイハは30万人程度の本当に小さな島国だ」
「確かに少ないですね」
「海は綺麗で食べ物も豊かだが何より暑い!! 私の氷スキルは確かに氷を作れるがすぐに溶けてしまう―――もし冷蔵庫があれば皆が暑さで死なずに済む」
便利、不便、という話ではなく、なければ死ぬなら話が違う。
たしかに日本でも日射病は死ぬこともある恐ろしいものだった。
医者たちは冷蔵庫の氷を欲しがる、それは分かる。
「1台といわずに100台ぐらい仕入れたらええ、ウチの頼みが聞けへんとは言わさへんで?」
「……はい」
俺のせいで誘拐されたサカネさんのご子息。
サカネさんからしたら医療技術が不足して人が死ぬのは耐えられないのかもしれない。
医療器具としての提供は早急な用意がいるな。
「で、アタシたち今日はどこに泊まればいいの?」
「ティラノ今日の服エロいな、あいてっ!」
バチン! 尻を引っ叩かれた。
恥ずかしさとともにM系の何かに目覚めそう。
風俗店の女王様にお尻たたかれに行きたくなりそう。
「バカいってないでさっさと案内する!!」
「……はい」
ベッドとシャワーぐらいしかない宿屋に案内した。
ごたごた装飾品があると管理も大変だし何か仕掛けられていないかと警戒された時にすぐにチェックが済む、シャックから理想の宿を聞いた結果だ。
「豪華な部屋も用意がありますので、ご希望の場合はそちらへどうぞ」
「アタシはもっと豪華なほうがいいわ」
半数が豪華な部屋を選択。
ドラレコさんも豪華なほうが良いそうだ。
その顔は俺ではなくウルフを笑う。
「おまえの国でどうもてなすのか見てやろう」
「大好きなジーンズに帰っちまえ」
いつまで喧嘩してるんだ、この二匹。
「まーまーウルフ、せっかくきてくれたんだしさぁ?」
「シャックが首を突っ込むとは思わなかった」
「ジーンズに帰れない子たちが大勢いるんだから、そういうこと大声でいわないの」
「……帰れないとは?」
「帰りたいけど帰ったら子供に仕事はない、片足の子だっているし元々盗みでなんとか食いつないでいたがここなら食事にも風呂にもありつける―――でも母の墓参りにも行けなくなった、とね?」
二人とも押し黙った。今この国にいるのは帰りたくても帰れない者も大勢いるから。
ドラレコの立場からしてもあまり大声でジーンズに帰れなんてのはまずいと気付いたらしい。
俺は話題に触れず、国王としてドラレコを宿泊させるための部屋へ案内した。
「まずはこの部屋をご覧下さい、気に入らなければ変えられますので」
フカフカのベッド、ソファーにクッション。
花に絵画、壺などで装飾がされている。
ランプは電源式で夜でも十分に明るいし机と椅子は木製。
机上にはメモ用紙とペンが用意されている。
本もいくつか用意しておいた。
「どうでしょう?」
「贅沢すぎんだろ!?」
「あー……そういう感じに思えるのですね」
贅沢過ぎるのもよくないから質素にしたのだが。
ベッドも日本で俺が使ってた布団と大きさは変わらない。
花だって1本だけを花瓶に入れただけだ。
「こんなに本を集めたのか!?」
「本に関しては日本にあったものです、ポチがドサドサ出せます」
「壺は!?」
「お城の第5宝物庫に埃かぶって転がってました」
「……花は?」
「花農家がいるので、これ染色に使う花なんですよ」
「いくらで買ったんだこんなの」
「100マルですけど」
「花がか!?」
確かに砂漠の国では確かに花を見かけなかった。
そして多くの#外国人__・__#から参考になる意見が聞けた。
野菜がみずみずしい(水不足の国)
多くの布がきれい(洗濯機があるから)
魔物の肉は思ったより美味しい(魔物肉が手に入りにくい国)
「これ何の肉?」
ツバキさんに夕飯の肉について聞かれた。
「ドラゴンです」
「そういう冗談じゃなくて何の肉?」
「……ドラゴンです」
冗談でもないし俺にとってドラゴンは巨乳メイドなだけの印象が強い。
「ドラゴンは数百年前に数千人の軍隊を食い荒らし国々を焼いた凶悪な魔物だ」
「メレンゲさんすごいな」
「国王様に誉めていただき光栄です」
「何を急に?」
「姿を覚えていますか?」
「当たり前だろう」
「では、見せた方が早いですね―――――――メタモルフォーゼ!!」
メレンゲさんがドラゴンに変身して空を飛んだ。
「ドラゴン!?」
「弱った私を手当てしてくれたノア様のため、ワタクシは今の国王を守らなければなりません……故にお見苦しい姿をお許し下さい」
「悪いが協力の話は考えさせてほしい」
「え?」
「……私はドラゴンを許せない、かつてこいつのせいで民間人も多く巻き添えになったからな」
魔物たちの被害者がいることも国王として忘れてはならない要素だよな。




