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100話 会議 後編

 

 吐いた地面をメイドに掃除してもらい会議は開始された。

 まずは自己紹介から始まる、自己紹介を紙に書いてもらった。

 ティラノはほぼ顔を知るらしいが一人一人紹介されてたら日がくれる。


 会議の最中、レイニーが起きてやってきたから床の光を消した。


「おはようございます」


 言葉で説明しても分からないでしょうとレイニーから少し光をあてていいと提案された。

 こうして光をあてると服の影だけはあり頭や手の先は影がない。

 だけど服の影だけハッキリしていて不思議な光景。


『服を脱いだらどうなるんだ?』

『やってみせるなよ!?』

『でも、一応ハクアの弱点は些細なことでも知っておきたいし』


 気持ちは分からなくもないが女性も多い。


「確かにカドマツ様みたいによく全裸になるかもしれませんからね」


 初代とはまた違った静まり、皆がひそひそ声で動揺している。


「詳細な説明に変えてくれ!!」

「カドマツ様みたいにスキルで服が脱げてしまう方もいますし」

「スキルでな!! ちなみに本来はロープで縛られているとか巻き付く系の魔物にやられた時の脱出用スキルらしいです!!」


 皆そこまで聞いて納得してくれた。

 レイニーの説明では趣味で全裸になってるおっさんである。

 やべぇ変態と思われなくて心底ほっとした。


『それ欲しいわね』


 初代に『おじいちゃん』と呼びかけていた女性だ。

 自己紹介カードには【スキル:レーザー】と書かれている。

 充分強そうだが、俺のスキルが欲しいと聞こえた。


「え?」

『スキルカードのことよ、別にいいでしょ?』


 レイニーと目を合わせた。初めてだぞ俺のスキルを強請られたのなんか。


「作ったことが……なくて、どうすればいいかな?」

「カードクリエイトって言うだけですから作ればいいかと」


 レイニーのおっしゃる通りだしさっさとプレゼントしてしまおう。


「【スキル:はじける服 カードクリエイト】……出来た!!」

「魔法石の流通が少なくなってきたから闇雲に使わないほうがいいわ」


 ティラノの意見に一瞬だけ不思議に思った、貴重さが分からん。

 でも魔法石の産地ではない国ではそうなのだろう。

 カミノでは背中に魔法石が実る魔物が複数いるのでそこまで減ることはない。


 そして闇雲に使われたら女性が全裸になってしまう。それはまずい。

 男の俺だと見せつけた変態でまだ済む――というのも変だが。

 服も破けるからいざという時だけで! と釘をさしておいた。


「最近は魔王討伐にもスキルカードを頻繁に使用するからなぁ……」

「このまえの魔王討伐作戦、ウルフが参加しなくて準備が大変だったのよ?」

「すまん、レイニーに国を任せれていたのもあったが連絡はもっと早くすべきだったな」


『あーあれな』

『―――で―――だったな』

『金――――うんうん、そうだよな』


 集まった異世界転生者やその子孫、そしてどちらでもない武器やカード使いのハンターもいる。

 参加者が百名を越えて好き勝手に喋りだしてしまう。わちゃついて聞き取れなくなってきた。


 初代がしーっ、静かにのポーズをすると全員が黙る。


「あの人、怖いんだけど(小声)」

「魔物を洗脳してる人が目の前にいますが」

「レイニーはいいんだよ」


 まだ皆が黙っている。初代が沈黙を破った。


「……哀れだね」

「魔物たちが?」

「ああ、魔物たちは本来の主人を失った。捨てられる筈だったのにしがみ付いて偽りの男を王にした。憧れていた人間を真似ても魔物は魔物、幻影の生活をするなんて哀れじゃないかなぁ?」


 偽りの家族生活を送る魔物が哀れか?


「俺はおもわねーけどアンタがそう思うのは勝手だな……ベルベル(カミノ兵士の1人)」


 兵士のベルベルを近くに呼んだ。


「何です?」

「次の休日は何がしたい?」

「……できれば海で泳ぎたいっすねー」

「海?」

「俺もともとイルカの魔物なんで船とかと競って泳いでたんです」


 光景を想像したがちょっと可愛い。


「魔物の姿でも面倒みてくれるツテがあるから聞いてみようか?」

「マジすか!?あざっす!!」


 今は守るべき民がいるんだったな。

 レイニーは俺に握られた手を不思議そうにしている。

 怖くて立ち向かえなかった子供の頃とは違う。


「好きに哀れんでくれていいですが、俺の国から何かを奪う者に容赦はしません」

「あはは、今は何もしていないから味方でいようよ」


 対ハクアに対する会議はようやく本格的に始まり。

 本体はダンジョンから出てこないので影分身の対策。

 各国に光のゲートを作ることで一致した。

 俺の【スキル:ライト】のスキルカードとチートみたいな魔法石・虹色を配布。

 20個しかないがスキルカードをいくら使っても消えない特殊なものだ。


「やっとハクアの対策と次の四天王の連絡網ができた」

「連絡網ちゅーもんこの世界でまさか復活する思わんかった」

「前回はごっちゃごちゃに情報が飛び交ったから異世界転生者だけでも正確な情報を知っていて欲しい」


 会議も終わり用意していたカミノの食事を振舞う。

 魔物肉は食べない、魚嫌いと要望にできるだけ応えたメニュー。

 そして美味しさを最優先で金額などはかなり度外視した。


「この国、思ったよりだいぶお金あるのねぇ?」


 キャットさんが困惑している。

 確かに俺もカミノが裕福な国というイメージは最初なかった。

 でも、悪さという意味であれば間違いとも言い切れない。


「キャットさんもしかして俺が()()やってるの疑ってます?」

「……そうね、多少」

「悪さしたのは()()()()なので俺も知りません」


 宝物庫にあった5000兆マルについてレイニーは色々やったとしか言ってくれなかった。

 俺もそんなものを見た時は目を疑った。

 SNSで流行った5000兆という数字は案外、束にすれば少ない。


「基本的に多くは私が王子になる前に、カミノの王家にあったお金です」

「へぇ」

「私が元・カミノ国民たちを皆殺したので言いたくなかったのですよね」

「できればそのまま言わないで欲しかったな!!」


 よりにもよって異世界転生者がこんなに集まる場所で皆殺し宣言――あれ?

 不思議なことに皆は怒ってなさそう。

 キャットさんの話によればカミノの国は異世界転生者が沸くのをいいことに好き放題していた。金があるのも復讐も納得がいくらしい。


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