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「イー君…まさか…あの…イーサン…」その名前を聞いてカロリーネが若干ひく。
「あら〜よかたったじゃない。有名人みたいよ」
いや…明らかに正の感情をカロリーネから感じた。
「でお願いがあるの…」
「何? 何?」
「その…実はこっちで誰もやってくれないクエストがあって…」
「どんなの?」
「しっそう事件の調査なんだけど…」
「ん?!」
「まあ…いいんじゃない」
「あ〜…いや…そのなんかこう木の幹のような召喚獣をぶっ飛ばすようなクエストならやるんだけどな…そういう頭を使うようなのは…」ユーリャがためらう。
「やる」ヘラがデザートを食べる用のフォークを握りしめながら乗り気で身を乗り出す。
「え?! ほんとに? 武闘派ギルドって聞いていたけど…確かになんだかみんな知的な冒険者に見えてきた」
「いや、多分武闘派の噂は役一名うちのギルドにはパワー系がいるからそのせいだとおもうけど…」イーサン意外のメンバーがイーサンの方を見る。
「え? でもイーサン神隠しのクエストなんてやったことあるの?」コジマが尋ねる。
「そりゃ…プロがいらっしゃるじゃないですか」イーサンは、コジマを指名する。
「え? 私? はいはい…それでどんな要件なのよ」
「それが…ここ最近砂の帝国でしっそう事件があいついでおこっていてそのクエストに挑んだ冒険者たちもみなしっそう…」
「なるほどそれで我々に戦ってほしいと」イーサンがてきとうにようやくする。
「え? はい…」
「いや、話きいてないでしょ」イーサンの適当すぎる受け答えにコジマが苦言を呈する。
「お姉ちゃんのたのみなら断れないわね!」
「ありがとうユーリャ!」
「よっしじゃ! レッツゴー!」ヘラが無邪気に声をあげる。
「あんたえらい乗り気ね…まあ行きましょうか…」コジマも付いて行くことにする。
「ヘラもおにいちゃんと一緒に行く!」
「ありがとう、ああ妹さんだったの」
「はい」イーサンが急に真顔で即答をする。
「え?」コジマとユーリャが同時に声を出す。
ユーリャたちは、ゲートをワープし砂の帝国へと飛ぶ。
「お! 観光客だね! ちょうど今日いいアイテムがはいったんだよ!」屋台ではカードがうられていた。
「いや…一応冒険者なんだけどね…」
「あ?! そうかいこりゃ失敬美人さんを連れてるからてっきり踊り子を引っ掛けた商人かと思いましたよ」この世界で商人は褒め言葉だった。ようは、金持ちと持ち上げて物をかわせようとしているだけだった。みえすいたお世辞だった。
「あら〜美人だなんて〜見る目があるわらね〜」コジマが嬉しそうに身をよじる。
「おう! そりゃああんたみたいな美人なかなかいないからな! どうだい! この国にせっかく来たんだ冒険者様ならこのお守りなんてどうだい。なら今日入荷した超レアアイテム買うしかないよなぁ」
「すごい! どんな環境異空間でもあなたのことをお守りします」ヘラが何も考えずにそのままテキストを読み上げる。
「Fランクって表示されてんるだけど…」アイテム鑑定したカロリーネが眉をひそめる。
「いや…いいわね。これをいただこうかしら」
「おお! おめが高い!」ふふバカめこんな召喚が難しいゴミ誰も買わねえよ。ざまあみろカス冒険者が! どうせ脳みそが筋肉にでもつまってんだろ。商人は、面ズラでは、ごまをすりながら裏では在庫となっていた
「ん…なんだこの違和感…」街をカロリーネに案内されながら歩いているうちに謎の違和感をおぼえる。壁に張られているポスターを見る。
「あ、気づいた? それ私」カロリーネが自分このとを指す。
「え?!」
「知らなかったの? お姉ちゃんはこの国のイメージモデルを務めているの」
「え?!」いたる所にカロリーネのポスターが貼られていた。なんでも、砂の帝国が選ぶ美少女コンテストで優勝しつづけて今現在もこの帝国のイメージモデルを務めているらしい。
「まあ、たいしたことはしてないんだけどね」カロリーネが苦笑いする。
「はい、到着!」カロリーネのクエスト紹介所にたどり着く。
「お! 何かクエスト他にないか?」クエストに来ていた冒険者がカロリーネに尋ねる。
「えっと…神隠しのクエストはいかが?」
「いや、だからそれ以外だっていってるじゃん」
「えー」どの冒険者も神隠しのクエストをいやがっていた。
「はい」カロリーネは、神隠しのクエストを手渡す。
「おい、お前どこのやつかしらねぇけどこのクエストだけはうけるなって神隠しのクエストに応募した冒険者みんな行方不明になってるんだって」
「やばいな…」イーサンは、心配になってくる。
「お前さんの能力じゃ厳しいぞ」勝手に鑑定されて勝手にけなされる。
「さ、三十万ゴールド!」クエスト紹介状を読んでいたコジマが突然奇声をあげる。
「お嬢ちゃん、無理はいわねぇやめときみんな金につられてやんだけどみんないなくなっちまう」
「やります!」コジマが目を輝かせながら言う。
「ほんとに?! ありがとう!」カロリーネとコジマが抱き合う。
「さっそくだけど」カロリーネが地図を広げる。地図には、いくつかのまるや点がかけれていた。
「このあたりね」街のみなみあたりでみな消息をたっていた。
「二手に分かれる?」
「そうね広いし」
「さあ! どうわかれる」コジマとユーリャの間で火花が散る。
「どっち!」コジマとユーリャがイーサンにどっちを選ぶか決断を迫る。
「いや…その…」
「ん〜」コジマとユーリャは見合う。
「どっちでも…」
「うらないは?」ヘラが提案する。
「素敵〜二人の恋の行方をうらうなうのね〜」カロリーネがかってに話を進めていく。
「いや…あのそれならみんなで…」イーサンが小声で声を発するがもはや誰も聞いてはいなかった。
「ヘラ! お願い!」
「はい。どっこいしょ」ヘラがアイテムの中から水晶玉を取り出す。ヘラが水晶玉に手をかざし目を閉じる。
「で、どうなのよ」ユーリャとコジマがのぞき込む。
「ん〜見えます!」
「?!」
「双子の二人の天使と一人の…」
「天使っちゃあんたのことだ」
「やだ〜バシバシ…まあそうですけど」照れたカロリーネとユーリャに偶然居合わせた冒険者のおっさんがしばかれる。
「いたいって」
「暗殺者…は、東に」
「てことは…」
「なんでこうなるの〜」ユーリャが愚痴りながら街の東に向かっていく。
「あら〜なら正気に気持ちを伝えたらすきてって」
「す、好きってことはないげども…そ、その…」占いの結果コジマとユーリャがペアで探索することとなった。
「じゃあ気をつけてね」カロリーネが笑顔でヘラの頭を下げるなでる。
「一緒にいかないの」
「いや…」
「カロリーネちゃんクエストクリアしたよ魔術印をお願い」
「何か高ランクのクエストないの」
「はい、これクエストで偶然採取できたんだけどはい!」
「あ、あありがと…」クエストではなく帝国を代表する美少女めあての冒険者たちが詰めかけていた。
「じゃ行こうか」
「うん…バイバイ」ヘラとイーサンがカロリーネに別れを告げる。
「ば、い…あ〜はいありがとね」カロリーネは、あいさつをかえす間もなく対応に追われる。
「お、ちょっと待った」町人によびとめられる。
「ん?」
「カップルかい」
「え?」
「お兄ちゃんです」ヘラが言い切る。
「えええ?」
「あーそうかい。そうだと思った。どうだい家族で旅行は、知り合いが牧場やっててね」
「いいですね牧場」
「いや、今クエストの最中で…」
「おっ? 冒険者さんか、冒険者さんにもぴったりだよ。経験値が稼げるクエストもあるからね」
「ねえねえ牧場牧場!」ヘラに引っ張られる。
「ん…けっこうあるな…」少ししっそう者がでているエリアからは離れた場所だった。
「お兄ちゃんもこれで妹ちゃんからモテモテだよ」町人がイーサンに耳打ちする。
「モテモテ…」ヘラがつぶらなひとみで見上げてくる。
「ごめんなさい…大切な約束があるんで…」
「そーか残念だな…」
「え…」
「クエストが終わったらいこうよ」
「ほんとに?」悲しそうな表情が急に嬉しそうな表情に変わる。
「う、うん…約束するよ…」
「よかったね。デートの約束をすっぽかすと彼女に嫌われるから、必ず行きなよ」
「すいません…」情報を集めるためにもとりあえず宿屋に入る。宿屋の受付に神隠しのけんをたずねるために。
「いらっしゃいませ。二名様でしょうか…大変失礼ですがどのようなご関係でしょうか…」受付のせいそでれいぎ正しい女性は、ヘラの幼い容姿に念のために二人の関係性についてたずねる。
「いや…あの…最近このあたりでおきている神隠しについてなにかしっていませんか」
「あ…失礼しました…そ、そうですよね宿泊ではないですよね」
「ん?…」イーサンは、その受付の女性からなんとなくいろいろ察する。
「この辺で消息をたっていますね。色々な冒険者が挑戦しているみたいなんですけど…みな失敗どころが姿をくらましてしまって…」
「何か共通点なんかありますか」
「共通点ですか…そうですね。う〜ん…気の強そうなやる気に満ちたギルドの人たちが次々に消えていっている印象ですね」
「気の強そうなやる気にみちた人たち…ん〜」
「駄目だ…」カロリーネのクエスト紹介所にイーサンとヘラが戻ってくる。
「お疲れ様」カロリーネが紅茶を置く。
「ありがとうございます…」
「手がかりはなし?」
「いや…駄目でしたねところで…あの二人は…」
「いや、それがまだ帰ってきてないんですよ」
「また法具買ったんですか」金欠のはずのギルド暁のライラの部屋には、ライラとエヴァンがせんのうされている宗教の高額アイテムがならんでいた。
「何か問題でもある?」
「いえ…それは…」
「ああそうだこのチケット買ったのあなたも買
わない?」
「え? なんのチケットですか?」
「このチケット召喚獣のチケットなのこのチケットを購入すれば召喚獣のオーナーになれて配当がもらえるの」
「いや…でも…」そもそも報酬の配布すらとどこおりはじめているこのギルドに所属するメンバーにとってはどうでもいいはなしだった。
「もちろん高配当が約束されてんるの成功者もぞくぞくでてて、あの天空儀仗をCランクギルドに所属しながら購入できた人もいるんだから!」
「え…」
「いいですね!」側で聞いていた女のギルドメンバーが興味を示す。
「そうでしょ! 買ってみる? お勧めだよ」
「いや、それ怪しすぎますよ」
「可哀想…そうやって下ばかりみて生きていくんだね…」
「私も天空儀仗が買えるぐらいになりたいです」
「大丈夫この牧場プロジェクトなら誰だって成功できるんだから」ライラと女のギルドメンバーが目を輝かせながら高級の衣装のことを話し合う。
「もう…駄目かもしれないなこのギルド…」
「そうだな…ただギルドを一回離れたたら次探すのが大変だしな…」召喚獣商法に洗脳されているライラたちをみなが他のギルドメンバーがしみじみ物思いにふける。
「イーサンがいなくなってからだよななにもかもが無茶苦茶になったの」
「でも、このギルドであいつってなんかやってたか?」
「ん…なんだろな…」二人は、イーサンのギルドでの仕事ぶりを思い出す。火事場の馬鹿力のようなものがあり巨大なモンスターの解体や力によるゴリ押しの戦闘などでギルドのやくにたっていた。しかし、どの場面でも脇役で雑用係のような役割を果たしていた。なにか記憶に残るような華々しい活躍は、記憶になかった。
「でもあいつがおなくなってから全てが無茶苦茶になったのは事実だしな…」もうこのギルドは、街一番のギルドから、街最下位のギルドまで転落していた。
「あの…二人は…」イーサンは、クエスト用にとった街の宿屋の受付に尋ねる。
「いや…まだ帰ってきてませんね」
「チェックインの時間になってもまだ帰って来なかった」
「ひょっとして神隠しにあったんじゃ…」ヘラが枕にパジャマの姿で現れる。
「え! そうなんですか!」
「実は、神隠しのクエストをちょうどやっていて…」
「え?」
「ん?」
「そんなこと言ってませんでしたよ」
「え?」
「牧場に行くとかなんとか」
「あ…」ヘラとイーサンは見つめ合う。
「眠い…」ヘラは、ネムそうにする。
「ん〜…」イーサンは、いまから牧場に向かうか悩む。
「あら、いっしょに寝るんでしたらダブルの部屋を準備しますよ」
「いや、いやそういう年齢じゃないから彼女は大人だから」
「まあ失礼しましたあまりにも幼く見えるから…じゃあ大人の部屋を準備しますよ」
「いやいやもっと面倒くさいは!」
「あ…ごめんなさい…あと開いてる部屋一つしかないんですけど…」
「え…」
「で、こうなるわけだ…」ショッキングピンクに部屋中てらされいる雰囲気抜群の部屋に泊まることとなる。
「ん?」さっそくヘラがどこかにいってしまう。
「あ…」風呂場の中にひとの気配を感じる。
「これ…何…」ヘラは、風呂場に何故か備え付けていたローションで勝手に遊びだす。
「いや…お前それが何かしっててやってるだろ」
「え? お風呂やっぱり入らない人?」
「いや、そういう問題じゃないだろ…」
「じゃあこちっち?」マットを取り出す
「いや! もうお前ぜったいわざとだろ」
「この召喚獣をご覧ください!」召喚獣牧場のセミナーが行われており満員御礼だつた。
「すごいわ…」参加者となっていたライラがかんたんの声を上げる。
「この召喚獣に皆さん投資してもらいます。そうすればリターンが年八パーセント」
「すごい!」
「へー」会場には、Cランク以下のうだつの上がらない冒険者がランクに見合わない装備やアイテムをジャラジャラさせながら公演をきいていた。
「ね、すごいでしょこんなにも成功している人がいっぱいいるのよ」ライラが、強引に勧誘したギルド暁のメンバーに語りかける。
「そうですね…最初は少し怪しかったですけどこれだけすごい場所でしかもみんなSランクの武器や装備をしているし疑いようがないですね」
「ほら、師匠よ」師匠と呼ばれる男が雷や炎の魔法にド派手に演出されながらステージに登る。
「みなさん! ようこそ! みなさんもう我慢など必要ありません! このプロジェクトにさえ関わっていればみな伝説のギルドとなることができます!」その後もひたすら成功や夢の素晴らしさを語りつづけ召喚獣牧場プロジェクトの具体的な中味はほとんど触れずにひたすら夢、愛
、希望について語られる。
「やっぱ師匠は違う。話しを聞いてると何だか自分にもできるんだ! って気持ちにならない?」
「はい…すごく魅力な人ですね」
「そうでしょ師匠について行けば間違いないは」
「みなさんありがとうございます! 皆さんは、必ず成功します! 最後に我々ここに集まったファミリーでハグをしあいファミリの絆を確かめ愛ましょう!」ライラは、何の迷いもなくまわりの人たちとハグをする。
「え?! え?!」ライラとどうはんして参加していたギルドメンバーの女性は、恥ずかしながらとまどいながら他のメンバーとハグ交わしていく。会場は、大いにもりあがる。
「はあ〜」イーサンが、ワープゲートから出るとそうそに大きなあくびをする。
「どしたの」
「いやそれはこっちのセリフだよぜんぜん寝かせてくれなかったからだろ」
「私は、疲れはててぐっすりねれたけど」疲れがとれない体を引きずりながら召喚獣牧場に向かう。
牧場の前は賑わっていた。
「召喚獣牧場にようこそ。料金とメニューはこちらになります」
「え?! たっか!!」Sランクギルドのギルド長や貴族、聖職者、大商人じゃなきやとてもじゃな出せいようや金額を提示される。
「いや、そうですか? みなさん何も迷わずに出されますが?」
「これ…」ヘラが、町人からもらったチケットを渡す。
「お! これは無料パスじゃないですか。どうぞ」
「よかった」
「ほー確かにこの娘も確かに美人だ…」牧場の受付がヘラのことをジロジロと眺める。
「入っていい?」
「あ、ああもちろんです」我に返った受付が中へと招きいれる。
「召喚獣いるのかな?」
「ん…」召喚獣がいる牧場にしてはやけにちいさいうえに屋内がただった。
「うう…」うめき声のようなものが聞える。
「なんだこれ…」
「え?」そこには、確かに牧場が広がっていた。しかし、牛舎につながれていたのは、全裸の女性たちだった。
「うううう…!」うめき声がそこら中から聞える。
「お客様ですかどうぞごゆっくりと」ここのスタッフが現れる。
「なんなんだこれは…」
「え? 牧場ですが…さあとの牛をごしょもうですか」牛舎につながれた女性たちを品定めする男性たちもいた。
「ううう…!」コジマとユーリャもつながれていた。
「大丈夫かよ」あわててイーサンは、二人の猿ぐつわをはがす。
「この建物、人が売られてる」
「え?」
「わたし達売り物にされてるの!」
「そんなにジロジロみられたら照れちゃう…」コジマがはずかしがるふりをする。
「しかたないだろ目をつぶってたすけることなんてできないんだから」
「なんでもいいから、早くこの鎖なんとかして!」ユーリャは、全裸の状態に若干なれてしまっているらしい。
イーサンが、鎖に手をかける。
「おっとお客様購入前の商品に手をだすのはNGですよん」
「何が商品よ! あんた頭おかしいんじゃない!」ユーリャが、おこってもあまり迫力のない美しい顔で吐き捨てる。
「反抗的ですねそれではお客様に買っていただけないですよ」
「じゃあこの二人は、私が飼おう」
「まいどでは、一人あたり八億ゴールドです」
「八億?!」ユーリャが驚きの声をあげる。
「まあそんなに私に価値があるのかしら?」コジマは、まんざらでもなさそうだ。
「売る気はないみたいね」
「お客様まさか商品を窃盗なさるおつもりじゃあないでしょうね」上品だっだ紳士の口調が少しづつ怒りに満ちたものにかわっていく。胴体が伸びモンスターと化した紳士イヤエルが殺しにかかってくる。
長いリーチを生かして攻撃してくるのでなかなか近づけない。
「さ」ヘラが、全裸のコジマとユーリャを逃がす。イヤエルは、剣を振り回しあたりにつながれいてた商品だった全裸の女性ごと皆殺しにしていく。床中が血だらけになっていく。
「どうです私と一緒にこのビジネスをやってもうけませんか?」
「女を殺してもうかるビジネスがあるならぜひお願いしたいね」
「ちょっと! あたまおかしくなったの?」ユーリャがフタリノ会話を気持ち悪がる。
「まあ! そんなの絶対にありえないけどね!」イヤエルが振り込んだ刀を拳で受け止める。
「馬鹿な…」URの武器を素手で受け止められイヤエルは、激しく動揺する。
「悪いけどここでくたばってもらう!」イーサンは、拳で武器を叩き潰す。
「超越者の霊剣が…おのれ!」イヤエルは、格闘戦を挑んでくる。力と力がぶつかる。攻撃力では、はるかに上をいく中ボス級のイヤエルの攻撃を本来ならしのげるはずなかったしかし…。
「どうして貴様のような無名冒険者に…」イヤエルと拳で互角に渡りあっていた。
「はあ…はあ…」イーサンの息があがり始める。
「攻撃力に加えスタミナもないらしいな」
「もうこのゲームは、終了しているんだよ」
「また意味のわからないとこを」
「じゃあね〜バイバイ〜」
「ハハハ! 恐怖のあまりついに壊れたかガハハ! うっ…」突然長く伸びた胴体が地面にうちつけられる。
「うううう…おのれ…」うめき声をあげならのたうち回る。
「勝ったの?」ユーリャたちは、離れたところか、戦いを眺めていた。
「おい! 待て! まだ勝負は終わっていたぞ!」イヤエルは、立ち上がろうとするがそこで力尽きる。
「あら〜残念〜」イヤエルは、粉々に砕け散る。
「ありがと!」
「わ!」全裸のユーリャが抱きついてくる。
「ほんとにこのまま家畜として生きていかないかと思って大変だったよ…」ユーリャが涙ぐむ。
「あのごめんねイー君に変わるね」
「え?」
「?! あ?! これは…」
「ご! ごめん…なさい!」
「いや…こっちこそごめん…」二人は、とっさに離れる。
「どいうこと…」ヘラがコジマを見上げる。
「さあ…でも時々イーサンは、あんなふうになっちゃうの」
「鑑定してみる?」
「鑑定できるの?」
「うん…その前に…」ヘラは、魔法を使いユーリャとコジマに服を着せる。
「どう?」
「う〜ん」ヘラがイーサンの鑑定を行う。
「弱すぎるのは確か」
「あら…そんなに落ち込まないで…」イーサンは、分かっていることだけど落ち込む。
「ん? これかな? オート…オンとオフってのがあるけど」
「え? ひょっとしてアンドロイドだったの!」ユーリャがびっくりする。
「いや…さすがに…え…?」イーサンも驚く。
「…」ヘラは、
「ほんとにロボットなの?」
「ではなさそう…でも今のイーサンの能力にこのオートのオンオフ機能が関係ありそう」
「ふーよかった一応人間ってことか…でもまあ…一度死んでるんだしどちらでもいいな…」
「どころで…」
「ん?」
「飼うならどっちがいい?」コジマがイーサンをからかう。
「いや…正直…あの娘かな…」コジマでもなくユーリャでもヘラない他の全裸の美少女を目線で指し示す。
「へーああいうのが好きなんだ…」普段大人しくなにも女の趣味について話さないイーサンが急に女について話したのでユーリャが、冷たい目を向ける。
「いや、じょ、冗談 冗談」
「え?! ゼロゴールド?!」銀行にライラが人間牧場の株券をもっていくも既に紙切れになっていた。
「既に団体は、存在しません」上品で真面目そうな美人の受付嬢がたんたんと返答する。
「そんざいしない!? どういうこと?!」
「先日不正行為が発覚し会社が倒産しました」
「うそでしょ…」ライラは、その場に崩れ落ちる。ライラは、人間牧場にばくだいな投資をしていたそしてそのげんしは…。
「え?! 運用に失敗した?! はあ…」ギルド暁の会計係が顔をおおう。
「ち! 違う詐欺にあったのよ!」
「どうするんですか! ギルドの運用資金が底をつくつきます」
「大丈夫仏への祈りが通じれば必ずや道は開けるわ」
「いいですか? 今私が話してるのはあなたの主観的な話しではありません。客観的にお金がないということを言ってるんです」
「必ず準備するは必ず!」
「これ以上支払いをまてません。法具を売ってもらいます」
「え?! 法具を!!」法具は、戦闘では全く役に立たないが、この世界では、信仰儀式に使われていた。
「みんなにお知らせがある」
「なんだよなあさっぱらか」ギルド暁のメンバーが広間に集められる。
「今日からロイルバーの子羊にギルド名がかわることとなった」
「なんだよいまさら」
「まあ、別にダサい名前というわけでもないな」
「じつは、金銭的事情からロイルバー魔道団の下請け組織になることになった」
「は?!」
「ふざけんな!」
「いや、はじめましてロイルバー魔道団代表シバノです。よろしくお願いします」
「はあ…」ギルドメンバーがため息をつく。
「格付けもFマイナスに降格された」
「おい! F! ふざけんな! 家も借りられねえじゃねえか!」所属するギルドのランクは、社会的信用に直結していた。
「なあこのクエストやらない」クエスト紹介所にいつもどおりたむろしていたイーサンがコジマから話しかけられる。
「え?」提示されたのは研究所のクエストだった。
「なあ…たのむよ!」
「…」無言でコジマのことを見つめる。
「誰だお前…」コジマエロゲーのお姉さんのようなエロい普段の声とはうって変わってヤンキーの男の声で話はしめる。
「うっす。プレイヤーです。なあ行こうぜ」
「…」
「イーサンのバグったスキルがあればいけるしょ」
「え…」完全にDQNのソレに押されていた。
「もう、ごめんね気にしなくていいから」唐突にコジマの声がする。
「いや、何いってんだよお前がやりたいっていったからイーサンさそったんだろ」
「あら〜そうかしら〜」
「いや、頼むから同時に喋らないでくれ頭がとうかしてまいそうだ。分かったいいよ。いこう」ゲームの世界では何もしなければただ時間がながれるだけだ。というか時間が流れているのかすら怪しい。飢えも老化もない。
「あら〜なんかごめんね…」
「いや…いいんだ…」
「すいません…」コジマの情報網を通じて手に入れた情報を元に研究所への手がかりを手に入れるため魔術書店にやってくる。
「…」無言で眼鏡の少女がカウンターで本を読んでいた。
「あの…この本を…」ヘラが持ってきた魔術書をカウンターの少女に渡す。少女は無表情で魔術書に目を通していく。
「何が知りたい…」
「黒魔術研究所のパスワード」
「龍の色は炎色…」
「身分証明書を!」研究所、アデ工房の前で門番のオーガーに停められる。
「龍の炎の色は炎色…」
「いいぞ通れ」コジマとイーサン、ヘラ、ユーリャは中なに入っていく。
「空っぽ…」空の実験用の真空管が並んでいた。
「お客様ですか?」白衣の研究者に話しかける。
「え…あ…」
「そうです!」イーサンがどもっているとユーリャが間髪いれずに答える。
「そうですか。ようこそ様々な魂を取りそろえています。どのようなキャラクターになりたいですか?」
「は?!」イーサンは、本音が口をついて出る。
「ん〜そうね〜」
「私は冒険者がいいかな〜ついでに最後は勇者になりたい」
「それはそれは、ちょうどいいのがございます」
「え?! ほんと!」ユーリャも自らの夢を白衣の研究者にぶつける。
「おい…いいのかよ…」イーサンがユーリャに耳打ちする。
「何よ…」
「ここの魂の開放が今回のクエストの目的だぞ」
「いいじゃない少しぐらい貰ったって」確かにおおくの真空管があり数え切れないほどだった。
「ここの魂ってどうやって精製しているのです」
「異世界で命を落とした人の魂がここにたどり着いているのです。いわば魂のリサイクルをおこなっているのです」
「ゴブリンなのに頭がいいのね」コジマがゴブリンの研究者をほめる。
「いえ、長年魂のリサイクルのみに人生をかけてきたものですから」
「魂を回収する瞬間がみたいな〜」コジマがこびをうりながら研究者のそうめいなゴブリンにおねだりする。
「いや〜まいりましたね…」
「お願い…」コジマが体をピッタとコブリンに近づける。
「ん…特別ですよ」
「ほんと? うれしいー」
「ただ、我々研究者がやっているのはあくまでも魂の保存とメンテナンスだけ。魂の回収は別の人がおこなっています」
「じゃあ…お願いしますよ」ワープゲート前に
イーサン、コジマ、ユーリャ、ヘラが集まる。
「こんにちは」ヘラが、自分の同じぐらいの幼い女の子の案内役にあいさつをする。
「こんにちは。かわいいね〜」ヘラは、案内役の女の子にもみくちゃにされる。
「そんなことない…」ヘラは、少し照れる。
「かわいい…」イーサンは、その光景に癒やさせれボーッとしてしまう。
「ゴン」ユーリャにイーサンは肘打ちされ我にかえる。
「じゃあお願いします」
ゲートを通り抜けるとそこは現実世界だった。
「ちょっとここどこ?」
「あら…ちょっと変わったとこころね」ユーリャたちは、あたりを見回す。
「そうか君たちNPCには、現実世界は馴染みがないだろうね」
「どちらさん?」よくわからないおっさんがたそがれながらそこには、立っていた。
「私だよひどいなあ…さっきホッペを触らせてくれたじゃないか」ヘラが青ざめる。
「今の姿が私の真の姿だよ じゃあ早速始めようか」街中が真っ暗な空間に覆われる。
「氷雨明王…」そう男が唱えると水の刃が街中にいる女性に襲いかかる。
「何!」体が水の刃で真っ二つになる。
「ちょっと! 何やってるの!」ユーリャたちが驚く。
「キャー!」辺り一帯に悲鳴が響き渡り。必死に水の刃を操る宗士から人間が逃げ回る。
「ちょっとどうなってるのよ! 誰か!」黒い壁を叩きながら女性が絶叫する宗士がゆっくりと歩みよってくる。
「こ! こないで!」腰を抜かしおもらしをする。
「氷雨明王…」絶叫する女性の全身がバラバラになる。
「どうですか。このようにして魂を回収していきますまあ、NPCごときになにを言っても無駄だと思いますが」
「魂を回収されるのはあんたのほうじゃないのかな」ユーリャが宗士に攻撃をくわえる。力まかせの断末魔の大剣の攻撃を宗士は、なんなくかわす。衝撃波で背後のビルが砕け散る。
「ほう、私を殺せると思っているようですね」
「そんなことどうでもいいわそれよりこの馬鹿げた行為をやめてくれない」
「ハハハ…! やめろと? やめたところでどうなるんだ?」
「シリアルキラーになにを言っても無駄みたいね」
「なんとでもいってくれ女に嫌われようが好かれようがどうでもいいんでね」
「そうじゃあなんのえんりょもいらないわね!」ユーリャの大味の攻撃で街にある建物が次々へと壊されていく。
「ファントムマーメイド…」全裸の全身水色のマーメイドが姿を表す。マーメイドの作り出す水の壁がユーリャの攻撃から宗士を守る。
「似合わないわね」
「似合わなくてけっこう! そんな武器で私に勝てるとでも?」マーメイドの激流がユーリャを襲いユーリャが濁流に飲み込まれる。
「ちょっと…なんとかならないの?」
「なんとかって言われても…」イーサンは、コジマにけしかけられても動くことができなかった。マーメイドはその美しさとは反比例して凄まじい攻撃力をもっていた。
「おい! 相棒!」イーサンがなにもない空に向かって呼びかける。
「誰に話しかけてるのよ…」
「さてと仕事に戻りますか」逃げ惑う女性数百人をまとめてマーメイドのウオーターカッターでバラバラにしていく。現実世界の人間が異世界の能力者にかなうはずもなくなすすべもなく次々に殺されていく。あたりは血の海となりアスファルトやビルの壁面に血が飛び散る。
「ちょっと! こっちに上玉の魂があるけどう?」イーサンが誘う。
「すまんが男に興味はないんでね」
「心配しないで私もあんたになんか興味ないから。私が興味あるのはあんたを殺して得られる経験値だけ」
「まあいいそこまでいうのなら貴様も魂をリサイクルしてやろうもっとも最終処分場いきだがな」水の刃がイーサンめがけて襲いかかる。巨大な刃は轟音をたてながら高架橋を切断してイーサンへと襲いかかる。
「ああああ!」イーサンが大声で絶叫する。
「恐怖のあまり絶叫か」宗士が冷静足元にころがっていた何百というバラバラになった遺体をふみつけなが歩いていく。
「おい! アルバイトしっかりやれよ」
「たっく俺たちをなんだと思ってるんだよ! 元Aランクのギルドだぞ!」元Aランクギルドの元ギルド暁、現ロイルバーの子羊のメンバーが毒づく。
「元だろいいからとっとと回収しろ!」宗士の下請けのバイトとして雇われていた子羊のメンバーがバラバラになった遺体をゲートへ放りこんでいく。
「ちょっとまだ終わってないんだけど」
「ん?!」宗士が振り返ると無傷のイーサンがそこには立っていた。
「まじかよ…」子羊のメンバーも驚く。
「いやいや…お見事ですよどんな魔法をつかったのか知りませんが正直どうでもいいもうようは、すんだからな」
「ちょっと! 私は、このクエストやりきらないといけないのよ!」
「じゃあな」宗士は、ゲートの向こう側へと消えていく。
「おい! しっかりしろ!」まだかろうじて生きている女性に宗士が声をかける。
「は…は…」意識もうろうとするなか息絶える。
「早くしないとゲート閉じるよ!」
「ん…」イーサンは、急いでゲートのなかに飛び込んでいく。
「あれ?!」ゲートから現在世界に降り立った時は確かに研究所からだったはずだったがなぜかよくわからない森へと降り立った。
「追い出されたってことだろう…」
「何? 結局人体を売っていたとうわけじゃないの?」
「その中の情報を売っていたってことよね」
「あの男にを殺さないとこのクエスト終わりそうにないわね」コジマの情報網を頼りに宗士の足取りを追うこととなった。
「異世界で魂を集めているおとこなんだけど知らない?」コジマは、宗士の姿を記録した人相書きを見せる。
「いや〜しりませんね…」
「あげる」巨大なオーガーがヘラにその瞬間その瞬間で色を変える珍しいはなを笑顔でプレゼントする。ヘラが、警戒心マックスで花を受け取る。
「立派な召喚獣ですね。いくらぐらいですか?」
「いや、このこの花屋の店員ですよ」
「え?!」
「ん〜こういう異世界の伝説の話なら…魔術書専門の人に聞くほうがいいんじゃない。そうね~軽文とか…」
「え…」コジマが露骨にいやそうな顔をする。
「なんだ知り合いか?」
「いや…知ってるにはしってるけど…」
「でもこんなうさんくさい話彼に聞く以外ないんじゃない?」
「ん…」
「なんで俺が行かなきゃならないんだよ…」イーサンがコジマに押される。
「いいから」
「あの…」軽文のもとを訪れる。
「はいどうも」おだやかな表情の青年が姿をあらわす。
「お尋ねしたいことが…」
「え? ええ…」
「この男性をご存知ですか?」
「ええ…知ってます」
「どこに住んでいるかしっています?」
「ええ…ただ彼なら会えないと思いますよ」あっさりと場所を知ることになる。
「え?」
「彼は異世界からの転生者でこの世界でも引きこもっていますから」
「ん?」軽文がじっとイーサンのことを眺める。
「いや…なかなか罪深いスキルをお持ちのようで…」
「ちょっと勝手に変な能力で透視するのやめてくれる!」コジマが立ちふさがる。
「いやこれは失敬…」
「なんか普通の人だったけど…」
「いや…かなり問題のある魔導書師で複数の魔導書師採用試験を落ちて落ちるたびに脅迫を繰り返してる問題児よ」
「気難しいやつってことか」
「そうねでも魔術師の中でも彼のことを高く評価する人もいるみたい」
「でも、これで会えればいいじゃん」
「でも、ヒキコモリって言ってたし厳しいかもね」
「ここね…どうする?」
「ど、どうするって…言われても…」イーサンは、ややちゅうちょする。
「いくしかなないでしょ!」ユーリャは、やる気まんまんで建物の正面から入っていく。二階建ての薄暗い建物には、確かに生活感があった。
「ちょっとしっかりしてよ!」
「いやビビるだろ普通」イーサンを先頭にゆっくりと建物内を進んでいく。
「後はここだけね…」ユーリャが扉に手をかける。
「冒険者だな…」
「いや、実際冒険者何だから」
「ガチャ…」
「やあ…君たちか」
「どうやら私達のことがわかるようね」
「いや、せっかくの仕事を邪魔されたわけだからね」
「さあ! 私と勝負しなさい!」ユーリャが仁王立ちする。
「まあまあここは、せまいのでもう少し広い場所にでも出ようか」宗士についていくと
巨大な魔術書が大量に収容されている図書館のような場所に出た。
「ちょっと…」その広場には、大量の女性に裸の死体がうずたかく積まれていた。
ユーリャやコジマは絶句する。
「私は、この国を救うためにこの仕事を始めたんだ。こうやって殺すことによって調子に乗っているわがままな女共を反省させてやるんだ」
「ハハハもてない男のシエンでしょ。あんた異世界から転生してこの
世界でも誰にも相手にされないからって引きこもってるんでしょ」
「シエン? ジョウダンジャナイこのままだと私の祖国日本国は滅ぶ確実に」
「少子化のことか…」イーサンが補足する。
「え? なんのこと?」
「お前も日本人なのか?」宋士が目をみひらき驚く。
「ちょっと何の話?」異世界の人間には何の話か全く分かっていなかった。
「今、俺が住んでいた異世界は滅びかけている。女性の人権を保護しすぎて
女性の男性への要求が高くなり付き合えない男性が大量に発生して
当然結婚も減り子供へりそして人がいなくなる」宋士が、早口で聞き取りにくい話をする。
「人が減る?」
「まあ、うまく説明できないな」ゲームの世界に人口の増減なんてあるはずもなくましてや現実世界の少子化を説明するのはかなり難しかった。
「つまりあんたはなに? もともといた世界で女に相手にされないから異世界に来たけど異世界でも女に相手されなかったから腹いせに女殺してるわけね」
「貴様…今なんといった」宗士に向けた言葉がイーサンの胸にも突き刺さる。
「もしもし〜」凹んだイーサンの顔をヘラがつつく。
「氷雨明王…」宗士は、自らの召喚獣ファントムマーメイドを呼び出す。
「関心しないわね。すぐ暴力でうったえてくるなんて」ユーリャが大剣を構える。
「うるさい! お前らが意味不明なことを言わなければ暴力なんて使わななくて済むんだよ!」マーメイドの攻撃で大地が裂ける。ユーリャは、大剣ごとふっとばされる。
「さあもう帰ってくれよ邪魔しないでくれるかな」
「すまないなお前の存在を消さないとクエストクリアにならないんだよ。一回死んでくれ」どうせゲームの世界なんだから一回しんだところで時間が経てば元に戻るだろとは言わなかった。
「そうかこっちは異世界から世直しをしているんだお前こそ一回死んでくれ俺は、ゲームをしてるわけじゃないんだよ」
「わたしは、イーサンにまかせるわ」コジマは、少し離れた場所からゆうがに手を振り見守る。
「さあ、帰れよインキャ同士争ってもしかたない見逃してやるよ」
「すまないな。俺はゲームをしてるだけなんだお前がいくら深刻な問題を抱えているかしらないがどうでもいいんだよ。後、ていせいしておくが俺はインキャじゃなくてパワー系なんだ」さきほど大地を割いた水流がイーサンに襲いかかる。
「どうなってやがる…」ウォーターカッターは、イーサンの前で砕け散る。
「それは、お互いさまだろゲームの世界は別の常識でできているってわけ」
「そんな馬鹿なこれだけ女を殺して殺して経験値をためたのにどうして…」宗士は、
首をかしげる。ボスやNPC相手では全く負けないぐらいには強くなっていたはずだった。
宗士は、排出率百分の一のUR武器葬送の淑女で斬りかかる。葬送の淑女は、振り下ろした正面の建物を粉々に粉砕する。コウハイしたガレキの山にイーサンは、棒立ちしていた。
「チーターか、通報して消えてもらう!」
「残念だけどチーターではない。説明書は読まないタイプなんでねチートなんて使いようがない」
イーサンは、こぶしで宗士を殴り飛ばす。
殴られた宗士は、建物にた叩きつけられ全身がめり込む。
「どうなってるんだ…魔術も武器も効かないだと…馬鹿げてる…」
「じゃ死んでもらうか」イーサンが至近距離で宋士にこぶしを叩きこもうとする。
「ちょっと待って…」無表情のヘラが立ちふさがる。
「ん?」
「あなたにピッタリの人を紹介してあげる」
「おいおいクエストクリアはどうなるんだよ」
「いいは」いつの間にか、コジマとユーリャは、宗士の排出したUR武器を懐に
しまっていた。これでクエストクリアの証明になる。
「どうぞお好きにどうぞ」無言で見つめるヘラにイーサンはこぶしをひっこめる。
「なんの真似だ」宋士は、森まで連れてこられる。
「こんにちは…」非常に美しいエルフが森から出てくる。
「紹介するね。マガリ」
「はあ…」宗士は、なんで紹介されたか分からずとほうにくれる。森の木漏れ日にわずかに照らされた清楚なエルフの姿が浮かび上がる。
「結婚してくれるのはこの方?」
「うん…」
「は?!」その場にいた全員がおどく。
「ちょっとまってくれ話がまったく見えてこない」ニヤけながらも宗士は困ったふりをする。
「だって性行為する相手がほしいって言うから…」
「何? 知り合い?」
「そう、仕事の依頼をよくもらうから」
「私じゃだめでしょうか…」
「いや! え?! その…」
「いいわよ。あまりものだから私が許可するは」ユーリャが適当にあしらう。
「ぜ…ひ!」
「あら…よかったはね」森の中に消えていく宗士を見守る。
「不思議なもんだな…やっぱ俺のいた世界の常識は一切通用しないんだな…俺の世界じゃあんな清楚なエルフぜったいに余りものの男性となんか結婚しないからな…」
「え? 何いってるの? この世界じゃエルフは強欲の象徴」
「え?!」
「今頃たっふり搾り取られてるはずよ」
「あら…ロマンチックな初夜ね」
「え?」
「エルフの相手をした男性はガイコツになるまでたっぷりと搾り取られるの」
「お前ひょっとしてわざとか?!」一瞬無表示のヘラがにゃりとする。
「そうなの? ヘラちゃん」
「あ! お前今!」すぐにヘラは、無表情になりそばのスライムをつつく。
「でも、いいじゃない一生童貞でいるよりかは、エルフの相手する方が
まあ一生エルフに搾り取られることになるけど」
「素敵」
「まぁ…そうなのかもな…あんな清楚で美人な美少女が日本で童貞を
逆ナンすることなんで絶対ありえないしこれでいいのか?」
「契約解除だ」アデ工房に戻ったロイルバーの子羊のメンバーがゴブリンに解雇を言い渡される。
「ちょっと! 待ってくれ! こんなに頑張ってきたのに!」血だけになっている
子羊のメンバーは、途方に暮れる。
「はい、お疲れとっとと帰れ」
「クソ…!」子羊のメンバーは、その場にあるアイテムを強奪しようとする。
「おい! 止めろ!」強奪して逃げようとした二人の前にオーガーが立ちふさがる。
「あ! マリーズちゃんこいつらからアイテムを取り返して!」
「女!?」二人を見下ろすぐらい巨大なオーガーが立ちふさがる。
「いい男ね」
「ヤミネンの幽霊!」オーガーに魔術の攻撃を加える。爆発とともに砂ぼこりが柱のように舞い上がったが
オーガーはびくともしなかった。
「いい攻撃ね。素敵」序列で言えオーガーに魔術師が負けるはずがなかったが攻撃が
全くきかない。
「なんだこいつ…」
「やめろ!」オーガが魔術師を持ち上げるそし魔術師の武器をへし折る。魔術師の武器も
強力な魔力で作られているために本来ならそう簡単に折れないはずだが片手で折ってしまう。
「さあこれから楽しみましょ」両脇に抱え得られながら建物の中に引きずられていく。
「助けてくれ!」その様子をみていたそうめいのゴブリンは、合掌して見送る。
「あのすいません」紹介所に依頼者エメがやってくる。
「はい」
「冒険者への依頼があるんですが…」
「はい、じゃあここに条件を書いてください…」ユーリャが対応する。
「では、後日じゅたくがありましたご連絡させていただきます」
「よろしくお願いいたします」
「なんの依頼?」
「ガイコツ軍団のとうばつ依頼」
「ガイコツ軍団なんか誰も相手にすることないだろうな」ガイコツは倒しても報酬が少なく
誰も相手にしたがらない。
「ここね!」
「ほんとここなのか?」ゴルゴン本部とかかれたギルドの建物の前にユーリャとイーサンが
たどり着く。
「すいません!」
「はい…?」
「クエストやりにきました!」
「え? っと…」冒険者ではなく紹介所の人間がいたのでマリーズは戸惑う。
「誰もクエスト受けてくれる人が来ないので私たちがクエストを受けます!」
「え?」
「いいじゃない。今時冒険者やりたがる人なんていないんだから」ゴルゴン本部のほかのギルドメンバーが肯定する。冒険者の数は、年々減少していた。
きつい、きけん、きたない三Kの仕事をやりたがる人は減っている。
「そうね。じゃあさっそく現場まで向かいましょうか」
「失礼ですが職業は?」魔術師でもなく、剣士でもなく、召喚士でもないマリーズの
姿に道すがらユーリャは不安をいだく。
「あ~私は仲介業をやってるので冒険者の仲介ね」
「ということは、戦闘は?」
「全くできないのというか正直したくない。あなたは…剣士?」
「そう」
「え? じゃあ紹介所は?」
「今、はみんなが手伝ってくれているから」
「なんで冒険者なんかなったのもったいないない。せっかく安定して終身雇用の紹介所の仕事につけたのに…」
「毎日同じ景色、仕事それにあきちゃって」
「ずいぶんへき地ですね…」到着した場所は、街が遠く見える荒野だった。
「すいません」村長の紹介でちいさな民宿に泊まることとなった。
「大きいですね…」明らかに村の大きさに見合わない大きさの洋館だった。
「昔は、この村もにぎわっていてね…良くハンターや冒険者が訪れていたんだよ
ただ今ではすっかりガイコツ軍団に生態系を荒らされてね…
いいモンスターがでなくなったもんだから誰もこの村を訪れなくなってね…」
「それに冒険者の減少が追い打ちをかけたと…」
「はい、いわばこの村は、昔宿場街のようなところでした」
「部屋は…」
「別々で…」
「一緒で!」ユーリャとイーサンがほぼ同時に言う。
「なんでもいいからクエストをとってきなさいよ!」ライラは、部下を叱責していた。
「だから評判が落ちすぎてなにクエストをもらえないっていってるでしょ!」
ロイルバーの子羊の内部で言い争いが生まれていた。看板を変えたものの
新興宗教にのめりこみ組織が傾いた噂が広まりすぎも仕事をとってくるのは
無理な状態だった。
「気合と根性がないからクエストが取れないのよ!」
「クエストとれました!」ギルドメンバーのジーナが飛び込んでくる。
「よくやったわわね!」ジーナは、他のメンバーと共にクエストに向かう。
「それに比べてあんたらは…どうして一つのクエストも取ってくることができないの?
はぁ…」
「すごい大きな食堂ですね」昔はにぎわっていたのか食堂も巨大だった。
「昔は、ここで大勢の冒険者が一攫千金を夢みて腹ごしらえをしてましたから
ドラゴンのふともも肉のソテー、スライムゼリー、回復草のサラダです」
それにしてもメニューは、食欲わかない名前だな…。
「何? 食べないの?」
「ああ、食べるよ」イーサンもユーリャにうながされて食べる。
「ねえ洋館のなか一緒にまわらない?」食後ユーリャにさそわれるままに
洋館のなかを一緒にまわる。
「図書室かな?」古びた図書室には、この村の歴史が書かれていた。
「へ~いい図書館だね~なんで本なんて読んでるの?」
「すまん」なんで本読んてるってそりゃ図書館だからだろ。
「さ、他いこ」本に全く興味を示さないユーリャにせかされて図書館を出る。
「ちょっと無謀ですおやめください」洋館のロビーで言い争う声が聞こえる。
「あなたに何か権利でもあるんですか?」
「たんどくでのクエストは危険すぎます。待ってください」古巣のロイルバーの子羊のメンバーと
この屋敷を案内してくれたジェントルマンが言い争っていた。
「離してよ!」
「今まで単独でこのクエストから帰還した人はいません。スタッフさんもなんとか
言ってくださいよ!」
「私の仕事は、お仕事紹介だけなのでこれで失礼します」イーサンたちに
クエストを紹介した冒険仲介業者がほったらかして
あたかも自分の仕事ではにというていで帰っていっていまう。
「あなたたちのギルドはなにやってるんですか!」
「無駄ですよ。人件費の削減でこれ以上だしてくれないですよ」
「え?」ジーナーは、屋敷を出てクエストに向かっていく。
「では、行ってきます」
「くれぐれも気を付けてください」屋敷のジェントルマンに見送られて
ユーリャとイーサンもスケルトンとうばつのクエストに向かう。
「この辺か…」鳥居のゲートをくぐると。人の気配のないかやぶき屋根の
屋敷がある村があらわれる。
「こんにちわー」
「おい、辞めろよ」朽ち果てたかやぶき屋根の古民家や小屋、
周辺を覆いつくす背の高い木。
「何~? ビビってるの?」
「今! ピアノの音しなっかったか!」
「何が? これでしょ」大昔にこの建物に住んでいた子供が使っていたであろう
鍵盤の残骸が畳にころがっていた。
「誰もいないないね」どこにも人の気配を感じなかった。
「あそこどうだ」鳥居が山の斜面に立っていた。廃屋は一通り
見て回ったので山の上にある神社を目指す。
「墓?」
「花美月…尼…」墓にきざまれた文字は途中でとぎれていた。
「あま?」
「こんにちは~」神社の建物の扉を開ける。
「おい!」
「何よ」
「こんな不気味なクエストなんだからもう少し慎重になれよ」
「いやだって誰もいなんだから」
「いらっしゃい」
「こんにちは~」イーサンは、すぐに攻撃態勢をとる。
「ちょっと! やめなよ」
「いや、お前なに言ってるんだよ! 高難易度のクエストだって言ってるだろ」
「あら、そうなんですね。こんな僻地までわざわざ」
「ごめんなさいね。彼ビビリだから」
「いえ、お気になさらずに」
「ここにおひとりでお住まいなのですか?」
「ええ、分け合ってこの神社でお世話になっています」
「寂しくないですか」
「そうですね。でも一度世から身を引いたのでもうしゃばに未練はありません」
「このあたりスケルトンのクエストがあると聞いたのですがご存じないですか?」
イーサンがユーリャと謎の尼さんとの会話をさえぎり話を進めようとする。
「いえ、そうですね時折冒険者の方は立ち寄られますが…」
「ちょっと今は、クエストのことはいいでしょ」
「えいいえ、お気になさらずに」
「あ! 冒険者の方ですか?」一足先にここにたどり着いていたジーナが
姿を現す。
「先ほどここにこられて同じような質問をされていました」
「残念…先越しちゃった」
「え!もしかしてもうクリアしちゃったの?!」
「そうクリアしちゃった。だからここにはもう何もないよ」
「え〜せっかくここまできたのに…」
「仕方ないもう帰ろうクエストなんか世の中にゴマンとあふれているんだし」
「あの…このお地蔵さん…」イーサンが境内にあるお地蔵さんについてまずねる。
「はい。そのお地蔵さんは歴代尼の地蔵になります」尼さんが答える。
「そうなんですね」
「アイ…」読みづらい字を読解する。
「大昔に刻まれた文字ですからね。すいません…これからお祈りがあるので…」
「これ以上は、迷惑だぞもうやめとこう」ユーリャをなだめる。
「でも…イーサンは、何か祈ったことあるの?」
「いや…何か祈ったところで何も叶わないよ。だから俺は何も祈らないよ」
「よかったら二人の無事をお祈りいたしましょうか」
「俺はいいよ」
「そうおっしゃらずに」
「そうだよ。そこまで断る必要ないじゃん」
「この世に神も仏もなしが俺にとっての現実なんでね。お祈りなんてするぐらいなら独りで踊り子のクエストでもするほうがまだましだよ」この世界では、踊り子は性風俗の隠語として使われている。
「すいません変態で…」ユーリャが代わりに謝る。
「そんな煩悩にまみれた冒険者の方にはぎしきが必要ですね。百年以上前から続くぎしきが
あるのであるのでお目にかけましょう」
「ぎしき?」
「もういいですよ。宗教勧誘ならよそでやってください。冒険者に必要なのは
お金なですよ。祈りで人は幸せになれないし。なれなくても責任とってくれない
ですよね?」
「あら、ますますあなたにはぎしきが必要ですね」
「なんのためのぎしきなんですか?」
「信仰心を失った現代の凡夫を信仰の道に導くぎしきです」尼が目を閉じ魔法陣を
展開する。クエストが始まる。
「そりゃ人がいないわけだ」ユーリャもすぐに武器を取り出す。
意味不明なお経を尼が唱え始める。全裸になったジーナの体が浮かび上がる。
尼は、ジーナの体から心臓を取り出し自らの体内に取り込む。ジーナのライフポイント大幅に上昇する。
「さああなたがたもどうぞ」ジーナ体食べるように勧めてくる。
「お断りね。まだ人の道を離れるつもりはないからね」
「ぎしきなんて百回やろうが何も願いなんてかなわないよ」
「そうですかてはあなた方には仏の慈悲を捧げましょう」尼の攻撃がそらから降ってくる。
「くっそ…」この異世界に来てからというものまともにダメージを食らったことのないイーサンに大きなダメージがはいる。
「イーサン大丈夫!?」
「大丈夫じゃなさそうだ…」一瞬でイーサンのライフゲージは赤になる。ユーリャもわずかな攻撃がかすっただけにもかからわず武器が粉々になっていた。
「あら、何を驚いているのかしら?」
「どうやら大ボスみたいだな…」
「あなた自分の能力に気づいていないみたいね。あなたの能力は、魔法、アイテム、武器無効化の能力」
「え!! ってことは何もかも無効ってこと?!」ユーリャが驚くのも無理はなかったイーサン自身も無茶苦茶な能力に驚いていた。
「よかったわね。あなたが無能力者で…いやひょっとしたら…いや…ただの剣士ね」
「そうよ。見ればわかるでしょ」
「何も理解していないのね。彼の能力にはデメリットもあって味方の能力も封じてしまうの」
「え!?」
「よかったわね。職業が剣士で。まあ彼と別れない限り絶対魔法使いにはなれないけどね」
「くそ…ならなぜお前の攻撃は…」ボロボロのイーサンが起き上がる。
「残念ね。私の攻撃は魔法でもアイテムや武器によるものなんかじゃないの私の攻撃は…」イーサンの体が浮かびあがり床に魔法陣が表示される。
「ここまで…か…」イーサンの目がゆっくりと閉じる。
「イー君!」遠くからユーリャの声が聞こえる。
「ここは…」足元にマップが表示されている部屋にイーサンは降り立った。
「ここはあなたの心のなかよ」
「って…う!」全裸の妖精のようなはかなくも美しい美少女が立っていた。
「心配いらないはここはここの世界なにも隠すことなんてできないはわたしもあなたも」
「えっ?!」目の前の美少女だけでなく自分自身も全裸になっていた。恥ずかしいくないけど…隠すべきか…まあ俺が勝手に脱いだわけじゃないし。見られるの嫌いじゃないし…見せてやる!
「っといったここの声はここでは全て筒抜けになるの」
「は!?」イーサンの心の声が全て筒抜けになっていた。ま、いいかどうでももう死んだんだし。イーサンもヤケクソになってきた。
「あなたは、なんで異世界に転生したの?」
「というかお前は誰だ?」
「え?! もうわすれちゃったの? ヘラだよ」
「え?! え?!」明に見た目が違ったが面影がなくもなかった。急に大人になったヘラがそこにいた。
「私の仕事は運び屋…あなたの命を運びに来たの」
「命?! お前まさか運び屋じゃなくて死神…!」
「そんなことどうでもいいのあなたはなぜ異世界に転生したの」
「いや…なんか、気づいたら異世界にいただけだし…」
「ほんとに?」
「現実世界がクソだからに決まってんだろ。幸せになるだとか大嘘ついてるカルトは大儲けしてるしいくら大事件がおきても一切法律で規制されない。もう、うんざりなんだよ。狂ってるよセカイは」
「カルトにふくしゅうしたい?」
「いや…もういいさどうでもいまさら人生なんてやり直せない人生は、一度きり一度失敗した人間にチャンスなんて与えられない。それどころか一度失敗した人が挑戦しようとすると刑務所送りだよ。俺がやりたいのはふくしゅうではない。これ以上カルトにだまされる人が現れないような社会をつくりたい」
「ならこの世界から抜け出して」
「いやいいよもう。誰も俺が正しいことをいっても耳を貸さないんだから」
「足元を見て」
「ん?」足元にはこの異世界のマップらしきものが表示されていた。
「あの島見てて」島が姿を消した。
「はあ…で?」
「このままだとこのマップいやこの異世界は消滅してしまいます」
「は?」
「あなたの敗北を悲しんだ聖女がその怒り悲しみをこの世界にぶつけこの世界に破壊がおとずれています」
「そんなでたらめな! 俺が勝たなきゃこのマップは…」
「それはどうなるか分かりません。少なくとも大部分が失われるでしょう」
「俺が負けることがそんなに問題なのか?」
「彼女には、本来備わるはずのない恋愛感情が芽生えようとしています。そしてCPUのわたしにもじがが芽生え始めていますすべはあなたが転生してからのことです」
「え? あ? ユーリャが俺のことを好きってことか?」
「それに近しい感情が芽生えているのは間違いないです」足元でまたマップの一部で大爆発がおき街が消える。
「説得して止められないのか?」
「それはできません」
「なぜ」
「この力が備わっていることが知られればどのように悪用されるか分かりません」
「いや…あんな薬にも毒にもならないようなクエストの受付のテンプレキャラがそんな能力悪用するわけないだろ」
「では、あなたはどうして彼女に聖女としての能力が備わった説明できますか」
「いや」
「それはつまり彼女とつぜん悪役のラスボスにひょうへんする可能性もあるということなのです」
「いや…あ…ん〜つまり俺がこの部屋からでて戦わなければこの世界は吹っ飛ぶわけだなわ」
「あの尼は教団のメンバーよ」
「教団?! でももう俺には戦う理由もない」ギルド暁を破壊し尽くした教団のメンバーが目の前にいる。
「そうあなたは、現実世界でもカルトに負け虚構の世界でもカルトにまけるの」
「ああそうだ負けたところで失うものなんてないよ。こんな虚構の世界にいる時点で実質死んでるようなもんだからな。家庭も彼女も金も地位も名誉もないこの俺が何を恐れよう」
「じゃあこのままこの世界が滅ぶのを見守る? このゲーム勝ちたくない?」
「世界を救う気はないが…カルトは滅ぼしておかないとな」
尼の築いた魔法陣が歪み崩れる。イーサンは、自分自身の足で立つ。
「馬鹿な…」
「だいぶ効いたよこの攻撃ただないくら人の心に入りんんで攻撃したところでもともとボロボロの俺の心はこれ以上壊れようがないんだよ。あんたらカルトに人生もなにもかもボロボロされたおかげでね」
「イー君無事なの!」
「いや全然無事じない…」ライフゲージは既に赤くなっており余裕はなかった。イーサンは、拳で尼をぶん殴る。尼は、ふっとばされ巨大な御神木に叩きつけられる。
「天罰がくだりますよ! 仏の天罰が!」血だけの尼が絶叫する。
「仏の天罰?! ハハハハ怖いわけないだろ! あいにく現実世界で仏の天罰はきっちりうけているんでね! おかげさまで人生無茶苦茶だよ!」
「天罰が怖くない?! そんなの嘘です!」尼が口を多く開けて光線を吐き出す。
「だから言っただろ効かないって」物理攻撃以外は、イーサンの前では意味をなさない。距離を詰め止めの一発を尼の顔面に放り込む。
「罰当たりな悪魔め…」
「あのな神様だか仏様だか知らねえけどな。本当に信仰を集めたかったら罰ではなくて幸せを人に与えるんだよわかったか?」尼の体が粉々に爆発すると同時に今まで小高い山の上だと思っていたところが白骨死体の山に変化する。
「ヒィ!」ユーリャが謂わず声をあげる。あたりには冒険者たちが持っていたであろうアイテム武器が散乱していた。
「これでクエストクリアだな」
「大丈夫だったの?!」
「大丈夫大丈夫…」まあ、このマップのとこかの島は大丈夫じゃなさそうだが…。
洋館に戻るとさっきまでいた老紳士は姿を消していた。
「誰かいませんか〜」
「もういいだろ」だれもいなくなった洋館をあとにする。
「バカめ…これだから冒険者は…クエストなどとくだらないことに精をだす脳筋ばかり…ここも潮時か…」二階の窓から二人が洋館を出ていくのを老紳士は、カーテンの影から見守る。
「いや…これも捨てがたいな…いやこれも…」地下室には、尼に殺された冒険者の
アイテムや武器を山分けしたものがやまずみにされていた。
さらに地下牢には女冒険者たちも収監されていた。
「女たちは、捨てていくか」
「もったいないですね。私がもらいましょうか?」
「貴様どうして! ヨマントの硝石によりこの空間には入れないようなっているはず!」
「残念ね~。そういうの一切効かないのイー君には」
「は? ヨマントの硝石が効かない? う・嘘だ!」
「武器を置いて憲兵の自首しろ」
「何を自首すればいいんだ。ただのコレクションだろ!」
「こいつに騙されて! クエストに!」牢屋の女冒険者が声をあげる。
「黙れ! 俺はクエストを紹介しただけ負けたお前が悪い!」
「じゃあ俺が今おまえをぶっとばしたらここにあるのはすべて俺のものってことだな」
「おやおや穏やかじゃないですね。ガキが! ピルデウスの覇剣!」UR武器を
老紳士が手に取り振るい強力な攻撃を加える。
「どうして!」イーサンに大ダメージが入る。
「イー君!」
「お前は、おとなしくしていれば見逃してやる」しかし忠告を無視して
大剣を振るったユーリャを老紳士が切り裂く。
「なかなか面白いスキルを持ってるなま、私の前には無意味だがな
貴様のシールドあらゆるものに干渉して無効にするみたいだな」
「え? シールド?」ユーリャの目には何も見えていなかった。
「どうなってるんだ…効かないじゃないのかよ…」
「ではお別れですね! そのスキルしっかり生かさせてもらいます!」ピルデウスの覇剣
でイーサンにとどめを刺す。
「…」閉じた目を開けるとイーサンの目の前には誰もいなくなっていた。
「え?」ユーリャもきょとんとする。
「ん? なんだここ」老紳士は、真っ白な空間に飛ばされる。
「なかなか素敵な武器をお持ちみたいですね」目の前にはヘラだけが立っていた。
「あ? なんだガキ」
「口の利き方もわからない老害にはこまりますね。ゲーム何にない武器を使うなんて
ルール違反ですよ」
「チートの何が問題なんだよ」
「問題ないと思うわけですね」
「ああ、そうだ」ヘラを覇剣で瞬殺しようとする。
「では、ごゆっくり」丁寧にヘラがお辞儀すると老紳士の体が徐々に消滅していく。
「貴様! 何をした!」
「あなたの願いを叶えてあげるだけです」
「おい! 次合ったらぜってつぶしてやるわ!」
「なんだここは…」迷宮のクエストに老紳士は飛ばされていた。
「うっ!」突然壁の向こう側から魔力の弾丸が連続で飛んでくる。
「銀狼壁!」とっさにこのゲーム内にない強力防御アイテムで防ごうとするが間に合わず多量に被弾する。
「どうなってやがる」その後も壁の向こう側から何度も的確に魔力の弾丸が老紳士向けて打ち込まれてくる。
「これじゃ防ぎようがない…」老紳士は、覇剣で本来ゲームの仕様では破壊できないはずの迷宮のクエストの壁面を破壊していく。
「ん?!」目の前に現れたのは本来戦闘能力などやい踊り子の美少女だった。
「どうされました」
「いや…さっきから壁抜けの攻撃を受け続けていて…さっきまでこのへんに魔術師はいなかったかい? お嬢ちゃん」
「ん…! そういえばさっき私に乱暴した魔術師があっちに…! 見たことのないアイテムで攻撃していたので間違いないです!」そう主張する踊り子の服ははだけていた。
「そうかすまなかったね。気をつけてねこのダンジョンはかなりかなりハイレベルだから」
「はいありがとうございます!」涙目になりなが深々とお辞儀をする。老紳士は、踊り子のあたまを撫でその場をあとにする。頭をなでられている踊り子は、少し安心したのか笑顔にひきっていた。
「ドドド!」
「う!」猛烈な爆音と爆発が老紳士を襲う。老紳士は、とっさに回避するが攻撃が一発も交わせない。
「貴様!」
「ハハハハ! どうしたのオジサマそんなコワイ顔して!」さっきまでカヨワイふりをしていた踊り子の顔は醜くゆんがんでいた。その手には、みたこともない魔術師のステッキが握らていた。
「どうしてそんな武器を…」老紳士は大ダメージを受けて起き上がれない。
「ハハハハ! え? 何言ってるの? あんたもチーターでしょ白々しい。ここはねゲームないのチーターが全員飛ばされてくるサーバーなの」
「は?!」
「じゃあね!」もうすでに瀕死状態の老紳士にオートエイムの魔力の弾丸ノーマルバレットを撃ち続け死体撃ちを続ける。
「ほらほら! ほらほら」
「畜生! その銃をどけろ!」チーターの老紳士は、このチーターだけを集められたサーバーで今日も戦い続けている。
「ありがとうございます」イーサンたちに地下牢から開放された冒険者たちは、口々にお礼を言ってくる。
「い、いや…」
「このままずっと…閉じ込められたままかと思って…」
「簡単なやすいクエストがあると騙されて出発前に武器を預かられて…あのときおかしいことに気づいておけば…」
「あの…見えてますよ…」
「あ! ごめんないさい…」ほとんどまともな服も与えられいなかったため牢屋に閉じ込められていた女冒険者たちは、裸同然だった。イーサンの手を握っていた手を離し体をかくす。
「何いってんだい命の恩人に出し惜しみはなしだよ! 好きにしてくれていいんだぜ!」別の筋肉質の女冒険者は、恥ずかしがるどころか誘ってくる。
「じやあ…」
「いえ…結構です」コワイ笑顔でユーリャがイーサンをさえぎり断る。
「え〜残念…逆ナン失敗か〜またいつでも連絡くれよな。ま、そっちの美人さんと破局したらいつでもおいで、これでもそこそこ蓄えはあるからあんたみたいな無名の冒険者でもひもで大歓迎だ」
「ちょ…違いますよ!」
ゲートを通り街につくと大勢の人が噂を聞きつけあつまっていた。
「アンナ! 無事だったのか!」開放された冒険者とその家族たちが面会をはたし歓びを分かち合う。
「ありがとうございます」
「え?! あ、あぁ…」大勢の人々が口々にイーサンにお礼を言う。
「ヘラ…その…話が…」紹介所まで戻ったイーサンは、精神世界でのことを聞くためヘラを誘う。
「え?」
「え? 何の話?」ユーリャが興味を示す。
「この世界でいま起きている世界終末論の話」
「え? やっぱり あの尼の攻撃で壊れちゃった…」
「冗談だよ冗談」どうやらあの精神世界で話していたことはほんとのようだ。
「何?」紹介所から少し離れた平原にやってくる。
「何ってそりゃこっちのセリフだよ。ユーリャの気分次第で世界が壊れるって何言ってるんだ」
「飲む?」虹色の怪しい木の実を割り差し出してくる。
「あ、ああ」意外とおいしかった。
「私はただいまこの世界でおきていることを説明してるだけだよ」
「ほんとなのか?」
「ほんと」
「どうして」
「さあ?」
「でたらめにもほどがあるよ。どうすりゃいいんだよ」
「ひたすらクエストをクリアし続けるしかないね」
「はぁ…いつまで続くんだ?」
「さぁ」ヘラは適当にとぼける。
「助けてくれ!!」大声が聞こえてくる。
「いくか…」
「頑張って」
「いや、お前も一緒にいくんだよ」巨大な蜂のモンスターに老人が襲われていた。
「大丈夫ですか!」
「あ! 冒険者の方かい情けないことに私は非力で」イーサンは、完全防御のスキルを発動する。
「ガキッ」蜂の巨大な毒針を両手で受け止める。
「なんて…力だ…いや! 駄目だすぐにその毒針を話しなさい! 全員から血をふきだしますぞ!」蜂も動揺したのか動きが少し止まる。
「大丈夫ですよ。ほらしっかり返してやるよ」毒針を蜂めがけて投げつける。蜂に突き刺さり血しぶきを吹き出す。そして地鳴りとともに地面へと落ちる。
「急いで手をあらってください! 一刻を争います!」助けられた老人が血相をかえてイーサンのもとへ駆けつける。
「いえ、いえ大丈夫です。スキルを無効にするスキルを持っているのでなんともありません」
「なんと…」
「ほんとのことだから心配しなくていい」ヘラが弁護する。
「すいません。申し遅れましたわたくしボニア司教領の賢者マルゴト・ホフというものです。先程の戦闘見事なものでした。突然で申し訳ないですが我が国の王子の影武者になってはくれませんか」
「影武者?!」
「さようです。我が国では、王子を危険にさらさずに王子の力強いイメージをつけるため影武者により戦闘を行いその功績を王子のものとしています」
「いやいや…それじゃ国民を騙すことになるでしょ」
「そうですか…残念です報酬は十万ゴールドなんですが…」
「よろしくおねがします」なんのちゅうちょもなくヘラが手を差し出す。
「お嬢ちゃんありがとね物わかりがいい子だね」
「王子は、それでいいのか?」
「もちろん王子もそれでご納得いただいています」マスゴト爺さんは、笑顔でヘラのあたまを撫でている。
「そうか…」
「か! 影武者!」紹介所に戻ったヘラは、早速ユーリャに報告する。
「そう、影武者〜」
「いや! 素敵! しかも王子の影武者か〜」ユーリャは目を輝かせる。ゲームのどこにでもいる紹介所女キャラが絶対見せないような豊かな表情をみせる。
結局ヘラ、ユーリャと共にボニア司教領に入る。
「いいですか、あくまでも身分は使用人くれぐも自分の身を明かさないように」ホフに司教領内の宿を案内される。
さっそく次の日には、司教領の姫エミールとその一行にくわわることになる。
「キレイね…」ユーリャがエミールにみとれる。エミールは、城が買えるのではないかというぐらい高価な装飾品をつけていた。
「あんな格好でほんとにクエストやるつもりなのか…」イーサンは、あきれる。しかし、その装飾品は、王国史にのこる美女と呼ばれるエミールにはふさわしかった。
「あの…なんのクエストなんですか?」ヘラがそばの騎士に尋ねる。
「聞いてないのか、オーガーが最近里から降りてきて街に出没するようになったからその討伐に向かっているだよ…」低身長で非力なヘラのことを騎士は不思議そうに眺める。
「じゃあしっかりやっつけないとね」
「戦うつもりなのか?」
「いや、見てるだけ」
「そ、のほうがいいよ…」
「現れたぞ!」斥候の騎士の声が聞こえる。
「ギャッ!」
「ゴキバキキキ…」先の方から悲鳴と鈍い音が聞こえてくる。
「おい! おい! 使用人聞いているか!」貴族の魔術師からイーサンが注意される。
「あ、はい…」
「いいか、とにかくにげろ絶対に姫に攻撃を加えさせるないいな!」
「しょ…しようちしました」イーサンは、ユーリャ、ヘラと共に姫を護衛する。
「ん!?」
「えええい!」オーガーにユーリャが斬りかかる。
「何をかんがえている! 使用人の分際で! ひっこんでろ!」そばにいた貴族の騎士におこられる。
「目の前に敵がいるのに!」
「いいから下がってろ!」小柄な美少女の姿をしたオーガーが魔法使いや騎士を次々に倒していく。倒れた騎士の甲冑からは、血がながれてあたり一帯ちだらけになる。オーガーは、姫めがけて突進してくる。
「イー様出番ですぞ」ホフが耳打ちする。ホフが甲冑を着せる。
「これは…」
「姿を決してみせてはいけません」すぐそばの馬車には、エミール姫がいた。
「あっ!」小柄の美少女オーガーにユーリャは、ふっとばされる。
「だから、大人しくしてろといっただろ!」騎士隊長がユーリャを叱る。騎士隊長のアンヌの攻撃は、確実にオーガーを弱らせていた。
「あと少しだ!」隊長の一声にみな奮起し攻撃を加える。オーガーは、すでに血だらけなってぐったりとしていた。
「オーガーは!」王子の影武者として全身甲冑のイーサンが現れる。
「王子!」周りの士気がたかまる。しかし、オーガーの足元には、冥界があらわれ死神がオーガーを引きずりこんでしまっていた。
「あ…終わった」影武者として戦う前に騎士団や魔法使いたちの活躍によりオーガーを倒してしまった。イーサンは、とほうにくれる。
「王子! やりました!」騎士隊長が目を輝かせながら報告にあがる。奥では、ぞんざいな扱いをうけたユーリャが怒りを爆発させようとしていた。イーサンは、必死にこらえるようにジェスチャーする。
「よくやってくれたね」
「ありごとうございます!」騎士隊長は、明らかに王子のことが好きそうだった。オーガーが排出したアイテムのツノを回収して終わりになるはずだっだ。
「王子どうぞ!」周りの騎士、魔法使いたちはみなイーサンがツノをひろうのをまっていた。
「あ、あ…」手を伸ばしたときに背中をたたかれる。
「コツコツ」
「ん?! あ?!」振り返るとそこには、死神が立っていた。
「王子!」騎士隊長が剣を振るうと死神は、一瞬でバラバラに砕け散る。
「死神よ、よわ…」イーサンは、あまりの弱さに困惑する。
「王子もうここに用はありません撤退しましょう」
「あ、そうた…」イーサンの後方で冥界の扉が二つ開く。
「何?!」死んだはずのオーガーが復活し、別の死んだオーガーと合体する。
「冥界召喚…」ヘラがボソッつぶやく。
「え? 何?!」騎士隊長が動揺する。
「おい! 使用人は下がってろといっただろ!」他の魔法使いがしっせきする。
「お前みたいなザコがでてきたら足手まといのんだよ!」
「いや彼女の言うことは、間違っておらんよ」賢者ホフが話に割って入る。
「ホフ様」
「あれは、冥界召喚といって死んだモンスター同士が融合する方法じゃよ。そして召喚されたモンスターは死ぬ前よりはるかに強力になる」融合召喚されたオーガーは、王国の魔術師や騎士を簡単にほうむりさっていった。
「さて、問題」オッドアイの美少女オーガーが惨殺した騎士の生首を仲間の騎士にえがおで放り投げる。
「ヒィッ!」
「エリアとコレットのどちらがつよいでじょうか」
「ば、化け物!」恐怖でさくらん状態の騎士は、もはや戦闘どころではなかった。
「正解! でも殺す」
「ギャアアアア!」騎士は、バラバラに砕け散る。
「貴様!」隊長が攻撃を仕掛ける。
「やめなさい!」ホフの静止も虚しく隊長は、ふっとばされ大ダメージをうける。
「どうして…」
「敵を倒すたびにつよくなってる」この状況にびどうだにせずヘラかスキルを読み解く。
「正解!」
「姫!」オーガーが姫に迫る。魔術師が食い止めよとするが攻撃力が上がり続けるオーガーの前になすすべももない。
「大丈夫?」オーガーの攻撃をイーサンが受け止める。
「ありがとう…」
「あれなんで邪魔するのかな?」オーガーの標的がイーサンに向く。オーガの振りかぶった
斧を砕く。
「コレットちょっとおかしい」攻撃を受け止められ、武器を破壊されイーサンがほかの
メンバーと違う強さだとオーガは認識した。
「そうね何か変本気でいかないとね」追加でスキルを発動して人骨をまとった姿になる。
「王子気を付けてください」周りの騎士たちがうめき声をあげながらちゅうこくする。
「ああ!」
「ぎゃああ!」オーガの投げた武器で次々に騎士や魔術師の体がばらばらになっていく。
「バキキキ…」飛んできたはイーサンの目の前で砕け散る。
「どういうこと!?」オーガーがおどろきのあまり固まる。
「悪く思わないでくれよ。特に恨みもないが消えてもらう」こぶしが、オーガーの体を
貫く。
「王子大丈夫?」何もせず様子を見守っていた姫がイーサンによってくる。
「ああ、大丈夫。ありがとう」
「エミール姫、王子は負傷しています。治療が必要です」何の役にも立たないただの
飾りと化しているエミールをホフが王子からきりはなす。
「すいません王子、王国新聞です。今回の戦闘の感想をきかせてください」新聞社の記者が
インタビューをしてくる。
「いや、いつも通りこぶしできめました」
「…」記者は、イーサンのコメントを期待するが、普段をしらないのでコメントの
しようがなかった。
「平和を願いたいたいですね。王からもっと楽な仕事に転職したいですね」
「え!?」
「いや、今王は混乱しているのです。くれぐれも記事にしないように」偽王子を知っている
オフが記者からまもろうとする。
「どの仕事に転職したいですか?」
「清掃にでも」
「え!?」
「いや、もうここまでです」健在の数少ない魔術師が記者から離す。
「お疲れ様でした。お見事でした」ホフがイーサンの甲冑を取り外す。
「いや、強い相手だったな…」
「冥界召喚されたモンスターは、強いですかでも、見事ですスキルブレイカー…ここまで凄まじい能力ですな…」
「お見事でした」無傷のヘラも他人事みたいに拍手する。
「お前は、何やってたんだよ」
「なんで、こんなん参加しなきゃならなんいだよ」イーサンは、王宮の発表会に
いやいや参加する。
「なんで、よいいじゃん」ユーリャが町で買ったアイスクリームのようなものを食べていた。
「なにたべんての」
「え? ドランゴンのアイス」ドラゴンの乳からつくれたアイスらしい。
「あ、来た」コジマも合流していた。
「諸君、カリソン王子が今回ホルプ荒野に出現していた
オーガーを退治した!」
「オー!」王宮に集まった民衆が熱狂する。
「誰あの男」ユーリャの表情がくもる。
「さあ王子なんだろ」
「いいの?」
「何が」
「あの王子が撃退したわけないじゃん」
「いや、自分が撃退したしたって言ってしませば
影武者じゃないくなるじゃん」
「え? でも納得できない!」ホフも王宮のバルコニーから
姿を見せていたがイーサンの方に目線を
併せて会釈する。イーサンも静かにそれにこたえる。
「あ! 今!」ユーリャが騒ぐ。
「王子!」群衆からは黄色い歓声が沸く。
「王子、影武者のものが来ています」家臣が王子に耳打ちする。
「エミール姫少し」
「あごめんなさい」王子は、キスをして姫から離れる。
「君か」
「お目にかかれ光栄です」
「ゴンッ」いきなり聖杯をイーサンに向けて投げつける。
「王子!」同席していたホフがとがめる。
「ちょっと! 何するのよ!」ユーリャがかっとなるが
すぐに家臣が割ってはいる。
「貴様、姫にけがをさせたらしいな
もし、後遺症でものこったらどうするつもりだ」
「申し訳ありません」
「ちょっと! なんで謝るの? ぶっとばしてやらないと」
「なんだこの女はあ~転職者か」みくだした表情で王子がユーリャの方を見る。
「はい、どうやらこの女転職者みたいですね
この世界で転職者はカーストの最下層の人間相手にする必要ありません」
「額に傷のある異世界を破壊する転生者と転職者のゴミお似合いじゃないか」
「ちょっと! 覚えてなさいよ!」
「すまない私は、忙しいんでねいちいちザコのことは
覚えられないんだ」暴れるユーリャを抑えながら
外へ出る。
「王子はたいそうお怒りだ影武者を解任する」
「それって影武者を使ってることを隠すための
口封じ?」コジマがちょうはつする。
「ほう…でかい口をたたたくな…」幻術をつかい映像を見せる。
「止めて! 止めて! ギャアアア!」
「どうでしたかね」
「ハアハアハア」幻術を見せられたユーリャが滝汗を
かきかたで息をする。こうふんさせた二匹のドラゴンに
女性の片足をしばりドラゴンを真逆の方向に飛ばせる
拷問を追体験させられた。
「あらなかなかの趣味のようね」コジマが汗一つかかず
受け流す。
「貴様も幻術がつかえるのか」余裕のコジマを
見て家臣がどうようする。
「いいじゃないこいうのもたまには」
「この女いかれてやがる…まあ何にせよ
こうなりたくなかったら王子を怒らせる前に
この王宮から出いてくんだな」ユーリャは、ショックのあまり
失禁していた。姫と王子がラブラブしている
プロパンガンダポスターだらけの城をあとにする。
「なんで! 影武者断ったのよ」ゲートでワープして紹介所に戻ってきて
早々ユーリャが文句を言い始める。
「いや、だって仕方ないでだろむこうから断ってきたんだから」
「もったいない」
「あんだけボロカスに言われてたの
お前じゃん」
「それにおもらししてたんだって」
「ひっ ひょっとして見てたの…」ユーリャが真っ赤になる。
「いや…その見て…」
「見てただって」ヘラが自称読心のスキルで
イーサンの心の中を読み代弁する。
「やっぱり!」
「いや、ヘラのスキルなんてフェイクだから信じるなよ」
「すいません…」紹介所を平民が訪れる。
「はい」
「あのイーサンですか?」
「ええ…」紹介所の受付をしていたイーサンのものとに
依頼者がくる。
「すいませんクエストの依頼を」
「では、ここの書類に内容と報酬をお書きください」
「いえ…実は、ホフ賢者の使いのものです…」
「え?」
「ホフ様よりイーサンにご助力願いとのことです」
「そうですか…」
「なんとかお願いできないでしょうか。王子だけでは城がもたないとのこと」
「ん?」
「実は、あのあと気を良くした王子がオーガーのとうばつ遠征を
行ったせいでオーガーが城への大規模攻撃を
計画しているとの情報が入ったのです」
「ホフ様にはおせわになりましたから」
「ありがとうございます」
「貴様は!」オーガーたちが待機している指揮所をイーサンたちは訪れる。
「ちょっと待ってください。今日は戦闘に来たわけじゃないんです」
すぐに反撃に出ようとするオーガーたちをなだめる。
「じゃあ何をしに来たんだ」
「こいつコレットを殺した転生者だ!」オーガーたちが殺気立つ。
「ヘレスの聖母像を守ることができる」
「なんだと!? お前もう一回行ってみろ!」
「その言葉を軽々しく話すことが我々オーガーにとって
何を意味するか!」
「もちろんみなさんにとって聖母像を守ることが
なによりも大事ことも分かっています」ヘラが説明する。
「なんだ?!」
「彼女は博識で様々な種族のこと知ってるんだ」
「止めんか」
「長老!?」年寄のゴブリンが出てくる。
「うちの若いの失礼した。ただ分かってほしい吹雪条約を
破棄したのはボニア司教国のほうだった」
「聖像継承戦争で結ばれた条約」ヘラが単語をただ話す。
「そうだよ。良く知ってるね。一度あのような破棄
をしてこちらに攻めてきた以上我々も攻撃をしないといけない」
「そこで我々から提案がある」ホフが姿を見える。
「お前!!」緊張感が一気に高まる。
「王子! 城門にオーガーの一群が!」
「クッソ!! おい! 全員出撃だ! 迎撃しろ!
影武者を立てて指揮をさせろ! 姫!」
王子が慌ててエミール姫と王の間を飛び出す。
「王子! そこから先は地獄です」裏門の出口にイーサンたちが
立ちふさがる。
「また貴様らかどけ!」
「ん?」イーサンが立ちふさがる。
「おい! 直ぐに切り捨てろ!」護衛の魔術師に指示を出す。
「…」
「おい! 私の命令が聞けないのか!」
「…」
「貴様!」護衛に向かって王子が剣を抜く。
「相変わらず乱暴だな」オーガーの集団が姿を現す。
「なぜ城内に! 貴様ら内通者だったな! これだから転生者は!
国を乗っ取った転生者がいると聞いたことがある」
「我々からの要求はただ一吹雪条約の順守と
我々の連絡所を城内に造らせること以上」オーガーが
主張する。
「ハハハハッハ馬鹿なこと言いやがる斬り捨てろ!」
オーガーを見下し笑ったあと王子は護衛に指示を出す。
「…」
「おい! 何をしているこのゴミが!」王子が動かない護衛に斬りかかる。
「止めんか」
「!?」王子がすぐに動きを止める。
「みっともない失望したぞ」ボニア司教国の皇帝フーが姿を現す。
「父上!?」
「ワシがいない間にずいぶん馬鹿なことをやってくれたみたいだな」
後についてホフも姿を現す。
「父上これは」
「言い訳はもういい見苦しいぞ!」
「申し訳ありません」
「長老、そして名の知れぬ冒険者の皆様
このたびはご迷惑をおかけしました」けんきょに皇帝があたまをさげる
「いえ…そんな…」みなけんそんする。
「オーガーの皆様方私の息子がご迷惑をおかけした
謝ってすむ問題ではないと思うがどうか許してほしい
息子への処分は私自らがくだすそして、
条約のそんしゅとれんらくじょのせっちは約束しよう」
「おおおお!」オーガーたちから声が上がる。
「おい! こっちは村破壊されて大切な人を殺されてるんだぞ!
そんなことで水に流せるかよ!」
「そうかならこれで、どうだ」皇帝が突然王子のアイテムリスト
をあさりはじめる。
「え?! これは!」オーガーが固まる
王子の証である王冠をオーガーに手渡す。
「父上!」
「まだわからんようだな。もうお前には必要ないということだよ」
「そ・そんな…」王子は、その場に崩れ落ちる。
その言葉は玉座からのかんらくを意味した。
「君、大切な人を失ったと言ってたな」
「あ?!」あまりのことに黙ってしまったオーガーに皇帝が
話かける。
「死んだ人を生き返らすことだけはできない。しかし
代りの人間を渡すことぐらいならできる」
皇帝は、そばの呪術師に目で合図する。
「身体連結印!」エミールに術をかける。
「ちょっと! 嘘でしょ」エミール姫がショックの絶望的表情になる。
「…」オーガーたちも衝撃を受ける。
「おいおい、どういうことだよこれ」
「今、君たちからエミールが逃げられない術をかけた
エミールは、これから君たちのものだ好きにしてくれていい」
「ちょっと! あんた! 頭おかしいんじゃないの!」