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現実世界で敗れた弱者男性は、異世界で勝負のない世界を創るようです

「くっそ何をやってもうまくいかねえ!」

スマホで成功した配信者の動画を見ながらため息をつく。

対象的に俺は、童貞、貧乏、やりたい仕事にも就けない。

信号待ちをしながら携帯で配信者の動画を見る。足元に野良猫が

寄ってきたのでなでようとすると

「ニャッ!」

「痛った!」ネコにかみつかれてあわって振り払う。

「そうか、ネコにすら触れられないのか、可愛いものには、

 指一本触れられないんだな…」

「同世代、同じ宗教、しかもこいつは、何も宗教活動していないのにどうして俺よりも運が

よくて、俺よりも幸せになってるんだろおかしいだろ」ネット上では、その配信者が、

交際していた女に振られたとして自虐し自分のことを不幸な人間として

アピールしてファンから同情されていた。

「いあいや、女と付き合える時点で無茶苦茶幸せだし、恋愛強者じゃん。

落ち込む要素ゼロだろ。ほんと仏や神様なんているのかよ。クソが不公平なんよ!」信号が、青に変わり横断歩道を歩き始める。

「ニャぁ」

「ネコか…」前から猫の鳴き声がしたので何気なくスマホから顔を上げる。

顔を上げてからは、何もか考える暇などなかった。

目の前の猫に信号無視した大型トラックが突っ込んできていた。

猫に特別な感情は、なかったが気づいたときには、猫を投げ飛ばし

自分の体はトラックの正面に躍り出ていた。

俺の体は、数トンのトラックに押しつぶされて体の全てがつぶれて

血が辺りに広がる。


意識が遠のいていく。

「ここは…」目を覚ますと辺りは一面真っ白な空間で二人の老人が椅子に座っており、

露出の激しい若い美少女たちが、お世話をしていいた。

「相変わらず尻をしているなぁ」

「ちょっとやめてください仏様」にやにやした老人が、お世話係の美少女のおしりをさわる。

美少女は、さわられなれているのかそんなにいやがらないなれているようだった。

「おお、なんか来たわ」

「…」

「あ、お前さっきしんだから」

「え?」

「覚えてない、お前猫を助けようとしてトラックに轢かれたんだよ」

「…」轢かれたことを思いさせない。おそらく事故のショックで思い出せなくなっているのだろう。

「ハハハハハ。面白かったよ」

「は?」爆笑しがらワインを飲む首や指に高そうな貴金属の指輪やブレスレットをつけている

仏が大爆笑するのを見て、眉間にしわを寄せる。

「は? じゃないだろ口のききかを気を付けろ! そうだな…今日は、ちょっと

ワインの味がいまいちだからお前、魔力ゼロ、戦闘力ゼロで転生な」

「は? なんの話?」

「なんの話ってお前今から現実世界から異世界に転生するんだよ」

「は?」

「魔力ゼロ、戦闘力ゼロで転生ってどういうことだよ」

「ハハハハハ! せいぜい苦しめや!」

「てめぇえええ!」

「ハハハハハ! いいぞ! そうだ! そうだ! 人よ苦しめ、そして憎み争え!

人が苦しむのを見るのが大好きだからなあ」

「は? なんだお前?」

「ははは! 私は教団の仏だよ異世界、現実世界の全てを司る」

「何いってるんだじいいさん」

「災害もテロも戦争もすべて私が起こしている」

「は?」

「モテない人間モテる人間、お金のあるものお金のないもの全て私が

 楽しむためにやってることだよ」

「クソが! 貴様ら仏がいるのせいでどれだけ多くの人間が日々くるしんでいると

 おもってるんだ!」

「うるさいな~さ! いったいった。お前みたいなザコキャラがいなきゃ

 世界が盛り上がらないからな。せいざぜいレールの上の不幸な人生を送りな」

「貴様! 旋風覇!」イーサンは、拳で仏に殴りかかる。

「ほう、仏に戦いをいどうもうというのか?」

「貴様らが、格差、競争を生み出すせいでどれだけ多くの人が

 不幸になっているとおもってるんだ!」

「転生者で私に逆らったの貴様がはじめてだいいだろう

 退屈しのぎにつきあってやろう」仏が第二けいたいに

 いこうし巨大化する。

「千爆針!」何千本ものレーザーが何も背景のない3D空間へと降り注ぎ

 猛烈なダメージをイーサンは、受ける。一撃でけりがついた。

「あああああ!」

「人は本当にか弱い」

「くっそ…このゲームから【たたかう】の

 選択肢をなくしせめてこの世界からだけでも俺は

 不幸苦しみ悲しみをけしさってみせる。そして平等な世界に…」

「弱い男なんて生きている意味ないですわ」仏のそばで

 べてべたしている露出の激しい女があたりまえのように

 言い放つ。

「ハハハハッハ! けっこうけっこう

 たたかいのない平等な世界やってみるがいい

 しかし、この私がいる以上無理だがな!」

 仏が指先で俺は異世界へと堕とされる。

 この物語は、理不尽にも異世界に

 飛ばされた俺が異世界で【たたかう】の

 選択肢をなくすために冒険した日々を書き記したものである。


「イーサン!」

「任せて」阿吽の呼吸で魔術師同士が連携きて巨大な召喚獣と対峙する。イーサンは、同じギルドのライラに攻撃増強の魔法をかける。

「ゴオオオオオ!」怒り狂い絶叫する召喚獣の前には、怯えた幼い女の子がいた。

「しかし、なんでこんな奥深くでこんな幼い子供がいるんだ…」

「無駄口たたいてないで、防御補助もお願い!」 

「あ、ほい!」

「くっ…」ライラが、ステッキを振り上げ防御魔法を展開召喚獣に襲われそうになっている幼い女の子を守る。

「だ、大丈夫?」幼女に向けて振り上げられた巨大な召喚獣の手をバリアで受け止める。反動で、ライラの大きな胸が揺れてシールドからは、火花が散る。

「オバチャン大丈夫…?」

「お、オバチャン」ライラの顔に怒りマークが、入る。

「バリッ…」シールドに亀裂が入る。

「ライラ!」

「ウオオオ! 誰がオバチャンジャアア!」

「ヴッ!」ライラは、巨大な召喚獣の振り下ろされた腕を力技で跳ね上げた。

「え…」召喚獣は焦り、イーサンは困惑する。ライラは、そのまま魔弾を召喚獣に撃ち込む。

「ウオオオ!」召喚獣は、ダメージを受けるものの倒れることはない。また、召喚獣は腕を振り下ろす。

「ううう…」ライラは、シールドで受け止めるが余りもの攻撃力の前にステッキが砕けてしまう。

召喚獣は、幼女を捕食しようと幼女に手を伸ばす。

「アァアァアァ!」ライラは、砕けたステッキを投げ捨て拳で召喚獣を殴り飛ばす。

「おいおい…」

「ドンッ!」召喚獣は、ライラの拳を受けて倒れ込む。

「大丈夫?」

「バカヂカラ…」幼女が、粒なら瞳でライラのことを見ながら呟く。

「ピキ…ほんと可愛げがないこね…」

「魔術師が、拳で戦うとかありかよ」

「し、しかたないだろ! ステッキが壊れていていたんだし!」短髪でボーィシュなライラが、頬染めて呟く。

「オオオ!」倒したと思っていた召喚獣が、最後の力を振り絞って幼女に襲いかかる。

「危ない!」

「ビリリリリィ」幼女に触れようとした瞬間。

「ウオオオ!」電撃が、召喚獣に走る。召喚獣は、そのまま倒れ込む。

「ナイス!」

「危ねぇ…危うく喰われるところだったは…」

イーサンが、偶然仕掛けておいた罠に召喚獣が、触れその電撃で動けなくなる。

「しっかし…何食ったらこんな大きな体になるのかしら…」

「さあな」


「あの…」

「…」

「あの…」

「…」

「ウアアア!」

「! はい!」ライラの絶叫で、物思いにふけっていたクエスト紹介所のお姉さんが、我に返る。

「クエスト C55 の完了報告に来ました」イーサンが、倒した召喚獣トリケルモンの皮膚の断片を手渡す。

「あ、はい…トリケルモンの皮膚ですね。いただきます」お姉さんが、奥に消えていく。

「どうしたのかな?」

「何が?」

「何かボーッとしてたけど…」

「いや、だって昼のこの時間は、紹介所もすいてるし暇だったんじゃないの?」イーサンは、いつも同じ表情で同じようなセリフしか言わない紹介所のお姉さんの表情なんか気にもとめたことはなかった。

「はい、お待たせしました…たしかにトリケルモンの皮膚で間違いないです。では、座標を教えて下さい」

「月四…」

「月四…」

「太陽三…」

「太陽三…」

「はい、ありがとうございます。これにてクエストの達成とします。お疲れ様でした」イーサンの提出したクエスト完了報告書に魔術印が押される。


「帰りました」ひろうこんぱいしたイーサンとライラは、ギルドの本部に戻る。

「おお! 帰ったか。で、クエストはどうだった」

「バッチリです」完了報告書を見せる。

「おお! やったのか」完了報告書にギルドのリーダートムが、魔術印を押す。

「じゃあ、後始末もよろしくな」

「はい」疲労からイーサンは、ため息をつく。利益を少しでも

 出すために狩りの後始末は簡単なものは自分たちで

 やらなければならなかった。


「あの…またステッキのメンテナンスおねがいできない?」ライラが、ボロボロに砕けたステッキをイーサンにわたす。

「また、新しいステッキを作るよ」

「ホントに? ありがとう!」

「あ、うん…」美少女ライラに満面の笑顔でお礼を言れる。イーサンは、ボロボロに砕けたステッキの情報をもとに再度ライラのためにステッキを作っていく。


「ふん〜なんだか難しそうね…」イーサンが、工房で作業しているとライラが、唐突に様子を見に来る。

「あ!」イーサンは、ライラがその顔をギリギリまで近づけてくることにドギマギする。

「あ、ごめん脅かしちゃった? それ何?」

「あ、ああこれは、ステッキの魔術構造が、描かれたもの…」

「ふ〜んなんだかすごいね」

「あ、うん…」


「はい! お疲れ様!」

「あ! ありがと」

「私こう言うの得意じゃないから」ライラは、クエストとステッキの補修で疲れたイーサンに飲料用の回復薬をわたす。飲んでみるとあまり回復しなかったが、ライラの笑顔を見ると疲れが吹き飛んだ。

 「ごめん・・・私のホビットのかけらの発注書も書いてくれない」イーサンは、

 ライラがクエストで手に入れてショップに販売する書類の作成を頼まれた。

「ああ、いいよ」イーサンは、他にもギルドの書類を処理する。

「やってもやっても終わられねぇ」ため息をつく。

 夜遅くまでやっても書類が終わらない、ギルドは

 利益をあげるため大量のクエストを一人のプレイヤーに

 科していたそのためイーサン以外のメンバーもサービス残業にあけくれていた。


「どうですか?」イーサンは、もう一度森を訪れる。

「どうもこうもねぇよ! こんなのどうすんだよ」倒したトリケルモンは、あまりにも巨大で森からは運び出せないので鍛冶屋たちが、ばらしていた。

「クッソ、硬くて斬れねえ! おい! デーモン級の剣に変えてくれ」

「はい!」

「しっかし、よく倒したな! やっぱ街一番のギルドに所属してる男は違うな!」

「いや…」

「なに、いってんすか親方どうせまた、ライラがやったんですよ。そして、こいつは側でつっ立ってただけですよ」

「あう…あ…」

「あの、ライラとやったのか?」

「ええまぁ」

「羨ましいなぁ、あのライラと一緒にはたらけんるだぜ」

「なんで、お前が選ばれるんだよ!」ライラは、街でも有名な美少女だった。せんぼうも無理ない。

「お前らは、馬鹿だからだよ。イーサンみたいにしっかり魔術の勉強しないからライラみたいな娘と働けねえんだよ!」

「親方だって、魔術師じゃなくて鍛冶屋じゃないすっか」

「うるせぇ! とっとと、バラしちまうぞ! 手を動かせ手を!」

「イーサンいいのか? 手伝ってもらって」

「いや、だって忙しいでしょ親方」

「ああ、おかげ様でな暁の仕事が大量に来るからな!」イーサンが、

 所属するギルド暁は利益を出すために少しでも安い

 鍛冶屋を選んでいた。そのため大きなギルドの鍛冶屋ではなく、

 名も知れない職人たちの鍛冶屋に仕事を出していた。


「今月の最優秀メンバーは、ライラ!」ギルドの本部ギルドメンバー全員が、集められ連絡会が、おこなわれる。ライラが、満面の笑みを浮かべながらピースサインしながら、前にでる。

「ライラおめでとう!」ライラには、硬貨がわたされる。

「イーエイ!」

「そして、残念なお知らせがある。今月のギルド編成の関係でイーサンには、土帝宮殿の担当をやめてもらうことになった。今までありがとう」

「え…」突然のことイーサンさんは、呆気にとられる。

「来月からは、俺がライラと組む」ライラは、嬉しそうにしながらも頬染めてすこしうつむく。

「ちょっとまってくれ!」ギルドの中のひとりが声をあげる。普段イーサンが、武器のメンテナンスをおこなってあげているメンバーの一人だっとた。

「なんだ?」

「今までこのギルドが、大きくなってきたのはイーサンのおかげでもあるだろ! それをなんで急に追放なんてするんだよ!」

「あ?! じゃお前が代わりに辞めろ」

「え?!」

「聞こえなかったのか? お前が代わりに辞めろってんだよ!」

「いや…イーサンを辞めさすべきだと思う」

「だよな! こんな役立たずいらねぇよな!」

「あ、あ…」

「そうだ! 辞めてしまえ!」

「そうた! そうだ!」ギルド内メンバーたちから、次々と辞めるよう声があがる。

「せめて追放の理由ぐらい教えてくれ」

「は? 俺は辞めてくれといったんだよ」

「いや、突然すぎる理由ぐらい教えてくれ」

「あ〜メンドクセ、あ、そうだ今日は天気がいいから辞めてくれ!」

「は?」

「ゴチャゴチャ言わずに出ていけ!」

「別に辞めるのはいいよ」

「ほ、ほんとにか悪いねぇ〜」

「雨じゃん…」廊下出たイーサンは、窓から外を眺めると外の天気は、雨だった。

「ふぅ」ギルド内の荷物を持ちギルドを出る。

「イーサン」廊下でイーサンは、ライラに呼び止められる。

「あ…」

「今まで、いろいろありがとう」

「え? うん」

「もう…行っちゃうの?」

「うん…」

「あの…私のこと好き?」

「え…あ…」

「私のこと可愛いと想う?」

「そ、そりゃ…うん」

「だ、だよね! ほうだよね!」 

「ん?」

「こんな、街中からモテモテな私が、可愛くないわけがないわよね!」

「え?」

「でもさ、可笑しいとおもわな〜い。こんな私があんたみたいな地味で、無能で、コミュ障で、地位も、階級も出自もわからないゴミとパーティ組まされてるの」

「いや…あぅ…」

「あのさ、なんであんたパーティ追放されてたかわかる?」

「…」

「私がキモいあんたのことが! 大嫌いだったからよ! 残念でした! パーティから追放したのは私でした ギャハハ!」外の天候は、さらに悪くなり雷鳴が、不気味に歪むライラの顔を浮かび上がらせる。

「今まで一緒に…」

「今まで一緒に? そうね。あんたみたいな無能な根暗の受け身のコミュ障のあんたと私がパーティを組んであ げ て た の! ほら! 荷物まとめたら、とっと! 出ていって!」

「いや、お、大雨…」

「え? 何? そうだね。雨だね。で?」


「あの…」

「ヒィ!」ずぶ濡れになり、不気味に魔法使いのローブが顔面を覆い尽くした怪しい男が、宿の受付に現れる。

「あ、すいません…泊まりたいのですが…」

「あ? はい…お客さん…」

「お客です…」

「…」

「…」


 イーサンは、パーティーを追放されたのものの暁から追放されたわけではなかった。

 イーサンに割り当てられたエリアは、天罰のグム、困難なクエストや

 労力のわりに全く金にならないモンスターであふれてる。

 非常に人気のない場所だった。

「どうなってるんだこのモンスター」イーサンは、空洞の巨人と闘っていたが

 まったく相手のHPを削ることができなかった。

「竜撃の拳!」初歩的な物理攻撃でイーサンは、空洞の巨人に攻撃を続ける。

「やっと終わった」長時間の戦闘を終えてなんとか空洞の巨人を倒しきる。

「こいつを三体とか無茶苦茶だな」イーサンには、最低でも空洞の巨人三体の

 目標がギルド暁から課せられていた。空洞の巨人は、

 名前通りの巨人で中身が空っぽだが骨格が大きいため倒すの時間がかかった。


「え!? おひとりですか?」イーサンンが、空洞の巨人を倒していると

 ほかの冒険者の女性から話しかけられる。

「ええ」

「暁?! え? あの暁でですよね? 誰か雇わないんですか?」

 話しかけていたバニーガールのかっこうをした女性は

 ゴブリンを何人か連れていた。

「暁は、人件費にうるさくて…」このエリアモンスターは、ソロでは

 とうてい戦えないようなモンスターばからりだった。


「すいません」

「え?」イーサン初級の魔法使いに話しかけられる。

「この辺に空洞の巨人がいませんでしたか」

「ああ、月の方角に向かっていけばいくらでもいますよ」

「分かりました」

「…」

「…」

「その装備でいくんですか」

「え? ダメですか?」物理攻撃が必須のエリアにはあまりにも

 不釣り合いな軽魔法の装備しか持っていなかった。

「これどうぞ」イーサンは、銀刀をあげる。決して強い武器では

 なかったがこのエリアでは十分だった。

「え? でもこれ…」

「巨人のエサにでもなりたいの?」

「いいんですか…」

「いいよ」まあ人の心配してる場合じゃないんだけどな。

 イーサンは、スキルの影響で武器やアイテムはほとんど

 使用できなかった。


「これわまたしょっぱいの持ってきたね」街のショップに戻り

 空洞の巨人からとれるアイテムを換金するために渡す。

「仕方ないでしょ天罰のグムで狩りしたんだから」

「グム?! なんであんなひどいエリアでクエストなんかしてるの?」

「ギルドの指示だよ。どうしようもないよ」

「いや~しょっぱいな」ショップの店員が渋い表情になる。

わずかなジェムのみを提示される。

「ありがとうございます」

「ほんといいの?」わずかなジェムを手にショップを後にする。

 

「全く分かんねえ」ギルドに戻ると大量の書類が積まれていた。

 どの書類もギルド本部審査をパスしないといけない。

「いやこの書式でいいのかな…教えてくれる人がいりゃな…」

 グムでのクエストの見積書を作っていた。金額が大きい分

 複雑だったが、他のギルドメンバーも多忙を極めていたので

 自分で作るしかなかった。


「ふー」

「まだ残っていたのか」遅くまでのこっていたほかのギルドメンバーに話しかけられる。

「ええ」

「しんどそうだな」

「まあ…ええ」

「明日は、休みなんじゃないの?」

「ええ」

「なんか予定はあるの?」

「いや…」苦笑いしながら他のメンバーの話を流す。

「そうか 女との予定だな」

「なんのスキルも金もない無能な冒険者を拾ってくる女性がいればいいですがね」

「まあこのギルドにいる限り金持ちにはなれないな」

「そうですよね。金が全ての世界ですから貧乏人の自分には女とはえんがないですよ」


「すいません」

「…」

「大剣のリストですね」

「そうなんです…」

「恐竜の斧ですか…でも大剣は時代遅れですよね。

 正直あまり使っている冒険者みないですよね。

 攻撃はいいんですがのろいうえ、特殊能力がなく

 物理でなぐることしかできないですし」

「そうなんですよね~って…すいません! ご用件は!」

 冒険者用の武器リストを眺めていたクエスト紹介所のお姉さんが

 我に返る。

「あのすいませんおつかいのクエストありませんか」

「お使いのクエストですね」

 イーサンは、暁のクエスト以外にも副業として

 別のクエストをしていた。


「すいませんこれどうぞ」

「ありがとうございます」お使いで手に入れたシー水銀を依頼者に手渡す。

「あの人転生者よ」

「ちょっとやめなさいよ聞こえるって」転生者の烙印が表示されている。

「いや、気にしてないですよ」

「こらヌーマン! カルム!」陰口を言っていた二人の少女が説教される。

「我々転生者がこの世界を無茶苦茶にしてるのは

 事実ですし同じ転生者として謝るしかできないです」

 ある転生者は、強力するスキルを生み出しスキルのインフレを起こしたり

 またある転生者はスライムに最強のドラゴンを宿したせいで、

 初級冒険者が、そのへんの草むらのスライムにすら勝てなくなり、

 またある転生者は、奴隷が好みなのか大量の奴隷を生み出して

 女性たちを苦しめていた。

「だって! パパは転生者のチートで強化された武器を

 使って殺されたんだよ!」

「もうパパの話はやめなさい。すいませんね」

「すまない」イーサンは、深々と頭を下げる。イーサンは、赤水晶を手渡す。

「え! いいの?」

「どうぞ」

 

「ふーっ疲れた…」もうれつなプレッシャーや疲労のせいで

 仕事を終え自室に帰るともう何もする気力も残されていらなかった。

 

「申請がおりてない…まじかよ」イーサンは、空洞の巨人が狩る申請書を出し忘れていた。

「どうした」

「また、申請漏れだ…」

「あ~申請漏れやっちゃたか」

「もう限界ですは忙しすぎて」簡単なことだったが、

 あまりにも忙しすぎて手が回らなくっていた。

「そうだな。俺ももう限界」暁のギルドメンバーも共感する。

「そうですよね」


「イーサン苦情が」

「え?」

「ガフの樹が届いていないと依頼者から苦情が」

「え…霧騎士団がやらかしたか」クエストを委託したギルドが失敗したようだった。

「一緒についていってやろうか」同僚のエドモンがイーサンに気を遣う。

「いや…いいですエドモンも忙しいでしょ。ありがとうございます」

「そうか…あまんまり苦情を真に受けるなよ。きりないから」

「そうですね…はぁ…」

 

「はぁ…寿命が縮んだ…」

「おつかれ」エドモンが笑顔で出迎える。

「もうほんとに発注が必要な自分だけでできない

 大型クエストはやりたくないですよ」

「そうだよな。俺もつい最近聖剣竜が暴走して民家

 破壊して謝りにいったよ」

「うわぁ…ほんとこのギルドは給料はゴミなのに責任だけ

 なすりつけてきますよね」

「ほんと、でもさもうちょい頑張ろうや」

「そ・そうすね…」

 

「エドモンドがギルドやめったて」

「え?」それは突然の知らせだった。

「エドモンドいつも夜遅くまで残業してたからなあ」

「まああんな遅くまでのこってたらいやにもなるな」

「俺も辞めよっかな~」みな口々にギルドの不満を言い始める。

 イーサンのことをいつも気にかけてくれるいい先輩だった。

「黒魔術堕ちしてしまったみたいだよ」

「黒魔術?!」この世界で黒魔術は精神崩壊を意味した。

「でも、仕方ないだろこんなクソギルドなら」

「なんだよそれ」

「始末書だよ。クッソが!」

「え?」

「なんか最近申請した暗黒豹の召喚申請が期限ぎれだったらしい

 クッソ忙しいのにそんなくだらないこときにしてられるかよクソが!」

 大方の人間はエドモンドに同情的だった。

 

 「え? 暁の本部で暴れてる?」休日の夜イーサンが休んでいると

 魔術連絡があり飛び起きる。

 暁のギルド本部で誰かが暴れているとこのことだった。


「助けてくれ!」本部につくなり叫び声が聞こえてくる。

 本部は火の海になっていた。

「お! イーンサン大変だ! エドモンドが!」

「え! 嘘だろ!」イーサンは、とっさに地面に横たわる魔術師や

 剣士たちに目を向ける。

 「おい! 早く何とかしろ!」ちょうど暁の上部団体から

 ギルドメンバーが派遣されている最中だった。

「エ・エドモンド…」イーサンの目の前には、

 破壊の限りを尽くすエドモンドの姿があった。

「慈雨の剣!」暁の上部団体のメンバーが、

 エドモンドを殺害しようとする。

「火土竜神斬!」黒魔術によって大幅に強化された

 エドモンドの攻撃は、普段では全く歯がたたたない

 暁の上部団体のメンバーロッコの攻撃をたやすく退ける。

「や・やめてくれ! な・話合おう…そうだ給料が

 ほしいのか? あ? 休みが欲しいのか?」

 この上部団体が暁に厳しいのノルマが課していた。

 ロッコは、ボロボロになりながらみじめに

 地べたを這いずり回り命乞いをする。

「今さら遅い」エドモンドがとどめをさそうとする。

「エドモンド!」

「イーサン止めないでくれ。こいつをやらないと

 イーサンたちも一生不幸のままだぞ」

「落ち着け! 自分のやってることが理解できないのか!

 このままだと暁から追われる身になるぞ」

「追われる身? それがどうした毎日ボロボロになるまで

 こきつかわれてこのギルドの都合のいいようにこき使われて

 死んでいくぐらいならこの命ここで失ったところでなにも変わらねえよ! 

 家庭もねえし金ももねぇ未来もねぇえのに何を恐れればいいだよ! 火土竜神斬!」

「うっ!」ロッコが大ダメージを受けてうずくまる。

「辞めてくれ命だけは、なんでも言うこと聞くから」

「そうかじゃああの世に転生してもしっかりギルドのメンバーを搾取するんだな!」

 ロッコにとどめをさすために剣を振り上げる。

「ち・違う俺だってこんな無茶な要求をしたかったわけじゃなない!

 グ・グランドギルドマスターの指示なんだ」

「そうか分かったじゃあそのグランドギルドマスターに会ってこればいいんだな」

「あ・そうだ」

「…」

「…」

「じゃあお前もろともグランドマスターも俺が殺してやるよ!」

「ああああああ!」

「ん!?」エドモンドの体が煙を出しながら消え始める。

「エドモンド…」

「黒魔術の副作用だな。黒魔術は自らの命を魔力へんかんする

 だけで決して無敵の力を得られるわけではない」

「馬鹿め! 自分の立場もわきまえず!」ロッコが頭蓋骨だけになったエドモドンドを踏みつける。

「大丈夫ですか」暁のギルドリーダーが急いで駆けつける。

「どういうマネージメントをしていたらこんなカスが生まれるんだ

 まるで思春期の子供みたいじゃないか」

「す・すいません」

「処分は追ってカンパニーの方から通達する」

「はい…」ギルドのリーダーエヴァンが深々と頭を下げる。

「クソが!」ロッコのガイコツをエヴァンが蹴り飛ばす。


「やばいことになったな…あれ下手したらエヴァンの首飛ぶぞ」

「そうですよね…」イーサンとギルドの先輩が小声で話す。

「エドモンドあんなに今ままで頑張ってたのに最後がこれかよ…」

「そうですよね…もう上は我々のこと駒としか思ってないんでしょう」


「カンパニーからの処分が確定した。全員が占い師の監視下に

 おかれることとなった」エヴァンが派遣されてきた占い師を

 紹介する。

「どういうこと?」

「じゃあ説明をお願いします」

「スキル統括本部からきましたメアリーです。幻の涙を皆様に

 配布します」

「なんだこれ?」みな不思議そうにアイテムを眺める。

「このアイテムは、皆様の戦闘行為を監視させていただくための

 ものです」

「は?」

「監視? なんでそんなことされなきゃなんないんだよ」

「今回のような反乱をおこさなにように

 我々スクル統括本部が監視させていただきます

 それだけれはありません。みなさまが

 長時間のクエストをさらされていないかを監視するための

 ものでもあります」

「こんなのありがた迷惑だ」不満があがる。

「こんなことになったのもすべてエドモンドのせいだ

 ギルドを恨まずエドモンドを恨んでくれ」


「失礼します」イーサンは、エヴァンの戻を訪れる。

「入れ」

「ギルドを辞めさせていだただきたいと思います」

「ん? ちょっと待てなんでだ」

「もう限界です」

「何が不満なんだ」

「この業務量をこなすのはもはや不可能です」

「もう少しまってくれギルドを編成して業務をやりやすく」

「改善するどころが悪化する一方じゃないでですか

 もう好きやってくださいもう付き合いきれないは」

「分かった気持ちは受け取った明日再度ラリヤが話を

 聞くその時に詳しくはなしてくれ」ラリヤは、イーサンの

 直属の上司に当たる人物だった。

 

「おっそいな」面談の約束の時間になってもイーサンは、現れなかった。

「失礼します」

「どうぞ」

「ん?」エヴァンとラリヤの目の前に現れたのは

 謎の冒険者だった。

「誰だ!!」エヴァンが剣を構える。

「おいおい、勘弁してくれよ。戦闘しにきたんじゃない

 俺は、クエストやるために来ただけだ」両手を挙げて呆れた

 表情の冒険者が手紙を手渡す。

「なんだこれ」読み終わったエヴァンが手紙放り捨てる。

 内容は退職に関するものだった。

「貴様…」

「すいませんね。どーも退職代行です。

 悪く思わんでくださいよ。こっちとらただのクエストの一環なんでね」

 代行は、両腕を頭の後ろに回りあくびをする。

 

 宿についたイーサンは、明日のことを考える。とりあえず…紹介所で何かクエストを探してくるか…。


「おい! どうなってるんだ!」

「こっちは、急いでるんだ!」

「早くしろよ!」イーサンが、クエスト紹介所にたどり着くと人だかりが出来て騒ぎになっていた。

「どけ! ガキ!」イーサンも様子を見ようと頑張るが気の荒い冒険者に吹き飛ばされる。

「どうしたんですか?」

「見りゃわかるだろ誰もわからないよ!」いつまでも紹介所の人混みが解消しないのでいったん諦めてその場を離れることにする。


「どうかしました?」宿に戻り宿の受付に何が起きているのか聞こうとするものの宿の受付の女性は、街の役人たちと何か話し込んでいた。

「あ、いや…その…」

「なんだお前は…」疲れた役人が、横柄な態度でイーサンに尋ねてくる。

「いや…その…タダの無職です」

「ふっ…」役人が、見下した笑いを浮かべる。

「いや…大したことではありません」役人は、イーサンに無言でとっとと失せろと圧力をかけてくる。イーサンも役人と争う予定もなかったので早々に自分の部屋にひきあげようとする。

「実は姉が、失踪してしまって…」

「えっ? 失踪?」

「はぁ…」喋っちゃったよ…という表情をした役人が、ため息をつく。

「そうなんです。実は姉は紹介所で働いていたんたですが今朝これが…」手紙には旅に出ます無事ですとだけ書かれていた。

「もう、いいだろ…早くいけ」役人がイーサンのことを追い払おうとする。

「はい」イーサンも争う気はなかったので立ち去さる。


イーサンは、他にやるクエストもないので森羅へと向かう。

「はーい、フライマーメイドを倒して冒険者への一歩を踏み出してみましょう!」

「おー!」ここ森羅の森では、初心者向けのクエストが、年中行われていた。イーサンもそのことは、知っていたが、他にやることもないので、来てしまった。

「報酬は、15ジェム!」童顔の可愛らしいガイドが、元気よくクエストの概要を説明する。それを聞いているのは、街一番のギルドから追放されただの無職となったイーサンや、初心者の冒険者たちだった。


まあ、やっとくか…。少ないジェムだったが、背に腹は代えられない、イーサンは早速見つけたフライマーメイドレベル一と戦う。

「フレイヤ!」炎の魔法でフライマーメイドに攻撃する。フライマーメイドは、毒針の攻撃で

対応してくる。町一番のギルドに入っていたイーサンにとっては、こんな雑魚モンスター

どうということは、なかった。

「アクアズ!」突然反対側から、水の魔法攻撃が、フライマーメイドに入る。

どうやら、側にも魔術師が、いるようだった。

「す・すいません」初級のステッキを握りしめた美少女の幼い魔術師が、反対側から

もうしわけなさそうに姿を見せる。

「あ、どうも…」イーサンは、攻撃の手を休める。

「アクアズ!」美少女の魔術師が、留めを刺そうともうもう一度攻撃を加える。

「まずい!」辺り一帯に甘い香りが漂いはじめる。

「よっし!」美少女魔術師は、勝利を確信し始める。

「ブーン」フライマーメイドが、仲間を呼び仲間たちが集まってくる。フライマーメイドの

羽音が響き始める。

「キャッ!」

「スリープリィ!」イーサン魔法でフライマーメイドたちが、眠りについていく。

「う…ありがとうございます」

「いや…たいしたことないよ」

「最後は、君がきめなよ」

「え? でも…」

「さ」

「アクアズ!」マーメイドが砕け散りわずかなジェムが美少女魔術師に入る。

「やった! あの…ちょっと…どこにいくんですか?」

「ここは、いいよ プラススター…」去り際にイーサンは、美少女の魔術師に

強化魔法をかけて離れることとなった。

フィールドがかぶればその分ジェムの取り分も少なくなる。

それに圧倒的に経験が勝るイーサンの方が有利だった。

「あの…」

「森をクエストで探索するときのこつを教えてあげよう。あまり奥まで入り込むなよ。強敵がいるからな」

「どこいくんですか?」

「ここは、君にゆずるよ」


「…どこだ?」イーサンは、さっきであった魔術師にかぶらないように

探索しているうちにエリア外まで来てしまっていた。

「ハンターエリア侵入禁止」看板が、かけられていた。

「バギッ…」

「ん?」地面に日々が入る。

「ドッ!」地中からデープワームが姿を現す。イーサンの背丈を軽々超える巨大なワームが、

姿を現す。

「フレイア!」イーサンは、火の攻撃を放つ。

「ギィィィィ」ワームの体にわずかに煙が立っただけでびくともしなかった。

「ドッン!」ワームが、イーサン向けて突進してくる。イーサンが、交わすと。

そのまま地中に潜っていき姿を現す。

「バキバキ…」

「ドンッ!」地面に潜り飛び出しイーサンに突撃していく行為を続ける。

イーサンは、必死に攻撃をかわし続ける。

「だめだ!」ワームの突進をかわし切れずに目の前に迫る。

「シャィキン!」

「ギィィィ!」

「ドスッ!」ワームが切断されその場に落下する。

「た、助かった…」


「大丈夫ですか?」

「え?」必死に逃げ回っていたので服もボロボロだった。

「え、ええなんとか…」そこには、大剣をもったモンスターの毛皮などをあしらった水着のような服を着た女狩人が、立っていた。マスクで顔面は、隠れていたが、その巨乳ですぐに見分けがついた。

「あの…部族の人ですか?」

「いえ、この辺りにキャンプしているものです」

「そうですか…危ないところでした助かりましたありがとうございます」

「ちょっと、待ってください」

「え?」元来た道を戻ろうとしてふと我に返ると辺りは、すでに薄暗くなっていた。

「今日は、もう暗くなっているので泊まっていきませんか?」


そこそこ大きな山小屋に連れてこられた。

「こんなところが…」

「普段ここまで来られる方は、あまりいませんから」

「あら? お客さん?」すでに山小屋にいたシスターの恰好をした清楚な女性が出迎える。

「す、すません。迷っちゃって」

「まあ、それは大変ですねでもご安心くださいここは、迷える人々が、訪れる

場所なのでご安心ください」

他のシスターたちのご厚意により食事にありつけることができた。

「すいません。私たちは、礼拝があるので」

「あ、はい」そうか、辺境の村の教会の人たちに救ってもらったのか…。


「それは、われらが師に全てを捧げれば解決します」

「そうなんですね」

「ありきたりだな…」イーサンは、トイレのために席を立ち廊下をあるいている途中で

ドアの隙間からシスターさんの説法が聞き漏れる。

「ん?!」通りすぎようとしたところわずかな隙間から見えた顔に見え覚えがあった。

失踪していたクエスト紹介所のユーリャだった。

「なので全財産を幸福学会に寄付して、帰依すればいいのです」

「おいおい、何やべえこと言ってるんだ…」イーサンは、隙間から覗きながら聞き耳を立てる。

「そうですか…でも、みんなが心配してるかも…」

「それならほかのみなさんもここへ連れてこられてこらたらいのでは?」

「それに、町の中にも幸福学会は、あります」

「そ、そうですね…それなら…」

「まずい…! すいません! トイレどこですか? あ、お邪魔でした?」

「いえ、大丈夫ですよ」シスターは、手慣れているのか動揺せずにイーサンを

トイレへと案内する。


食事を終え、ユーリャの帰依を阻止したイーサンは、案内された風呂場で

風呂に入る。

「あ…まいったな…こりゃ紹介所もうだめかもな…」

「すいません」

「え! あ! はい!」誰もいないと思っていた風呂場から声が聞こえる。

ユーリャが、腕で胸を隠してこちらに近づいてきた。湯煙がひどく

人がいることに気づけなった。

「あ、ごめんなさい」イーサンが、出ようと急いで立ち上がる。

「あっ!」イーサンは、自分の股間を隠しまた湯船につかる。

「いえ、気にしなくていいんです。ここしか風呂ないので」

どうやら、混浴らしい。


「あの…紹介所でいつもクエスト紹介されている方ですよね」

「ええ、普段は紹介所で…」

「いや、どうして…」

「え…」

「いや、えなんでもないです」いや、間髪入れずに本題に入るべきじゃないか

え~っとこいうときは、天気の話でもすればいいいのか~ん~えっと。

「すいません。みなさん困ってますよね」

「え、ええ」

「そうですか…」いつも真面目に明るく勤めていた紹介所のお姉さんが

突然失踪した理由は、なんなのか聞かなければならなかった。

「その…どうして…」

「…」

「あ…」しばし沈黙が、流れたあとユーリャは、話始める。

「退屈な毎日に疑問を感じませんか?」

「え? まあ、実はギルド追放さちゃってあまり疑問を感じてる余裕が…」

「え? そうだったんですか? え? あれだけ功績をあげて…しかも初期メンバーですよね」

「ええ。一応初期メンバーではあったんですが…」

「そうなんですか…覚醒すれば…誰も手を付けられない鬼憑きの魔術師と言われたあなたが…」

「実は、あの能力も制御できなくて、能力を発揮しているときの記憶もまったくないんですよね」

「え! そうだったんですか?」

「ええ…」


「刺激的な毎日で羨ましいですね…」

「そうですかね」イーサンは、湯船から透ける白く透き通ったユーリャの体に目がいく。

確かに刺激的だ…。いや、何考えてるだ俺は…。

「私の仕事って毎日同じことの繰り返しで出世もないし、報酬も毎日同じじゃないですか。

それに階級も引くからあらゆる人の仕立てに出ないといけない」

「いいじゃないですか。覚えることも少なくて、責任もなくて」

「本気で言ってるんですか!」ユーリャが、語気を荒げ怒りをあらわにする。

「あ、ごめんなさい…」

「あ、すいません…」

「…」

「…」

「耐えられなくなったんですよね。毎日同じことの繰り返し、そして一生同じ階級

それで、冒険者に私もなっちゃおうかなと思って」

「え! 冒険者?!」

「ええ、やっぱり私みないな人間に冒険者になんてなれないって言いんですよね」

「いや、そんなつもりは…」

「…」

「…」

「それでここは、いったい…」

「ええ、ここは幸福学会という宗教施設。偶然、友達から誘われて前々から興味が、あったから来てみたの強い祈りが、あれば願い叶い幸せになれるって」

「でもさっき…全財産が、どうのとか…」

「そう、あれは全財産を幸福学会に寄付すれば、そのぶん幸せになれるの」

「え…それは少しの変だよ」

「大丈夫、みんなと〜ってもやさしいの」


「あら、もうた立たれるのですか?」

「あっ! ああ! びっくりした!」朝施設を出る準備をしていたら音もなく現れたシスターに声をかけられる。

「ちょっと待って下さい」ユーリャをシスターは、呼んでくる。

「昨日はありがとう」

「え、ああ…じゃ」

「え?」

「あ?」

「私を連れていかないんですか?」ユーリャが、イーサンに尋ねる。

「いや、ユーリャさんには、ユーリャさんの生き方が、ありますから」

「え、でも…」

「また、来ていいですか?」

「ええ、歓迎します。その時は、お友達とぜひご一緒に」

「ありがとうまた来るよ」イーサンは、シスターに案内され、森を出る。


「なんだ! この報酬は! 舐めてんのか!」

「そうだ! こんな大事でやってられるか!」

イーサンが、街のクエスト紹介所を訪れると血気盛んな冒険者が、役人にくってかかっていた。

「これいじょうは出せない」

「誰やるかこんな依頼」街の役所が、紹介所のユーリャの捜索願いをクエストとして出していたが、あまりにも安くだれも名乗り出るものがなかった。

「あの…」

「なんだ」横柄な役人が、睨みつける。

「その…やります」

「あ、あそう」役人は、イーサンのことを無視して、キレる冒険者たちをなだめる。

「お! そこのにぃちゃんがやるっていってるぞ ほれ」

「え?」

「おい! 勝手に!」制止する役人を振り切り勝手にクエストの申請用紙をイーサンに押し付ける。

「いや、いいんですか?」

「はぁ もういいじゃね」

「ん~」役人たちは、苦虫をかんだような表情で悩む。


安すぎて誰もやりたがらないクエストを半ば押し付けられた形になったイーサンは、

悩みながらももう一度、ユーリャが、潜伏している山小屋に向かう。

「来ちまった…」山小屋の前でたたずむ。このままハンターとして自由に生きるほうが、

彼女のためかもしれない…。

「帰るか…でも金が…」

「ふぅ」

「あ」

「あ」上半身ビキニ姿で汗をぬぐう紹介所の清楚な姿とは対照的なワイルドな

姿のユーリャがとはちあう。


「これから、狩りに出ようと思って」ユーリャ大剣の手入れをしていた。

「そうなんだ…」イーサンは、何も言えずに作業を見守る。

「森羅の森の最深部って知ってる?」

「いや、最深部は…」

「今日は、ここからさらに奥に向かっていこうかなっと思ってね」

「え?!」森羅の森の入り口付近は、良く調査もされていて初心者でも

クエストやレベルあげを楽しめるしかし、少しおくに行くと、

一期にレベルがあがるだけでなく、まだ奥の方は、未踏破になっているエリアも

多く非常に危険だった。

「そうだよね…私なんかには、できないよね」

「え?」

「祈祷でもしてこようかな…」

「いや、いいね行こう 行こうよ」

「ほんとに?!」

「あ、あうん…」


「ザッ!」

「ギィッ!」ユーリャが、見た目にに使わない大剣を振り下ろしモンスターを狩る。

「ふぅ…」大分奥まで来たけど今の所は、大丈夫だな…。出てくるモンスターも強力になっては、

いるのものの倒せる範囲だった。

「ゴオオオオオ!」咆哮とともにライゾサウルスが、姿を現す。ホログフィク級の超強力モンスターだった。

「まずい!」

「いくよ!」

「うそだろ!」逃げようとイーサンが、ライゾサウルスに背を向けるのと時を同じくしてユーリャは、大剣でライゾサウルスに斬りかかっていた。

「プラズマトラプ!」イーサンは、援護魔法を使うもライゾサウルスは、全く微動だにしなかった。

「ザッ!」黄色い斬撃の閃光と共にライゾサウルスに斬りかかる。

「ゴオオオオオ!」ライゾサウルスは、咆哮だけでユーリャを吹き飛ばし木の幹に叩きつける。

「大丈夫!?」

「へ、平気…うっ…」

「もう、逃げよう」

「…」イーサンの手を振り払う。

「もういいだろ」

「どうてもライゾサウルスの牙がほしいの! こんな生活終わらせたいの! ライゾサウルス牙さえあればSSRの武器が造れるんだらから!」

「死んだら! 冒険者にもなれないぞ!」

「離して!」

「ゴオオオオオ!」ユーリャの斬撃をものともせずライゾサウルスは、立ち向かってくる。

そもそもギルド単位で倒すような化け物相手に勝てるはずがなかった。ユーリャは、素人同然そして、イーサンは、覚醒しない限り恐ろしく弱い。

「ザッ!」ユーリャの斬撃が

「ゴオオオオオ!」

「え?!」

「やった!」ユーリャの斬撃が効いたのかその巨体が、宙に浮く。

「?!」

「?!」宙に浮く…たまま降りてこない。そして…。

「バリッ!」ライゾサウルスが、粉々に砕け散っていく。空から鮮血が、ルル降り注ぐ。


ライゾサウルスは、この森の前座に過ぎなかった。

「なんだ…」

「ギィッ…バキバキ…」あたりの巨木が、倒され巨体のオーガーがあらわれる。イーサンも知らない化け物だった。巨体から、巨大な腕が、振り下ろされる。

「逃げるぞ!」

「いや!」

「おい! 何をいってるんだ!」ユーリャは、原生林の巨木のようなオーガー向けて攻撃を仕掛ける。

「あ〜」オーガーは、あくびしながら斬撃をうけたお腹をかく。

「ガッ!」

「まずい!」オーガーが、ユーリャを大剣ごと握る。ユーリャの体は、巨大なオーガーの手の中にすっぽり入る。

「クッソ!」逃げかけた足が止まる。

「あ〜ん〜くそつ!」イーサンは、オーガーに向けて雷光弾を放つ。激しい光がオーガーの気を引く。オーガーは、ユーリャを投げ捨てる。

「ぐはっ!」ユーリャの身は木の幹に激突する。

「オオオオ!」雄叫びと共に、オーガーの巨大な手が、イーサンの上に降り注ぐ。

「ボックスシールド!」

「パッン!」霧のようにシールドを破られる。

「サッ」持っていた杖も霧のように消える。

「バキバキ…」

「イーサン!」オーガーが、手でイーサンを握りつぶそうとする。

「ドンッ!」突然オーガーの手のひら爆発が起こる。

「イーサン! 大丈夫?!」ユーリャが、驚きながらも駆け寄る。

「大丈夫。余裕」

「うそ…」

「オオオオ!」片手を爆散されたオーガーが、痛みにもん絶する。

「あれ? 武器は?」

「え、え?! え」

「ん?」

「逃げないの…?」ユーリャは、武器どころの騒ぎじゃなかった。大剣は、すでにオーガーに砕かれ装備もボロボロ戦闘は、不可能だった。

「え? 戦いんじゃないの?」

「いや…でも…」

「そうじゃあ! 僕は、行くよ!」

「ちょっと!」イーサンの腕をユーリャが、引っ張り止めようとする。

「なに?」

「どうしちゃったの? 勝てるわけないよ 分かった帰ろ」

「いや、帰る必要なんかないよ余裕だから」

「うそ…」サッとイーサンは、天空儀仗を取り出す。URプレミアの超レア武器だつた。

「さあ、時間がないんだよね難しいこと嫌いだしサクッと終わらせるよ」

「シャン…」天空儀仗から、鈴の音がなる。

「…ガッハハハ!」小馬鹿にした表情オーガーが、耳を澄ます。そして、大笑いする。

「ちょっと…ねえ…どうしたの?」内気悲観的で優柔不断のイーサンが、突然楽観的で前向き積極的になりユーリャは、困惑する。

「さて、終了!」明るい声てイーサンが、言う。

「え…」天空儀仗自体星遺物に指定されている物なので、使用方法が知られておらずユーリャは、途方にくれる。

「パチパチ」オーガーは、大笑いしながら拍手する。

「どういたしまして」イーサンが、お辞儀する。

「ねえ、どうしちゃったの? あなた誰?」人が、変わったように暴走するイーサンにユーリャは、怯える。

「ん? 私? 名前はなんでいいけど、プーレ

ヤーだから。じゃあ帰ろうか」イーサンは、オーガーに背を向けて歩き出す。

「え?! え!?」ユーリャは、何度も後ろ振り返りながらイーサンの背中を追いかける。

オーガーは、人差し指を何度か曲げイーサンたちを挑発する。しかし、イーサンは、いっさいかえりみず歩いていく。

「ウオオオ!」オーガーが、巨大な拳で殴りかかってくる。

「キャー!」

「ドン」ピアノ線を直接指で弾いた。ような鈍い低音が辺に響き渡る。オーガーが、天からの閃光に包まれる。

「コトッ」その場に残されたのは、貴重なオーガーの牙だけだった。

「え…」

「うん? あれ、オーガーは?」

「…」ユーリャは、口を開けて固まる。

「あえ? に、逃げないと! どうしたの?」

「いや…あ…」


「あら、またお客さん?」

「どうも…」

「疲れたー!」ユーリャが、伸びをする。

「それにしても、すごいね…よく、あんな化け物たおせたね…」

「え?! 覚えてないの?」

「え?」

「まーいっか!」

「どうですお風呂湧いてますよ」

「いや…」混浴だったのを思い出す。

「はい! 入ります!」ユーリャが、はりきって名乗り出る。


ユーリャとイーサンは、風呂に入る。

「ふぅ…さっきまであんなに元気なのにどうしたの」

「え…あ…」

「やっぱり…厳しい世界なのかな〜」

「え?」

「わたしは、冒険者も狩人も大好きなんだけど…やっぱり私には、むりなのかな〜」

「いや…そうでもないかも」

「ハハハ、励ましてくれてるの? ありがとでもこのまま冒険者になったところで大した冒険者には、なれなさそうだし、紹介所で、毎日すごそうかな〜 不思議な感んじいままで毎日なんの疑いもなく過ごしていたのに急に…はあ…なんで、私だけこんな人生なのかな…」

「え…もうちょっと冒険したい?」

「え? ハハハ、もう満足かな…」その目は、遠くを物憂げに見つめながら、悲しみを表していた。

「ギルドつくります?」

「え?」

「いやかな…?」イーサンは、言って三秒で自分の発言を後悔し始める。

「じゃあ やってみようかな…」


「おい! クソ役人! いつになったら! ユーリャは、戻ってくるんだよ!」

「今日は何のクエストやる」臨時として無愛想な役人が、クエスト紹介所の職員として役割を果たしていた。

「何のクエストじゃねえよ! 誰だよおめえは!」冒険者のなかには、素性のしれない荒くれものも大勢いたので紹介所の前はぐちゃぐちゃになっていた。

「おい! 支払いまだかよ!」

「ちょっと開けてもらっていいですか」イーサンが、人混みにわってはいろうとする。

「うっせえ! あ」

「すいません…お待たせしました…」

「ユーリャ!!」

「おおお!」ユーリャの帰還にあたりがわく。

「さっ…」イーサンが、役人の前にクエストの紹介書をだす。

「スエット達成しました」

「お、おう…」役人が、サインをする。

「はい、さっどいてどいて! シッ! シッ!」

もたついている役人を紹介所の受付窓口から、追い払う。

「ハハハ!」

「こっちほ、散々な目にあったんだぞ、ホント…ロクでもない女だな」

「ん!」ユーリャが、ペン先を役人の鼻元に付き突きつける。

「何? なんなら、やとってあげてもいいけと?」

「おい、お前いい加減にしろ! 誰のおかげでこの仕事が!」

「やめんか 見苦しいぞ」紹介所の周りに集まった血縁もギルドも出身地もバラバラの荒くれ者たちが、一斉に静かになる。領主だった。

「お前らの負けだ大人しく、下がれ」

「も、申し訳ありません」

「君か、ユーリャを連れてきたのは」

「あ、はい」

「報酬はしっかりうけとって…ん? これか?」

「?」領主は、イーサンのクエスト用紙を見る。

「安すぎるな。この5倍はいきたいところだな」

「ヤン様! こんなことにはそんなお金使う必要ありません」

「そんなこと? すくなくとも私の目には、ろくに紹介所の業務をお前たちがこなせていない

ようにみえるが」

「くっ…」

「ハハハハハ」辺りから笑いが起きる。

「これは、やれたな役人君」

「私からも礼を言おう、イーサンだったかなありがとう」

「いえ、そんな…」


「これおねがい」ギルド暁のエヴァンが、ユーリャにクエストの紹介状を見せる。

「あと、れこもね」そよ風の羽と呼ばれるコアと呼ばれる強力なモンスターを

倒したときにもらえるアイテムをクエストクリアの証拠として見せる。

「はぁ…」

「な、なんだその態度は! はい、承りましただろ!」今までのユーリャなら確かにこんな態度を

とることなんてなかった。

「何~嫌な感じ。少し騒ぎになったからって調子に乗らないで」エヴァンとパートナーになっている

ライラもユーリャの高圧的な態度に嫌悪感を示す。

「お前は、紹介所の女なんだから毎日同じ言葉だけ話して言えればいいんだよ!」

「残念ですけど。これは受け取れません」

「なんでだ!」

「ここの、紹介所の書式ではありません」

「なんだと!」

「そんなことはないだろ!」役人も慌てて話に入ってくる。

「そうだ、これヤン様の印鑑も!」

「もう、よさんか! それに、こんな紹介状みたこともないぞ」ヤンが、割って入る。

「私の前で喧嘩など見苦しい」

「しかし! これは信頼できる情報屋から手に入れた紹介状なんです!」

「彼女も今日は疲れている。また今度にしなさい」

「しかし…」

「私の命令が、きけないのか!」

「くっ…」役人とエヴァンは、苦虫を噛み潰したような表情で、うつむく。


「いいの?」

「ああ」

「ほんとにありがと少しだけ見える世界が、

変わったと思う」

「そ、そう…」

「じゃあ、いってくるね」

「ん、え! うっ…」大剣を装備した普段の紹介所では、見せないようなワイルドな姿をしたユーリャが、イーサンにキスをして外へ出ていく。


「おい! まだか!」

「い、いますぐ!」冒険者の罵声がイーサンに飛ぶ。イーサンは、ユーリャが狩りに出かける間は、代わりに紹介所で勤務することとなった。

「おい! 支払い金額間違ってるんじゃないのか!」

「すいません確認します」


「痛テテテ…」

「早くこっちも回復してくれ!」

「待ってくれ!」ギルド暁内は、野戦病院となっていた。クエストで、ギルドのメンバーほぼ全員が、傷を負っていた。

「お! かえってきたか」ギルド本部にエヴァンとライラが、戻ってくる。

「おそいぞ、さっ! 報酬は?」

「いや、コアに挑むなんて無謀なことやったんだから、そりゃすごいだろ!」傷を負ったギルドメンバーたちが、元気を取り戻す。

「…」

「ハハハ なんだ、しけた顔して」

「すまない…」

「え…」

「なんだよ…」あたりが静まり返る。

「報酬が、もらえなかった」

「え?!」

「お、おい! どういうことだよ」

「いや、たしかな紹介状だったんだが…」

「おいおい! 冗談じゃなよリーダー見てくれよ! みんなこ、こんなに頑張ったのに…」負傷したギルドメンバーの冷ややかな視線がエヴァンに向けられる。

「す、すまない…」エヴァンは、頭を下げる。

「まじかよ…」負傷したギルドメンバーから、ため息が出る。


「はあ…」ユーリャが、肩を落として紹介所に帰ってくる。

「あ、お疲れ様」ユーリャの留守を預かっていた

イーサンが、出迎える。

「はあ…」

「…」

「…」

「ど、どうしたの…」

「き! 聞いてくれる!」

「き、きくよ…」また、病んで変な宗教に自分探しの旅にでられるとやっかいだったので、話を聞かざるおえなかった。

「も、モンスターが! いない!」

「へ?」

「…」

「ち、近いよ…」ユーリャが、美しい青色の目を輝かせながらイーサンの顔面ギリギリまで、顔を近づける。

「ふんす!」鼻息が、かかるような位置まで、ユーリャの顔面が、近づく。

「今日の収穫ゼロだ…やっぱ…私には、冒険者なんて無理だ…ぶっぶっ…」落ち込んだユーリャが、闇堕する。

「じゃ…一緒に森羅の森にでもいく?」

「え?! ほんとに?!」

「あ、うん」

「ありがと!」


「どどうなってるんだまじ…」森羅の奥までわけいったが、全くモンスターの気配がなかった。

「やっぱり…私の才能が!」

「いや。まって今日はまたまた運が悪かっただけだよ」

「はあ…」


「おっ! ユーリャなんかいい情報ないか?」紹介所に戻る久々に人だかりができていた。

「いい情報?」

「モンスターが、全く現れないんだよ」

「え!」イーサンとユーリャは、目を見合わせる。

「ユーリャなら知ってるだろ。モンスターの居場所」

「いや、ほんとみつかんねーどうなってんだ」

「え、お前もか?!」

「いや、俺もなんだよ」

「ザワザワ…」みなモンスターが、見つからずクエスト紹介所に戻ってきていた。

「そ…そんな…モンスターがいなくなっ…」ユーリャの全身から力が抜け魂が抜けたようになる。

「じゃあモンスター探してくるよ!」

「…」期待していない目でユーリャは、イーサンのことをみる。

「ほんと…?」

「ほ、ほんと」


「って、いっはいいものの…」イーサンは、途方にくれる。暁ギルド時代から、ボッチでモンスターを探すにも何も当てにするものがなかった。

「まっいっか…」とはいえ魂が、抜けたような状態になってしまったユーリャのことも心配だった。

イーサンは、どうすることもできなかったので、

とりあえず報酬が、安くだれもやりたがらないおまりのクエストの宝探しをおこなう。モンスターがいようといまいと稼がないといけなかった。

「ここか…」古い歴史的建造物だった。イーサンが、てにしたクエストの紹介状には、割引の印鑑が押されていた。

イーサンは、建物の中に入る。

「ん?」行き止まりにいかにも怪しいモンスターの模様が、バラバラに描これていた。

「パズルか…」イーサンは、石でできていたパズルを解いていく。

「ゴゴゴゴ…」地鳴りとともに先が見える。イーサンは、先にどんどん進んで行く。

「たっく不気味なところだな…しかし…」薄暗くふるいせいかなにか、出てきそうな気配すらした。

「うっ!」

「しっ…!」突然暗闇から誰かの手が伸びイーサンは、捕まる。

「うっ…! 誰!」

「ん?!」今まで薄暗かつた。辺にほのかに光が指し話し声が、遠くから聞こえ来る。

「おい、この辺にだよな…」

「ここであってるのかほんとに」

「知らねえよ。こんなとこ普段来ねえから」

「クソ! あの女どこ行きやがった! 出てこいボケ!」足音とガラの悪い男の罵声が反響する。


「ふう…」足音が、遠ざかって行き静かになる。イーサンの背中には、女性の胸の感触だけが確かに分かる。

「なんなんですか!」

「ごめんなさい。いま追われてて 一緒に来てもらうは」

「いや、あのこっちはクエスト中…うっ…」情報屋のコジマは、短剣をイーサンの喉元に突きつける。

「今、ほんとに私が見逃すと思ってるの?」

「う…胸が…」コジマは、さらに体を密着させてくる。

「あら、私のこと好きになっちゃった? なら、ますます逃がすわけに行かないわね」V字豪快に露出した巨乳をさらに押し付けてくる。

「いや…だから…クエスト…」

「いいは、私がそのクエストも手伝ってあげる」

「はあ…」イーサンとしては、クエストさえ終えれば良かったので渋々付き合うことにする。


「何か追われてているの?」

「そうなの…モテちゃって…大変」

「…」なんだこいつ…。パット見は、体をくねらせて照れているただの女の子だが…。

「実は、いま私とある人の依頼で…」

「いや…その…」何故か無駄に耳元で囁いてくる。

「モンスターの消失について調べているの」

「え?!」

「あ、気になる?」

「いや、実は俺も今探していて。なんか知ってるの?」

「知りたい?」

「え? まあ…」

「え〜そんなんじゃ教えられないな〜」

「じゃあどうすれば教えてくれるの」

「私と今日一日クエストをしてフレンド登録をしてください! それならなんがえるかな〜」

「い、いいよ」こんな、人から追われている怪しい女をフレンドに登録するのは、気が引けたが、他に誰もフレンドが、いない上に他に情報源も特になかったので仕方なかった。

「やった! 仲間〜」


「で、モンスターは?」

「どうも一箇所に集まっているみたいなの」

「え?」

「なんで?」

「それが、わかないんだよね!」

「もういいこのクエストなんてほっとこう」

「え?! そ、う、こ、なくちゃ!」


ゲートを使い森羅の森へとワープする。

「ん…ここか…」

「何? いやな思い出でもあるの?」

「いや…」

「ピンここね」コジマは、マップを開き目的地にピンを指す。ピンを指した場所周辺が、モンスターの最後の目撃情報になっていた。

コジマとイーサンは、ピンを打った未踏破のエリアめがけて進んでいく。

「また…未踏破か…」

「あら、怖がってるの?」

「え…いや…別うっ…」コジマが、唐突にイーサンのことを抱き寄せる。

「これで…こわくないでしょ」

「いや…あの…」


「いや…ほんとどうなってるんだ…」今までも何回かこの未踏破のゾーンには足を踏み入れていたがここまで手応えがないのは、初めてだった。

全く手応えがないまま薄暗い中を進み続ける。

いよいよピンの位置に近づいていた。

「ちょっと!」

「おい…まじかよ…」ちょうど、ピンの位置まで近づくとモンスターの姿を見つける。

「よし、話をつけてくる」

「ちょっと、あんた正気?」

「じあ、どうするんだ。このままここで見ていても多分戻ってこないぞ」

「じゃあどう話をつけるの?」

「いや、その戦ってくださいお願いします。みたいな感じて…」

「まあ、いいからみてなさいってこいうのは、遠くからまず観察することが重要なの。情報屋の私がいうんだから無違いないは」

「ますます信用でなきないな…」

「あ 今こんな怪しいやつの言うことなんて聞けないなんて思ったでしょ」

「いや…別に…」

「あっ」ゲートの中にモンスターが、吸い込まれていく。

「どうする?」

「じゃあ、ゲートの中に入る?」

「いや、一回街に戻って応援を読んだほうが…」

「あれ、さっきまでのつよきはどこいったのかしら」

「いや、あれは冗談…」

「なんとも微妙な冗談ね…でも、ここで移動してゲートを見失ったりしたらまた振り出し」

「行く?」

 

イーサンとコジマは、ゲートからワープする。

「すごい…」そこは、まつり会場のようになっていた。

巨大なモンスターから、小型のモンスターまで膨大な数のモンスターが飲み食いし、祭りを楽しでいた。

「どうする?」イーサンとコジマは、物陰から祭りの様子を見守る。

「いや…このままにしとく?」

「でも、このままじゃクエストはクリアにならないけど」

「ん…」楽しそう騒いでいるモンスターたちを見ているとなにも言えなかった。

「なんにせよ多勢に無勢だ。これ以上は何もできないだろ。いったん戻ろう」もう一度ゲートに戻ろうと二人は後ろ振り返る。

「!」

「…」

「ど、どうも…」

「う」二人の真後ろに巨大なオーガーが立っていた。どうやら、ずっと後ろに立って

二人の様子を見ていた。オーガーは、無言でちょうど人間の大きさほどある骨付き肉を

食べていた。

「ど、どうするのよ」

「ど、どうするって言われても…」

「ちょっとしっかりしてよ私こんな強力なモンスターなんて倒せないわよ」

「いや、俺もちょっと…」イーサン自身は、魔力もない非常に非力な魔術士だった。

「ヒィ! ちょっと、離しなさいよ。私は、オーガーとかそういう趣味はないの!」オーガーの手の中に握りしめられたコジマは、もがく。イーサンもオーガーに握りしめられる。

コジマとイーサンは、どんちゃん騒ぎをするモンスターのど真ん中に落とされる。

「ちょっと、あんた魔術師でしょなんとかしなさいよ!」怯えるコジマは、イーサンに当たり散らす。

「いや…なんとかといわれても…」モンスターたちは、コジマたちの不安をよそに。騒ぎつづける。

「大丈夫みたいだね…」

「こんな状況でよくそんなこと言えるわね」

ただ、モンスターたちの態度をみれば、食べようとしていのではなくどこかの少数民族が白人探検家をもてなすような態度だった。

コジマの不安をよそにモンスターたちの宴会は、長時間に及んだ。その間、酒や食事をすすめられたが、モンスター用の食事や酒なので口にすることは、できなかった。

宴会が、終わるとともにコジマたちは、開放される。

「ふぅ…助かったのかな…」

「とりあえず、帰ろうか…」もと来たゲートを通じて元の森羅の森未踏破エリアに行きつく。


「どうする…」

「どうするって、決まってるじゃないこの情報を売って稼ぐのよ」

「ちょっと、待ってくれせっかく祭りの最中なのに可哀想だろ」

「可愛そう? 情報屋のてっそく依頼者にも情報源にも一切私情は、挟まない」

「そうか…残念だな…」

「じゃあ、ここでお別れね…」

「そうだね…」

「この後どうするの?」

「ん〜そうだな…君を追っていた人たちを探し出して君の居場所を教えてあげようかな…」

「へ〜私を脅すんだ…どうやらここで、今生のお別れをしないといけないみたいだね」コジマが、暗殺用のナイフを取り出す。

「困ったな…」

「死んでもらうは」コジマが、イーサンにナイフで襲いかかる。戦闘力が、ほとんどないイーサンは、走って逃げ出す。

「こんな森から逃げられるとほんとに思ってるの?」イーサンは、魔力もなかったが、体力もないのですぐに息がきれる。

「はぁはぁはぁ…」

「じゃ消えてもらうは!」

「サクッ…」

「ん?」イーサンは、いつの間にか別のモンスターのぬいぐるみといれかっていた。

「何? このアイテム…」 

「いや、物騒だね〜やだやだ…一緒に冒険した仲間を暗殺しようとするなんて…」

「一緒に冒険? 仲間? ハハハ笑わせてくれるわね。私は、情報屋よ? 誰からも好かれず感謝もされず色々な情報を勝手流して、一人で生きていくのよ…あなた情報屋仕事わかってる?」

「ハハハメンヘラちゃんだね〜まあ、分からなくはないけどねー。じゃあさ、私のギルドに入らない?」

「ハハハ! 情報屋がギルド? 舐めてんの? 答えは、これだよ!」コジマは、自走式の爆弾をイーサン目がけて放つ。

「おもしろいおもちゃだね」自走式の爆弾をイーサンは、拾い上げる。

「え?」

「バキッ!」

「ドン!」

「嘘でしよ!」イーサンは、爆弾を手のひらで握り潰し爆破処理する。コジマは、とっさにその場に伏せる。

「いや〜おもしろいもの作るね〜」火と煙の中からイーサンが、歩いてくる。

「あんた…噂通りだね…暁のギルドに覚醒したら手がつけられない化け物がいるって聞いてたけどほんとみたいね」

「どうする? ここで消えてみる? それとも私に協力する?」

「ハハハ…協力、おもしろいわね。でもね。私は物理攻撃も魔力も一般的冒険者に大きくおとる。それにアイテムも潜入捜査するためのものばかりお世辞他の冒険者にでいうといいは」

「いいは、それで情報屋がほしところだったの」

「ちょっと! いいかげんにしなさい! 情報屋が群れることなんてないことを知ってて! 同情でもする気!」

「そうか…キルドに入れば、より情報屋としての報酬も手に入る。必ず協力するは」

「なんでそこまで」

「私も孤独だからよ」

「?」

「実は、童貞なんです!」

「え?…」

「…」

「ハハハ! なにそれ…もいいわ分かったは、私の負けよ。どのみち今のあんたに勝てるとは思えないしね。ところで…一体あんた何? 憑霊?」

「さ〜なんでしょうプレイヤーとだけ名乗っておきます」


「おい! お嬢ちゃん!」

「なんか、今日は随分賑やかね」まちなかにはモンスターが、いなくなったことで無職になった冒険者や狩人が昼間から酒を飲んでいた。

「そ、そうだね…」

「もう…さっきまで勢いはどこにいったの? しっかして」

「ご、ごめん…」森羅の森を出る頃には、いつの間にか元のイーサンに戻っていた。

「おい! ガキ! 無視か!」コジマに声をかけたにも関わらす無視されたモンスターの消失で無職の化していた冒険者がキレる。無理もなかったコジマは、情報屋であることが信じられないぐらいに露出しており、胸元もふともも全開だった。

「こんなの初めてかも…」

「そ、そうだね…」

「おい! ガキ調子に乗るのも大概いしろや」無視せれた冒険者が、コジマの肩を掴む。

「なんなのおっさん」

「お、おっさん…貴様この俺が、ギルド暁のリーダーエヴァンとしってのことか!」エヴァンは、完全に酔っ払っていた。

「そうだ! お前みたいな踊り子ごときに声をかけてもらえるだけありがたいとおもえ!」

「そうだ! そうだ!」見覚えのある面々だった。

「お前、こんな美人つれてクエストしてたのかよ」

「うらましいやつだな!」

「まあ…」久しぶり再開したギルドメンバーと会話をかわす。

「あら、つい最近役所の偽造クエストを掴まされて1円も稼げなかった無能リーダーさんじゃないですか」

「おい! 踊り子の分際でよくそんな偉そうな口が、聞けるなあぁ!」

「はぁ…まだそんなこと言っているのか…それに、あなた彼女が、いるんじゃなかった? 私は、不倫はお断りなんでね」

「ハハハ! こりゃ傑作だな。男となりふり構わず寝ている女スパイ様が、ていそうかんねんだと笑わせるわ」

「あら、私はエロいことは大好きですけど、誠実さの欠片もないゴミクズ男は大嫌いなんだよ!」コジマは、ナイフを取り出す。

「ゴジマ辞めとけお前の勝てるあいてじゃない」イーサンもエヴァンの高い戦闘能力のことは、認めていた。

「おお、怖い怖い。娼婦は、恐ろしいですな。いいだろ弱いものイジメは、ガラじゃないが粉々に粉砕してやる」エヴァンは、URの改造武器を取り出す。ゴジマの持っている調理用のナイフでは、どうやっても強力モンスターの牙や角、皮膚で鍛冶屋が造った武器には勝てないのは明白だった。

「おい! お前たち!」モンスターが、いなくなってから街に浮浪者が、あふれるようになってきたので役人が、見回りをしていた。

「やっべ」

「ああ! なんだ! 今から決闘しようとしてるんだよ! じゃますんじゃええ!」

「いや、すません…さ、リーダーいきましょう」

「うるせぇ! 離せ! 俺は決闘しなきゃなんねぇんだ!」酔っ払い喚き散らすエヴァンのことを他のギルドメンバーが、脇を抱え運んでいく。


「くっそあの女情報屋だかなんだか知らねぇが調子に乗りやがって…」エヴァンは、酔っ払ったままギルドの建物に戻る。 

「お疲れ様です…」

「おお! ライラ! 実は情報収集してたら遅くなっちまったよ」ライラの顔が、曇る。大所帯のギルド暁は、モンスターの消失のダメージをもろに受けており懐事情が、非常に厳しかった。

「いや…それが…いや、酒を飲んでただけじゃないんだ。な?」


「そ、そうですよ! リーダーは、次のクエストを探していたんです」

「ほんとに?」

「そうそう、あ、そういえばモンスターの最後の目撃情報が、一箇所に集中って話聞いたは」

「あ、そうそう」エヴァンと一緒に酒を飲んでいた他のギルドメンバーも適当同調する。

「ほんとか?!」

「それは、大手柄だな!」

「今すぐ出発だ!」

「おー!」クエストに飢えていたその場に居合わせたギルドメンバーたちは、色めき立つ。

「じゃあ! 組織編成を発表します!」ライラは、エヴァンとパートナーになってから態度が、高圧的となり勝手にギルドを取り仕切るようになっていた。

「カミラ! クリスタ! …」名前が読み上げられていく。

「はい!」

「…以上!」

「おいおい…何の冗談だリーダーの俺の名前が、ないじゃないか」

「酔っぱらいにクエストに参加する必要は、ありません」

「なんだと…てめぇ…俺も入れさせろや! 最近セックスの相手もろくにしないし調子に乗りやがって! 貴様なんてな偶然イーサンとパートナーになれたから評価されたただけで、貴様自身には、

なんの価値もないは!」

「ちょっと、リーダ、まずいですって」さっきまで一緒に飲んでいたギルド内のリーダーの

取り巻きが、エヴァンを止めようとする。

「へえ、よくそんなこと言えるわね」

「お前もこのギルドから追放してやる!」

「ちょっと! おいエヴァン言い過ぎだぞ!」回りのメンバーたちも止め始める。

「いいは、辞めてあげても」

「ちょっと、二人とも頭を冷やせよ」

結局もめにもめたものの遠征メンバーにエヴァンも参加することとなった。


「ほんとにここであってるんでしょうね」ギルド暁のメンバーは、森羅の森を奥深く進んでいく。

「あってるにきまってんだろ」

「酒飲んでたのをごまかすのに偽の情報を言ったんじゃないいんでしょうね」ライラが、

きつい口調で問いただす。

「そ、そんなわけないだろ」

「ライラ様!」ギルドのメンバーの一人が、指さす。

「ゴブリン?」普通のゴブリンが、辺りを警戒しながらゲートの中に消えていった。普段なら気に求めないゴブリンだが、今は、非常時例え、ゴブリンでも見逃すわけにはいかなかった。

「ほらな、引きずり出してやろうぜ! 行くぞ!」エヴァンにとってゴブリンとの戦闘など恐るに足らなかった。

「簡単にけりが、つきそうですね」他のギルドメンバーも楽観視していた。


「なんだこれ?」ゴブリンを追ってゲートを潜ったギルドメンバーの目の前にゴブリンたちが、楽しそうに飲み食いしながら踊っている様子が、目にはいっていた。

「説得すればいのか…」ギルドメンバーは、途方くれる。

「俺がいこう!」エヴァンが自信と怒りに満ちた表情でゴブリンの前に進み出る。ゴブリンぐらいに負けるわけないという自信にみなぎっていた。

「キャー!」

「うっ…なんだこれ…」物陰から、ゴブリンの方に進むとゴブリンたちが何をしているか見えてきた。ゴブリンたちが飲み食いしているキャンプファイヤーの周りには、首のない全裸の女性の体が大量に転がっていた。

「!」ゴブリンたちも悲鳴でギルドメンバーたちに気づく。

「てめぇら何やってる!」間髪入れずにエヴァンが、飛び出す。

エヴァンの斬撃をゴブリンの斧で受け止める。

「早く逃げたほうがいいんじゃないのか?」

エヴァンは、勝利を確信した笑み浮かべながら剣を押し切ろうとする。エヴァンのURクラスの剣をゴブリンが、ボロボロの斧で受け止める。

しかし、ゴブリンが力で押しきる。そして、エヴァンは、ふっ飛ばされ近くの建物に叩きつけられ建物の壁面が砕ける。

「エヴァン! 霊水拳!」ライラが、拳に魔力を

込めてゴブリンに向けて撃ち込む。

「強振拳」ゴブリンが、ただの拳でライラに応戦する。二つの拳の衝撃波が辺りを包む。

「す、すげえ…ライラの魔力拳を受け止めた…」ゴブリンは、ダメージこそ受けていたものの致命傷は負わずライラに向き合う。

「ここから出ていけ…」ゴブリンが、鋭い目つきで、睨みつける。

「あ…あ出ていってやるよ! 貴様らを全員片付けてな!」

「ちょっと! 何かおかし…い…このゴブリン強すぎる…」初級でも倒せるはずのゴブリンに悪戦苦闘する。

「カミラ!」

「まかして!」魔術師のカミラは、魔術書をアイテムから取出し目の前のゴブリンついて検索をかける。

「早く出て行け! ここは神聖な場だそ!」

「尖剣!」エヴァンが、問答無用で斬りつける。

ダメージが、表示されるが二や三程度のダメージしか入らない。

「まずい…嘘でしよ…」魔術書で検索をかけていた。メンバーが、絶句する。

「カミラ…わかったの…」激しい戦闘でライラが、肩で息をしなが尋ねる。

「ハーフゴブリン…」

「え?」

「ゴブリン、ドワーフのハーフ! まずいこれ以上は無理よ!」

「仕方ないゲートの位置まで引きましょ!」

「ライラ! 見てろよ!」エヴァンが、深手を負いながらも戦闘を続ける。

「ちょっと! 聞いてたの!」

「ゴブリンがなんだ! ハハハ!」ココ最近の立て続けの失敗で完全に正気を失っているエヴァンは!何がなんでも名誉挽回するために必死に戦い続ける。

「ここは! 神聖な場所だ! 出て行け!」

「ゴブリンが、神聖だ? 辞書で神聖の意味を調べてからつかいな…はぁはぁはぁ…」いくら、高級かつ高品質な素材でできている武器とはいえ

ドワーフとゴブリンの攻撃力を足した化け物相手たとかなり厳しかった。

「よさんか!」

「…」厳しい老齢の声が、辺に響く。

「あぁ! 誰だ爺さん?」

「ちょっと! エヴァン!」功績で頭がいっぱい

のエヴァンが、お構いなしに斬りかかる。

「炸裂真空拳!」

「グハッ!」エヴァンの体を衝撃波が襲いエヴァンが吹き飛ばされる。

「いい加減にせんか!」

「長老…」ゴブリンたちは、みな大人しくなり道をあける。

「リーダー!」エヴァンの取り巻きたちが、駆け寄ってくる。

「大丈夫だ!」

「でも…」

「大丈夫だと言ってるだろ!」

「どなたか存じ上げませんがお引取り願いましょう」

「誰だか知らねぇが、こんなとこで身勝手やられちゃこっちも迷惑なんでね」

「ちょっ…ハーフゴブリンの長老を知らないの?」魔術書の管理をギルド内で担当するカミラがその場でひざまずく。

「おいおい…冗談よせよ。ゴブリンにひざまずくやつなんて聞いたことないぞ」エヴァンが、両肩を支えながらゲラゲラわらう。

「彼は、大使級の扱いを受けているゴブリンよ。ゴブリン、ドワーフの長よ」

「は?! 大使級?」他のギルドメンバーたちもひざまずく。エヴァン一人立ち尽していたが、周りを見ながらひざまずく。

「非礼をお詫びします」

「いや、すまんかった。うちのメンバーも気が短くて…。だか、分かってくれ我々が、攻撃的なのも冒険者たちのためなんだ」

「長老一体これは…」

「ああ、命を落とした冒険者を弔い、そして…命を落とした仲間たちへの鎮魂を込めた儀式なんだ…」

「そうだったんですか…。でもどうして一斉に…

「今まで、ずらしていたんだがココ最近クエストの量が増えて他の種族と時期をずらすことができなくなってしまったんだよ」

「それで…一斉に…」

「すまんな…お引取り願えんか…また我々は元の場所に戻る」

「分かりました」

「おい! このまま引き下がるのかよ」

「仕方ないわね。みんな帰りましよ」ライラが、ギルド遠征メンバーに指示を出す。

「おい! モンスター帰還のクエストをクリアしたら大手柄だぞ!」

「もう、いい加減にして! あんたが一人でやるなら一人でやれば」皆続々とゲートから元の森羅の森へと戻っていく。

「リーダー…すいません!」

「お、おい! お前ら!」リーダーの取り巻きたちも帰っていく。

「おい、爺さん」

「ん?」

「おい! 口の聞き方に気をつけろ」

「なんだ?」

「このクエスト紹介状にサインしてくれたら帰ってやるよ」

「断る」

「もう一度言うこのクエスト紹介状にサインしてくれたら帰ってやる」

「もう一度言う。断る」


「このあたりだな…」イーサンたちはゲートを通じてもう一度モンスターたちが集まる異世界に来ていた。

「このあたりにいるはずよ」

「いったいドコからその情報仕入れたの」情報屋のコジマは、ゲート内の異世界でこの一連のモンスターの消失の鍵を握る人物がいるとの情報を手に入れていた。

「モンスターから」

「え? 無茶苦茶だな…」まさか…モンスターと寝たのか…。

「…」コジマが、じっとイーサンの目を見てくる。

「ん?! な、何?」

「いや、今なんか変なこと考えてなかった?」

「いや〜全然」

「ほんとに?」

「ほんと」

「ドンッ!」地鳴りと轟音がなりひびいてくる。


イーサンとコジマが、音の方へとかけていく。

「もうよさんか」

「うっせえ! 俺には金が必要なんだよ!」

ハーフゴブリンの長老にボコボコにされながらも戦い続けているエヴァンの姿があった。

エヴァンのUR武器は、刃こぼれしておりボロボロだった。

「神封斬!」

「うおおおお!」エヴァンのボロボロになった高級武器の斬撃を長老はパワーで受け止める。

「くっそ…武器の性能では…遥か上のはず…」

「喝!」気迫でエヴァンを吹き飛ばす。


「エヴァン!」イーサンは、駆け寄って行く。

「あ、だ誰だ…お前ら」度重なる物理攻撃でフラフラの細い目でイーサンたちの顔を見る。

「何やってんだよ」

「なんだよ…いまさら…お前はもう赤の他人だろ…お前の助けなんてかりねぇよ」

「まだ、そんなこと言ってんのか」

「ちょっと、あんたギルド首になったんでしょほっきなさいよ」

「このままなら殺される。逃げるぞ!」イーサンは、エヴァンを担ぐ。

「まて、まだクエスト紹介状にサインが…」

「まさかこのまま逃げられるとは思ってないよな」ハーフゴブリンたちに取り囲まれる。

「どから、ほっとけっていってるでしょ」コジマが、イーサンにエヴァンをすてるように促す。

「あんたハーフゴブリンのことわかってんの?!」パワーの極みのようなゴブリンであるこは、情報屋のコジマは、熟知していた。

ゴブリンたちが、飛びかかってくる。

「ドン!」地鳴りが、遠くから近づいてくる。

ゴブリンたちが、慌ててふためく。

「長老! さあ! 早く!」早くも脱出路を確保したゴブリンたちが、先に長老を逃がそうとする。

「はっはっはっ」

「長老!」 

「大丈夫じゃ心配するでない」

「あ…」その場にいた全員が、空を見上げ。

「久しぶりだな」

「そうだった?」ジャイアントオークが、森の木々をなぎ倒して姿を現す。

「友人と仲良くね」

「あ、ああ冒険者のことか」

「ひょっとして…先日の…」

「そう…楽しかった」一緒に宴会をしたオークだった。

「助けにきてくれたのか…」

「うん…」無言で、肉を差し出す。

「あ、ありがとう…今はお腹いっぱいだから、仕舞ってくよ」イーサンは、オークの肉をアイテムボックスに収納する。

「祭りに争いは必要はない」

「はっはっはっそうだな…お二人も一緒に飲み直そう」儀式と言うなの宴会が始まる。


「それにしても…」

「まあ、気分のいいものではないはな」やはり、首のない全裸の女性の死体に目がいく。

「我々ゴブリンにとって人間は、高い知能を持った生きのもその高い知能に敬意を評して頭をこえやって火にくべて燃やすそうして天へと焚き上げ敬意をひょうする。体は、土へと返し大地への感謝を示す。まあ人には理解できない感覚かもしれませんがね」

「いや…そんことないですよ…」

「うち人よりもあなた方のほうがよっぽど知能が高いですよ」呆れ気味のコジマが、クエストどうのこうのと喚き散らすエヴァンの方を見る。

「激しい競争の中で自分自身を見失ってしまっている冒険者たちをみていると競争が、生命から知性を奪っているのかもしれませんね…」


「すいませんご迷惑をおかけました」長老が謝る。

「いえ、こちらこそうちのエヴァンがご迷惑をおかけしました」

「ところでエヴァンとは、どのような関係で?」

「ただの腐れ縁ですよ」

「そうですか…」

「…」

「…」

「名残惜しいですがここで」

「ええ」

「次は、お互い敵同士戦場であいましょう」

「はい…」

「いくぞ! お前ら!」

「はい」ゴブリンが、姿を消していく。


「こんにちは〜」

「こんにち! あ!」

「どうも…」

「どうも〜」閉店後のクエスト紹介所をイーサンとコジマが訪ねる。

「どちらさん?」若干ご機嫌ななめのユーリャがコジマのことを尋ねる。

「いや、偶然一緒になってそれで新しいメンバーに入れたいと思うだけど…」

「条件があります!」突然人差し指を立てながら、ユーリャがコジマに顔を近づける。

「恋愛禁止!」

「えっ」

「ええ…いいわよ」

「ふぅ…」ユーリャには、思うところがあったのだろう。汗を拭う。

「でも…えっちなことならOKよね」

「ぶっ」

「も〜と駄目です! いいですか私達は、ギルドである前にファミリーなんですから」

「ハハハ!」

「?」ユーリャとイーサンは、目を見合わせる。

「身寄りのない私達が家族になってどうするの? セックスでもするの」コジマが、艶のある目線を送る。

「あ…」

「ちょっと! さっきもいったとおり! エロいのは駄目です!」

「…」イーサンは、少し落ち込む。バレないように。

「じゃあ…何するのよ…そもそも私達の役割は、家族を必要としないは、それにイーサンにいたっては…今あなたは何をしているの」

「む、む…無職です!」大声で元気よく言う。

「じゃあこれからも一人で汚い情報屋として一人孤独にこの先も生きていく?」

「フフフ…汚い? 聞きづてならないわね。あなたこそ今まで、ずっとただの用務員としてはたらいていただけなのに、魔力ゼロ、物理攻撃ゼロのイーサンとギルドメンバーになったぐらいで冒険者として活躍できると思ってるの?」

「先が…思いやれるな…あ、あの…」

「何!」二人が一切ににらみつけてくる。

イーサンが、無言で指を指す。その先には、ギリギリ閉じるかどかのところで、クエスト紹介所

のシャッターの淵からは見れる指があった。

「ひょっとしてお客さん?」

「ああ…」呼びかけに応じて少しだけ指がピックと反応する。

シャッターを開けるとそこにいたのは、ボロボロになったエヴァンだった。

「わ、忘れもんだぞ…」エヴァンは、クエスト紹介状を手渡す。

「いや、でもこれ…」モンスター消失のクエストクリアの証明となるハーフゴブリンの

魔術印が押されたものだった。イーサンは、受取を躊躇する。

「なんだお前? 俺にあわれみでもかけてるのか?」プライドのかたまりみたいなエヴァンが、イーサンの気づかいなど受け入れるはずもなかった。

「いや…でも…」

「いいから受け取れ」

「クソ!」帰りざまにそばのゴミ箱をエヴァンが、蹴り飛ばす。

「いってて…」

「なんなのあいつ…」コジマが、ハナで笑う。

「俺が所属していたギルトのリーダーだよ。まあ、追放されてしまったからもう関係ないけどな」

「街に一番のギルトだったんでしょ。ずいぶん落ちぶれたものね…追放されて逆に良かったんじゃない」ハーフゴブリンにボコボコにされたヨロヨロと歩くエヴァンの背中を見守る。


翌日クエスト紹介所を開けると長蛇の列が、出来ていた。

「おい! お前か? モンスター消失のクエストをクリアしたのは?」冒険者から話しかけられる。

「ええ…その…」

「いや…ありがとう…」涙目で、手を握られる。

「もう冒険者を廃業しようかと思っていたんだよ」

「そうですね。もう冒険者という職業がなくなったと思ったんですが」

「いや…しかしよくよくモンスター見つけたな、どこにいたんだ?」

「いや…あの…クエスト紹介状の契約で話せないことになってるんです」イーサンは、モンスターたちの大切な祭りを他の冒険者たちに邪魔させたくなかったから詳細はふせることにした。

「ほんとか? そりゃ…残念だな…」

「おい! メロディー! イーサンに祝福のキスをしてやれ!」

「え?! 何を?! わ、私はそんなはしたないこと公衆の前でしない!」街一番の美人騎士に浮かれた冒険者のやじが飛ぶ。

「おい、英雄に向かってそれはないだろ」

「いや…そんなつもりは…」イーサンも嫌味のないようにやんわり断る。

「あ、ありえない! な、なんだ急にみんなして」

「じゃあ…しゃあない…俺が代わりにやってやるか!」ガタイのいいヒゲヅラのおっさん冒険者が、声をあげる。

「ウオオオ!」今までとは違う変な盛り上がりになる。

「い、いや、それだけはかんべんして!」イーサンは、さっきまでとは違う断固とした拒否反応をしめす。 

「メロディちゃん悪いなお先に失礼するぜ」ヒゲヅラのおっさん冒険者は、メロディーにウィンクをする。

「ヒィィィ…」イーサンは、全力で嫌がる。

「わ、分かった! や、やればいいんだろ!」涙目になりなが、頬を染めたメロディーが意を決してイーサンにキスをする。

「ウオオオ!」

「いや…命の恩人だ…ありがとう…」

「いだだ…」

「ぐるじぃ…」美人の女剣士に甲冑をきたまま抱きしめられて祝福のキスを浴びせられたり、巨乳のヒーラーの女性に抱きしめられて窒息しそうになったり数々の人から称賛をあびた。

「ふっー!」

「いいぞー!」

「やったれやったれ!」街を代表して美人騎士や、魔法少女がイーサンに祝福のキスをするたびに声援がとび大盛りあがりになる。

「ちょっと! ここは風俗ではありません〜」怒ったユーリャが、イーサンのことを抱きしめる魔法少女を引き離そうとする。

「あら、ごんなさい。英雄さんには大切なお姫様が、いましたね〜」

「お、お姫様…いや〜そんな〜」ユーリャが、勝手に照れる。

「ガン!」

「いった」イーサンの頭に何が当たる。

「な~にが英雄だ!」

「おい! 街の英雄に何してんだ!」

「モンスターが、復活してこっちは、商売あがったりなんだよ!」モンスターに農園を荒らされた農夫が、怒鳴り込んでくる。

「はーい! 皆さんここは、クエスト紹介所です! さあ! このクエストに挑戦する人は!」

「ハイ!」仕事に飢えていた冒険者たちが、一斉に手を上げる。


「ドンドン!」

「もしもし〜いるの分かってんるですから!」

「もしも〜し」ギルト暁の正面のドアが荒々しくノックされる。


「おいどうするよ」中では、ギルトメンバーが、出るか出ないかでもめていた。

「な、こと俺に聞くなよ」

「そうだな…リーダー…」エヴァンが、やってくる。

「どうします…」

「…開けるしかないだろ」

「ガチャ」

「トクソク状を持ってまいりました」税金のチョウシュウに来た役人たちが、建物の中にはいってくる。

「キルト暁! 期日を過ぎた税金が、1000ゴールドある直ちに支払ってもらう」

「そんな金ない」

「ならば、資産の差押えを実施する」目配せすると役人たちが一斉ににギルト暁内の建物の武器などに魔術印をつけ差押えていく。

「ああ…俺の盾が…」

「あっ! それ! どれだけ苦労してつくった剣だと思ってるだよ!」

「どけ!」差押している役人が、ギルトメンバーを突き飛ばす。エヴァンは、呆然とその様子を見守る。

「おい! リーダーなんか言ってやってくれ」

「ああ? あ…あぁ」

「ああ! もうこのギルドはおしまいだ!」

徴税を担当している役人は、次々にギルト内にあるアイテムを差し押さえていく。


「ん〜疲れたー」ユーリャが、伸びをする。モンスターの復活から、クエストを探す冒険者たちが、ダクリュウのように押し寄せて紹介所は、大混雑になっていた。

「すいません…」サチの薄そうな女性が、大荷物を持ってやってくる。

「はい、どのようなご要件でしょうか」

「この荷物を届けてほしいんです」

「わかりました。では、伝票はご準備していただいていますか?」

「いいえ、まだ…」

「では、送るものはどのようなアイテムですか?」

「…」

「すいません…」

「…中身は…分かりません」

「え? 中身が分からないんですか?」

「ん〜中身が、わからなと伝票が書けないですからね…」

「なんとかなりませんか…」

「あら、そんなにお困り?」ゴジマが、話に割って入ってくる。

「ええ…なんとかお願いできないでしょうか…」

「誰から頼まれた荷物ですか?」

「それは…分かりません…」 

「いや…さすがにこの荷物怪しすぎでしょ」イーサンが、荷物の受け取りを拒否するように促す。

「そうですね…さすがに中身が、分からないとなると、クエストに出せないですね…」

「そうですか」

「ちょっと!」荷物を持ってきた幸の薄そうな女性は、隠し持っていた包丁を取出し自分の意思で喉元に突きつける。

「離してください!」イーサンが、とつさにその女性の手を握り自殺を食い止める。

「わかったは…それなら…覚悟は出来ている」コジマが、何つてがあるのか自殺しようとしていた女性に話しかける。

「運んでいただけるなら」

「おい、こんな案件受けるなよ…」イーサンが、とめる。

「悪いけど私の仕事は情報屋であって慈善家ではないの。危険であればあるほどいいの。あぁ…燃えてきたは」

「でもこの人をこのままおいておいたら…」


「ん〜おきゃくさ〜ん?」街のハズレにある小さな子屋を訪れる。ようじょが姿を現す。

「あの…お父さんかお母さん…」イーサンが、仕事の依頼をする相手を探す。

「ん?」

「ん?」イーサンとようじょが、見つめ合う。

「ひさしぶり〜」

「コジーマ!」コジマが、ようじょの頭をなでまわす。

「え?」イーサンとユーリャは、あっけにとられる。

「紹介するは、運び屋のヘラよ」

「よろしくなのです!」

「こう見えて何でも運んでくれるんだから」

「え?…」

「なんですか? あ〜ひょっとして私が運び屋に見えないって思ってるんでしょ」

「いや…」なんだ…運び屋ってこうもっと…ワイルドで、スキンヘッドのおっさんとかじゃないか…。

「あの…」依頼者のヒルデが、話を切り出す。

「ああ、彼女が依頼者」

「どうされました?」

「中身を秘密にしたまま送りたいのですが…」

「いいですよお守りしましょう」

「では、こちらが契約書になりますサインを」

「いや…なんだよこれ…」ヘラが、差し出したのは、真っ黒な契約書だった。

「うちは、特別な運び屋なのだから契約書も特別!」

「これは…」

「私の提示した条件を無条件で飲むことが条件です」

「…わかりました…」ヒルデは、真っ黒で何も分からない契約書にサインをする。

「で? 運び先は?」

「クリフという人物に泉の街の太陽七月八十八になります」

「わかりました引き受けます」


「じゃあ、いってきますね」

「お願いします…」悲しそうな表情で、頭をさげる。

「って…なんで俺も同伴しないといけないんだ…」

「だって…ユーリャちゃんは紹介所のお仕事があるじゃない仕方ないでしょ」

イーサンとコジマは、ヘラに同伴することとなった。

「嬉しいな、コジーが同伴してくれれば百人力だよ!」一行は、馬車に荷物をのせ目的地へと向かっていく。


「キャッ!」

「だ? 大丈夫?!」

「へーきー大丈夫ー」路面が、ひどく馬車信じられないぐらいに揺れる。激しい揺れでヘラの体が、ぶつかりイーサンは、思わず抱きしめる。

「…」

「あ、ああごめん…」抱き合ったままヘラが、少し照れているのに気づき慌ててイーサンは、離す。

「あ〜やっぱ私みたいなおばさんより幼い子供が、いいんだそうよね〜」

「いや…そういうのじゃないだろどうみても今のは」イーサンが、ゴジマのからかいに慌てて反論する。

「う〜」ヘラは、若干上目遣いでじゃつかんすねる。

「いや…その嫌とじゃないんだ…」

「うわ!」全員が、ひっくりかえる。馬車が大きくゆれ横倒しになる。

「いてててて…」

「大丈夫?」

「だ…大丈夫…」

「ん?」イーサンは、何か柔らかいものが目の前にあることに気づく。

「あ、あの…」

「あっ…白?」

「え? うん…白だよ…」パンツの色をあてている場合ではなかった。

「うっ…」イーサンは、とりあえず起き上がろうとする。

「あっ…」甘いエロい声があがる。

「あっ…ごめんなさい…」イーサンが、起き上がろうと手をついたところにちょうどコジマの爆乳が、あった。

「あっいいの気にしなくてもイーサンは、と、く、べ、つ…まだ触りたらないんじゃないの?」

「コージーそれどころじゃないよ」コジマは、ひっくり返って助けを求めているベラを起き上がらせ外に出る。

「何コレ…」

「アワワワ…」外に出ると道に死体と白骨が、散乱していた。小刻みに震えながら、イーサンにしがみつく。

「誰だよこんなルートえらんだの…」

「はーい。私です!」コジマが、手を挙げる。

「なんでこんなルート選んだんだよ…」

「危険な荷物を運んでもし役人に停められたらどうするつもり?」

「いや、だからといってこんな危ないルート通ったら荷物以前に命を獲られるは!」

「アワワワ…これって…」

「追い剥ぎね」

「いや、見ればわかるは」長年このみちで、追い剥ぎが行われていたことが、うかがいしれる。


「おい! 美人のおねさん!」

「あら〜照れちゃう」声をかけられたコジマが、馬車を起こす手を休め反応する。




「クエスト紹介所の」

「ファミリーなんでしょ近所付き合い大切にしなきゃ」

「運び屋を頼む」

「まずい…」三人は、顔を見合わせる。誰も運べない。


「いったたた!」馬車の一部にイーサンは、足を挟まれる。

「あら…ごめんなさい。大丈夫?」コジマは、目を輝かせながら乙女な表情になりながらイーサンに駆け寄ってくる。

「いや、いつからそんな性格なっ…イタタ!」ゴジマが、声をかけてきたフードを深く被っていた男性たちに見えないように、イーサンの足を踏んづける。

「あら…大丈夫?」

「大丈夫って…おまえ自分でふん…イタタ!」

「あ〜ら大変だね。馬車を起こすのを手伝ってあげしょう」

「え〜ほんとですか?」男性たちは、馬車を起こすのを手伝う。

「すいません! ありがとうございます!」笑顔でヘラがお礼をいう。

「いい人だね」

「あ、ああ」ローブのせいで顔をは見えず人相も把握できない。しかし、こんな追い剥ぎが、大量に出て死体や白骨が散乱しているような場所で、いい人が現れるとは思えなかった。

「お姉さんさん。近くの飲み屋に一緒に行かないかい?」

「あら〜ごめんなさい今お仕事中なの〜またの機会に」

「つまらないこと言うなよ。そんな仕事は、そこのガキにまかせてなあ。楽しもうや」ローブをきたはおとこは、コジマに近づきコジマの肩に腕をまわす。

「ガキじゃないよ!」ガキと言われたことに腹をたてたのかヘラが、怒る。

「あら私は、そんなに安くないわよ」

「ハハハ! いいからついてこいよ」

「ごめんなさい私の言うことに耳を課さない男には、私ははなから興味がないの」

「おいおい! お世辞を、いえばずいぶんつけあがるじゃなねぇか」ローブを着た男は、手で服の上からコジマの乳を揉む。

「あら、言葉を理解できない種族かしら? あ〜こんな場所だし下級のスケルトンかなにか? 骸骨ナイトかしら」

「おい、コジマ、こいつら何か変だってとっとと行こうぜ」そもそもこんなところで出会う奴らにまともなやつなんているはずもなかった。

「ハハハ! おばさん調子乗るのもたいがいにしろや! そうだな〜ん〜今回は、護衛費用は、百万ゴールドにしておいてやろう。特別なサービスだぞ」

「ひ、百万ゴールド! そんな!」

「お断りよ。とっととその手をどけなさい」

「馬鹿な女が図に乗りやがって、金か体をだせっつてんだよ!」ローブの男が、声をあらげる。

「聞こえなかったみたいね」

「グサッ」

「アアアァァァ」コジマが、短剣をローブの男の手のひらに突き刺す。

「やっちった…」そもそも、コジマのキツイ表情を見ればきの強い女ってことぐらい分かるただろ…。

「このアマ!」短剣が、刺さった手のひらを抑え後ろによろめきながら、眉間にシワをよせる。

「よくも兄弟を!」

「やってやるぞ!」

「おう!」ローブを二人の男が、脱ぎ捨てる。

「ゴブリン風情が、私と付き合えるとおもってるの?」ローブの中から現れたのは、追い剥ぎゴブリンのギードとグンダー。

ギードが、何の加工もしていない平凡の斧で斬りかかる。コジマは、短剣で受け止めようとするが、刃が立たずに斬りつけられる。

「ヘヘいい体してるじゃねえか」斬りつけられてコジマの裸が、あらわになる。

「ほらよ!」

「ドッ」

「うっ…」コジマは、追い剥ぎゴブリンに蹴り飛ばされる。

「生意気な女だな…ん?」

「ガクガクブルブルブル…」震えて怯えているヘラの方にゴブリンが、視線を向ける。

「そうだな…あの生意気なおばさんよりこっちのようじょの方が高く売れるか?」

「いや…私、ようじょじないです。貧乳なので売れないですぅ」

「いや、そういう問題じゃないだろ」イーサンは、冷静につっこみをいれる。

「おい…いてぇ…よ…」手に刃物が、刺さっていたゴブリンが、苦痛に顔を歪めながら早くてっしゅうしてくれるようにごんがんする。

「あ、すまんな兄弟」

「積荷だけでいいだろ。くっそ…回復魔法でもつかえりゃ…」ゴブリンのような下等種族は、複雑な魔法はほとんどつかえなかった。

「あ…すまない兄弟! おい! ガキ! 死にたくなきゃじっとしてろ!」イーサンは、積荷を守るために魔法陣を起動する。

「ザッ!」ゴブリンの斬撃に魔法陣ごとふっ飛ばされる。

「あ? なんだ? この弱い魔法は?」

「あ!」積荷の載った馬車にゴブリンが、乗ろうとするのを見てヘラが、声をあげる。

「うん?」

「…」

「なんでもないです…」追い剥ぎの威圧にヘラが圧される。

「ちょっと! イーサン! なんとかしなしいよ!」コジマからげきが飛ぶ。

「いや…あ…」イーサンが、ヨロヨロと起き上がる間に追い剥ぎたちは、馬車を走らせて行ってしまう。


「ふっー! 最高だぜ!」馬車を走らせてイーサンたちを突き放していく。

「やったな相棒!」

「いや、まさかあんな簡単にいくとはな。最近は、このあたりを通る行商人は、強力な護衛をつけているからなかなかお宝にありつけなかったゆだよなぁ」

「さっそく開けてみるか?」

「まてまて…そう焦るなよ。あんな雑魚仮に追いかけてきたところで俺が、ぶっ飛ばしてやるよ」

「すまんな…相棒…いっ…たた…」

「もう、無理するなゆっくりしとけ」

「ああそうさせてもらう」

「今夜は、祝杯だな! うっ!」

「ヒヒヒイ!」快調に走っていた馬が唸り声をあげても突然止まる。

「おい! 何やってんだクソが!」

「おい! 動けよ!」馬は、全く動こうとしない。

「ん?」奥の方から音がしてくる。

「ドン!」

「うわ!」閃光が、追い剥ぎゴブリンは、馬車からふっ飛ばされる。

「クッソ…舐めたまね…ん?」人影が、森の奥から現れる。

「なんだ? お前ら?」魔術師たちが、姿をあらわす。

「おい! まずい…あいつら暁だぞ」

「ああ? なんだ?」

「知らないのかよ! 森羅の森の隣町で一番強いギルトだよ」

「なんで、そんなやつらがここにいるんだよ」

「しらねぇよ! でもとっと逃げた方がいいぞ」

「ふざけんな久々のお宝だぞ逃げられるかよ!」

「どうやら我々のことをご存知のようで、でしたらはやいその積荷を私のほうにいだけないでしょうか」暁のギルトに所属している魔術師が、叮嚀に余裕をもってお願いする。

「あ、ああ…持っていってくれ」

「ふざけんな! 誰が貴族の犬どもに譲るかよ! お断りだ!」

「どうやら、カン違いされいるようですね…わたしたは、お願いしているのではないのです。とっととそのつみにを差し出せと命令しているので

す」

「偉そうに!」

「おい! ギード!」ギードが、斬りかかる。

「バシィビギィギィギィ…」轟音と激しい閃光が、辺りを包む。

「クッソ…」魔術師は、片手でバリアを張りゴブリンの攻撃を受け止める。

「やめ給え。ゴブリンごときで魔術師に勝てるわけないだろ」

「うわ!」魔術師は、片手でゴブリンをふっ飛ばす。

「よくも…ギードを…」

「おい! 待て!」グンダーが、魔術師に斬りかかっていく。

「スッ…」グンダーが、魔術師と刺し違える。

「お前の魔術師のくせに物理攻撃しか出来ないのか?」魔術師は、魔法を使わずステッキのみで応戦してきた。

「弱すぎるからですよあたなが」

「ハハハ! 俺はこの界隈では、名のしれたゴブリンなんだよ! いずれお前も分かるがな。もっともお前は、俺をこ怒らせた時点で死ぬことが確定している以上無駄な話だなハハハ! うっ…」

「ドビュッ」ゴブリンが、真っ二つに割れる。

「グンダー!」

「え?」グンダーは、苦しむ間もなくこの世を去る。

「教えてやろう…強力な魔力を持ったステッキは、尖っていなくても鋭利な刃物のような役割をする。おや…聞いていないようですね残念…」

「おい! あんまり調子にのるなやエリートさんよ!」長年幼い頃から連れ添った相棒を真っ二つに目の前でされたギードは、げっこうする。

「はぁ…いいかげんにしてください。ゴブリンのんか倒してもなんの足しにもならない。草むらで出てきたスライムを倒して誰が楽しいですか?」「クソが!」

「煉獄…」

「なんだこれ! おい! どうなってるんだよ! おい! 助けてくれー!」ギードの足元に出来た黒穴の中に吸い込まれていく。

「さてと…クエストを淡々とこなしますか…」暁のギルドのメンバーたちは、積み荷を奪いとる。


「リーダー!」追い剥ぎゴブリンから、ヘラたちの積み荷を奪いとったメンバーが、ギルド暁の本部に帰ってくる。

「おお! 当然うまくいったんだろな!」 

「はい、ご覧の通り」

「おお! これが…!」エヴァンの前に積み荷が差し出される。

「ちょっと、本気ですか? アニキ」ギルドメンバーの一人が、声をかける。

「何がだ?」

「こんなクエスト紹介状うけて大丈夫なんですか?」ギルドのメンバーは、この積み荷強奪のクエストの紹介状を持っていた。

「最高だろ! 一千万ゴールドだぞ!」

「いや…積み荷の内容物は、おろか依頼者すら書いてないじゃないですか!」積み荷も依頼者についても何も記載がなかった。

「なんだ! 金がなけりゃこのギルドつぶれるぞ! 金がすべてなんだよ! さあ! 楽しみだなあ…」まんべんの笑みをエヴァンは、うかべる。

「ライラ様は、どうします?」

「そうだな、呼んで来てくれうれしくて腰ぬかすぞ!」


「ライラ様…」ライラは、祈祷室で仏に祈りを捧げていた。

「ライラ様…」ギルドメンバーの呼びかけに応じない。

「うるさい! 後にして!」

「す、すいません…」


「ライラは!?」

「すいません…ずっとお祈りを捧げていて…」

「そうかなら仕方ないな〜仏は全てを解決してくれるからな〜また報酬で仏具でも買うか〜楽しみだな〜」

「エヴァン様これ以上の仏具購入は…ギルドの経営を圧迫しますどうかおやめを…」

「うるせえ! お前は仏に逆らうのか?」

「いや…私は、ただ会計係として…」

「心配するな仏の功徳で万事上手くから。さあ! お楽しみの時間だ!」ギルドメンバーの中から代表して追い剥ぎゴブリンと戦っていた魔術師が、選ばれる。

「いいんですか? 私が空けさしてもらっても」

「おう! やってやれ!」

「おおおおお!」一気に他のギルドメンバーも騒ぎ出す。

「…」

「…」

「おい、どうした早く開けろよ」魔術師は、荷物の入った箱に手を触れたきり動かなくなってしまう。

「その手をどけろ」

「あ?」

「その手をどけろといってる」

「バコッ」エヴァンが、魔術師を思っつきり殴る。このギルドでは、リーダーやギルド長が、部下を殴り飛ばすのは、よくある光景だった。

「お前口の聞き方をしらないみたいだな? ギルド長の意見は、このギルドでは絶対なんだ。分かったな? とっとと開けろやカス」さらにエヴァンは、魔術師の頭をどつく。

「聞こえなかったみたいですね。その腐った手をどけろと言っているんです」魔術師は、エヴァンの顔面にゼロ距離で魔弾を撃ち込む。

「ドンッ!」閃光と煙が、辺りを包む。

「おい! 何やってんのかわかってんのか?」エヴァンは、無傷だかげっこうする。

「手をどとけなかったから、顔ごとふっとばそうとしただけだが? 何が悪い?」

「リーダー何がへんですよこいつ…」

「ああ…わかっているでも戦うしかないだろ!」


「ヒャヒャ!」

「クッソなんでこんなに強いんだ!」

「何やってんの…」魔術師は、自らの魔法のステッキを全て溶かして魔力に替え自らの体内に取り込み追いかけてくるギルドメンバーにむじんぞうに魔弾を撃ち込んでいく。

「早く! 返せ!」

「ヒャヒャ! 俺は! 俺は! 全力で! この荷物を届ける! ヒャヒャ!」魔術師はあまりにも魔力を使いすぎてHPも削られ始める。さらに、

エヴァンの攻撃が次々に当たる。しかしボロボロになっても魔術師は、攻撃を回避する素振りすらせずに前へと進み続ける。

「狂ってやがる」

「最初から、裏切るつもりで…」

「いや…そんなふうには、見えない」


「くっそ! どこだ…」

「おい! そっちは?」

「いや…見当たりません」猛スピードで逃げる魔術師に振り切られ、ギルド暁のメンバーは、見失ってしまう。


「どうも…」ギルド本部に戻ると今回のクエストの依頼者が、エヴァンを待っていた。

「今回のクエストのせいかぶつは…どちらに?」

「いや…まだださっきまでここにあったんだ」

「それはどういうことでしょう」

「まだ、待ってくれもう少しなんだ」

「いえ…もう期限切れですこのクエストは、失敗となります」

「いや…期限切れ? そんなのどこに?」

「リ…リーダー」ギルド本部に置かれていた黒塗りのクエスト紹介状の一部が少しづつ浮かび上がり始めていた。

「クッソ…こんなのインチキだ!」確かに、クエスト紹介状には、いつの間にか今日が期限として表示されていた。

「おやおや…どれだけリスクをとってもいいから、高額案件がほしいといったのはあなた自身じゃないですか…それにもしミスをすればギルドの建物を担保に入れてもいいと」

「いや…そんなこといってない!」

「リーダーどうするんですか?!」他のギルドメンバーが、エヴァンにつめよる。

「う、うるさい! 荷物は、必ず取り戻す! だからも、もう少し、な? もう少しだけまってくれ」

「いえ、もう期限切れです。契約通り対価は頂いていきます」

「対価? そんなのどこにも書いてない…え…」また、クエスト紹介状に文字が、浮かび上がり始める。

「奴隷一名」

「おい! ふざけるな!」

「では、私はこれにて」ローブを着た怪しい依頼者は、その場で動かずに姿を消す。 

「くっそ…幻術か…」

「キャー!」

「クリスタ!」クリスタの体が、突然現れた魔術の穴に吸い込まれていく。

「助けて! 何これ! 出れない!」室内にいたギルドメンバーが、魔術の解除を試みるが全くこうがない。

「エヴァン!」助けを求める叫び声が、虚しくひびくなかクリスタは、しずかに穴の中に消えていく。

「クソ!」エヴァンは、壁を拳で、なぐる。

床に落ちたクエスト紹介状には、規約違反の場合対価として奴隷を準備すると書かれていた。


「はい…次の方…」クエスト紹介所に荷物を運んで来た魔術師が到着する。

「ウヒャヒャ…」

「え〜と…」魔術師は、興奮状態で会話不能の状態だった。

「荷物だ!」

「はい?」

「荷物だ! ヒャヒャヒャー! たまんねぇぜ!」

「あ! ちょっと!」奇声をはっしながら走りさっていく。


「大丈夫だから心配しないで」ヘラたち一行は、ヘラの意向によりもう一度クエスト紹介所に戻ることとなる。

「いや…心配もなにも荷物なくなっちゃったじゃん…」

「大丈夫だから」


「いや…クエストみすちゃった…」

「…」ユーリャは、魂が抜けたような表情で方待っている。

「おーい、もしも〜し」イーサンが、呼びかけても反応がない。

「あ〜よかった〜無事荷物が戻っていたみたい」確かに荷物は、戻っていた。

「え?! どういこと?」

「本人に聞いてみたらいいんじゃない〜」

「おい、待て!」コジマが、ユーリャの胸をわしづかみにする。

「ひっ!」

「荷物ありがとう!」ヘラが、笑顔でお礼を言う。

「おおお、荷物なんて知らないいいい…」

「おい、しっかりしろどうしたんだ?」

「ヘラの専門は、運び屋じゃないの」

「まあ、見りゃわかるこんな子供が…運び屋なわけないよな」

「む! これでも私一流の運び屋なんだから!」

「ヘラの専門分野は、封印なの」

「あ…」

「さっきの荷物に特殊な魔法で封印をかけたの」

「特殊?」

「その封印を開けようとしたものは、もとの持ち主に荷物を戻すために死ぬまで進み続ける。そういう封印をかけたの」

「あ…」


「え? ここ?」荷物を取り返したヘラたちはついに依頼者の目的地にたどり着く。郊外の豪華な屋敷だった。

「交通許可書を」門番に止められる。

「そんなものありません」

「ふざけるな! ないのならすぐにでも立ち去れ」

「いや、荷物を届けにきたんです」

「ん? お使いか?」ヘラの方を見て門番が、問い詰める。

「え? 運び屋だよ!」

「ハハハ! 大人をあまりからかうんじゃないよお嬢ちゃん これでも昔は運び屋ってたこともあるんだ俺は おもしろいいいだろ先に進むといい」

「え?! いいの?」

「ただしだ、立派な運び屋になれよ!」

「ドン」

「いや…もう立派な運び屋なんですけど…」


屋敷の中も高い天井に巨大なシャンデリア、なんだかよくわからないげとすごそうなモンスターたちをつかった武器や高級の家具。

「どちらさんかな」

「お荷物をお持ちしました」

「おお、そうか」

「どれとれ…」

「あっ! 荷物に触れないように、私が解除しますから」ヘラは、荷物の封印を解く。

「え!」イーサンは、荷物の中身を見て思わず声をあげる。

「ほーこれは素晴らしい」箱の中には、透明の液体が満たされておりその中から全裸の美少女がでてくる。 

「え? 人?」イーサンは、同様する。

「はじめまして…」

「はじめましてよろしく」

「え? ど、どういうことなんだ? 意味が分からないんだか…」

「え? 分からない? 人を運んでいますいたんだよ」

「いや、人を箱に入れて運ぶ運び屋とか、やばい匂いしかしないんだが…」

「いや、心配しなくてもいいんです。私がこの娘を買うだけなので」貴族だろうか、それしては妙にみすぼらしい格好をした荷物の受け取り主である男性が、笑顔で話す。

「人身売買! おい、コジマなんだよこの運び屋」

「え? いいじゃない。クエストもクリアしたんだし」

「お前は、こんな仕事ばかりして飯を食ってたのかもしれないが、俺はゴメンだ こんな仕事おりさせてもらう」

「あの…いいんです!」運ばれてきた美少女が、声を出す。

「いや、よくなよ。あの依頼者を引き釣り出して役所に突き出してやる」

「それは、やめてください」

「もう、やめときなさい…」コジマが、意味深な表情を浮かべながらつぶやく。

「なんで」

「実は…」

「いや、いいんだ…僕から話そう罪を負うなら買った僕のせいなんだから…」

「そりゃそうだろ」

「見ての通り、僕は貴族ただ貴族になるまでにあらゆるものを犠牲にしてしまいました。だからもう一度青春を…」

「いや…それで人身売買を認めろと…」イーサンは、勧善懲悪で熱くなるような性格では、なかったが思わず道徳的なことを言ってしまった。

「いや、いいんです…実は、売り主は、私の母なんです!」売られることになるだろう美少女は、声をあげる。

「え?!」

「私の生まれる際に黒魔術の洗礼を受けてしまって…私の周りで次々に不幸が、起きて…それで…今の母に引き取られたんです」

「え…」

「幸い私も黒魔術の研究していてねそれで偶然彼女のことをしでたんだよ」

「お願いです。母へのせめてもの恩返しなんです…」

「そんな…」

「どうするの? あんたがこの娘の面倒見る?」コジマが、尋ねる。魔力が、全くないイーサンが、黒魔術の洗礼を受けた怪物を制御することなどできるはずもなかった。

「わ…わかりました…ということは…あなたのいうところのお母さんは…」

「知っています」この娘の話によると自らの黒魔術の呪いのせいで、母は、離婚、職も失いこんきゅうしているところで、自ら自分の体を売ることにしてらしい。

「でも…あなたのお母さん悲しむんじゃないかな…」

「え? 私は、ただ拾われてだけで…血のつながりは…」

「それでも…あなたは、お母さんにとってかけがえのない娘だったと思いますよ、なぜなら…」思い詰めて自殺しようとしていた依頼者である母のことを思い出し、全てを話そうかなやんだものの思いとどまる。

「じゃあどうです手紙でも渡すのは」

「申し訳りませゆが、仕事はお受けできまんね。他にあたってください。」ヘラが、幼い童顔からは、想像もできないぐらい冷静に突き放す。

「なんでだよ」無言で、視線だけでヘラが黒ぬりのクエスト紹介状を指す。

「うそだろ…」報酬は、二千万ゴールドとなっていた。

「なら…俺が受けよう」

「ほんとですか?」全裸のままの美少女にイーサンは、手を握られる感謝される。

「あ、う…ええ…」

「へ〜んな気おこさないほがいい〜よ。黒魔術こ洗礼受けてるだからね〜」

「わ、わかってる。なにもへんな気なんか起こしてない」


「お疲れ様でした」屋敷のメイドの美少女が庭の手入れをしていた。

「ああ…どうも…きれいな花ですね」

「急に咲き始めたんですよ」

「どうしたの? 花なんか興味あるの?」ヘラから、もらった護衛としての報酬にしか興味がないコジマがちょうしょうする。

「きーれー」

「お嬢ちゃん。はい」メイドは、ヘラに花を一本引き抜き手渡す。

「ありがとう!」

「…」

「いつまでやってんの…」ボーッと屋敷を見つめるイーサンにしびれをきらしたコジマが、急かす。

「あ、いや…」


「あ、ああ…」ヘラたちが、紹介所に帰ると依頼者の女性が待ち受けていた。

「これが魔術印になります」クエスト紹介状に受け取り主の魔術印が、入っていた。

「ありがとうございます…」その場にただよう物悲しい雰囲気にユーリャが、首をかしげる。

「では、この報酬をどうぞ」

「…」

「受け取れません」

「え? こんな高額…」

「実は、私は実の娘を売りにだしたんです」その場で依頼者の女性が座り込む。

「え?! え?! どういうのとなの?」ユーリャは、イーサンの方に助けを求める。

「イケない!」依頼者の女性がアイテムから猛毒のポーションを取出し突然飲もうとする。

「カランカラン…」ポーションの瓶が、地面に転がる。

「もう…私には生きている価値は、ありません…」

「そうですか…わかりました…では私がこの場であなたを殺してあげましょう」

「え?! ちょっと! イー君なに言ってるの?」ヘラが、驚く。

「その前に条件が、あります。この手紙を読んでください」イーサンは、娘からの手紙を手渡す。

「ありがとうございます…」涙をながしながら、依頼者はお礼を言う。

「うぅ…」ヘラももらい泣きする。

「何かお礼ができればいいのですか…もう私には何もありません…」

「では…一つだけ約束を…」

「はい…」

「けっして娘さんを購入した人を探さないようにいいですか?」

「え? あ、あはい…」


「それにしてもすごい額ね」人身売買の仲介誰もやりたがらないような案件だけあっても報酬も破格だった。

「さ〜これで何買おっかな〜」コジマは、今でまのくらい空気などお構いなしにはしゃぐ。

「あの…これを…」娘を託した依頼者から

手紙を受け取る。

「これは…」

「もう…会う資格がないのはわかっていますせめてこれだけでも…」

「安い仕事は、お断りよ」

「わかりました…」

「ちょっと! もうこれだけ報酬があるんだから、これ以上はまずいって…あんたこの案件の意味分かってる? 私はパースやりたきゃあんた一人でやれば〜」

「じゃ! 私やります!」ユーリャが、手をあげる。


「嘘でしょ…」荷物の受け取り人が、住んでいた屋敷に戻ると屋敷は一面火の海に包まれていた。ユーリャは、

「キャー!」

「助けてー!」大きな屋敷には、多くのメイドたちが働いていたがそのメイドたちの悲鳴が、ひびきわたっていた。

「魔術師たちに連絡しないと!」

「いや…無理だと思う…」

「なんで?」

「ちょっと!」イーサンが、火の海へと足を踏み入れる。

「え?」

「強力な魔術…物は、燃えるけど人は燃えないよ」

「うっ…」ユーリャも後に続いて屋敷の門をくぐるが体思うように動かない。

「強力な魔力の磁場が張られている…一緒に来るのか?」

「当たり前じゃ…ない…ここで引き下がれるわけない…非力なんておもわないでよね…」二人で悲鳴の方に向かっていく。


「あ! 助けて!」人影を見つけたメイドが声をあげる。

「大丈夫、燃えることはないから」

「え?! ホントだ…」

「さっ行きましょ…え?」

「さ、私の肩に捕まって」ユーリャが、魔力の磁場で動けなくなっているメイドの腕を自分の肩にまわす。

「お前無理するなよ」

「いいから! 他のメイドと荷物受け取り人とあの女の子をすくってあげて英雄さ・ん」ユーリャは、メイドと共に門の方に向かっていく。


「大丈夫?」廊下で倒れているメイドにイーサンが声をかける。

「ご…主人様が…」

「あの突き当りの書斎だな」メイドが、指さした方に急いで向かう。

「フィルさん!」ドアには、結界が張られておりびくともしない。


「くっそ! まだ読解でないのか!」郊外にある屋敷のなかでも最大級の屋鋪だっただけあって多くのひとが詰めかけていた。街から消火専門の魔術師たちがやって来ていたが、あまりにも特殊な黒魔術を前になすすべもなく火を見守っていた。

「ここよ! 助けて!」バルコニーから、メイドが助けを求める声が届く。

「心配するな! 火は人に燃え移らない」

「お! 頼む!」召喚士が到着し即座にドラゴンをその場で召喚バルコニーから助けを求めるメイドの救助に向かう。

「ドン! ドン!」

「駄目か…」ドラゴンは屋敷の全体に張られている結界に体当たりを繰り返すが、びくともしない。

「熱い! 熱い!」メイドが、突然熱さを訴え始める。

「錯覚だ! 心配するな!」門の前で救助と消火活動しようと詰めかけていた人たちが励ます。

「ああああ!」悲鳴と共にメイドがバルコニーから飛び降りる。

「おい! 止めろ!」鈍い音と共にメイドが息絶える。


「おい! 人がいるぞ!」門の前までイーサンとユーリャ、なんと救い出したメイドがたどり着く。

「クッソ! あと少しなのにそっちから開けられないか!」門の外側から救助隊が声をかける。

「駄目!」ユーリャが、クエストの狩りで使っている。大剣を振り下ろすが門はびくともしない。


「くっそ! 目の前にいるのに!」火が変化を始め人に危害を加え始めるを。

「イーサン火が…」服が焼け始める。

「火が物理の火に変化している…」

「ゴホゴホ…どうすの…」ユーリャは、目を細め意識が遠のきはじめていた。

「あああああ!」

「無茶だ!」イーサンは、門に手をかけて強引に開こうとする。ドラゴンの体当たりでも開かなかった結界を素手で開こうとする。

「イーサン!」コジマとヘラもその場に駆けつけていた。

「動いたぞ!」

「嘘だろ!」

「うおおおおお!」イーサンのマントが赤く変色する。

「開いたぞ!」外で待ち受けていた救助隊たいがすぐにメイドとユーリャを助けだす。

「ふぅ…」

「ドン!」イーサンが、手を話した途端門が地鳴りとともに閉まる。

「あんた…」コジマが絶句する。

「あ、あ…コジマ、来てたのか」

「いや…来てたとかじゃなくてなんつうパワー…」

「ギルドにいたとき、無茶苦茶してたからな。ドラゴンを運び出したこともあったしな」

「パワー系ね」

「三分限定だけどな」

「おい! さっきの力なんなだよ。もう一回見せてくれよ」救助隊の魔術師たちにイーサンは詰め寄られる。

「いや…もう無理なんだ…」

「そうなのか残念だな…」

「この屋敷の主人は」

「…」イーサンは、無言で首を振る。

「そうか…」

「じゃああの娘は?」

「書斎に特殊な結界が張ってあって解除でかなったんだ…」イーサンは、たくされた手紙を火に焚べる。


「はい」

「なにこれ」

「見てわからないのお手紙」屋敷での一件が一段落してからユーリャがとうとつにイーサンに手紙を手渡す。

「あ! ユーリャがラブレター渡してる!」ヘラが大声で叫ぶ。

「あ〜ら素敵じゃない〜」コジマが煽る。

「いや、そういのじゃないだろ」

「…」ユーリャが急に悲しそうな表情でイーサンのことを見つめる。

「いや、う、うれしいよでもとりあえず中味を見てからだよね。あ、ありがとう」

「うん!」

「え〜…ん…んん…これは…」ほお染めて目を輝かせながらこちらを見ているので期待していたが…。

「新しいクエスト…かな?」

「うん!」

「あ〜なん〜だ」コジマがつまらなそうに言う。

「え? 何を期待していたの?」

「いや…その…」

「そうね…Hなお誘いかしら?」

「え!」

「いや、待て誰もそんなこと言ってないだろ」


「この村か?」クエスト紹介状に添付されていた地図に基づいて龍酔の村を訪れる。

「冒険者の方でしょうか?」村の女性に声をかけられる。

「ええ」

「ああ…よかった…こんばんは安全にすごせる…」

「…」イーサンとユーリャ、コジマは目を見合わせる。

「もしよろしければ一晩家に泊まっていってくれないでしょうか」

「え?」

「あら…すいません、よろこんで」コジマが勝手に話を進める。

「ああ…ほんとうによかった…」


「はい! どうぞ!」招かれた家で夕食をごちそうになる。

「あ、ありがと…」

「何子供に緊張してるのよ」コジマにつっこみを入れられる。

「い、いや…」子供は、イーサンの顔を見て純粋な笑顔を見せる。

「で、このクエストなんですけど…」

「え、ええ…そうなんです今この周辺の村では人がドラゴンに食い荒らされる事件が立て続けに起きていてなんとか解決してほしくて周辺の村と共同でクエストをだしたんです」

「勇者さん、あーん」

「え、ええ? あ? え?」

「勇者さん、あーん」宿を提供してくれた女性の娘がイーサンにあーんをする。

「あ、あーん」

「ちょっと? 聞いてる?」コジマに呆れられる。

「え? あ? ああ…」

「どうかドラゴンを退治してください」


「キャー!」悲鳴が聞こえる。

「!」急いで悲鳴のあった方へと走っていく。

「ギィー!」

「あ」そこには、子供の小さなドラゴンとドラゴンに火を吹かれて服が焦げて胸がむき出しになっ

たユーリャの姿があった。

「いや、別にみにきたわけじゃ…」


「ペットなの」宿主ベルダの娘ハンネ子供ドラゴンを抱える。

「ペット?」

「この地域では、昔からちいさいドラゴンをペットとして育てる習慣があるの」

「へー」

「…」

「いや…ごめんて…」ユーリャの何かを語る視線にひたすら謝る。

「ゴメンじゃないでしょ。ありがとうでしょ」

「いや、これ以上話をややこしくしないでくれ」コジマの突っ込みに突っ込み返す。

「かわいいペットだな…」イーサンは、撫でる。

「あ!」

「ボッ」イーサンは、ことドラゴンから火炎をはかれこげる。

「慣れるまでは、こうなるの」


「大変だ勇者さん!」突然ドアが開く。

「え?」

「どこにいるんだ?」

「…」

「勇者がクエストをやりにきていると聞いていたんだか」村人が息を切らしながら入ってきた。

「おにいさん!」ハンネがイーサンの方を指さす。

「いや…」

「おお! そうなんですね!」村人は、目を輝かせながらイーサンの手を握りしめ引きずっていく。

「ま、まずい…」


「駄目か…」明かりが隣の村までなかば強引に引きづられたイーサンの前にごく普通の村が現れる。

「いや…特に…」

「いや…静かすぎるわね」確かに夜灯のどもされた村にしてはあまりにも静かすぎた。

「村の仲間たちが心配なんです…」村人が、熱い視線を送る。

「…」コジマ、ユーリャ、村人その場にいる全員がイーサンに視線を送る。

「え? あ、行こうか…」そう言わざるおえなかった。イーサンは、茂みから抜け出し村の方へと歩いていく。

「…? お前いつからそんなビビリになったんだよ…」村の家の一軒のドアをノックしようとするイーサンの後ろに全員張り付く。

「いいから勇者の役割でしょこういうのは!」

「…コンコン…すいませーん。誰かいませんかー?」

「…」誰からも返答がない。

「グツグツ…」夕食の時間だったんだろうか

台所からは、ナベで煮物している音が聞こえてきた。

「すいませーん…」

「あ、こんばんは」美少女が出迎える。

「このあたりでドラゴンに人が襲撃されたって聞いてクエストに来たんですが」

「お嬢ちゃん大丈夫? 一人じゃ危ないよ」

「でも…お腹減っちゃって我慢できない! みんなもどう?」

「じゃお言葉に甘えて〜」コジマが椅子にすわる。

「おい、正気かよ。村がドラゴンに襲撃されてるんだぞ」

「だってさっき食べそこねたばかりなんだもん」

「ほんとにこの村の話なんですか?」料理をしていた美少女が不思議そうに尋ねる。

「間違いなねえ。今さっきこの村から救援を求める鳥獣が飛ばされてきたんだ」

「それにしてはずいぶん静かじゃない?」

「そうね」すでにコジマは、食べ始めていた。

「ちょっとどこいくのよ」

「クエストをやるんだよ」イーサンは、家の外にでる。

「こうも静かだとどこから調べればいいのやら」

「ん?」暗くてよく見えない足元に何かがある。

「う…なんだこれ!」足元にあったものを見てイーサンは、絶叫する。イーサンの足元には、

人間の首から上だけが散乱していた。後、人骨も散乱していた。そして

それらは、まだ生暖かった。

「おい! この家! やばいぞ!」イーサンが、状況を伝えようと台所へと駆け込む。

「遅かったわね」そこには歯を食いしばり暗殺短剣で爪の鋭いドラゴンの手を受け止めているコジマの姿があった。

「え?!」

「何あんたひょっとして気づいてなかったの?」

「え…」

「みんな美味しそう!」ドラゴン娘は、よだれを垂らしながらコジマを食べようとする。

「私なんか食べても美味しくないわよ」

「あなたたちも美味しく煮込んであげる」

「まさか…」目の前に広がる食卓は人肉によるものらしい。

「ゴオオオオ!」ユーリャがモンスターから生成した大剣でおそいが火炎を吐き出しドラゴン娘にふっとばされる。

「ヒィ!」村人がその場から逃げ出そうとする。

「ちょっと! 勝手に!」

「やってられるかよ! あとはまかしたよ! 俺の仕事じゃないべ」一人だけ逃げ出そうとする。

「ドン!」

「うつ!」ドラゴン娘が怪力でコジマを殴り飛ばす。

「ああ!」ドラゴン娘は、すぐに村人に追いつき生きたままかじり始める。

「助けてくれ!」

「くっ…はやくなんとかしないと…」コジマもユーリャも可愛さとうらはらの高い攻撃力の前になすすべもなく這いつくばる。

「お、おい! 離してやれ!」イーサンは、ドラゴン娘にビビリながら声を出す。

「ん? いいはあなたも食べてあげる」もはやバラバラになり何を食べているか判別がつかなくてっていた村人のザンガイを吐き捨ててイーサンに火炎を吐き出す。

「あああああ!」イーサンは、突然大声を出し。その気迫で火炎を弾き返す。

「何!」


「おい! あそこだぞ!」村へと街からドラゴン退治の応援が続々と集まり始める。

「う! ドラゴンスレイヤー」街からは、ドラゴン退治を専門とする騎士がやって来ていた。ドラゴン娘は、その姿を見るやいなやすぐに茂みに姿を消す。

「ひどい…ありさまだな…」騎士たちと共に現場を見て周る。村の家々には、人間の髪の毛や首が散乱していた。

「あの娘がこれを全員やったんですかね…」

「そして、全部食べた…」

「ドラゴン娘は、強烈な性欲と食欲を所持しています。この光景も納得です」

「それにてもよく生き残れましたね…」騎士たちは、イーサンの方をジロジロみる。おそらくイーサンの低すぎるステータスを見て納得できないのだろう。

「叫んだら攻撃を受けずに済ましました」

「は?」

「いや大声で叫んで追い返しました」

「パーワー…なんだこれ…」イーサンのステータスのところにパーワーとだけ書いていたので内容を理解できずにみな困惑する。

「このパーワーってのはスキルなのか?」

「さあ…」イーサン自身にもよくわからなかった。


「すいません…何もお役に立てなくて…」翌日、周辺の村とこの村のクエストクリアを目指して集まった冒険者たちが対策を話し合う。

「いや…あのドラゴン娘を追い返したそうじゃないですかそれだけで十分だと思いますが」

「しかも声だけで追い返したんだろ。どうなってんだ?」

「いや、運良くドラゴンスレイヤーが来てくれたからですよ」

「そうそう別にそいつが何かすごいことをやったわけじゃないですよ」ギルド暁のエヴァンが水をさす。

「お前誰だ?」

「なんだと! 街で一番有名なギルドのリーダーに向かってなんてことを言うんだ!」

「ハハハ!」参加者から笑が起きる。

「街で一番落ちぶれたの間違いだろ!」

「貴様ら!」エヴァンは、机を叩き立ち上がる。

「辞めんか! 見苦しいぞ! 貴様らは喧嘩をするためにこの村に来たのか!」ドラゴンスレイヤーの騎士団長が激を飛ばす。

「騎士団長もうここまできたらこの村のペットも含めて全てのドラゴンを殺しましょう」エヴァンが提案する。

「嫌だ!」ハンネが会議に乱入してくる。

「ちょっと! ハンネやめなさい!」

「ガキはひっこんでろ!」

「ガリ」ハンネがちいさい体で飛びつきエヴァンに噛みつく。

「いって! このガキが覚えてろよ!」

「はぁ…」ドラゴン討伐専門の騎士団長がこめかみに手を当てて大きな大きなため息をつく。

ドラゴンスレイヤーの一部の人間が机の端の方で

コソコソと何が話し合われる。

「バッ!」

「キャッ」ハンネが振り払われる。イーサンが受け止める。

「ありがとう」


「おい」ドラゴンスレイヤーのメンバーが村の夜間警備のすきにエヴァンに話しかける。

「なんだ」エヴァンもドラゴン娘をねらって大器していた。

「この村のドラゴンをかたぱっしから狩ってきかないか」

「ああ?」

「報酬は、約束するぜ」

「やってやろう」


「お風呂にしましょうねー」お風呂で裸になったハンネが一緒にペットのドラゴンとお風呂に入る。

「ギッ!」ペットのドラゴンも上機嫌だった。

「…」

「勇者さんも洗いましょ」ハンネがイーサンの体も洗おうとする。

「いや、いや…まてまて…俺はいいて」

「…」何故かドラゴンの視線をずっとかんじる。

「洗いましょ」上機嫌で純粋な笑顔でハンネが洗おうとする。

「いやいいて…」

「ガラッ」

「あ…」風呂のドアが空いてユーリャとコジマが全裸にタオルの姿で入ってくる。

「いや…俺は遠慮したんだけど…そのあれだ…はが」

「いや…別にいいだけど…ここまで幼くないと駄目なんだ…」ユーリャは、ハンネの幼い体を見ながら言いづらそうに言う。

「どこいくの?」イーサンは、風呂を出る。

「みんなでゆっくりしといて」

「いいのよ別にそんな趣味があっても…」

「わかったよわかったから。頼まれたんだよヒルデさんに」実際ヒルデにハンネの面倒を見てくれないかお願いされていた。


「大変! 冒険者さん!」村の女性が突然はいってくる。

「あ…」ほぼ全裸のイーサンと鉢合わせる。

「どうしたの!」裸のコジマとユーリャも風呂から出てくる。

「ご、ごめんなさい…お取り込み中でしたね…あ…の…騎士団と街から来たギルドがドラゴンがりをはじめて…」

「え?!」


「おい! 開けろ! ドラゴンをかくまっているは分かってるんだぞ!」エヴァンがドアをノックする。

「帰ってください」

「ぶっ殺すぞ! そうか…三つ数えて出てこなかったら家ごと焼き尽くすぞ」

「帰ってください」エヴァンが剣でドアを叩き斬り中に入ってくる。

「お母さん!」ハンネが出てくる。

「ほー、さすがいまのりに乗ってる追放者は、違いますな〜この緊急事態に全裸の女性と遊んでいるのですかは〜さすがだは」エヴァンが皮肉をいいながら拍手をする。

「何もたもたしてるんだ! どけ! お前がやらないなら俺がやる」

「ヒャッ!」騎士団の人間が割り込んできてヒルデのことを斬りつける。

「おい!」エヴァンとイーサンが同時に声をあげる。

「お母さん!」

「ハンネ…」ぐったりしたヒルデにハンネが駆け寄っていく。

「おい! 話が違うぞ村人を斬るなんて聞いてないぞ」エヴァンが、騎士団の人間ともめ始める。

「お前勘違いしてないか? 村のペットを殺してクエストもクリアできないなんてことになると永久にクエストなんかには参加できなくなんるぞ? 言いたいことわかるよな? 失敗は許されないってことなんだよ!」

「てめえ! 何が失敗は許されないだ! 当初の話と違うだろうが!」

「うるせぇ! お前みたいな落ちぶれたギルドの人間と一緒にクエストをやってもらっているだけありがたいと思えや!」

「ちょっと…なんとかできないの?」

「なんとかって…俺は回復魔法は使えないし…」

「もらっていくぜ」

「ギィー」騎士団の人間は、いつのまにかドラゴンをわしづかみにしていた。ペットのちぃさいドラゴンは、必死に抵抗する。

「チビ!」ハンナが騎士団の人間に飛びかかろうとするが騎士の魔力付の甲冑で殴り飛ばされてしまう。

「すまんな…こっににもノルマがあるんでな」謝る騎士団のその顔には、全く反省のいろなど感じられなかった。

「ギィー!」ドラゴンはなおも必死に抵抗する。

「くっ…そ大人しくしろ」騎士は、ドラゴンの首を締め始める。

「ああ…」今このとき命付きそうなヒルデが目を見開き手を伸ばし何かを必死に訴える。

「あ? なんだおばさん? なんかようでもあるのか? ぐぐ…」いつのまにかドラゴン娘に騎士団が首を締められる立場になっていた。

「え?! 嘘でしょ!」

「ああ…ちょうどいいは獲物が自分から現れてくれたは…ぐあ…」口から血を流しながら騎士団員がほくそ笑む。そして首を潰され絶命する。


「ここです!」少し離れた村を巡回していた騎士団と騎士団長たちが村の広場にやってくる

「ううう…」そこにはさるぐつわに両手を後でしばられた村人たちが全裸で横たわっていた。

「大丈夫か?」急いで縛られている縄と猿ぐつわをほどいていく。

「ううう…うう!」目で何かを必死に訴える。

「ん? なんだ?」

「あのなかに私のペットが!」

「え?!」指差した先には、キャンプファイヤーがたかれていた。

「おい!」

「はい!」騎士団長が部下に指示して水元素の魔法を使わせ消火する。

「パティ!」

「メンテ!」村人たちが口々に自分のペットの名前を叫びながら灰の中を必死に探す。

「なんなんだこれは…」騎士団長は、あ然とする。

「あなたたちが急にペットを差し出せとそして、逆らった全裸にされて縛られて…」

「何? うちの騎士団がやったのか?」


「おい! 何をしている!」騎士団長が、ドラゴン娘の目の前に姿を現したときはすでに騎士団のメンバーのクビは潰れて顔が外れていた。

「勝手なこと…」騎士団長は、ドラゴン退治専用の剣を取り出す。

「駄目!」ハンナが両手を広げて立ちふさがる。

「ちょっと、お嬢ちゃんこのままだと君も殺されちゃよ」

「チビは、私の家族だもん!」

「誰か」騎士団長があごで合図すると部下がハンナを抱えあげる。

「離して!」ハンナは、ジタバタする。

「ジタバタするな」

「まさか、ペットに化けてるとはな」騎士団長とドラゴン娘との激闘になる。底向けたパワーと欲望を持った風呂上がりの全裸のドラゴン娘とドラゴン退治を極めた騎士が激しく攻撃をぶつけ合う。


「どんどん強くなってないか?」ドラゴン娘は、どんどん強くなっていた。

「ハワード隊長!」

「なんだ」

「死んだドラゴンから霊力が…」先程焼かれたドラゴンの亡骸から霊力がわきあがっていきドラゴン娘に吸収されていく。

「何?」

「恐らく死んだドラゴンの霊力を吸い上げて…」

「くっそ!」ドラゴン専用の武器を使用しているにも関わらずどんどん押されていく。

「バキッ」

「何?!」ドラゴン専用剣が砕ける。ドラゴン娘が留めの火炎球を騎士団長に撃ち込もうとする。

「アアアアア!」爆音と激しい烟があたりにたちこめる。

「!?」騎士団長の目の前にイーサンが仁王立ちしていた。

「え?!」

「助かったのか? あ、ありがとう…」

「どうしたんだ?」騎士団たちは、ドラゴン娘の巨大な火球を見てもう終わったと思っていたのあっけにとられる。

「拳で」イーサンは、実際のところこぶしで火球を殴り返しただけだった。

「あのドラゴンは?!」

「逃げられたか」

「チビー!」ドラゴン娘は、爆炎が晴れたときにはいなかった。

「君ところでさっきの技はなんなんだ?」騎士団長がイーサンの攻撃に驚き尋ねる。ハワードは、このドラコン討伐を専門に扱う騎士団で団長まで上り詰めたのだらか経験も知識もあった。しかし…。

「いや…それが…」

「パーワーとしか表示されないぞ…。スキルでもアイテムでも武器でもない…」その後もSクラスの騎士団のメンバーが代わる代わるイーサンの能力鑑定をおこないパワーの表示に驚いていた。


「ああ…君には始末書を書いて貰おうか…」騎士団長は、さっきのドラコン娘の攻撃で髪の毛が焦げて天パーになっているエヴァンに用紙を当たり前のように渡す。

「は?」

「いや…そうか自分のやったことを理解していないようだな。分かったならば役所つきだすことにしよう」

「いや、ま、待ってくれ。わ、わかった始末書にサインしよう…」

「いや、無理にとは言わない。さっき命の恩人に頼まれてな普通ならすぐにでも役所に突き出すんだがな」そういってイーサンの方に騎士団長は、視線を送る。エヴァンは、騎士団長の話を聞いていいないふりをしながら黙々と始末書にサインをする。


その後数日たってもドラコン娘は姿を表さなかった。ヒルデ家を中心に部隊は展開されていたがまったく姿を表さないので一部部隊が街へと帰っていった。


「器用なものですね」

「!」ドラコン娘がビックとする。イーサンがゆっくりと姿を現す。

「あ…イー君…」ハンナも驚き振り返る。

「すいませんね…」騎士団長も姿を現す。

「撤退したはずじゃ!」それまでわらいならがハンナといっしょに草結びをしていたドラコン娘の目つきがひょうへんする。

「待ってくれ! 今日は戦闘をしにきたんじゃないんだ」騎士団長が剣を抜かずに手のひらを広げる。

「保護区にもどってはくれないか」

「保護区には居場所などない」ハンナは、話の内容が全く入ってこないのか、目をまんまると開きみんなの顔を交互にみる。

「なんか色々訳有みたいね。もともと保護区にいたみたいね」コジマが話に割って入る。

「あんたは…」

「じょーほーや。少し調べさせてもらったは」

「なら、私が戻らないことぐらい分かるはず」

「こんどの保護区は特別なエリアになる君たちの仲間たちと一緒すごせる」

「いやだ! チビと一緒にいる!」ハンナは、ドラコン娘にしがみつく。

「残念だがこのドラコンは、人と共存はできない。わかってくれ」

「心配ないは、保護区はいつでもいけるから」ユーリャが優しい声でさとす。

「ほんと?」

「ほんと」


「素敵な旦那さんですね」

「ん!」

「おっと! あぶない」突然部屋の壁から槍が飛び出してきてイーサンは、とっさによける。

「し、失礼しまーす」恐る恐るユーリャたちが部屋に入ってくる。

「さすがといいますかあれだけ立派な娘さんがいるわけだら優秀な召喚士か、ドラコンスレイヤーかと思っていましたが…」

「人の部屋に入って物思いにふけっているを邪魔するて気持ち悪い趣味をおもちでもてないわよ」ヒルデがイーサンに文句をいう。

「そうです大当たり全くもてません」

「はぁ…そうよあのドラゴン娘は、私の子供私が産んだドラゴンとのハーフよ」

「そうでしたか…」

「何私を村から追放する気?」

「いえ…ただ…ハンナちゃんをたまにでいいんで保護区まで連れていってあげてください」

「ハハハ。ほんと何も知らないのね。あの娘は、保護区でいじめらて、人間の世界でもいじめられたの。そしてどんどん攻撃的になっていって…もうここにおいておけないというなら彼女を野生のドラゴンとして解放するつもりです」

「え! でもそうなったら…冒険者の餌食に…」

「もう…私も…娘も覚悟は決まってるは…」

「待って」

「リリア…」ドラゴン娘が姿を現す。

「ハンナとここで暮らしてあなたにはハンナがいるじゃない…」

「リリア…」

「我々もクエストで生計を立てているんでね。もしここで野生に返すとなると

この場で再度リリアさんと戦闘ということとなります。もうこれ以上

血がなれるのは望んでいません」イーサンが淡々と話す。

「そんなんでよく冒険者がつとまりますね」戦闘と死を回避して

強引にクエストをクリアしようとするイーサンに呆れる。

「そこが彼のいいところよ。この場でもう一戦やります?」コジマが言う。

「お母さん今までありがとう。もう十分よ私のことなら心配いらないから」

「リリア…」リリアとヒルデが抱き合う。

「ママ…」そこにハンナも加わる。


イーサンと騎士団の一団は、ゲートを通り村を後にする。結局、ドラゴン娘はハーフの

召喚獣たちの集まる保護区に送られることとなった。

「家族っていいな」騎士団長がペンダントの写真を見ながらつぶやく。

「お子さんですか?」ユーリャが騎士団長に尋ねる。

「あ、ああ」

「君は結婚は?」騎士団長はイーサンにフランクに聞く。

「いや…」

「そうか、じゃあこれからだな。いい嫁さんをもらわないとな。でも

二人も候補をいるみたいだし心配はなさそうだな」

「あら~そう見えます~」

「いや、そんな結婚とかはまだ…」コジマは、乗り気でユーリャは、恥ずかしながら言う。

「いや、ただのギルドですから」

「そうよね〜イー君の趣味は、ハンナちゃんぐらい幼い子だもんね」コジマが、イーサンをあおる。

「ハハハ! じゃあうちの娘なんかどうだ」

「冗談に乗っからないでくださいよ」

「でほんとのところどんな娘が好きなのよ」

「…」

「…え…」


「いや、もう当分ギルドの活動をギルドの活動を休止にしないか」イーサンは、適当に提案する。ギルドの本部とかしていたクエスト紹介所の一部屋は三人の部屋となっていた。

「え! そんな…」ユーリャが涙目になる。

「そうね。ココ最近はかなりもうかってたしもう解散しちゃってもいいんじゃない〜」コジマも適当に返す。

「駄目です!」ユーリャは、あくまでもギルドにこだわる。

「ユーリャ的には、どこを目指してるんだ?」

「もちろんSランクのギルド!」

「Sランク?!な、無茶な…」

「あの…ここに他の紹介所が受けないような案件でも処理してくれるところがあるって聴いたんですが…」金髪ツインテールの美少女が訪ねてくる。

「…え?!」イーサンとコジマは目を見合わせ驚く。

「おねぇちゃん!」

「ユーリャ!」あまりにもそっくりなその見た目にすぐに姉妹だとわかった。元々人混みにいても絶対に埋もれないほどの美少女だった。だからすぐに姉妹だと判別がついた。

「カロリーネ!」


「ユーリャ紹介所の間で話題になってるわよ。すごい優秀なギルドに所属しているって」

「え?! ほんとに? うれし〜」ユーリャが照れ笑いする。

「いただきます」ヘラが、カロリーネが持ってきた。

「は〜いどうぞ」

「ありがとう!」

「かわいいわね。で誰の娘さん?」カロリーネが微笑みながら尋ねる。

「いや、誰のでも」

「え?!」

「運び屋だよ〜」ヘラが自分で答える。

「え? 運び屋なの?!」

「うん!」

「な〜んだ。てっきりユーリャ結婚してたのかと思っちゃった。ん…」カロリーネは、イーサンのことをまじまじと見つめる。

「ちょっと、旦那にするには頼りないかな〜」

「そうね〜」コジマがニヤニヤしながらカロリーネに同意する。

「そんなことないよ。イー君はすごい頼りに…なるときもあるんだから!」ユーリャは、一瞬自分の言うことに疑問を覚えながらも擁護する。


















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