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第95話

休載迄、残り5話。

色々と可笑しな点はコレからどんどんと増えていくので、ご了承お願いします。

「やっぱり…エルフの血は美味ですわ」

南の大陸で、吸血鬼であるカミラは、馬車の中に乗っていたハイエルフの血を吸い尽くしながら言った。

「それにしても、人間が言っていた…“フリック”という名のシルヴァンエルフ。気になりますわね…」

一先ずは南の大陸制覇することを頭に入れながら、カミラはその場を後にしたのである。



「んー…」

フリックは、シェルファに抱かれながら目を醒ました。

「あら?起きたかしら?フリックちゃん」

「うん。おっきしたの。あ、アレ?にーさま?」

ふとフリックは、クレイスの造ったという魔導具を通して人間になっている、兄たちを見たのである。

「ん?おっきしたか?フリック」

「うん…。おっきしたの…」

人間の男になっている、兄たちに少しフリックは怯えながら言った。

その様子を見ていたシェルファは、目で彼らに送ったのである。

「あ…すまない」

「ごめん。フリック。怖かったよね」

兄たちは魔導具を外すと、フリックに向かって優しげに言うものの、無理矢理と人間の男にされた恐怖が蘇っていた。

「ううぅ………こわいの…!」

「ホントにすまない。フリック…今日はデザートをあげるから」

「僕の分もだよ。フリック」

何とかフリックのご機嫌を取ろうと兄たちは、必死に言った。

「ほ、ホント…?にーさま…」

「フリックちゃん。良かったわね」

「うん。にーさま…しゃっきなにしていたの?」

「あ、ああ。マイラスの造った魔導具を試しに身に付けたんだ。コレがあれば、エルフである俺たちは堂々と街とか行けるからな。そうそう…フリックの分もあるぞ」

ルシウスは、フリック用の魔導具を渡しながら言った。

「試しに付けてみる?フリックちゃん」

「うん。ちゅける!ちゅけてほしーの」

フリック好みのシルバーとブルーのペンダント型の魔導具であることから、シェルファに付けて貰ったのである。

すると、フリックは人間の女の子として姿を変えたのだ。

「にーさま…コレってなに?ボク…なんかへんなの」

「コレを付けると、周りの目からは人間に見える魔導具だよ」

魔導具の開発者であるマイラスは、明日、人間の国であるノイント都市国家へと、シリウスとシェルファと共にフリックを連れて行くことから、魔導具の説明をしたのである。

「そーなんだ…」

「で、コレを付けている間だけなんだけど…フリック。フィリカって偽名で呼びたいんだけど、いいかな?」

「ぎめいってなに?」

「本来の名前とは違う名前のことよ。フリックちゃんは色々と目立つから」

元の名前と近い方が事を終えた時に呼びやすいことをシェルファは、説明したのだ。

また、唯一と神聖魔法の使い手であるフリック以外に実は、人間の中にも使える者に心当たりがあると、シェルファは付け加えたのである。

「人間の中に神聖魔法の使い手?」

「ええ。ノイント都市国家のリリア様は唯一の神聖魔法の使い手ですわ」

それならば、まだ幼いフリックの手を汚さずに済むとシェルファは言ったのだった。


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