第93話
休載迄残り7話!
「蘇生魔法は本当に成功してくれるのだろうか?」
ルシウスは、今は何も知らずに眠っている、フリックの頭を優しげに撫でながら言った。
「分からない。さっきも言ったように一度も使用したことがないから確証しようがない」
「でしたら、この場で試しにやってみてはいかがですか?あなたは魔物の生成をする魔王でしょう?」
シェルファは、魔物の中にある≪魔人形≫を実験台として魔法の練習相手に打って付けであることから言ったのである。
「それはそうだけど…。そうですね。何も試さないまま、いざ本番で…ってなったら、お前たち兄弟に責められるのは確実だろうからな…」
「そういうことだな」
「それに僕たちさ?魔物を生成する所をこの場で見てみたいなぁ…」
いつも、専用の場所で生成していることは知っているものの、邪魔してはいけないかなと感じで遠慮していたことからクレイスは言った。
「私も見てみたいですわね…」
そうシェルファは言うと、眠っていた筈のフリックは起きてしまったのである。
「んー…もうよるなの?」
「ん?おっきしたか?フリック」
「うん。おっきしたの。ルシウシュにーさま。あっ!シエルおねえちゃま!」
シェルファがいることに気付いたからなのか、フリックはシェルファのことを“シエルおねえちゃま”と親しみ込めて言いながら、抱き付いたのである。
「おっきたしたのね。フリックちゃん」
「うん。ボク、おっきしたの。きょーね?エリオシュにーさまからケーキもらえりゅの」
「そう。良かったわね」
シェルファは、そんなフリックを実の娘のように可愛がりながら返した。
「さてと…本当に一部だけ貰っていいのか?」
「構わない。たかが髪の毛1本ぐらいどうってことないからな」
レイオスから髪の毛を1本だけシリウスは貰うと、この場で魔人形の生成を始めたのである。他の兄弟も承諾したものの、その中からシリウスはレイオスの毛を選んだのだ。
「な、なになに?なにがはじまりゅの?」
「魔物の生成さ。シリウスさんの専門魔法だよ」
マイラスは、シェルファに抱かれているフリックにそう優しく言った。
「せいせい?」
「命あるモノを生み出すモノですよ」
「そーなの。ボクもやってみたいの」
「それはちょっと…出来ないかなぁ」
そうシリウスが言っている間にあっという間に魔人形を生成してしまったのである。
「………毛1本だけで俺そっくりだな」
「にーさま?」
「アレはレイオス兄さんではありませんよ。フリックちゃん」
目の前にいるのは、レイオスの魔人形なのだ。
「フリックちゃん」
「なに?シエルおねえちゃ…!」
見てはいけないモノになることから、シェルファは一時的にフリックを気絶させたのだった。
「すみません。シェルファ様」
「いいのよ。この子に見せる訳にはいかないでしょう」
シェルファはそう言うと、折角と命あるレイオス魔人形をネイサスが剣で突き刺したのだ。
「何かこう…嫌な気分になるな」
「そ、そうだね」
「ネイサス兄貴。俺に恨みがあるのかよ…」
「あるだろ。元はいえば、俺はフリックが人間の国ラグーン王国で受けたことは未だ1日足とも忘れていないのだからな…」
人間に興味を持つのは悪いことじゃないけれど…と念を押しながらネイサスは言ったのである。人間には良いヤツと悪いヤツはいるのだからとその辺をしっかりと今後は教えていく必要はあるようだと思ってのことだった。
「さて、さっき…私が教えた蘇生魔法は覚えているかしら?シリウスさん」
「は、はい…」
国民的RPGとも違う魔法なのだと改めて認識しながら、シリウスは先程とシェルファからこの世界における正しい蘇生魔法を教えて貰ったことから、いざ、唱えてみたのである。
≪リヴァイヴァル・リザレクション≫
そう、その名の通りで蘇生復活である。
倒れて息絶えた、レイオス魔人形は青い光を浴びながら見事に復活を遂げたのだった。
「コレでいいでしょう。では、明日は私の助手として頼みますよ」
「は、はい。では、今日は夕飯をご馳走しますね」
「それならば、私が持って来た食材を夕飯に使って下さるかしら?」
シェルファは、フォルダニアの森で採れた野菜や交流のある人間の国から仕入れている肉を用意して来たことから、俺はマイラスとアープルと共に夕飯の支度へと取り掛かったのである。
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