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第84話

「うー………」

フリックは、長兄であるルシウスの元、魔法を使用する際に成功率を上げるために必要となる魔力制御という訓練をしていた。

「そうそう…その調子だぞ。フリック」

「ううぅー………!」

自分の中にあるマナを集めながら、魔法の基礎中の基礎である≪魔力玉≫をフリックは、行っているものの、途中で集中力が途切れてしまったのである。

「うー…うまくできないのー…」

「フリック。召喚魔法は上手く出来ただろう?その要領だぞ」

「それはそれなのー…。ボク…もーちゅかれたの…。おネンネしたいの…」

幼いフリックにとってこれ以上、魔法の集中は出来ないことから、眠そうにしながら言うと、ルシウスに抱き上げられてしまうとそのまま眠ってしまったのである。

「よしよし…今日はもうこの辺にしような。フリック」

「よ、良かった…。まだ、大丈夫だったようだな」

シリウスは、テレポートで二人の前に現れるなり言った。

「し、シリウス殿!ど、どうしたんですか!?」

「あ、ああ。詳しい話は後だ」

今はまだ、そのカミラは、忌々しいオーラを漂うとスライスから聞いていることから、そのオーラは感じられないことから、シリウスは二人を掴むと、テレポートですぐに城へと連れ戻したのである。



「……そうだったのですか。エルフを狩るカーミラが存在していたんですね」

良く眠っている、フリックをベッドへと寝かし付けながらルシウスは言った。

「ああ。まさか…この世界に何十万年前の魔物というか吸血鬼がいたとはな…」

魔王がこの世界をどうこうとする以前から存在しているという、神話級の相手にどう立ち向かえばいいのやらとシリウスは思った。


吸血鬼ならば、素直に十字架?いやいや、ニンニク?

いや、どっちもそれは、ネタにしか過ぎないな。


「どうかしました?シリウス殿」

「い、いや。何でもない。吸血鬼相手に有効なモノを考えていただけさ」


後残すは、良くあるゲームで吸血鬼が出るゲームがあった。

確か、そのゲームに出て来る吸血鬼は、神聖魔法に弱かったのだ。


「そうだよ!神聖魔法だ!」

そう声を上げてシリウスは言うと、眠っていた筈のフリックは起きてしまったのである。

「うー…うるちゃいの…。ボク、まだ…ねちゃいの…」

「ご、ごめん。おチビちゃん…」

「ほーら…フリック。いい子だからクマさんと一緒におネンネの続きをしようか?」

コレだけは燃えずに持ち出していたことから、いつかのために大切に取っていた、フリックのお気に入りのクマのぬいぐるみをルシウスは、懐から取り出しながら言った。

「クマしゃんなのー!ボク…おネンネするのー…」

無くしたまま、ずっと心が晴れずにいたフリックは安心したからなのか、ルシウスが咄嗟にスリーピングをフリックに掛けたことから、深い眠りの中に引き込まれていったのである。

「何もスリーピングまでしなくても…」

「いいんだ。フリックはここ連日、魘されてばかりでロクに寝ていないんだ」

皆の前では元気そうに振る舞っているものの、夜になるとあの時のことを思い出してしまうからなのか、兄たちが優しげにフリックに添い寝していても、ずっと泣いているのだとルシウスは言ったのだった。

アレコレソレドレと気になる点は大いにあると思いますが、アレコレソレドレと気にしないで下さい。

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