第80話
アレコレソレドレと気になる点は大いにあると思いますが、アレコレソレドレと気にしないで下さい。毎度ながらですけど。
「ほ、ホントに不思議だよな………」
無精卵からコカトリスが100羽も生まれたぞ。
有精卵ならまだしも、無精卵からって有り得ないだろ。
ま、まあ…そこは俺のマナが籠もっているからかな。
マナを注入することで、無から新たに命が吹き込まれるのかも知れない。多分だけど。
「我々は警備兼食糧としてお使い下さい」
「しょ、食糧にしたら…せっかく生成したというのにお前たちの命が無駄になってしまうだろ」
「大丈夫です。すぐに体は復元致しますから」
「そ、そうなのか?」
流暢に言葉を話すコカトリスに俺は、言われるままに鶏として使用したい部位をコカトリスに用意して貰うと、モモの部位は、あっという間に元の形へと復元したのだ。
「す、凄いな。痛みはないのか?」
「ありませんよ。我々は魔物ですから」
さすがに人間形態になることは出来ないものの、コカトリスは確かに食糧兼警備として使えそうだと俺は思いながら、鶏モモ肉を有り難く頂戴すると、今日の夕飯の支度をするべく台所へと向かったのである。
「ん?おチビちゃんとアープル」
台所には、アープルとフリックが一緒になって料理をしていたのだ。
「シリウシュにーさま。ボクもりょーりしていりゅの」
「そ、そうか。って…赤い色は何だ?」
「ボクね?りょーりすると何でもあかくなりゅの」
「不思議ですよね。私が今、オムライスを教えているにも関わらず、フリックお嬢様がお作りになると、赤くなるんですよ」
「へ、へぇー…そうなんだ。ケチャップの赤じゃないんだな」
せっかくと生成したコカトリスのモモ肉が手に入ったからと思ったものの、コレは明日の昼にでもしようと冷蔵庫へと俺は仕舞ったのである。
「ちゃまごもみてて?」
「あ、ああ…」
普通に各国で市販されている、卵をアープルが召喚魔法で用意したようで、その卵をフリックが割ると…
「あ、赤い。黄色だろ?卵って…」
俺は毎回と割っている卵は、フリックと違って見慣れた黄色なのだ。
「どーしてボクがわりゅとあかくなるのかなぁ?」
「う、うーん。特に変わったスキルは無かったような。ちょっとその赤色の卵。味見させてくれないか?」
「うん!いいよ」
フリックに言われるまま、俺は恐る恐ると生のまま、赤色の卵を少し舐めてみた。
「こ、コレは………か、辛っ!!!!!!!!!!!!!!!!」
な、なんで…!?
この子に不思議なスキルは、特段と無かったぞ。
隠れたスキル?
それとも、特殊能力だというのか?
う、うーん。能力解析は万能じゃないってことだな。多分。
「ボクはたべられないのー…」
「そ、それはそうだろうな」
「お嬢様の分は私がお作りしますわ」
「じゃあ…ボクね?にーさまたちの分をちゅくる」
何だかルシウスたちには、ご愁傷様と俺は思いながら、サラダ作りを始めたのだった。




