第75話
「さてと改めて…アープル・ツリーを生成するか」
俺は、先程、フリックの魔力暴走を抑えるため、咄嗟にリンゴジュースを飲ましたことから、改めて召喚魔法でリンゴジュースを出すと、生成を再開したのである。
「ホントに一番最初に生成したプラント系といい、スライムの生成といい、そして、シャガルのような人面樹といい、材料と生成方法って色々な意味合いで突っ込んではいけないって感じのまま、この世界のモンスターって生成が出来るんだなぁ…」
この本の内容に沿わずにモンスターって生成は出来るのかな。
今度、試しにスライムの生成をやってみよう。
スライス以外のスライムを生成してみたいし。
今は、アープル・ツリーという女性っぽい感じのモンスターを生成しながら、シリウスは思ったのである。
「マジでここリベルダ領土は、魔石の宝庫だな。俺たちのいた西の大陸は無の魔石ばかりだったからなぁ…」
ルシウスは、大きな袋に魔石を収集しながら呟いた。
色を付けるには、クレイスの色魔法を通して施したり、5行の属性を付けたい時は自身の精霊魔法を施したりするしか無かったのである。
この分だと、魔石を使って色々な物が作れそうだとルシウスは思いながら、そろそろフリックが起きる時間帯だと見計らいつつ、リーベルタース城へと戻ることにしたのである。
「ネイサシュにーさま…」
「ん?起きたか。フリック」
さっき魔力暴走したことを忘れているフリックは、ネイサスにされるままに頭を撫でられていた。
「にーさま。ボク、きのー…しょーかんまほーできちゃの。なのに…きょーはどーしてできなかったの?」
「うーん。俺はルシウス兄貴や弟たちと違って魔法は得意じゃないんだが、イメージが足りなかったからじゃないのか?エリオスから召喚魔法はイメージだと聞いたんだが…」
「あっ!わしゅれていたの。ボク…ぬいぎゅるみっていっただけなの」
「そういうことだ。クマならクマのぬいぐるみと言わないと召喚魔法で出て来ないだろうからな」
「クマさん…。そーいえば、ボクのおきにいりのね…クマさんのぬいぎゅるみ…ないの」
初めて両親からプレゼントで貰った、お気に入りのクマのぬいぐるみが未だ行方不明であることをフリックは思い出しながら言った。
「だったら、この場でイメージしながら召喚魔法で出してみたらどうだ?」
またフリックの魔力が暴走した際、気絶させるしかないなとネイサスは思いながら返したのである。
「うん。わかっちゃの。やってみりゅの」
イメージだということを忘れていた、フリックは改めて召喚魔法をやってみたのである。




