第74話
色々と今はバタバタしています。
「とりあえず…リンゴジュースと風船と接着剤は召喚魔法で出すか」
シリウスは、無詠唱のまま、召喚魔法で必要な物を召喚したのである。
「しゅっごいの!シリウシュにーさま!」
ちょうどネイサスと共にシリウスの所へと来た、フリックは何も掛け声も無いままに召喚魔法を唱えたことに目をキラキラと輝きながら言った。
「凄い…?っておチビちゃん。少しは元気になったみたいだな」
「うん!あのね?ミレイおねえちゃまってどこにいるの?しゃっきネイサシュにーさまといっしょにおへやに行ったらいなかったの」
「ミレイ?そういえば、午後からちょっとアーノルド連邦に行くって少し前に出掛けたぞ」
何だかんだと善は急げだと思いながら、ミレイは故郷の皆にここへと移住してくれるように呼び掛けるために行ったのである。
「そーなんだ…」
「フリック。今日は俺と一緒に魔力を使った剣技を教えてあげようか」
「ネイサシュにーさまのけんはこわいの」
「…一応、おチビちゃんは剣の才能はありそうなんだがな」
剣術の他に弓術、槍術と武器を使った技も磨けばありそうなものなのにとシリウスは言った。
「しょれはしょれなの!ボク、まほーをちゅかいたいの。まほーちゅかっていろんなひとにやくにたちたいの!」
「そうだなぁ…おチビちゃんは召喚魔法から始めた方がいいかな。簡単な物なら出来たんだろう?」
「うん。ボク…ぬいぎゅるみはまほーでだせりゅの」
見ててと言わんばかりにフリックは、昨日とエリックから習ったばかりの召喚魔法を唱えた。
≪いでよ…ぬ・い・ぐ・る・み≫
だが、ぬいぐるみは出なかったのだ。
それ処かピリピリとフリックの体からオーラが発したのである。
「ヒック……ヒック……どーしてなの……きのー…できちゃのに…」
「ふ、フリック…!」
「…俺が何とかする」
コレはルシウスの言っていた、魔力暴走だとシリウスは察しすると、フリックを優しげに抱き締めたのである。
「うわああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!」
「大丈夫…大丈夫だから…おチビちゃん。落ち着いて…」
「うううぅ…あああああああん!!!!!」
「おチビちゃん………」
シリウスは、咄嗟にさっき召喚魔法で、出したばかりのリンゴジュースをフリックに飲ましたのである。
ゴクリとフリックは、リンゴジュースを飲むと共に意識を手放したのだった。
「何とかなったかな…」
「シリウス。すまない…。いつもならば、ルシウス兄貴がやってくれるんだけど…」
「仕方ないさ。今は魔石収集に出掛けていないからな」
ルシウスも朝食の後に魔石収集するためにリベルダ領土内を探索しに行っていたのである。
「とりあえず…おチビちゃんを部屋で寝かせてやってくれないかな」
「ああ。分かった…。すまないな。生成の材料だったんだろう?」
「別にいいさ。また出せばいいだけだし」
それにリンゴジュースは、日本が製造先だったことから、この世界の住人には迷惑は掛けていないしとシリウスは返したのだった。




