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第70話

「で…喧嘩の原因は何なんだ?」

シリウスは、彼らが使用している椅子に座りながら言った。

「あ、ああ…。フリックに誰が魔法を教えるかどうかの話をしていただけなんだ」

「それなのに、ルシウス兄さんが教えるの一点張りで…」

「しょうがないだろ。俺が一番上なんだから」

仮にもフリックは、女の子なのだからと治療魔法を教えるのは、当たり前のことだとルシウスは返したのである。

「今どき…女の子だからと治療魔法って古いな」

「古い?シェルファ殿は治療魔法を使うぞ」

「それはそれだ。本人がやりたいと思った魔法が一番だと思うぞ」

「…それもそうだね。でも、フリックがやりたい魔法って実際問題。多いんだよね」

エリオスは、昨夜、治療魔法も使ってみたいとかクレイスのような色魔法も使ってみたいと寝る前に駄々を捏ねていたのである。

「うーん。全部やらせてみては?あ…その前に魔力の制御が出来ないとこの子の場合。暴走するんだっけ?」

「ああ…。何しろ魔力は俺たちシルヴァンエルフの1000倍処かキリがないらしいんだ」

ルシウスは、今はショックで気を失っているフリックを見ながら言った。

「ちょっと…この子の能力を分析してみていいかな?俺で出来る範囲なら制御は出来るかも知れないから」

「あ、ああ…」

ルシウスの許可を得て、シリウスはフリックの能力を解析してみたのである。



≪能力分析≫

名前:フリック・R・ピュリアーツ

前世:シルヴィス・F・レフィーリア

性別:女

種族:シルヴァンエルフ

聖龍歴:99988年9月21日

スキル:剣技全般、弓術全般、槍術全般

オマケスキル:なし

魔法:精霊魔法(Lv1)、治療魔法(Lv1)、召喚魔法(Lv1)、色魔法(Lv1)、生活魔法(Lv1)、神聖魔法(Lv10)、蘇生魔法、飛行魔法、花魔法

-能力-

レベル:1

HP:10

MP:∞

攻撃力:4

防御力:2

魔法力:9999+α

魔法防御:10

敏捷性:1000

器用さ:500



「えっ!?ちょ、ちょっと…コレってマジ!?」

「何がどうした?魔法の才能はあると思うんだが…」

「あり過ぎだろ。魔法の才能に加えて魔法力が無限って…」

だからなのか?ラグーン王国で、あんな目に遭ったんだなと可哀想にと思いながら、シリウスは、フリックのためにもここを安全な国として作っていかなければと改めて思ったのである。

「無限…だと!?シェルファ殿と同格か」

「ああ。俺も言い忘れていたんだけど、無限だけどな…」

「転生者は、この世界の人間からすると…何もかもチートだからな」

「…そうなんだ。へぇー…何もかもねぇ。でも、俺…神魔法って使えないぞ?」


他にも花魔法って…と俺にはない魔法が幾つかフリックが使えるようだ。

ただ、レベル1で、この能力数値って…うーん。

まあ、一応はエルフってことなのかな。多分。

それに、前世の名前って…?

ミレイも前世の記憶は無かったって言うし、この子もそうなんだろう。


「それは魔族として転生したからじゃないんですか?」

代々と魔王は、魔族として聞いていることから、エリオスは言った。

「そうかもな…。別にいいんだけどな。で、どうする?誰がこの子に魔法を教えるんだ?」

「うーん。フリック本人に任すさ」

「その方がいいな。じゃあ…俺、朝飯を作る所だったから」

「僕も行きますよ」

「いや。朝だけは俺に任せてくれ。マイラス君」

「は、はい…」



シリウスは、何とか治まった喧嘩を後にしながら、朝食作りへと再開するために台所へと戻ったのである。







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