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第68話

「ルシウシュにーさま!」

1階へとエレベーターで着いた早々、フリックはちょうどホールへと向かう途中だった、ルシウスの方へと飛び掛かったのである。

「フリック…!いきなり飛び込むと危ないだろ」

「ご、ごめんなちゃいなの…」

今にもフリックは泣き出しそうになった所をそっとルシウスは、優しげにフリックを抱き締めた。

「思わずときつく言ってすまなかったな…。ん?フリック…その手に持っているモノは…?」

「それさ?フリックがさっき自分の魔法で出した、仔猫のぬいぐるみだよ」

「エリオシュにーさま…!ぼ、ボク…ボク…じぶんでいいたかったの…ひっく……ひっく……うわあああああああああああああああああああああん!!!!!!」

泣き出しそうだったフリックは、エリオスにトドメの言葉を刺されてしまい、泣き崩れ出してしまったのである。

「今のはさすがにエリオスさんが悪い…」

「そうだね。エリオスが悪いね」

自分よりも召喚魔法が上手く出来たからってそれはないなとミレイとマイラスは、二人して思いながら言った。

「よしよし…フリック。いい子だ」

「ううぅ……ひっく……ひっく……」

泣き崩れるフリックにルシウスは、落ち着かせるために優しげにポンポンと頭を撫でたのである。

「あれ?フリックのヤツ…泣いているのか」

「そのようだな。レイオス」

レイオスとネイサスは、二人してマナを活かした技を考えていたことから同時に来るなり言った。

「ほら…フリック。いい子だから…新しく僕が作ったワンピース。着てくれるかな?」

クレイスは、今度こそフリック好みに合わせて作ったという、ピンクとブルーのグラデーションを利かせた、パジャマを仕立てたことから言った。

「しゅっごくきれーなの…クレイシュにーさま」

何とか泣き止んだフリックは、お風呂に上がったら着替えようなと言われるまま、ホールへと向かったのである。



「はぁ~…明日から果物系かなぁ」

シリウスは、人数分に野菜中心のシチューを盛りながら、それをマイラスたちがテーブルの上へと運んでいた。

「果物なら森に行けばあるのに…」

「それはそうだけど、裏にある森で採れる果物はリンゴとオレンジだけだろ」

「それはそうですね。ピュリアーツの森では色々と採れたけど…」

マイラスから採って来た果物の種類は、経った二種類だったことから、シリウスは野菜同様に種類を増やしたいのだ。

「ボクね?イチゴだいしゅきなの」

「果物…?」

ミレイは、雑草ばかりの暮らしだった故に果物は知らなかったのである。

「甘い果実ですよ。食後のデザートにお持ちしますね」

「すまなかったな。余り甘いデザート系を今まで出していなくてさ」

シリウスは、余り甘いお菓子は好まないことから、ルシウスたちが来るまで、ごく普通の食事しか出して来なかったことから言った。

「ううん。人それぞれだから気にしていないよ。それに…あたしの故郷の人たちもここに移住が出来たらいいなと密かに思っただけだし、お父様とか心配なんだ」

故郷を出ることに何とか許してくれたものの、何だかんだと心配しながらミレイは言ったのである。

「そうか…。落ち着いたら一度戻って話を付ければいいさ。こことはすぐなんだし」

「…それもそうだね。3時間も歩けばすぐだしね」

ミレイはシリウスに言われるままに近い内に故郷である、アーノルド連邦に一旦戻ることに決めたのだった。















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