第51話
まだ本編は完結していませんが、第60話迄、まったりと掲載していきたいと思います。
「霧は晴れたとはいえ、動かない方が良さそうだな…」
ネイサスは、ラグーン王国内にずっと覆われていた霧が晴れたことから言った。
「俺はもうこれ以上待てない…!俺のせいで…!」
「ネイサス兄さん…?」
「頭に血が昇ったまま動くのは、無駄死にするだけだ。ここは彼に任すしかないだろう」
レイオスを気絶させたネイサスは、今はシリウスの腕を見込んで言ったのである。
(アレは…ネイサスたちが言っていた…)
完全に今は気を失っている、フリックを抱きながら、地下へと降りて行く3人の男をシリウスは目撃したのである。
「今日は昨日以上に王にぶっ込まれたみたいだな…」
「それはそうだろうよ。昨日、初潮を迎えたみたいだからな…」
それ故に今は栓のようなモノを通して、カイシェイドが出したモノを溢れ出さないようにしていた。
「今日の所は何もするなと言われてるし、久々に他のエルフを相手にしてやるか」
「…そうだな。このガキよりも他のエルフの方が堪能は出来るからな」
そう男たちは口々に言いながら、一番下の地下へとフリックを閉じ込めると、他のエルフを閉じ込めている所へと向かったのである。
(…思っていた以上に警備は薄いな。平和ボケも良い所だ)
シリウスは、気配を殺しながら、一番下の地下へと降り立ったのである。
(…ホント、誰もいないな)
重苦しいだけの地下にシリウスは、意図も簡単に潜入すると、冷たい床下に寝かされているフリックを見付け出したのである。
「…酷いな」
中に入るとシリウスは、変身を解くと共にフリックの容体を確認していた。
身体の至る場所に痛々しい痕と共に何よりも大事な場所は、可哀想な位になっていたのである。
「う、うーん…ルシウシュにーさま…?にーさま…っ!」
「無理するな…」
どうやら、自分を兄の一人と間違えているようだとシリウスは思いながら、フリックを抱き上げると、瞬間移動魔法でネイサスたちの所へと合流するため、その場を後にしたのである。
「フリック…!」
瞬間移動魔法による転移の中、シリウスが傷を癒やしたものの、フリックの容体にレイオスは声を上げたのである。
「…とにかく今はここにいると危険だ」
「…それもそうだな。ここからだと人間の村は近いから一先ずと今日の所はシェリアーノの森に行くしかないな」
「シェリアーノの森…?」
「数あるエルフの森の一つさ」
エルフは、こうして隠れながら住んでいるのだとレイオスは言うと、シェリアーノの森へと行くことにしたのだった。
「ううぅ………」
シェリアーノの森にある宿屋で、フリックは汗ばみながら気が付いたのである。
「エリオシュにーさま、レイオシュにーさま、ネイサシュにーさま…」
3人の兄にフリックは、囲まれていた。
「良かった。気が付いたんだね。フリック…」
「エリオシュにーさま…」
一番にエリオスに抱き締められ、次にレイオス、ネイサスとフリックは抱き締められたのである。
「つぅ…!」
「まだ無理するな。傷を良く見せてくれ…」
シリウスは、簡単に治療を施しただけで、詳しく見る暇は無かったことから言った。
「ルシウシュにーさま…?」
「ああ。彼はシリウス。お前を連れ戻してくれたんだぞ…」
「そっか…。にーさまは…にーさまは…」
フリックはまた、泣き出しそうになってしまったのである。
「…少しすまないが、俺とこの子だけにしてくれないか?」
「あ、ああ。分かった…」
ネイサスは治療するシリウスに任せようと思い、弟たちと共に隣の部屋へと行ったのである。




