第36話
アレコレと何か違うとか何か可笑しな点が幾つかあるかと思いますが、色々な意味合いで気にしないで下さい。
「この辺でいいかな。プラント畑から目と鼻の先だし」
俺は木の枝をドサッと置きながら、魔物生成書を開いたのである。
何たって生成材料を見ただけで、その生成方法までは確認していなかったからな。
改めて材料と方法を確認するかな。
樹木から野菜とか果物ってどうかと思うけど、気にしない!もう気にしない!気にしたくないぞ。うん。
≪人面樹に関する生成材料&生成方法≫
-生成材料-
・木の枝×50本(その辺に転がっているモノでOK)
・ゴボウ(1本)
・瞬間接着剤
・牛乳(適量)
・無の魔石(1個)
・マナ(適量)
-生成方法-
無の魔石を粉末にします。
木の枝にゴボウを挟みながら、瞬間接着剤で固めます。
瞬間接着剤で固めた棒を地面に突き刺します。
粉末にした無の魔石を棒に振り掛けます。
棒に牛乳を満遍なく掛けます。
最後にマナを注入するだけです。
「ふむ…。スライムの時と違って方法は至ってまともかな」
というか、俺の感性が可笑しくなって来ただけなのかな。
まあいいか。
色々と気にするのは、いい加減によそう。
どうか、肉系を生成する際は…と思いながら、俺はせっせと人面樹の生成へと取り組んだのである。
「そうそう…ミレイ殿。その調子です」
時は同じ頃、東の訓練場と名付けた場所で、スライスは、人間形態時のままでミレイの魔法の相手をしていた。
何でもスライスが訓練場として使用したいと今朝方と言い出したので、俺は許可したのだ。一応、スローライフとして生活を送るリベルダ領だけど、訓練とかは大事だもんな。ここでもさ?いつ、何があるか分からないし。
昨日、スライスから聞いたエルフのことが気になるけど、俺の知っているエルフといえば、あのドスの利いた声のオッサンだけなんだよなぁ…。
「ううぅ…も、もうちょっと…」
ミレイは、全神経を集中しながら、スライスに倣いつつ、風魔法を応用しながら飛行に挑戦しているのである。
「空をもっとイメージして…」
「うううぅ…………」
ミレイはスライスに指導されながら、ほんの僅かだが、1cm近く浮遊したのだ。
「や、やりましたね!1cm!1cm近くですよ」
「は、はぁ……はぁ……!」
すぐに着地してしまい、ミレイは息切れしてしまったのである。
「お疲れ様です。お水をどうぞ」
スライスは、召喚魔法で水を召喚しながら言った。
「あ、ありがとう…。アレ…?」
「どうかしましたか?ミレイ殿」
「な、何だろう…?何か上がっているような…アレ…?」
「あー…レベルを1アップしたみたいですね」
「ほ、ホント…!?」
「ええ。ですが、まだまだですね。今日の所はこの辺にしておきましょう」
「そうだね」
平和になった時代が訪れてから、人間という種族は、殆どマナという魔力があっても、微々たる量しか持たないため、使い道を知らないまま、こうしてミレイのように地道にレベルを上げることをしないまま、一生を終えるのは、少なくないのである。
それ故に昔は盛んに各地にあちこちとあった、冒険者ギルドも名を変え、今は生活ギルドへと成り果てているのであった。




