第29話
グダグダですが、色々と気にしないで下さい。
「うー…まよったの」
朝、14歳離れた兄である、マイラスが作ったカルボナーラを食べただけで、大好きなデザートである、クリームたっぷりの苺のショートケーキは食べないまま、ピュリアーツの森を飛び出した、銀と青の髪をしている、まだ12歳になったばかりの幼いフリックは、スーレシア王国への道が分からず、迷ってしまったのである。
昨夜、その日の寝かし当番だった兄、8歳上のレイオスから人間の国の話を聞いたことから、人間に対する好奇心が抑え切れず、兄たちが少し席を外した途端、結界が張られている森を抜け出したのだ。
「迷子かい?お嬢ちゃん」
西の大国であるラグーン王国からエルフ狩りをしている、デイルスは優しげな口振りで言った。
「うん。まよったの。ボクね?スーレシアおーこくってくにに行きたいの」
「そうかい。だったら、おじさん達と一緒に来るかい?色々と紹介するよ」
「うん!行くの!」
人間に偏見を持たないフリックは、素直にデイルスの口車に乗せられながら、他の森に隠れ棲むハイエルフたちが乗っている、馬車へと乗ってしまったのである。
「はぁ…何とか出来たな」
ぷよぷよと辺りを動き回るスライムを見ながら、シリウスはドッと溜め息を吐きながら呟いた。
「良くもまぁ…あんな材料でスライムが出来るモノだな…」
「何だか凄くお疲れだね。シリウスさん」
「そ、そりゃあな…あんな材料でスライムが出来るとなると、流石の俺もドッと疲れもするさ。悪いな…マジで簡単な昼食がサンドイッチだけになってしまって」
「ううん。別にいいよ」
サンドイッチ用のパンにツナマヨとスクランブルエッグを挟んだだけという、至ってシンプル過ぎるサンドイッチを今日の昼食にしたのである。
「さてと…スライムを何とか生成出来たことだし、人面樹というモンスターを生成するかな」
自給自足として調味料となるプラントは先に生成したものの、野菜や果物の原料となるモンスターを生成しようと思い、シリウスは例の如くで本を開いたのである。
「…………………………………………………………」
「シリウスさん?」
「あー…すまない。材料を採りに行かないといけないようだ」
そう、人面樹系には『その辺に転がっている木の枝』が必要不可欠らしい。
まあ、分からないでもないけど。
ただな?ゴボウって何?ゴボウって…!?
別にゴボウは不味くないけどさ?
キンピラゴボウとか天麩羅とかその他諸々にすると、スッゲー美味いけどさ?
人面樹を生成するのにゴボウっているのか?と不思議に思っただけなのだ。
ま、まあ。そうだよな。
調味料系のプラントを生成する際、何故か塩とか砂糖とか普通に材料であったし。
とにかくとしつこいようだが、あれやこれやと色々と気にしていたら、異世界でやっていけないだろうと俺は思ったのである。




