番外編65 ガーディ・ガーディウス
俺は、常に門を任されていた。
門の向こうは、俺が仕えるべき主、領民が住んでいるのだ。
俺の名は、ガーディ・ガーディウス。
門番を任されてから、早10年余りの年月が経っていた。
「な、何だ…?」
俺は、今まで見たことのない妙なモノが門に近付いて来ていた。
人でもない。
コレは…?と思わず、剣を抜いたのだ。
主を守るために、渡された剣だ。
「キッシャーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
とてもじゃないが、人語を話す相手ではないようだ。
それ処か人を襲っている…だと!?
このままでは拙いと思い、俺は、今はここを守り通すだけだ。
これが魔物だということに気付くのは、俺が倒れてかららしい。
だが、今の俺にはそれが分からなかった。
聖龍暦15000年の今、魔物の存在は知られていないのだから。
ただ、野放しにされた、魔物が今、あちこちと人を襲っているのは事実。
このままでは、拙いのだ。
魔王は、かつて人々のためにだったという。
だが、魔の力を使うが故に人々から恐れられ、北へと移り住んだのだ。
これ以上は俺も無理だった。
主を守ることも、領民を守ることも出来ないまま、俺は命を落としたのだった。
次の人生があるのならば、誰かを守る程の強さが欲しい。
そんな願いは届いたのかどうか分からないが、真門強という新たなる名で、誰かを守るため、家庭を守る道を選んだ、俺であった。