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番外編63 魔芽

「近寄んな!ゲッソ!」

「いっつもクせぇーんだよ!ゲソ!」

「ゲソはゲッソらしくしてろよなぁー!ゲッソ!」

「ゲソゲソゲッソ!ゲソゲゲソソソ!」

「クササクッサササクサのゲソゲッソ!」

上から松山大介マツヤマダイスケ野本遊也ノモトユウヤ森下雄司モリシタユウジ新谷哲広シンタニテツヒロ大室彰大オオムロアキヒロの5名は、教室に入って来たばかりの女子生徒に向かって言っていた。

それを見ていた周りの女子生徒もまた、「クッサイわ!ゲソ!ゲソゲソゲソゲソゲーソ!」「ゲソのくせに鈴付きのリボンなんてダッセー!小6になって付けるなんてダッセーんだよ!」「何を食ったらそんなにクッセーンんだ!?ゲッソ!」「ゲソは教室に入んなよなぁ!」と西田静華ニシダシズカ東有紀アズマユキ井原綾美イハラアヤミ南口直実ミナミグチナオミの4名も同じように足蹴り、ハサミを用いて髪を切る等などと悪質なイジメをしていたのである。

「わ、私は…臭くない!」女子生徒はいつものように返しながら、それでも、席に着くまで、他の生徒たちに蹴られつつ、一番後ろの席へと着くものの、机には『死ね!』『腐る!』『ゲソ』『う○子』といった、落書きがされているのは、日常茶飯事へと化していた。



「う○子ゲソはう○子ゲソらしくしとけ!」

席に着くや否や担任である、藤原響子フジワラキョウコは、教室に入ると同時に黒板消しで、先程から周りに酷い扱いを受けていた、女子生徒に向けて投げ付けたのだ。

「つぅ…!」

「あら?噎せた?う○子ゲソらしくなったんだからいいでしょ?」

担任はそう言うと、周りはドッと笑いに満ちてしまったのだった。

「先生、超ウケるー!」

「う○子ゲソって素敵なネーミング!」

ピューピューと拍手喝采と共に笑いがクラスに満ちている中、女子生徒は耐え切れずにその場から逃げ出してしまったのである。

「あっ!う○子ゲソが逃げたー!」

「みんなで捕まえよー!」

「捕まえた子には成績にたいへん良いを付けるねー!」

藤原は言うと、クラスメートは、逃げた女子生徒を追い掛けたのだ。



(このまま家まで帰ってやる…!)

頭に黒板消し塗れとなってしまっている女子生徒は、ひたすらに家まで走っていた。

幸い、女子生徒は、足に自信があるのだ。

周りに負けない俊足を持っているからである。

また、小4の時にお世話になった恩師、大川澄人(オオカワスミト)先生のお陰で、女子生徒は、通常は20分掛かる所から、登下校しなければいけない所を片道5分の最短で済むルートで、状況を察ししたことから、その道を通って家へと向かって走っているのだ。



「いたか!?ゲソ!?」

「いや!いねぇー!クソ…!」

「どこに逃げやがったんだ!?ゲソ!」

最短ルートで帰っていることを知らないクラスメートは、ひたすらに学校中を探し回っていた。



(って…な、何だ…?)

クラスメート36名と担任の藤原響子は、突如、目の前は暗闇へと閉ざされてしまったのだ。



『何だって失礼ねぇ?アンタたち』

せっかく死後の世界に案内してあげたのよ?感謝して欲しいぐらいだわと下界を見ていて、うんざりしていた様子のある、彼らからすると、女に見える人物は答えたのである。

「死後の世界だって?どういうことなんだよ!それよりもゲソは!?」

「そうだ!オレたちはまだ生きてんだよ!死後の世界って何だよ!?」

『あらあら?せっかくねぇ?アンタたちの心の臓を止めてあげたのよ?感謝して欲しいわねぇ』

「はぁ!?心の臓を止めたって!?」

『そう。アンタたちの行動はうざいのよ!アンタたちがゲソって言ってる子だっけ?どこが臭いっての?アンタたちの方が臭いわ!』

「臭い!?うちらが!?なんで!?」

『全く分かってないわねぇ…。アンタたちは肉ばかり取るから臭いんだよねぇ。まぁ、いいわ。アンタたち…ね?今すぐ≪その辺に芽が生えているだけで、踏まれ殺されてしまう人生の魔芽マメ≫になってもらうわよ!』



はぁ?という面々ある中、問答無用で36名+担任を異世界へと魔芽という形で、転生させてしまったのである。



(踏まれて殺されてしまう人生…だってぇ?)

(何だよ…!?それぇ?)

(それなら、ゲソの方がいいよなぁ!)

(こんなことになったのもさ?ゲソのせいだよなぁ)

(あー…マジでムカ付くよなぁ)

口々に彼らは、魔芽として転生しても尚、性格は改める気配はないまま、そのまま、誰かに踏み殺され、あっという間に魔芽としてという人生を終えてしまい、第三の人生も第四の人生も第五の人生も誰も相手されないまま、終わってしまったのだった。



作者の実話です。

あの頃は周りが全ていじめ集団だったから…。

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