番外編62 魔種(その2)
「あー…毎日、退屈」
毎日、同じことの繰り返し。
イジメも飽きて来たなぁ。
でも、やらないとさ?次は自分の番ってのが怖いからするんだよね。
周りがするからこそ、自分も周りと一緒にしなきゃとなるし。
だったら、しなければいいじゃんって良く聞くけど、しなければ、次は自分の番じゃないかって思うと怖いからこそ、イジメをするだけ。
かといってさ?
イジメられている側みたいにさ?自分たちと違うことを趣味として持つのも嫌だ。
アニメとかってさ?幼稚園の内に卒業しておくもんだし?
で、小学校に入ったら、常に勉強第一。
アニメよりも勉強が大事だよね。
「はぁ~…何か違うことをしたいなぁ」
アタシの名前は、加納優実。
交友関係を広めるために周りと一緒にしていたら、いつの間にやら500人は優に超える交友関係が出来てた。
だからといってさ?イジメはやめられないのよね。家の中では、弟たちの面倒見の良い優しいお姉さんを演じ、学校の中では、イジメを繰り返すリーダーの一人をやってるけど、やめられないわ。退屈の日々の中でイジメだけはやめられないし。
アタシは間違ってない。
間違ってるのは、イジメられている側だから。
周りと趣味を合わそうとせず、自分の世界があるってのが問題。
自分の世界があるって言う人って気に食わないよね。
はぁ~………って何、ここ!?
気が付いたら、アタシは変な所に来てた。
なんだろう?
さっき地震が起きたのは分かってるけど、ここって何?
みんなはどこって話。
『とりあえずさ?ここにいるアンタさ?その辺に埋まったまま、地上に出て来ない魔種でいいかい?』
誰に向かって言ってんだろう?という声が聞こえた途端、マジでここはどこ?
魔種って何?って言いたいんだけど?
って何も見えないんだけど?
真っ暗のままだし、ここから出してよ!ってなんで、アタシの声が聞こえない訳?
地上に出て来ない魔種って言ってたかしら?
だからってこんな仕打ち、無いわよね?
ねぇ?誰か聞こえてるんでしょ!
誰でもいいからさ?アタシをここから出して元の世界に戻してくれないかな?
そう思っている内に何年、何十年、何百年…と気が遠い年月だけが過ぎていってしまったのだった。