番外編61 魔石(その7)
見渡す限りだが、石。
オレも石。
『その辺を見渡しても、同類の魔石』って謎めいた声と共にオレはその日を境に石になっていた。
オレ、何かした?
石になるような罪、犯した?
周りは散々とイジメを繰り返した挙げ句に魔草だの魔粒だの魔砂だのとなっていったけど、何たってオレもなんで石?
そりゃーさ?
オレだって一つや二つや三つや四つや五つや…ってイジメはしていたけどさ?
だからってそんな理由で石ってないんじゃね?
オレ、市原拓哉って言うんだけどさ?
まさかって思うけどさ?
名前の中に石があるから、石なのか?
そういえば、同類の魔石って言ってたな。
さっきの謎めいた声。
ってことは、ここら中にある魔石って…?
『ん?何か用?私、守田ゆいなんだけど?何?』
何となくオレは念みたいなモノを飛ばしてみると、なんか見覚えのある名前だ。
確か中学時代の同級生にいたっけ?
『あー…お、オレだよ。市原拓哉』
『えっ!?た、拓哉クン?なんで?』
『なんでって…オレに言われても…。そういうアンタは…伊ノ原優香じゃね?』
『えっー!?ここにいるの!?』
他にもさ?甲斐美保とか池上直也とか中原和樹とか再会したんだよなぁ。
何だかんだとここで、新たに魔石という形で、同級生に10数年ぶりに再会した。
って…なんで、ここにいるみんな魔石?
何か心当たりあるかどうか聞いても、周りもない。
ただ単にイジメの一つや二つや三つ…と数え切れない程にして過ごして来ただけ。
イジメってそんなに悪いことなのか?
石になって罪を償えって感じなのか?
いや、だからって石ってないだろうって思うね。
罪を償うのは、イジメられてた側じゃねーの?
趣味・嗜好・食べ方・教科書の並べ方・文房具の中身…等などと全て周りに合わせようとしない方が悪いんじゃね?周りに合わすべき所だろう?そこを合わしていないだけで、周りに合わせてオレらってイジメをしてたんだけどさ?
ホント、この世界ってどうかしてる。
オレたちみたいな立派な生を歩んで来た側に石として生を歩ませるってどういう世界なんだかと思いつつ、あっという間に人生を終えてしまったオレたちであった…。