番外編60 オーレニア
「おーい!次はここを手伝ってくれないか!井之上」
今、お仕事で言われるままに作業をしていた。
上司に言われるまま、上司の言うお仕事もやって来た。
その傍らで、私は上司のいない所でトコトンと周りをイビっていた。
「ほら!アンタら!とっとと手を動かしな!」
「ここ!遅いンだよ!なんべん言えば分かるんだい!」
「おめー!おっせー!ただただ20kgのガラス瓶の5000個の梱包作業に1時間以上掛けてんじゃねーよ!1秒で梱包しろってなんべん言ったと思ってんだい!」このトロマ!」
周りを殴りながら、指示していた。
別に悪いことなんて、私はしてないよ?当たり前のことを言ってるだけ。
私、井之上美里。
殴ることが私の生き甲斐。
何しろ、毎日のように家に帰れば、主人に「はよメシ作れや!」って私も殴られているのだから、それ位は周りに指示する度に殴っても問題はないわ。腹いせに殴るって最高に気持ちが安らぐからね。
だからってさ?
ここは何よ?
『転生名前はオーレニア(雄)、転生種族は豚、転生日は聖龍歴99995年5月5日、転生先はソルディア・カオスティック・マジフィニクッス・ピーストにある、ゼノア帝国、転生特典はなし、プレゼントはなし』
って豚って何よ?私、人間よ?
周りも見渡せば、豚だらけだし。
「はぁ~…また、雄だなぁ。コレじゃ…皇帝様に差し出せないだな」
「んだな。私らだけで処分するしかないべな。せっかくオーレニア豚は生まれたかと思ったら、残念だべな」
何なの?雄だから?
私、というよりもね?女よ?だからって何?
何か無理矢理と薬を飲まされたかと思ったら、意識を完全に落ちてしまい、そのまま、私の身体は、何ともいえない姿になっていたことに気付かないまま、第二の人生を終えてしまったのだった。