番外編59 魔砂(その2)
ただただ広い。
広い砂原の中、ただただ流されていく身体。
私は『ただ流されていくだけで、何も出来ないその辺に広がる魔砂』と言われるままにこの世界へと来ていた。
何も出来ないじゃないのよー!
私、池尾佳織。
マジで何なのよー!ここー!
ただただ周りに合わせて、気に食わない相手をトコトンいじめることで、日頃の受験勉強の合間に学校に行くことが何よりも楽しみにしながら、暮らしてたんだけど、気が付いたら、ここへと来ていた。
ただただ周りに合わす生活よ?
だからってさ?「ただ流されていくだけで、何も出来ないその辺に広がる魔砂」って何?
魔砂ってことから、何かに使える道具みたいなモノよね?
あら?誰かが来たわ。
誰だろう?この世界にもやっぱり、人はいるのね。
「はぁ~…何かに使える砂かと思ったら、ただ単に効果無しか」
私を拾うなり、どこかへと投げ捨てていく。
これ以上、私の身体を流さないで…って私の声、相手に聞こえないの?
どんどんどこかへと流されていく身体。
私の身体、どうなってしまうのだろう。
ああ…意識がどんどん無くなって来たわ。
第二の人生って………とても…辛い人生なのね。
あんなに楽しかった学校生活に………戻りたいなぁ………。