番外編56 魔塊
『その辺にうじゃうじゃと埋まっているだけの魔塊』って何!?
さっきから顔見知りというかさ?
中学時代の同級生は勿論、小学校の時からの幼馴染みもその辺の何かって感じで飛ばされていったなぁって思ってたら、あたしもじゃん!?
というよりもさ?
森元智里っていう名前だった筈なんだけど、どうして?
そりゃーさ?
中学時代、何か気に食わない同性の子はいたよ?
言い間違いする子なんて気に食わないから、みんなでいじめてただけだよ?
だって?言い間違えるなんて中学になってもするってありえない話よ?
それでいじめをしてどこが悪いって話なのよね。
文法も正しく言えないし、単語の語彙だって間違えるし、数学の計算とかも間違えるし、バカな子だからこそ、誰もがいじめしてどこが悪いって思うわ。
そもそも、いじめる理由はそれで十分よ。
何か欠点あるだけで、気に食わないのは当然のことなのだからさ。
だからってさ?
こんな真っ当に過ごして来た、あたしにさ?
その辺にうじゃうじゃと埋まっているだけの魔塊って何なのよ?
ん?誰か来たようね。
「んー…。使いモノにならないなぁ。魔塊って名前だけなら何か特殊効果ありそうだと思ってみたけれど…」
あたしを拾うかと思えば、そのまま元に戻すってどういうことなの?
特殊効果があれば使えそうなの?
魔塊って何も効果はないってどういうこと?
そもそも、ここってどこなのよ?
日本…じゃないわよね?
というよりもね?あたしと同じようにその辺って言われた同級生とか見付けたいわ。
でも、何も出来ないってのは辛いわね。
何とかしてでも身体を動かしたいモノよね。
自力でズルズルと………あ、アレ?
何か…どんどん欠けちゃってる…?
な、何か…意識が…だんだんと朦朧として来たわ。
何がどうやって…ここへと魔塊として…なってしまったのか…思い出せないまま…このまま…生を…終えてしまうなんて………。
何ともいえない世界だなぁ…とあたしは、最期に思ったのだった。