番外編52 魔砂
ウチの名は、原あんず。
30を手前にやっと結婚というゴールインしたんやけど、何か違うねん。
こんな形でゴールインしたくなかったんやで?
何やねん?
ここ?気が付いたらな?ウチな?
サラッサラしたもんになってんねん?
なんでなん?なぁ?ウチ、何かしたん?
『その辺にサーってあるだけの魔砂』って脳裏にアナウンスが流れるままやったんやけど、なんで、魔砂ってなってるねん?
事情説明とかせーへんの?って言いたいねん。
そーいやさ?
魔砂って言われる前にね?ウチさ?
彼と揉めたんや。
子どもの教育について話し合ってさ?
そしたら、彼。すんごくぶちキレしたんよ?
ウチな?子どもの教育でさ?何が何でも殴って育てるって教育したかったんや。子どもって殴られてこそナンボやん?愛情やって高校時代の親友も言ってたんや。だからこそ、その教育方針で育てようやって言ったら、彼。ぶちキレ。なんでやねん!って感じしかないやん?
で、そしたらさ?
「おめーみたいなヤツはいらんわ!出てけ!」ってウチをアパートから追い出したんやで。
ひっどいよな!結婚してすぐやで?
で、彷徨う内にこんな所に来てしまったんや。
突如、揺れを感じたなぁって思ってたら、コレやで?
もう、何やねん!って思うわ。
あー…もう何やのん。
魔砂って言っても何も出来へん。
もう、このままって終わるんやろね。ウチみたいな立派な生を歩んで来た人間は……。
そうしている内にウチは、いつしか、どこか魂はいってしまったことに気付いていなかったのである。